特別企画

【ホビーショップ訪問】鉄道模型が主力! 中古専門店「クルクル秋葉原店」レポート

多彩な線路の表情演出、15両編成も可能な大きなレイアウトでファンの心を掴む

【クルクル秋葉原店】
場所:東京都千代田区外神田4-6-1塩田トゥール秋葉原7・8階

 ホビーはとにかく"モノに囲まれる"趣味だ。フィギュアやプラモデル、RCや鉄道模型、ドールなど「これだけあれば満足」といった舌の根も乾かないうちに新しい商品を探したり、新製品の情報を見つけてしまい、買いたいという欲求が膨らみ、結果として家の中に新しいアイテムが増えていく。

 しかし、資金は無限ではない。時には自分のアイテムを売って、新商品の資金にすることもあるだろう。そんな時、アイテムの価値をちゃんと理解し、納得する買い取り価格を提示してくれる「ホビー中古専門店」は心強い存在だ。さらに中古専門店は、「あのとき買い逃したアイテム」に出会える場所でもある。ホビーの中古販売店とはどのようなものだろうか。

 「クルクル秋葉原店」は秋葉原の"鉄道模型"に強みを持つ中古販売店。大きな特徴はビルの2つのフロアで展開しており、「店舗」だけでなく鉄道模型を走らせることができる「レンタルレイアウト」が設置されているところだ。このお店では鉄道模型の大きな魅力である"走行"を楽しめるのだ。

 鉄道模型にフォーカスしたクルクル秋葉原店は、どんな店舗なのだろうか? レンタルレイアウトがあることでどのような化学反応を起こしているのだろうか? 今回はクルクル秋葉原店の統括マネージャーを務める水村翔氏に話を聞いた。

今回お店を説明してくれたクルクル秋葉原店の統括マネージャーを務める水村翔氏

中古鉄道模型専門店としての特色、「新着中古商品」で常連客の心を掴む

 クルクル秋葉原店は2019年オープン。元々は同じく秋葉原にある「タムタム秋葉原店」の中で、中古を扱うコーナーとしてスタートし、そこから独立して店舗を構えた形となる。タムタムグループの中でクルクルは中古を専門を扱う店舗に冠される店名で、クルクル相模原店に次いで、2店舗目だという。

 「クルクル」という店名は、「お客様に来てほしい」という"来る(クル)"という意味に加え、「お客様が自分の好きな店舗をクルクルと巡回する、そのルートに加えてほしい」という意味も込めている。クルクル秋葉原店は7階に「店舗」、8階に鉄道模型を走らせる「レンタルレイアウト」がある。7階と8階、さらには新品を扱うタムタム秋葉原店を巡回してほしい、というのが狙いだ。

ガラスケースにずらりと鉄道模型のパッケージが並ぶ。鉄道模型はクルクル秋葉原店のメイン商材だ

 クルクル秋葉原店の強みは「鉄道模型」。Nゲージ鉄道模型を主力として、HOゲージ、そしてレールや、コントロールボックス、修理部品といった関連商品、さらにNゲージスケールのミニカー「バスコレクション」といった商品が売り場の半分を占める。

 ここで簡単に「Nゲージ」と「HOゲージ」という鉄道模型の規格に触れておきたい。Nゲージは2本のレールの間隔が9mm(Nine)であることが由来、サイズとしては約1/150スケールで、鉄道模型としてはコンパクトなサイズといえる。コレクションしやすく、日本で一番普及しているサイズで、商品展開も多彩だ。HOゲージは線路幅16.5mm、縮尺約1/80、Nゲージより大きく、より繊細な車両の表現が可能なのだ。ちなみに鉄道模型には、HOゲージよりさらに大きな約1/43スケールの「Oゲージ」や、Nゲージより小さな約1/220の「Zゲージ」などもある。

 クルクル秋葉原店ではNゲージに加え、HOゲージの品揃えも豊富であり、さらにレンタルレイアウトでNゲージとHOゲージの鉄道模型を走らせることができる。クルクル秋葉原店はこの特色を打ち出したことで、鉄道模型ファンの心を掴み、お店には多くの鉄道模型ファンが訪れる。

 ちなみに、2019年のスタート直後は鉄道模型を主力としていながら、プラモデルやフィギュア、ミリタリーといった商品にも店舗の面積を割いていた。そこから店舗を運営していく中で、鉄道模型の比重が多くなっていった。お客の要望に店舗が応え、鉄道模型の比重がどんどん増えていったと水村マネージャーは語った。

 そうした鉄道模型ファンがクルクル秋葉原店に求めているのは、"旬の車両"だ。クルクル秋葉原店は中古ショップであるが、店舗のガラスケースでは比較的新しい商品が多い。それは「クルクルでコレクションを売って、その資金でタムタム秋葉原店で新商品を買う」という人も多いためだという。このためクルクル秋葉原店は新古品のような比較的新しい商材が多い。ビンテージや、古いコレクションを売るショップというより、ちょっとだけ古くなった状態のいい、パッケージもしっかり残した鉄道模型が多くガラスケースに飾られ販売されている。これら"比較的新しい商品"は人気が高い。

