特別企画
「帰ってきたあぶない刑事」上映記念モデルガン「大下勇次モデル M10」を手に、銃と映画の魅力を語ろう!
2024年7月9日 11:45
- 【大下勇次モデル M10 2inch Early Heavy Weight DX】
- 【大下勇次モデル M10 2inch Early Heavy Weight STD】
- 5月16日発売
- 価格:
- 85,800円(DX版)
- 49,500円(STD版)
- 全長:175mm
- 重量:600g
- 装弾数:6発
- 材質:HW樹脂+亜鉛ダイカスト
ファンにとって待ちに待った映画「帰ってきた あぶない刑事」は大ヒットとなった。筆者ももちろん見てきた。オープニングで、テーマ曲が流れた瞬間からもう、世界観に没入し、感極まりそうになったほどで、あっという間の上映時間だった。
そして筆者にとって映画を見た後のお楽しみがあった。タナカから発売された「『帰ってきたあぶない刑事』オフィシャルライセンスプロダクト 大下勇次モデル M10 2inch Early Heavy Weight DX」である。本商品は映画公開を記念し公開日より少し前に家に届いていたのだが、筆者は映画の余韻に浸りながら触りたいと思っていたので、開けるのを我慢していたのだ。
今回はこのモデルガン「大下勇次モデル M10 2inch Early Heavy Weight DX」を紹介する。DX版は銃単体に加え、劇中と同じホルスター、印象的なスピードローダーなど様々なアイテムがセットとなっており、サングラスを付けた上でホルスターを身につけ、銃を引き抜いてリロードすれば、ユージになりきれる素晴らしいアイテムだ。
これまで筆者は「帰ってきた あぶない刑事」の公開記念としてタカとユージの銃を語ってきたが、今回は最終章として「大下勇次モデル M10 2inch Early Heavy Weight DX」をたっぷり紹介した上で、映画「帰ってきた あぶない刑事」の魅力も語っていきたい。
オフィシャルライセンスプロダクトならではのこだわりの逸品
今回紹介する『帰ってきたあぶない刑事』オフィシャルライセンスプロダクト 大下勇次モデル M10 2inch Early Heavy Weight 」は、スタンダード(STD)版とデラックス(DX)版が発売された。STD版の価格は49,500円で、DX版の価格は85,800円。STD版は銃本体と特別製のカートリッジ。DX版はカートリッジが2セット(12発)と、劇中のユージが着用したモデルを再現したバーティカルタイプの本革製ショルダーホルスターやHKS製の実銃用スピードローダーなど様々なオプションが追加される。今回筆者が手にしたのはDX版だ。
発火カートリッジは、タナカが販売する通常の.38 Specialカートリッジでなく、銅メッキされた弾頭に変更され、本体へのダメージを軽減できるよう空撃ちスプリングが付属する特別仕様となっている。12発ついているので、撃ち終わって薬莢を排出、スピードローダーで弾をこめる。というアクションを楽しめるのだ。
付属するホルスターは、実際に撮影用ホルスターを作成した「SPEED」社の協力監修により、劇中のユージが着用したモデルを再現したバーティカルタイプの本革製ショルダーホルスター。国産の高級素材「栃木レザー」を使用し、オフィシャルライセンスの刻印が入った特別品となる。これらをすべて収納できるデラックス版専用パッケージとなっている。
早速モデルガンの方を見ていこう。タナカワークスのモデルガン、「S&W M10 2inch Early Heavy Weight」は、同社の社Kフレームモデルガン系最新の内部機構Version.3を搭載し、スムーズな動作を実現している。ダブルアクション時にも、トリガーを引くとハンマーが落ちる直前にシリンダーがロックされ、その後ハンマーが落ちる、いわゆる「チチバン」が再現される。
1960年代のS&Wリボルバーらしく、バレルには固定ピンがある形状を再現。グリップは、ダイヤモンドチェッカー入り木製グリップ。高級感のあるウォールナット製だ。最初から木製グリップになっているのが嬉しい。このようなプレミアムなモデルならどうせ木製グリップに交換するので、無駄がなくて良い。
