特別企画

ダイソーTCG「蟲神器」×富岡製糸場コラボイベント「蚕蟲祭」レポート

限定プロモカードの配布や顔出しパネルなど充実したイベントに

【蚕蟲祭】
期間:7月26日~8月17日
会場:富岡製糸場、旧韮塚製糸場前広場(顔出しパネル)
参加費:無料(富岡製糸場の見学料が別途必要)

 2025年7月26日~8月17日まで、群馬県富岡市の富岡製糸場とそのすぐ近くにある旧韮塚製糸場前広場で、ダイソーTCG「蟲神器」と富岡製糸場のコラボイベント「蚕蟲祭」(さんちゅうさい)が開催されている。蚕蟲祭の参加費は無料だが、富岡製糸場の見学料(大人1,000円、大学生・高校生が250円、中学生・小学生が100円)が別途必要となる。

 蚕蟲祭は、蟲神器にカイコ関連のカードが何枚か登場していることが縁となって、世界遺産である富岡製糸場の全面協力のもとで、開催が決定したイベントだ。蚕蟲祭は、カイコにちなんだイベント限定カードの配布や蟲神器の体験会および大会、昆虫・カイコに関するお菓子などの販売、カイコにちなんだ顔出しパネルの設置など盛りだくさんの内容であり、蟲神器プレイヤーから注目が集まっているイベントだ。筆者も7月27日に蚕蟲祭に参加してきたので、その様子をレポートする。

世界遺産の富岡製糸場でなぜ「蟲神器」のイベントが開催されたのか

 蟲神器は、100円ショップ大手のDAISO(ダイソー)が2022年11月7日に発売を開始したオリジナルTCGで、スターターセットもブースターパックも税込み110円で購入でき、気軽に始められるTCGとして多くのプレイヤーを獲得している。今年の夏は、コラボイベントがさまざまな場所で開催される予定であり、ヴィレッジヴァンガードとのコラボイベントも決定している。

 蟲神器は、他のTCGに比べると新弾の登場間隔が長いため、環境の変化が緩やかでじっくり遊べることも魅力だ。7月末に約半年ぶりとなる第6弾が発売されたばかりで、これを機会に新しく蟲神器を始めるというプレイヤーも多そうだ。

 蟲神器はその名の通り、虫をテーマとしたTCGであり、実在する昆虫が多数登場する。シルクの原料となる生糸を生み出すカイコ関連のカードとして、第1弾で緑1コストのNカード「カイコ(幼虫)」と1コストのR強化カード「蚕玉の加護」が登場しているほか、第4弾では無色4コストのLRカード「カイコ」が登場している。特に「カイコ」は、<くちなし>(これが場にいるときに、自分と相手の虫は<くちなし>以外の<>の技を失う)という強力な技を持っており、「カイコ」をキーカードとした「カイコ」コントロールなどのデッキで活躍している。

 そのカイコ繋がりで、世界遺産として認定されている群馬県富岡市の富岡製糸場とのコラボが実現したのだ。富岡製糸場は、1872年(明治5年)に操業を開始した日本初の本格的な器械製糸工場であり、当時日本の主要な輸出品であった生糸が粗製濫造の横行によって国際的な評価を落としていたことに対処するために計画された官営模範工場でもある。富岡製糸場は、フランスの技術を導入して完成した工場であり、当時世界最大級の規模を誇っていた。

 富岡製糸場は、官営から民営になり、経営母体も何度か変わったが、1987年に操業を停止するまで、ずっと製糸工場として機能していた。開業当初の木骨レンガ造の建造物群が良好な状態で現在まで残っているため、多くの建物が重要文化財や国宝として指定されている。さらに、2014年には日本の近代化遺産として初の世界遺産に登録されたのだ。

【蟲神器に登場するカイコ関連カード】
蟲神器には第5弾までの時点で3枚のカイコ関連カードが登場している。左から第1弾の緑1コストNカード「カイコ(幼虫)」、第1弾の1コストR強化カード「蚕玉の加護」、第4弾の無色4コストLRカード「カイコ」

限定プロモカードがもらえ、交流スペースが常設されている西置繭所多目的ホール

 蚕蟲祭は、富岡製糸場の西置繭所多目的ホールと富岡製糸場のすぐ近くにある旧韮塚製糸場前広場で開催されている。まずは、メイン会場となる西置繭所多目的ホールの様子を紹介する。

