特別企画
第2回「遊戯王」宇宙最強カード列伝「超魔導竜騎士-ドラグーン・オブ・レッドアイズ」をキミは知っているか!?
“もうコイツ1人で良いんじゃないか?”をガチで体現した夢の融合モンスター
2023年12月21日 00:00
- 【超魔導竜騎士-ドラグーン・オブ・レッドアイズ】
- 2019年12月21日 登場
爆アドォォォ!アドえもんです!筆者は普段YouTubeにて遊戯王を中心にカードゲーム動画を投稿している愉快でうるさいオジサンだ。
前回の「ダーク・ダイブ・ボンバー」に引き続き、今回はウルトラ長い歴史を持つ「遊戯王」の中でも(色んな意味で)特に名高い連中をそのカードが生まれた日に合わせて紹介する企画「宇宙最強カード列伝」の第二回となる。「遊戯王」には過去に登場したカードでありながら、現代パワー基準でも信じられないような“暴れ”カード達がまだまだ存在しているので、今回もそんなステキなカード達の歴史を後世に伝えていければと思う。気になる人は是非前回の記事もチェックしてみて欲しい。
そんな訳で今回の主人公となるカードはコイツ! 4年前の今日、2019年12月21日発売の「LEGENDARY GOLD BOX」にて収録したドリームカード「超魔導竜騎士-ドラグーン・オブ・レッドアイズ」だ!
2回目にして近現代最強カードが登場! 「書いてある事が全て強いカードは強い!」の頂点に君臨するようなパワー系テキストは一部のユーザーから当時オリカ(個人的に作られたオリジナルのカード)を疑われるレベルであり、もし仮に「1番単体性能が最強のモンスターといえば?」というアンケートを行ったら多くのデュエリストがこのカードに投票するといっても過言では無いほど、歴代カードの中でも群を抜いた暴力的なパワーを秘めたモンスターなのだ。
さらには当時どんなデッキでも使用できた“お手軽ギミック”によってこの化け物が簡単に生み出せてしまったことにより、どのテーマがこのカードを一番上手く使えるかを競うような環境になってしまった事は記憶に新しいだろう。
当時を知るプレーヤーからすると苦くもあり楽しくもあった苛烈な戦いの記憶が呼び覚まされるようなカードなのだが、ビジュアルや設定のカッコ良さから今もなお愛しているプレーヤーも多く、人気の高いモンスターでもあるのだ。
そんな現代遊戯王の中でも頭300個ぐらい抜きんでてしまった「超魔導竜騎士-ドラグーン・オブ・レッドアイズ(以下:ドラグーンオブレッドアイズ)」がどのようなカードでどんな使われ方をしていたのか、早速その恐るべき歴史を紐解いていこう……!
これぞ遊戯王界のスパダリ!ハイスペックすぎるテキストにひれ伏せ!
まず手始めにこのカードの能力や概要についてザックリ振り返っておきたい。
レベル8の融合モンスターであるこのカードは融合素材に「ブラック・マジシャン」と「真紅眼の黒竜」を必要としている。ここからもわかる通り、「遊戯王」を代表する大人気キャラクター「武藤遊戯」と「城之内くん」の魂のエースモンスターが夢の合体を果たした姿(かもしれない)というファンからしたら堪らないビジュアルのモンスターとなっている。「超魔導」シリーズらしく「ブラック・マジシャン」をベースとしながらも、「レッドアイズ」らしい意匠が施された甲冑がメチャメチャに男心をくすぐるデザインでありながら、メインカラーが赤+黒と両モンスターの特徴を反映。その結果、男の子が一番好きな組み合わせの色合いになった最高にクールな存在だ。
そんな「ドラグーンオブレッドアイズ」には3つの効果が秘められており、それぞれが単体で完結しているストレートな効果となっている。
1つは自身が効果の対象にならず効果で破壊されない「耐性効果」。2つ目は相手モンスター1体を破壊して攻撃力分のダメージを与える「破壊&バーン効果」。3つ目は相手が発動したカード効果を手札1枚をコストに無効破壊する事ができる「妨害効果」といった具合だ。
加えて破壊効果は素材とした通常モンスターの数だけ1ターンに発射する事ができ、妨害効果は無効にした後なぜか自身の打点が1000アップするというオマケまでついてくる豪華仕様となっているぞ!