ピックアップ商品を提示することで、お店の個性をアピール
各コーナーにどんな商品があるか、お店に通うことで理解が深まる

 これら状態のいい商品の中には、"店員オススメ"や"注目商品"といったラベルが貼られてピックアップされる。クルクル秋葉原店ではやはりJR東日本や、比較的生活で使用される私鉄の車両、地方鉄道の人気が高い。最近では中央線快速のグリーン車導入に伴う再現車両に注目が集まっている。新車両はタムタムで購入し、他の客車や牽引車は中古で、といった買い方をするユーザーもいて、「新商品に伴う関連商品」は人気が高くなるという。

 そして、クルクル秋葉原店の注目ポイントの1つが、通い詰めているユーザーに向けた店の入り口にある「新着中古コーナー」である。ここには買い取った商品のうち注目度の高い商品が陳列される。何度も店に通っている常連ユーザーはまずここをチェック、自分の好みに合えばすぐ購入、という流れができている。お店の特徴を知っている人は、すぐに新着商品がわかるのである。それだけクルクル秋葉原店は常連客が多いというのも特色の1つだと水村マネージャーは語った。

【新着中古コーナー】
買い取った商品で注目度の高い商品はまずここに陳列される。常連ユーザーはまずここをチェックするのだ

より精密なHOゲージは高額商品が並ぶ。宝探しが楽しめるジャンクも!

 一方、Nゲージに比べ、大きなHOゲージは価格も高めだ。クルクル秋葉原店ではHOゲージの高額車両はその状態が確認しやすいように、ガラスケースで商品を展示している。値段が高い商品になる条件は「状態がよく」、「希少価値が高いもの」ということに加え「海外製」といったところでも高い値付けがされる。

 ガラスケースで商品の状態を確認しやすいこの展示販売は、「ネット販売への対抗策」だという。ネット販売では、傷や内部の状態、ライトの点灯やモーターの動作などが確認できない。届いたときに「思ったものと違った」ということもあるかもしれない。クルクル秋葉原店ではガラスケースで見ることができ傷などをチェックできるだけでなく、通電させたレールの上に載せることで室内灯や車内灯の光り方もチェックできる。「実物を確認できる」というところに価値をアピールしたいとのことだ。

 もちろん"ジャンク"もある。パッケージのないもの、状態の悪いものはワゴンで販売している。ここに"掘り出し物"があるか探すのも楽しみの1つだ。比較的状態のいい商品はクリーニングや梱包し直しなど、しっかり購入者の満足感を高めるために整えていく一方で、保存状態の悪かった商品はジャンクとしてシンプルな梱包でまとめて陳列して"宝探し感"を楽しめるように、販売するといった、メリハリも気をつけている部分だ。商品の回転、半年以上置く商品を増やさない、ということも考えていくという。

こちらはNゲージより大きいHOゲージ。ケースから傷なども細かくチェックできる
宝物があるかもしれないジャンクコーナー
パッケージのない商品も陳列。リペイントなどをする人も

ミニカーなども販売、フィギュアやプラモデルは少なめ

 さらに、トミーテックのバスのミニカー「バスコレ」をはじめとしたバス関連の商品は秋葉原の鉄道模型販売商品の中でも充実度が高いという。「ホットウィール」などのミニカーも充実している。ミニカーに関しては「パッケージの状態」も非常に重要な要素。パッケージを残すというより、「パッケージから一度も出さずコレクションをしている」というユーザーの商品がより高額な値付けで売買される。「同じ商品を2個買って、1つは開けずにとっておく」というのがコレクターに多く見られる商品の遊び方だという。

 ただし状態が良い商品だけが売りではなく、「ジャンクの多さ」もクルクル秋葉原店の隠れたセールスポイントだ。リペイントや修理を行い、自分の手でピカピカにする"素体"を求めて来店するユーザーにも本店は魅力的なのだという。

 他にもクルクル秋葉原店では「プラモデル」、「フィギュア」、「RCカー」、「トイガン/サバゲー関連商品」は扱っているが、その量も店舗での展示規模は小さめだ。他店舗との差別化も考え、「鉄道模型に強い中古販売店」というコンセプトをしっかり打ち出していると感じた。次章ではクルクル秋葉原店のもう1つの大きなポイント「レンタルレイアウト」を紹介しよう。

トミーテックの「バスコレ」は人気だ
こちらは「バスコレ」た企画商品などのレア商品を扱った特別品コーナー
リッチな高級ミニカー
ホットウィールの品揃えも充実
プラレールの中古商品も
エアソフトガン、サバイバルゲーム関連
フィギュアやプラモデルも扱っているが、品数は多くない

実際に走らせると新しい車両が欲しくなる。レイアウトが生む"循環"

 クルクル秋葉原店は2つのフロアで営業しており、1つのフロアがまるまる鉄道模型を走らせるスペース「レンタルレイアウト」になっている。Nゲージだけでなく、HOゲージ向けのレイアウトも用意されており、ユーザーはここに自分の車両を持ってきて走らせることが可能だ。平日は1時間1,000円、土曜・祝日は1,300円。会員になることでお得に使える。また、借り切ることも可能だ。