 富岡製糸場全体については最後にまとめて紹介するが、富岡製糸場には東置繭所と西置繭所という細長い大きな建物がある。正面入口入ってすぐ目の前に見える建物が東置繭所であり、蚕蟲祭の会場である西置繭所は、入口から一番奥にある建物となる。西置繭所に入って、右側に進むと多目的ホールがあり、そこが蚕蟲祭のメイン会場となる。多目的ホールは普段は無料で利用できる休憩コーナーになっており、蚕蟲祭期間中も、手前側半分は休憩コーナーとして利用できる。

 多目的ホールの入口で、富岡製糸場の見学チケットを見せると、貴重なイベント限定プロモカード2種がもらえる。限定プロモカードと引き換えにチケットにパンチで穴が空けられるので、もらえるのは1人1回となる。

 このイベント限定プロモカードは、第1弾で登場した「カイコ(幼虫)」と「蚕玉の加護」の2枚だが、どちらもイラストが新規描き下ろしになっているほか、キラ加工がされている。いわゆるパラレル仕様のカードだ。蚕蟲祭でしか配布されないカードだが、蟲神器をプレイしていない人でも、入場チケットを見せれば誰でももらえるので、これをきっかけに蟲神器を始めるのもおすすめだ。「蚕玉の加護」の限定プロモカードには、背景に富岡製糸場の西置繭所が書かれており、良い記念となるだろう。なお、イベント限定プロモカードはかなりたくさん用意されているようだが、無くなり次第配布は終了となる。

 また、7月26日と7月27日に開催された蟲神器カード体験会および8月16日と8月17日に開催予定の蟲神器カード大会の参加者には、追加でプロモカード「オオクワガタ」が配布される。これは第1弾で登場した青5コストSRカードのパラレル版(絵違い)で、今年の夏休みに各地で行なわれる昆虫館などとのコラボイベントで配布されるものだ。こちらも普段の公認大会では配布されないので、貴重なプロモカードである。

 蟲神器カード体験会は、1日8回、定員24名で開催されたが、毎回ほぼ満席となるほどの盛況であった。参加者の大半は子どもであったが、初めて蟲神器で遊ぶという人も多く、スタッフ(蟲神器公認サポーター)が丁寧にティーチングを行なっていた。体験会の参加者には、体験で使ったスターターデッキのほか参加賞として好きなパックが1パック配布されていた。

 手前側には、カイコや昆虫にちなんだお菓子の販売コーナーがあり、カイコの幼虫、繭、成虫のそれぞれの形態を模したチョコレート「かいこの一生」やカイコのふん、カイコのさなぎを使ったサブレ、絹粉末を使用したシルクメレンゲクッキーなどが販売されていた。

 なお、8月1日~8月3日の3日間のみ、他のイベントとの兼ね合いで、多目的ホールでの交流/休憩スペース及び飲食の販売は休止となるので注意してほしい。ただし、限定プロモカードの配布はその間も継続され、西置繭所入口で行なわれる予定になっている。また、8月16日と8月17日に開催される蟲神器カード大会は、すでに申し込みが終了している。

【メイン会場となる西置繭所多目的ホールの様子】
この長細い建物が国宝の西置繭所である
西置繭所の入口
西置繭所を入って右に進むと蚕蟲祭の案内がある
西置繭所1Fの右奥が多目的ホールになっている
テープで囲われている奥が、蟲神器の体験会や大会のための交流スペースであり、手前側は誰でも無料で利用できる休憩コーナーになっている。休憩コーナーにも蟲神器プレイヤーがたくさんいた
富岡製糸場の見学チケットを見せると、イベント限定プロモカードが2枚もらえる
イベント限定プロモカード。「カイコ(幼虫)」と「蚕玉の加護」。どちらもイラストが新規描き下ろしになっているほか、キラ加工がされている
体験会または大会に参加するともらえる限定プロモカード「オオクワガタ」。こちらのイラストも新規描き下ろしである
左がイベント限定プロモカードの「カイコ(幼虫)」。右が通常の「カイコ(幼虫)」。限定プロモカードはイラストが違うだけでなく、キラ加工もされており、美しい
左がイベント限定プロモカードの「蚕玉の加護」。右が通常の「蚕玉の加護」。限定プロモカードはイラストが違うだけでなく、キラ加工もされている。背景に富岡製糸場の西置繭所が描かれているのもポイントだ
左がイベント限定プロモカードの「オオクワガタ」。右が通常の「蚕玉の加護」。どちらもキラ加工はされているが、イラストが異なる
体験会および大会の受付コーナー。体験会は1日8回開催され、1回あたりの定員は24名だ
蟲神器のプレイヤーが制作したドット絵キャラのアクセサリー
体験会の参加者はスターター1セットがもらえるほか、参加賞として好きな蟲神器のパックやお菓子などももらえるようになっていた
このテープの奥で、蟲神器の体験会が行なわれていた
体験会には、初めて蟲神器をプレイする子どもも多く参加しており、蟲神器公認サポーターが丁寧にティーチングしていた
体験会は毎回定員一杯の人が参加し、盛況であった
一部のテーブルにはカードを置く場所が書かれたプレイマットが敷かれていた
カイコや昆虫にちなんだお菓子の販売コーナーもあった
カイコの幼虫、繭、成虫のそれぞれの形態を模したチョコレート「かいこの一生」
カイコのふんやカイコのさなぎを使ったサブレや、絹粉末を使用したシルクメレンゲクッキーなども販売されていた