いや強すぎィ!!!!! 今基準で考えても説明が要らないレベルでテキスト爆盛りィ!!!!!
そもそも冷静に考えて欲しいのだが「耐性効果」と「破壊効果」と「妨害効果」が1枚のカードに全て同居している事がまずとんでもない事なのである。この3つの効果はモンスターに持っていて欲しい効果トップ3と言っても過言ではなく、エースモンスターがこの内の2つを持っていれば十分最強カードの一角になり得るレベルなのだ。その中でこのモンスターは己1人で全て賄ってしまうのだからスペックの高さについては誰も文句のつけ所が無いだろう。
ちなみにこれは良く使われる妨害モンスターと比較するとその異常性がわかると思う。例えば「フルール・ド・バロネス」は「破壊効果」と「妨害効果」を持ち合わせている比較的似た雰囲気のモンスターだが、当然自身に耐性は無いし破壊後にバーンもしなければ無効後打点アップもしない。勿論、それぞれ破壊範囲や召喚難易度、バロネスならスタンバイフェイズに墓地のモンスターと入れ替わる独自の効果等で差別化されているため、上位互換などの関係性では全く無い。しかし、非常に強力で多くのデッキに採用されるシンクロモンスターの「バロネス」のテキストでさえオマケ部分がちょっと少ないように感じてしまうほど「ドラグーンオブレッドアイズ」の能力は凄まじいのはわかって頂けたのでは無いだろうか。
大会環境では全デッキのエースモンスターに!そしてその結末は……
さてそんな異常なレベルでハイスペックお化けな「ドラグーンオブレッドアイズ」だが、融合素材がサポートが多い「ブラック・マジシャン」と「真紅眼の黒竜」とはいえバニラモンスター×2と考えると、出しづらいし妥当な能力なんじゃないかと思ってしまう人もいるのではないだろうか。だがこの最強モンスターは当時とんでもなく簡単な方法で場に出力する事が可能であり、その影響で“あらゆるデッキ”に採用されるレベルのカードになってしまった歴史を持っている。その簡単に出力できる原因となったのが現在OCGでは禁止カードにぶち込まれている「捕食植物ヴェルテ・アナコンダ」だ……!
「マスターデュエル」を遊んでいるプレーヤーなら現役で馴染み深いであろうこのカードは、2000ライフを払うだけでデッキから「融合」か「フュージョン」系のカードの能力をコピーできるという効果を持っている。そのため、こちらで「レッドアイズ」専用の融合魔法「真紅眼融合」の効果をコピーし、デッキから素材である「ブラック・マジシャン」と「真紅眼の黒竜」を落として簡単に「ドラグーンオブレッドアイズ」を融合召喚できてしまうのだ。つまりヴェルテアナコンダの召喚条件“適当なモンスター2体”を盤面に出すだけで最強の「ドラグーンオブレッドアイズ」が爆誕するゲームへと変化したのである。
これは適当なチューナー+モンスターでお気軽に制圧盤面を作れていた「水晶機巧-ハリファイバー」が「マスターデュエル」で猛威を奮っていたことを踏まえると、それよりもさらに簡単に召喚条件を達成できるこのギミックが弱い訳がない事が身に染みてわかってもらえると思う。一応デッキに「ブラックマジシャン」と「真紅眼の黒竜」という基本は多くのデッキでメインギミックに絡めずらいカードを入れなくてはいけないというデメリットがあるが、逆に言えば「真紅眼融合」を含めたこの3枚を入れるだけで「ドラグーンオブレッドアイズ」を出すことが可能になり、1枚で相手を再起不能レベルにできるモンスターを生みだせると考えればリターンがデカすぎだろう。
この超お手軽で「ドラグーンオブレッドアイズ」を出せるようになった当時のOCG環境では、このカードを主軸に必要最低限の展開ギミックと手札誘発や汎用カードをタコ盛した「ドラグーンビート」と呼ばれる恐ろしいデッキタイプが大流行する事となる。
組み合わせるカード候補としては追加の妨害を用意しつつメインのカード枚数を抑えられる「召喚獣」や「十二獣」、2体のモンスターを用意する段階で相互サーチが可能かつ相手のバック破壊も得意な「トリックスター」ギミック、「インスペクト・ボーダー」をはじめとした単純にカードパワーの高いメタカードギミックが多く採用される型が生み出されたりなど、「ドラグーン」だらけではあるがどんなカードと「ドラグーン」が一緒に襲ってくるのかを考えるメタゲームが展開され、世はまさに“大ドラグーン時代”を迎えたのである……!
