特別企画
【ホビーショップ訪問】「まちキャラ松戸店」レポート
ガンプラ、トレカなど幅広いニーズに独特のスタイルで応える
2026年5月22日 00:00
- 【まちキャラ松戸店】
- 場所:千葉県松戸市松戸1225-1 良文堂ビル 5階
ホビーショップ「まちキャラ」グループを運営するマッチングワールドは、3月7日に千葉県・松戸市に新店舗「まちキャラ松戸店」をオープンした。松戸市の人口は千葉市、船橋市に次いで県内3位で、隣が足立区で東京からも近い大きな街である。
「まちキャラ」は、秋葉原店以降は、埼玉のコクーンシティ、東京都昭島市のモリタウンなどショッピングモールに出店していたが、今回は松戸市駅前の老舗の本屋・良文堂のテナントというこれまでの展開とは少し毛色が異なる場所で展開する。小さなエレベーターか、書店の階段を上って店舗に入るという導線もショッピングモールとは大きく異なる。
「まちキャラ松戸店」は大きなガラスケースにトレーディングカードを展示販売、対戦コーナー、そしてガンプラを中心としたホビー商品を販売という、これまでのグループで蓄積したノウハウで店舗を展開している。東京近郊の街で展開する「まちキャラ松戸店」はどんな店舗か、その特色を店長である渡邉嶺樹氏に話を聞いた。
明るさを意識した店舗で、あえて展開タイトルを絞ったトレーディングカード
「まちキャラ松戸店」は「良文堂」という書店の5階にオープンした。良文堂は松戸で老舗の本屋であり、その本屋に“新しい特色”を加えるべく「まちキャラ」を運営するマッチングワールドに良文堂側から声がけがあったという。
声がけのきっかけは松戸の近くの千葉県・柏での「まちキャラ柏モディ店」の成功が大きかったとのこと。こちらは柏のショッピングセンター「柏モディ」で2025年9月にオープン。良文堂はより多くの人を店舗に呼びたいという想いの元、マッチングワールドと話を進めていった。
「まちキャラ」は埼玉のコクーンシティや、千葉のモディ柏など、これまではショッピングセンターに店舗を構えるという戦略をとっていた。良文堂という書店の“テナント”としての出店は初チャレンジになる。蓋を開けてみればオープン時に800人もの行列ができ、その後も多くの人が訪れている盛況となっている。
「まちキャラ」は「プラモデル」と「トレーディングカードゲーム」に店舗のリソースを集中、ガラスケースに陳列したトレーディングカードの販売と、豊富なプラモデル在庫でホビーショップとして店舗運営を得意としている。スタートである秋葉原店は閉業したが、埼玉や千葉のショッピングセンターで明るさを意識したレイアウト、店舗で気軽に対戦ができる対戦コーナーを設けるという店舗運営ノウハウを確立積極的に新店舗を立ち上げている。
「まちキャラ」では「トレーディングカードの中古売買」、「店舗での対戦が気軽に楽しめる」という点が大きな特色となる。もちろん「まちキャラ松戸店」でも同様だ。32人が座れる16の対戦台が用意されており、会場で対戦が楽しめる。
まずはトレーディングカードコーナーから見ていこう。ガラスケースに多くの中古カードを展示しているのは他のトレーディングカード取扱店でも見慣れた光景だが、「まちキャラ松戸店」ではレイアウトに余裕を持たせ、「ぎっしり商品が並んでいる」という雰囲気ではなく、明るく余裕のある空間を意識しているとのこと。
「まちキャラ松戸店」での一番人気は「ポケモンカードゲーム」。ガラスケース3つ分、コーナーの3分の1を占めるスペースで中古カードを展示販売している。「ワンピースカードゲーム」や、「デュエルマスターズ」、「hololive OFFICIAL CARD GAME」も人気だ。
多くのタイトルを扱うより、取り扱うタイトルはあえて絞って集中させているとのこと。松戸店で力を入れているタイトルの1つが「Xross Stars(クロススターズ)」。VTuberやストリーマー、eスポーツ選手などがカードとなって登場するトレーディングカードゲームだ。