旧韮塚製糸場前広場には蟲神器の顔出しパネルが設置

 さらに、富岡製糸場のすぐ近くにある旧韮塚製糸場の入り口前の広場には、カイコにちなんだ3種類の蟲神器カードの顔出しパネルが設置されている。是非、顔出しで記念撮影してみてはいかがだろうか。なお、上州富岡駅から歩いて富岡製糸場に向かうと、途中で旧韮塚製糸場の前を通る。

 旧韮塚製糸場は、韮塚直次郎氏が明治9年10月に創立し、明治12年頃まで操業していた民間の器械製糸場である。当時の貴重な資料や物品が展示されており、無料で見学できるので、富岡製糸場に行く前にこちらも訪れることをおすすめする。また、旧韮塚製糸場の中に富岡製糸場の見学チケットの自動販売機があるので、見学チケットを持っていない方はこちらで買っておくと、スムーズに富岡製糸場に入場できる。

【旧韮塚製糸場の様子】
旧韮塚製糸場。上州富岡駅から富岡製糸場に向かう途中にある
旧韮塚製糸場の入口。無料で見学できる
広場に蟲神器カードの顔出しパネル3種類が置かれている
旧韮塚製糸場の説明パネル。旧韮塚製糸場は富岡製糸場を模範として建てられた。当時、富岡製糸場を模範として20以上製糸場が建造されたが、現存しているものは旧韮塚製糸場のみである
旧韮塚製糸場で使われていたレンガやしっくい
旧韮塚製糸場で使われていた皿など
旧韮塚製糸場で使われていた梁
旧韮塚製糸場で使われていた床板など
旧韮塚製糸場で使われていた瓦や釘など
富岡製糸場の見学チケットの自販機がある

富岡製糸場には見どころがたくさん!世界遺産は伊達じゃない

 せっかく世界遺産の富岡製糸場に来たので、製糸場の見どころを写真を中心に紹介する。筆者は、歴史に疎く富岡製糸場も名前くらいしか知らなかったが、見どころがたくさんあり、予想以上に楽しめた。

 まず、富岡製糸場への行き方だが、駐車場は用意されていないため、車で行く場合は、富岡製糸場までは20分ほど歩くが、上州富岡駅近くにある無料駐車場か、富岡製糸場まで徒歩10分程度の有料駐車場を利用することになる。筆者は、最寄り駅の上州富岡駅から歩いて富岡製糸場まで行った。道も分かりやすく徒歩15分程度で到着するので、駅から歩いて行くのもいいだろう。

 なお、上州富岡駅は上信電鉄の駅で、JR高崎駅から約40分かかる。上信電鉄は、Suicaなどが使えないので注意が必要だ。高崎駅から上州富岡駅に行って、富岡製糸場に行く場合は、入場チケットがセットになった富岡製糸場見学往復割引乗車券を購入するのがおすすめだ。富岡製糸場見学往復割引乗車券は、高崎駅~上州富岡駅間1往復電車賃(1,620円)+富岡製糸場見学料(1,000円)がセットになっており、通常2,620円のところ、2,200円(小人は840円)で発売されている。富岡製糸場見学往復割引乗車券は、高崎駅の券売機で購入できるが、券売機で購入したものは通常の乗車券と似た券売機で印刷されたものになる。

 実は、高崎駅の窓口で購入する際に、写真付きの記念乗車券が欲しいというと、立派な記念乗車券がもらえるのだ。記念乗車券(券売機で買ったものも)は、見学記念として乗車後にそのまま持って帰ることができるので、どうせなら写真付きの記念乗車券をゲットすることをおすすめする。券売機で購入したものでも、窓口に行けば交換してもらえる。ただし、この写真付きの記念乗車券は、以前作ったもので現在の在庫がなくなったらそれで終わりだそうだ。

