特別企画
テクノロジーと「つくる」ことのお祭り「Maker Faire Tokyo 2025」レポート
新たに「After Hours Maker」ゾーンが登場。親子連れの入場者も増加
2025年10月7日 14:26
- 【Maker Faire Tokyo 2025】
- 期間:10月4日~10月5日
- 会場:東京ビッグサイト 西4ホール
2025年10月4日と10月5日、東京ビッグサイト 西4ホールで「Maker Faire Tokyo 2025」が開催された。Maker Faireは、世界各国で開催されているメイカーと呼ばれる個人でものづくりの活動を行なっている人たちの祭典である。東京では2012年から開催されているが、今回から主催がオライリー・ジャパンからインプレスに変更された。数多くの展示やワークショップが行なわれ、多数の入場者で賑わっていた。Maker Faire Tokyo 2025に出展されていたものの中でも、特に筆者が面白いと思った物を中心にレポートしたい。
巨大ロボット「勇者ファイバリオン」を自由に操縦できる勇者技術研究所の展示が人気
MFT2025の多くの展示の中でも、特に注目を集めていたのが、勇者技術研究所による巨大ロボット「勇者ファイバリオン」のデモだ。勇者技術研究所は、毎年Maker Faire Tokyoに出展しているが、今回の展示の目玉は、リーダー・フォロワー方式による勇者ファイバリオンの操縦ができることだ。勇者ファイバリオンの腕と同じ関節構造の模型の腕(リーダー)を手で動かすことで、その動きが勇者ファイバリオン(フォロワー)で再現される仕組みであり、直感的な操作ができることが特徴だ。
子どもでも自由に操縦できるということで、人気を集めていた。勇者ファイバリオンは、人が乗れる乗り物からロボットに変形するという、アニメの世界に出てくるロボットの実現を目指して開発が進められており、アクチュエーターや制御システムなどすべて勇者技術研究所がオリジナルで開発しているものだ。夢の実現に向けて一歩一歩確実に進んでおり、今後に期待したい。
世界初!公道走行可能なこたつ型モビリティ
高橋クリスのFA_RADIO:工場自動化ポッドキャストが展示していた「公道走行可能なこたつ型モビリティ」も面白かった。その名前の通り、特定小型原動機付自転車としてのナンバーを取得しているため、公道走行が可能なことがポイントだ。製作者いわく、寒い冬にこたつから出ずに学校まで、日本の法制度に則って移動するために作ったという。
車検が必要な車種のナンバー取得はかなり難易度が高いが、このこたつ型モビリティが取得した特定小型原動機付自転車というカテゴリーはキックボードなどを想定した規格だ。長さ1900mm以下、幅600mm以下、出力600W以下、最高速度時速20km以下といった制限があるものの、車検が不要であり、ナンバー習得も簡単だという。今回これを製作した理由の一つに、カテゴリーによってはナンバー取得が簡単だということをメイカーに知らせたいということがあるという。他のメイカーにも、積極的にナンバーを取得し、公道を走れるモビリティを作ることを勧めたいとのことだ。
タミヤは11月発売の新キットを展示、マクニカは企業向けAIワークショップをデモ、M5Stackは来年発売予定の新製品を展示
MFT2025では、個人のメーカーも企業スポンサーも物品の販売をすることは許可されている。企業向けのスポンサーゾーンでは、日本マイクロソフトやマハ発動機などの大手企業から、タミヤやマブチモーター、タカハ機工、スイッチサイエンス、M5Stackなどメイカーにお馴染みの企業までさまざまな企業が出展していたが、ここではその中から、タミヤとマクニカ、M5Stackを紹介する。
工作キットやミニ四駆などでお馴染みのタミヤは、各種工作キットのデモと販売を行なっていた。ボクシングファイターやアクリルロボットなどの展示とデモが行なわれていたほか、11月発売予定の新製品「ローリングロボット工作セット」も展示されていた。ローリングロボット工作セットは、球状のロボットを作ることができるキットで、付属の赤外線リモコンで前進後退や左右へのカーブ、その場での超信地旋回も可能だ。外観もスタイリッシュで人気を集めていた。価格は4,500円(税抜)とのことだ。
タミヤの隣にあったマクニカブースでは、タミヤのロボットキットをベースにマイコンボードやカメラを載せたAIワークショップ向けロボットのデモが行なわれていた。AIワークショップは企業の非エンジニアや経営層などを対象として行っているそうで、カメラの画像を学習させることで、未知のコースでもコースから外れないように進むロボットを作ることができる。
中国のM5Stackは、さまざまなIoT向けモジュールやパーツを開発・製造しており、日本のメイカーにもM5Stack製品の愛用者が多い。M5Stackも日本のファンを大切にしており、毎年Maker Faire Tokyoなどに出展している。今回は、来年発売予定の新製品や開発中の製品などを中心に展示を行なっていた。来年発売予定のCardputer 630Cは、現行のCardputerの上位となる製品で、SoCがAX630になり性能が向上したほか、液晶サイズも1.14インチから1.9インチへと大きくなっている。ピラミッド型のEchoPYRAMIDはスマートスピーカーとしての利用を意識した製品だが、発売するかどうかは反響次第だそうだ。