トリガーとハンマーは焼き入れ処理を再現したケースハードン風に仕上げられている。一手間をかけて一つ一つ人手で仕上げられているということで、全く同じものはないという。
カートリッジは、フルメタルジャケット弾をイメージさせる銅メッキ仕様で、空撃ち用スプリングが付いており銃を痛めないよう配慮されている。もちろん、火薬を詰めてバンバン撃っても良いが、もったいなくて発火できない。時折トリガーを引いて遊びたい、という人には嬉しい仕様となっている。
スピードローダーは、買うと地味に高いので、セットにあると嬉しい装備だ。とはいえ10-Aタイプは、日本国内でも流通が多いので、持っている人も多いかと思う。筆者も、数セット持っているので、劇中のようなたくさんの弾を持って現場に向かうユージ、を再現できる。
ホルスターは、しっかりした革製で重厚感が感じられる。ロゴの刻印は評価が分かれるところだろう。装着時には体の内側になるので外側からは見られないのが幸いだ。
劇中では、実際にホルスターを装着している様子は明瞭に描かれなかったが、このホルスターをジャケットの下に装着していたとのだとイメージすると、銃撃戦のシーンのなかにひきこまれていく。
続いて、映画に登場する銃のシーンを中心に映画についても語ってみたい。
定年退職してもあぶ刑事らしさは失われない。「帰ってきたあぶない刑事」のストーリを振り返る
前作の「さらばあぶない刑事」では、定年退職直前に起きた事件が描かれ、二人は事件解決後、ニュージーランドで悠々自適の生活を送ると旅立っていった。しかし、現地でトラブルがあって再びヨコハマに舞い戻ってきたシーンから物語は始まる。
再びヨコハマに戻ってきたタカとユージは、探偵事務所を開業する。そこに現れたのが、母親を探して欲しいという「彩夏(土屋太鳳)」。彩夏の母親を探す過程でタカとユージは、彩夏を追い回す不審な男たちや、過去に因縁があった犯罪組織、銀星会組長の息子、海堂の手下に追われるなど、事件に巻き込まれていく。
探偵となって銃や手錠を持てなくなった二人だが、追いつ追われつ、横浜の街を走り回るシーンや、巨悪に迫る迫力は衰えてないように感じた。一方で、娘かもしれない彩夏への接し方は、目尻も下がって優しい父親の眼差しだったのが今回一番のハイライトではないだろうか。個人的にはそんな二人のシーンを見られたことで、大満足だ。
港署の面々は、刑事たちも一新となり日々捜査に勤しんでいる。刑事課の新人たちのちょっとサムいギャグシーンもご愛嬌。あぶ刑事らしさが垣間見れるシーンだった。
町田課長(仲村トオル)もタカとユージに絡まれなければ頼もしい課長に見えるから不思議だ。そんなトオルもあと5年で定年という年齢。近藤課長並みのタヌキっぷりも堂に入ってきた。二人のピンチに時にはそっと、最後はドーンと助け舟を出す。最後は「そうくるか!」と脚本の妙に感心した。
かつての同僚、今は情報屋をやっているナカさんや、今でも結婚を諦めていないカオルなどの往年のキャラもここぞという場面で登場し、あぶ刑事らしさに華を添えてくれた。他の作品ではともすると悪ノリで興醒めするような演出もあぶない刑事ならこれぞ!と思ってしまうから不思議だ。
衰え知らずのタカとユージのガンアクションと、登場する銃器の数々
そして、肝心のタカとユージのガンアクションは、カタルシスあふれる満足いくものだった。銃を手にする過程からもうグッとくる。日産レパードの覆面パトカーの登場シーン、タカはバイクでショットガン、ユージは前回から引き続いてのS&W M10 2inch(スナブノーズ)で敵を倒していく、このシーンのためだけにもう一度観たいほど出来栄えだった。
ユージの銃「S&W M10 2inch」は、劇場版第7作「さらばあぶない刑事(2015年)」から使われている。今回の「帰ってきた」でも、タナカがプロップガンを提供し、S&W M10アーリータイプを使用すると発表され、実際に劇中で見ることができた。「さらば」において発砲用のプロップガンが、タナカのM19ベースで製作されたことをきっかけに、本作ではプロップガンの協力を申し出て、モデルアップされたという。
日本の警察官が使用する拳銃は、制服警官が使用する大型リボルバー(M1917など)やオートマチック(ガバメントなど)、私服警官が使用するM36、コルトディテクティブ、ブローニングなど、警察組織によって個別に調達して統一されていない状態から、国産のリボルバー、ニューナンブM60に更新された経緯がある。