 富岡製糸場の見学料は、大人1,000円、高校・大学生は250円、小・中学生は150円と、学生に優しい設定になっている。また、大人200円、中学生以下100円で、公式ガイドによるガイドツアーも開催されている。ガイドツアーは30分程度で終わるとのことで、富岡製糸場のことをきちんと知りたい人は、ガイドツアーに参加することをおすすめする。また、スマホアプリによる無料の音声ガイドも提供されているので、自分のペースで回りたいという人にはこちらを利用するのもよいだろう。

 富岡製糸場の主な建物は、東置繭所と西置繭所、繰糸所の3つであり、これらはすべて国宝に指定されている。順路としては、東置繭所→西置繭所→繰糸所の順になっているが、その他にも、設立指導者として雇われたフランス人、ポール・ブリュナが暮らしていた首長館や女性従業員用の寄宿舎なども見学できる(これらは建物の中には入れないが)。筆者は、初めて富岡製糸場を訪れたのだが、個人的に一番響いたのが繰糸所である。繭をほぐしてより合わせ生糸にする繰糸器がずらりと並んでおり、当時世界最大級を誇ったという富岡製糸場の偉容を実感することができる。機械油の臭いがかすかに漂っていることも、往時を彷彿させる。

 東置繭所の展示コーナーでは、富岡製糸場の案内ムービーが再生されている。このムービーは、ポール・ブリュナが当時を振り返って案内する形式になっており、富岡製糸場がいかに素晴らしい製糸場であり、どうやって建設できたということが、わかりやすく解説されている。約20分間のムービーだが、是非最初から通して見ていただきたい。

 西置繭所の左側にあるギャラリーの内容も充実していた。富岡製糸場は、大抵の場所で撮影が可能だが、このギャラリーの中は撮影が禁じられている。生糸の生産に使われた当時の貴重な装置などが展示されており、見応えがあった。西置繭所の2階には当時使われていた天井や瓦、床材などが展示されているほか、外廊下に出ることもできる。

 当時使われていたブリュナエンジンの復元機が動作している様子も興味深かった。また、社宅の一部が暮らしのギャラリーやおかいこ生態展示のために開放されており、昭和30年~40年の人々の暮らしぶりや、カイコの生態展示を見ることもできる。ガイドツアーに参加しなくても、一通り場内を回るには、1時間では足りない。ガイドツアーに参加して、じっくり展示を見るには2時間くらい必要だ。

 途中で疲れたら、西置繭所にある多目的ホールの休憩コーナーで休めばよい。また、東置繭所には、繭などを使ったお土産品が売られている売店と、絹織物が展示販売されているシルクギャラリーがあるので、お土産や記念品を買いたいという人も満足できるだろう。