この「ドラグーンオブレッドアイズ」が生きていた時代は「ドラグーンビート」以外のデッキであっても、純粋にデッキパワーを上げたい場合に手軽なアナコンダドラグーンギミックを採用しない理由が特に無い事が多かった。そのため、どんなデッキからもデフォルトで「ドラグーン」が出せる状態だったのは面白くもカオスな体験だったなと今は感じている。特にカジュアルやフリー環境ではパワーバランスを事前に話さないと容赦なく出張ドラグーンが飛んできて為す術もなくボコボコにされるという事態も発生していたため、この時期に「遊戯王」を遊んでいたプレーヤーは良くも悪くもこのカードに“最強”のイメージを持っている人が多いだろう。
その暴力的なまでのパワーを様々なデッキで発揮した「ドラグーンオブレッドアイズ」は、誕生から約3カ月間後の2020年4月にほぼ専用融合魔法と化していた「真紅眼融合」が制限カードに指定された事で安定感を失い失速……する訳もなく“制限なんぞ関係ねぇ”と言わんばかりにその後も多くのデッキで出張セットとして大活躍。同じ時期にこのカードにも有効な現代の後手捲り神器「三戦の才」や「禁じられた一滴」が登場した事で少しだけ勢いを落とす事となったが、それでも初手で返せるカードを複数枚持って無ければどうしようもねぇという根本的な問題は一生付きまとうためしっかり活躍し続ける形になっていた。
最終的には2020年10月の制限改定で「ドラグーンオブレッドアイズ」本体が禁止カードとなる事で激動の1年に幕を引いたのだ……。この時ほぼ冤罪だった「真紅眼融合」が無制限カードへとヌルっと帰ってきて笑ったよね。
多くのプレーヤーがその圧倒的なパワーに恐れと興奮を抱きながらも、今までの「遊戯王」の壁を1つぶち破るような刺激的な体験を味合わせてくれた「ドラグーンオブレッドアイズ」に感謝の念を感じているのではないだろうか。(嫌いな人はとことん嫌いだろうけど)
現代ではもう許してあげても良いんじゃないかという噂も……
そんな「ドラグーンオブレッドアイズ」だが、なんと最近ネットではこのカードがワンチャン禁止解除されるのではないかと噂されている!
理由は様々あるが、大きな理由として、OCGではこのカードを直接お手軽召喚していた「捕食植物ヴェルテ・アナコンダ」が既に禁止カードになっている点、さらには全体の環境テーマが純粋に「真紅眼融合」を発動してこのカードを出すだけなら意外と返せる位のパワーになって来た点が大きい。元々禁止カードになる直前も強いとはいえ弱点も増えて理不尽感も薄まっていたし、その上で対抗策の増加やアナコンダインフラと合わせ妨害カードが少ないのであれば全然解除しても問題は無さそうだと感じている。
とは言えフィールドに出力できた時の性能は現在でもピカイチであり、昔と比べて融合サポートや種族サポートも豊富になっている事も相まって新たなタイプのデッキが生まれて暴れ回る可能性も十分あるかもしれない。
個人的には、まだ解除は無いかなと予想しながらも、また使いたいという気持ちと純粋に見た目が最高にクールなので、価格が安い内に買っておいても良いのかなと思ったりもしている。今後の制限改定にぜひ注目して欲しい。
「ドラグーンオブレッドアイズ」自体は「マスターデュエル」にも実装されているので、待ちきれない人は禁止カードを使用できるアンリミテッドルールで一度遊んでみるのも悪く無いだろう。筆者も久々にドラグーンでハイになりたくなってきたので今度ルームマッチでも開きたいと思う。
こんな感じで今後もヤバすぎる時代を作ったカードを紹介する記事を書けるかもしれないので、その時はチェックしてくれると嬉しい!それではグッッッッ爆アドォォォ!!!
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