トレーディングカードの販売は様々な中古カードをガラスケースで展示販売、特に人気が高いカードは特別なコーナーでまとめている。新品に関してはブリスターパックで販売、こちらは面積として比べれば小さいが、品揃えや展示などはわかりやすく、購入しやすくしているとのことだ。
ガラスケースに中古のカードを陳列、ユーザーが欲しいカードを探しやすく、どことなくプレミア感も感じさせるというこの陳列方法は「まちキャラ」だけでなく、トレーディングカードの店舗では一般的な配置だという。レアカード専用コーナーなどもあり、宝探しのようなワクワク感がある。
加えて30円ほどの安価なカード販売コーナーもある。こちらはありふれたいわゆる「コモン」のカードを販売している。これらはデッキ構築に必要なカードで、自分の戦略や、レアカードを活かすための土台となるカードなどをここでそろえデッキを整える。こういったコーナーを巡るだけでも自分のデッキが組め、他のプレーヤーがいればすぐに対戦も楽しめるのだ。
ガンプラが大人気、ホビーショップとしてコンパクトだが幅広い品揃え
「まちキャラ」のもう1つの大きな武器が「プラモデル」だ。特にガンプラは人気商材。「まちキャラ松戸店」は3月7日よりスタートしたが、その時の目玉が「ガンプラ販売」だ。新規開店を記念し、多くのガンプラを販売することを告知。店舗入店を抽選制とした。その抽選に予想の数倍、800人もの希望者が訪れ、希望者の列が良文堂のビルから松戸駅近くまで伸びる長大な列となったという。店舗では300人位を予想していたのだが、渡邉店長は念のため800人分の抽選券を用意していた。この抽選列を見て参加しなかった人も多かったようで、実際にオープン時に訪れた人はもっと多かったとのこと。改めて現在のガンプラユーザーの熱意を実感させられる。
取材時でのガンプラの在庫は映画が公開された「閃光のハサウェイ」や、アニメが放映された「機動戦士ガンダム 水星の魔女」など、BANDAI SPIRITSが積極的に展開している新商品が中心だった。人気の商品はどんどん売れてしまうため時期によってはコーナーに隙間ができてしまう。ガンプラの熱はまだまだ冷めないようだ。
他にもタミヤ、アオシマ、ハセガワなどのスケールモデルももちろん販売。美少女プラモデルも販売している。スケールモデルはミリタリーといった本格的なものだけでなく、初心者も作りやすいアオシマの「楽プラ」シリーズや、変わり種と言える童友社の「妖怪シリーズ」なども販売している。
タミヤやウェーブのツールなどプラモデル関連商品も販売している。ツールがあることでより快適に組立ができる。品揃えとしてはニッパーや接着剤など基本的なもので、塗料をずらりと並べるという規模ではないが、ガンダムマーカー、スミ入れ用の塗料も置いており、”素組み”ユーザーが欲しいアイテムがそろっている。高額ニッパーであるゴッドハンドの「アルティメットニッパー」も置かれている。プラモデルに関しては、グループで店舗に配置するためのスタッフがいて、ユーザーのニーズに合うラインナップを管理しているとのこと。グループ内の様々な分野の専門スタッフのバックアップを受け、店舗運営がなされているという。
ガラスケースには「S.H.Figuarts」、「METAL ROBOT魂」などBANDAI SPIRITSの完成品フィギュアも並んでいる。面積としてはかなりコンパクトで、美少女フィギュアなどは置いていなかった。コレクション性の高い食玩など、「多くのユーザーが気軽に手に取ってくれる商品」に関してどうアプローチをするか、しっかり考えている印象だ。
「まちキャラ」グループではトレーディングカードは中古販売も扱っているが、プラモデルやフィギュアは中古品を扱っていない。また「トミカ」以外の低年齢向け玩具も扱っておらず、「ホビーショップ」としてしっかりとしたスタイルが感じられる。