移行時期(1960年代~1990年代)の初期に数量の不足を補うために一部県警がS&W M10を購入したというエピソードをもとに、もしかしたらユージの銃も?という設定で考証された。1960年台に生産されたアーリーモデルなのは、生産開始間もないニューナンブの不足を補うためという設定にフィットする。
古い年代の銃なので、デザインも無骨で垢抜けていないが、近年のスタイルの良い銃にはない重厚さ、味わいが感じられる。あぶない刑事の世界観において、現職刑事は多弾数オートマチックを採用しているなどと比較すると定年退職したユージの銃というイメージが色濃くなる。
S&W M10は、今まで使ってきたユージの銃のなかでもひときわコンパクトだ。2インチの短銃身と合わせて軽快さが際立ったと思う。
その他の登場人物の銃もみていこう。
今回登場する銃は、敵も味方も9mm口径が多かったように思う。タカの銃も、コルトガバメントの9mmカスタム。ランパントマーク(コルトの跳ね馬マーク)が刻印された樹脂グリップが装着されている模様。エランから発売される公式モデルでは、警察内部での弾薬の共通化や制圧力の強化を図ったという設定考証により、9mm化されたという。
とはいえ、オートマチックの9mmと、38口径(9mm)では、弾丸の直径は同じでもカートリッジは異なるので共有化は難しいのでは?など、いろいろ余計なことも考えてしまう。
バイクに乗りながらショットガンを撃つおなじみのシーンのあとは、バイクを降りて、ガバメントを手に海堂を追い詰めていく。9mm化により装弾数が9発になったが、撃ちまくるタカには9発では到底足りない。実用面では多弾数オートマチックが良いのだろうが、マガジンチェンジを手慣れた感じでカッコよくみせてくれたシーンが印象的だった。
最後は、ユージと二人で決着をつけるところがカタルシスだ。
新人刑事の二人はグロック17、先輩刑事の早瀬梨花(演:西野七瀬)はグロック26を使用していたように見えた。前半で発生する銃撃戦では、タカとユージの代わりに激戦を繰り広げた。撮影中は、舘さんや柴田さんから銃を撃つアドバイスもしてもらったというエピソードもあり、なかなか様になっていたように思う。
タカとユージに因縁を持つ海堂は、ベレッタM92FSのステンレスモデルを使用。さすが成長著しい企業を経営しているだけあって高価な銃を使っている。タカと初めて会うシーンではクレー射撃のショットガンを使っていた。
その部下である傭兵の黄 凱(ファン・カイ)は、ミニウージの2挺持ち、ハンドガンは、サイレンサー(サプレッサー)を付けた大型オートマチック(SIG SAURE?HK USP?)などが使われていたように見えた。傭兵だけあって実用重視といった武器セレクトだったといえる。
全体的に、銃の種類を見せつけるようなクローズアップだったり、廃莢シーンをくどく描写するなどはなく、あくまでも登場人物の取り扱う武器、道具という描かれ方だ。しかし、その銃のセレクトや描写は、キャラクターの個性を反映したものだったと思う。映像作品では、この辺りのバランス加減が難しいのだが、今回は非常に良かったと思う。
エンドクレジットを見て感慨深かったのは、第1作から制作を続けてきたセントラル・アーツがクレジットされていたことだろうか。「in memory of Mitsuru Kurosawa(黒澤満に捧ぐ)」と、長年プロデューサーとして、セントラル・アーツ代表取締役として、あぶない刑事に携わってきた氏を悼んだ。
監督は、今回が映画監督第1作目となる原 廣利氏。父親の原 隆仁氏もあぶない刑事のドラマ監督を務めており、38年の歴史ある作品の監督ということで、非常にプレッシャーも高かったのではないだろうか?
しかし、脚本に初回シリーズから参加している大川俊道氏、岡芳郎氏が参加、ずっと携わってきたスタッフと、新進気鋭のスタッフの融合で、テンポも良く従来のファンも納得できる素晴らしい作品に仕上がったと思う。
過去作へのリスペクトと、従来のファンを大事にしつつも今の視聴者を満足させるという、困難な制作をやり遂げた制作スタッフ、出演者たちに最大限の賛辞を送りたいと思った。