【富岡製糸場の様子】
上信鉄道の高崎駅。この電車に乗って約40分で上州富岡駅に到着する
これが写真付きの記念乗車券。券売機では買えないが、窓口に言えばこちらを出してくれる。420円安くなっており、見学チケットを買う手間も省けるのでおすすめ
上州富岡駅周辺案内図。大通りをまっすぐすすんで、右に一回曲がるだけで富岡製糸場に着く
富岡製糸場の入口
富岡製糸場の見学料。中で見学チケットを買うこともできる
見学チケットの販売所
大人200円、中学生以下100円で、ガイドツアーが開催されている
また、スマホアプリによる無料の音声ガイドも提供されている。声優が解説してくれるのでこちらもおすすめ
場内マップ。主な建物は、東置繭所と西置繭所、繰糸所の3つであり、すべて国宝に指定されている
入口近くにある大きな記念碑は、明治6年6月24日に明治天皇の皇太后及び皇后が富岡製糸場に行啓されたのだが、その70周年記念として建設されたものだ
順路の数字に従って回るのがいいだろう。最初は入口に近い大きな建物である東置繭所からだ
こちらが東置繭所の建物。非常に細長い建物である
東置繭所の入口に置かれている説明パネル。富岡製糸場のあらましがわかる
東置繭所の中には、富岡製糸場の歴史や設立に尽力された人々の逸話などの説明パネルがある
富岡製糸場の模型
東置繭所の中には、お土産品を売っている売店がある
本物の繭も販売されている。黄色い繭は色を付けたものではなく、最初から黄色い糸を出すように品種改良されたカイコによるものだ
蚕蟲祭のメイン会場がある西置繭所
西置繭所の入口を入って左側は、ギャラリーになっており、貴重な品物が展示されており、製糸工程もよくわかる。なお、ギャラリー内部の写真撮影は禁じられている
繭が入った袋の運搬に使われていたエレベーター
西置繭所の見どころを解説したパネル。ガラスのハウスインハウス工法により、中にいながら国宝の建物を鑑賞できることが特徴
富岡製糸場の歴史年表。横幅は16mにも及ぶ
ハウスインハウス工法で、国宝建物の西置繭所の中に建物を作っており、国宝建物を劣化させずに鑑賞できる
2階にはさまざまな展示が行なわれている。これは西置繭所で使われていた瓦
西置繭所で使われていた天井
西置繭所の構造模型
西置繭所で使われていた釘
西置繭所で使われていた床板
西置繭所での貯繭の様子を再現したもの
2階から外廊下に出ることができる
西置繭所の2階外廊下から、水を溜めるための大きな鉄水溜が見える
この煙突は、4代目となる
西置繭所の手前にあるガラス張りの建物は、ブリュナエンジン(復元機)動態展示施設である
富岡製糸場の設立指導者であるフランス人のポール・ブリュナによって導入されたエンジン。彼の名をとってブリュナエンジンと呼ばれている。展示されているのは、4年間の歳月をかけて平成28年度に復元されたものであり、実際に動作している
ブリュナエンジン(復元機)の解説パネル
ブリュナエンジン(復元機)の1/5縮尺模型
昔の建物を活かした自動販売機スペース
ゆるキャラ「シルキー」と遭遇
富岡市のイメージキャラクター「お富ちゃん」
オレンジ色の服を着ている人がガイドで、30分程度で製糸場内を案内してくれる
繭扱場と乾燥場は、平成26年2月の大雪で半壊してしまい、現在復旧工事が行なわれている
民営化後に建てられた役職者用社宅
ここに植えられているのが、カイコが食べる桑である
社宅の一部を暮らしのギャラリーやおかいこ生態展示のために開放していた
暮らしのギャラリーの展示。昭和30年代~40年代の富岡製糸場の社宅の暮らしぶりを伝える展示である
当時使われていた鏡台やタンス
台所の様子
テレビや火鉢が置かれている居間
足踏み式のミシン
こちらはおかいこ生態展示の入口
カイコの生態展示についての説明
カイコの5齢幼虫。糸を吐き出している
5齢になって8日目だ
近くにビデオカメラが設置されている
ビデオカメラで撮影した映像が映し出されている
カイコを育てるためのインキュベーター。温度をきちんと管理することで、1年を通して飼育できる
カイコの一生。幼虫は4回脱皮して、5齢のときに繭を作る
フランス人用宿舎として建てられた女工館
白い木造建物は高圧変電所である
繰糸所の入口
トラス構造を採用することで、中央の柱をなくしている
繰糸器からは機械油の臭いがわずかに感じられる
フランス式繰糸器。10:00~11:30までと14:00~15:30まで実演が行なわれているそうだが、残念ながらタイミングが合わなかった
操業当時の雰囲気が色濃く残っており、一見の価値がある
生糸を整え、梱包するために使われていた糸整理室。床に梱包した箱を運ぶローラーが設置されている
民営の片倉経営期の昭和15年に建てられた診療所
富岡製糸場の設立指導者として雇われたポール・ブリュナのために建てられた首長館。ブリュナはここで家族とともに約3年近く暮らした
戦前の片倉経営期に立てられた女性従業員用の寄宿舎
こちらは片倉経営期の前の原経営期に建てられた女性従業員用の寄宿舎

日本の近代ものづくりの原点が分かる貴重な文化遺産であり、理系の人にもおすすめ

 富岡製糸場は、世界遺産に登録されただけのことはあり、いろんな学びを得ることができた。もちろん、日本の近代史を語る上で欠かせない重要な建造物だということはわかるが、日本の近代的なものづくりの原点を知ることができるという意味で、むしろ理系というか工学系の人、エンジニアにも深く刺さる史跡だという印象を受けた。今回は時間の関係で行けなかったが、上州富岡駅の駅前には「セカイト」という愛称で知られる群馬県立世界遺産センターがある。セカイトでは、蚕蟲祭の期間中、カイコの幼虫や成虫と触れ合い、一緒に写真撮影ができるコーナーが用意されている。こちらは入場無料なので、富岡製糸場の帰りにでも寄って行かれるといいだろう。

 蟲神器をすでにプレイされている方はもちろん、蟲神器をまだプレイしていないが、興味を持っている方は、蚕蟲祭の期間中に富岡製糸場を訪れてみることをおすすめする。

【富岡製糸場】
繰糸所の内部。こちらも細長い建物であり、左右に当時使われていた繰糸器が並んでいる