その中で面白かったのが「ボンボンドロップシール」に代表される立体シールコーナー。こちらは売り場そのものは大きくないが、1コーナーとして存在感を放っている。シールコーナーは特に良文堂を訪れる子供に人気があるとのこと。流行に応えつつ、幅広いユーザーに対応しているのがわかった。
対戦、イベントコーナーでは飲食もOK! 多くのユーザーに向けたお店に
「まちキャラ」で大きな特徴といえるのが”対戦台”である。「まちキャラ松戸店」では店舗の1/4近く、32人が座れるコーナーをトレーディングカードゲームの対戦台として開放している。ここでは気軽に対戦が楽しめるだけでなく、”イベントスペース”として、親子連れを呼び込む場所にしている。
BANDAI SPIRITSはプラモデル普及を目的に、低年齢でも組み立てやすい「ガンプラ」や「恐竜プラモデル」を使った組立教室のプログラムを用意している。組立を補助するスタッフもいてイベント開催に積極的だ。しかし開催場所の確保が難しいという。「まちキャラ」グループはメーカーのニーズに応え、対戦スペースを使ったイベント開催を行っている。
カードゲームに関してはユーザーを広げる「ティーチング」も今後行っていく予定だ。こちらもメーカーとの協力で推進していく。もちろん対戦大会なども行っていく。ちょっと面白いのが、対戦コーナーにはジュースの自動販売機があり、カウンターではお菓子が販売されている。この対戦コーナーは飲食OKで、お菓子やジュースを食べつつ、楽しく対戦が行えるのだ。
他にも「まちキャラ松戸店」の強みは「まちキャラ柏モディ店」のすぐ近くにあるところではないかと渡邉店長は語った。特にトレーディングカードの対戦に関しては、コミュニティでも利用しやすい距離のため、ユーザー同士の交流の活発化に2つの店舗で取り組んでいきたいとのことだ。
その上で「まちキャラ」の強みは「グループでの在庫管理」にあるという。「まちキャラ」は現在、埼玉のまちキャラコクーンシティ店、千葉の千葉西口店、柏モディ店、松戸店の4店舗で運営している(グループスタートであった秋葉原店は閉業)。各店舗の在庫を一括で管理することで、トレーディングカードやプラモデルの販売ラインナップを管理し、バランスのとれた供給を可能にしている。
このグループ管理の特性を活かした特徴の1つが「特売コーナー」だ。グループの在庫を集中させることでお得な割引価格で商品を展開できる。各店舗だけならば少数だが、それらを集中させることでしっかりと特売コーナーが形成できる、というわけだ。
最後に「今後松戸店でどんなことをやっていきたいか」を質問したところ、渡邉店長は「難しいことは考えないです」と気さくに応えた。「とにかくお客様に喜んでもらうために考え、お客様の望んだ品揃えをしていきたい。限られたスペースでお客様に喜んでもらうためにどんな商品を置くか、そこを考えていきます」と答えた。
ホビーはトレーディングカード、プラモデル、フィギュアだけでなく、食玩や玩具、そして本格的なRCなど非常に幅広い商品がある。それらをどう販売していくか。どういった客層を対象に、どういった品揃えで展開していくか、その戦略は難しい。
筆者が子供の頃にはどの町にもおもちゃ屋や、模型店があった。しかし各ジャンルが拡張、進化し、より本格的なホビーショップやトイザらスのような大型玩具店が出てくるなかで、地方の玩具店やホビーショップはなくなってしまった。しかし現在、再び様々な形でおもちゃ屋やホビーショップが生まれ始めている。
現在、ジャンルも商品も多様になったホビーの楽しさをいかに提示するか、ホビーショップ/玩具店ではここが問われている。「まちキャラ松戸店」ではグループでの特色や方向性、在庫のコントロールなどバックアップを受けながら、店舗スタッフ自身も考えて現地ならではのニーズに応えていこうという気概が感じられた。現代のホビーショップとしてどう進化していくか、注目したい。




































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