8階はレンタルレイアウトフロア。Nゲージ用とHOゲージ用のレイアウトが用意されている
料金表。休日は1時間1,300円で使用可能。7階の店舗で手続きをする必要がある

 レイアウトの面積はNゲージの方は縦幅が10m弱、横幅が5m弱、鉄道の博物館の大きなジオラマを思わせる大迫力だ。地上の線路は複数設定されカーブやいくつかの路線が併走するような複雑な表情を楽しめるように設定されている。そして「高架線」では新幹線を走らせることができる。新幹線ならではの情景が楽しめるし、在来線との関係、といった雰囲気も楽しめる。

 1人できて遊ぶ人もいるが、やはり友達数人でイベントとしてきたり、ネット仲間が"オフ会"の会場に足を運ぶことも多いと水村マネージャーは語った。コミュニティで借りきる、という利用もされているとのこと。貸し切りの時では部屋の電気を消す「夜の再現」ができる。鉄道模型はヘッドライトや、室内灯も装備されている。「夜に走る鉄道の情景」もきちんと楽しめるのだ。

【Nゲージ用レイアウト】
オブジェクトの間を線路が通るなど情景も工夫
実際にある線路のような研究された配置
車両を制御するコントロールボックス
高架線は新幹線車両を走らせる

 水村マネージャーは「15両編成の長さの車両を走らせられるレイアウトというのは、自宅では難しい。ここでは様々な情景を楽しむことも、高架線を走る新幹線というのもしっかり楽しめる。その上で知り合いと連れ立ってきて、知識を交換しながら楽しめる。本店のレンタルレイアウトはそういう空間です」と語った。

 その上でこのレイアウトの楽しいところは、実際に走らせてみることで生まれてくる「思いつき」がすぐ実現できるところだという。「やっぱり走らせてみると短い車両じゃ満足できない。追加の客車を買おう」、「友達が走らせている車両が欲しくなった」、「せっかくここで高架線があるなら、新幹線を買おう」、「HOゲージの大きさはやっぱりカッコイイ、思い切って買っちゃおう」などなど自分のコレクションを充実させたくなるのだ。

 そしてその想いは実現できる。クルクル秋葉原の店舗フロアで中古品を探すだけではなく、近くのタムタム秋葉原店で新商品を購入できるのである。レイアウト、店舗、そしてタムタム秋葉原店、その"巡回サイクル"を生み出せる環境を作り出しているのが強みなのだ。

【HOゲージ用レイアウト】
こちらは大きな車両が走るHOゲージ用レイアウト

 「レンタルレイアウト」ではサービス当初は店員が常駐していたが、訪れるユーザーの多くがマナーを守って利用してくれるため、「何かあったら呼んでもらう」という店員のいない運営でサービスしている。もちろんカメラでの撮影はしているが、訪れるユーザー達が愛を持ってレンタルレイアウトを使ってくれているというのも、運営していて誇らしいところだと水村マネージャーは語った。

 水村マネージャーは「鉄道模型は走らせるだけでなく、飾ったり、手に持って眺めたり様々な楽しみ方ができます。そしてここに来れば"広いレイアウトで走らせる楽しさ"も味わえます。本店を利用する方は『お互いの趣味を尊重なさる方』が多いところもありがたいです。編成で違う年代の車両が混じっても、それはいいじゃないかという人もいるし、飾るために年代にこだわった、という人もいる。HOゲージにこだわる人もいる。皆の思いを『いいね』、といってくれる空間がここにはあると思います。ぜひ当店を訪れてください」と最後にユーザーに語りかけた。

【タムタム秋葉原店】
こちらは新商品を扱うタムタム秋葉原店。ユーザーはこことクルクル秋葉原店、レイアウトを巡回するという

 秋葉原というロケーションは面白い。様々なショップ、中古商品販売店があるなかで、どのようにユーザーの心を掴むか。他の地域より、その性格を特化させた店舗が受けるのだなと、クルクル秋葉原店を取材することで思った。

 鉄道模型の楽しみ方としてはコレクションする、車両を眺める、というだけでなく、「走らせる」というものは大きい。「自宅の限られたスペースで走らせて楽しむ」というのも独特の面白さがあると思うが、やはり「広く大きなところで自分の車両を走らせたい」と思う人も多いはずだ。クルクル秋葉原店のレンタルスペースならそれが可能なのである。

 水村マネージャーの「ここならば15両の編成で走れますよ」という言葉は改めてはっとさせられた。筆者は外房線から総武本線に直通する15両編成の車両で東京に頻繁に行っている。総武線の鉄道模型を買うなら15両そろえたいし、走らせたい。クルクル秋葉原店はその想いを実現させてくれる場所だ。客車が足りない場合など、中古で安く探したくなる。さらに実際に鉄道模型を走らせれば、短い車両や、私鉄の車両なども欲しくなるだろう。とても面白いコンセプトのお店だと感じた。ぜひクルクル秋葉原店を訪れてほしい。

 弊誌では今後もこのようにホビーショップを積極的に取り上げていきたい。店舗運営者はもちろん、読者も「このお店を取り上げてほしい」と声を寄せてほしい。