子どもに大人気の「Nerdy Derby」や分解ワークショップなど、ワークショップも充実
会場の右の壁際には、当日申し込みで参加できるワークショップコーナーがある。一番大きなスペースを占めているのが「Nerdy Derby」(ナーディーダービー)だ。Nerdy Derbyは、Maker Faire名物のミニチュアカーレース大会であり、自分で一から作った車でレースを行なうものだ。
1回の定員は27名で、参加者はまず車のベースとなるワッシャーやストローなどの基本パーツを集めて車体を組み立て、モールや針金、色紙などを使って自由に車体を飾る。車が完成して、予選開始時間になったら3台ずつ長いコースでのレースを行ない、各予選で1位になった車が次の準決勝に進み、準決勝で1位になった車が最後の決勝戦に進める。
シンプルなレースだが、コースから落ちず、できるだけ速くゴールまで到達するには、車体のバランスやタイヤの間隔などをしっかり調整する必要がある。組み立て開始からレース終了までは1時間しかないので、なかなかシビアだが、参加者の子どもたちはみんな目を輝かせて取り組んでいた。
その隣で行なわれていた分解ワークショップも、人気のワークショップだ。PCやプリンターなどを自由に分解し、できるだけバラバラにする。分解されたパーツはジャンルごとに整理し、欲しいパーツは好きに持って帰っていいという内容で、力がいる場所などはスタッフがサポートしてくれる。
また、昨年に引き続きCBBTによるミニミニコンベア作りのワークショップも開催されており、こちらもあっという間に定員となっていた。長さ30cmの電動コンベアを作るというもので、参加費は500円と手頃だ。各自が作ったミニミニコンベアをつなぎ合わせて、遠くまでものを運ぶことにもチャレンジしていた。
マクニカは毎年、ハンダづけ体験コーナーを開催している。簡単なハンダづけでMakeyくんのLEDバッジを作ることができるというもので、こちらも人気があり、小学校低学年の参加者も多かった。
ここ数年、親子での来場者が増えており、筆者も非常にいい傾向だと思っている。こうしたワークショップは子どもにとても人気があるので、ワークショップ目当てなら朝一にくることをお勧めする。
新設された「After Hours Maker」ゾーンも活況
今回のMFT2025から、「After Hours Maker」ゾーンが新設された。これは、企業内サークルとしてメイカー活動を行なっている人たちが対象のゾーンであり、本業とは関係なく勤務時間終了後などに集まってものづくりをしている人が増えてきているため、そういう人を応援したいという思いを込めて新設されたという。昨年は、魔改造の夜コラボの展示も人気だったが、魔改造の夜への出演がきっかけとなって、ものづくりサークルを立ち上げたというグループも多いようだ。
つくる~む海老名のブースでは、カラーコーンを活用したヤドカリロボットやメイカータイプを診断してくれる装置、常に矢印が同じ方向を指す指南車などさまざまな作品を展示していた。また、D-The-Starは、マイクロマウスハーフサイズやロボトレース関連の展示を行なっていた。マイクロマウスハーフサイズは、迷路も設置しており、実際にマイクロマウスハーフサイズが走行する様子をデモしており、探索走行終了後の本気走行の速度にびっくりしている来場者も多かった。Maker's Vector-0も、ダンボールを素材に作ったエアクラフトや3Dプリンターで木目まで再現した将棋の駒など、ユニークな作品を展示していた。
ユニークな作品が他にもたくさん展示されていた
MFT2025の出展者数は200組を大きく超えており、とてもすべてを紹介することはできないが、筆者が興味をもった展示を写真とキャプションで紹介する。
インプレスグループ各社が出展
MFT2025は、主催がインプレスに変わってからの初の開催となるが、会場でもインプレスグループが一つの島となり、グループ各社が出展をしていた。そちらの様子も写真とキャプションで紹介する。
MFT2025は、主催者が変わったとはいえ、基本的には従来の流れを踏襲しており、安心して参加することができた。After Hours Makerゾーンの新設やインプレスグループ全体での出展など、変化している部分もあるが、インプレスらしさをもっと出してほしいと思っている。来年以降のMaker Faireにも期待したい。












































































































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