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ドラゴン製プラモデル「1/35 ドイツ軍パンターD型」を全塗装!史上最大の戦車戦「クルスクの戦い」をイメージし塗装とダメージ表現で仕上げる【夏休み特集】

【1:35 ’39-’45 SERIES Sd.kfz.171 Panther D Premium EDITION】
発売元:ドラゴン
価格:4,180円(2010年にプラッツより発売された際の参考価格)
発売日:2006年
ジャンル:プラモデル
サイズ:全長約260mm

 本記事は夏休み特集として、夏の歴史的出来事をテーマにプラモデルを製作します。今回は、1943年7月4日から8月27日まで行われ、後に「史上最大の戦車戦」といわれた「クルスクの戦い」がテーマです。この戦いに参加したドイツ軍の戦車「Sd.kfz.171 Panther D」(以下、パンターD型)を作っていきます。キットは、先日プラモデル事業からの撤退を表明したドラゴン(Dragon Models)製の「1:35 ’39-’45 SERIES Sd.kfz.171 Panther D Premium EDITION」です。

「クルスクの戦い」に参加した車輌をテーマに、バトルダメージを意識して各種ウェザリングを施しました。

史上最大の戦車戦と呼ばれる『クルスクの戦い』

 「クルスクの戦い」は、第二次世界大戦中の1943年7月にソビエト社会主義共和国連邦(以下、ソ連)とナチス・ドイツ(以下、ドイツ)の間で行われた戦闘です。ソ連・ドイツ合わせて約6,000両もの戦車が投入されたこの戦いは、戦場の都市名から「クルスクの戦い」と呼ばれ、後に「史上最大の戦車戦」とも称されました。

 戦いの舞台となった現ロシア連邦クルスク州は、ユーラシア大陸中央部に広がる黒土地帯(チェルノーゼム)に属します。その中心都市であるクルスク市は、古くから交易で栄えた都市でした。クルスク市はソ連時代に工業都市となり、現代でも人口44万人を抱える都市です。

 1943年7月4日に始まった「クルスクの戦い」は、クルスク周辺に展開するソ連軍に対し、ドイツ軍が南北から挟み撃ちを狙う形で始まりました。当初、ドイツ軍は優位に進軍していましたが、北部でのソ連軍の逆転攻勢やイタリアの枢軸国離脱もあって戦況は悪化しました。最終的にドイツ軍は撤退し、戦線はキエフ(現ウクライナ首都キーウ)まで押し戻されました。この戦い以降、ドイツ軍は攻勢に転じることがなくなり、独ソ戦の主導権はソ連のものとなりました。

OVMの固定具などにはエッチングパーツを使用しています。

香港発の模型メーカーとして様々なキットを展開したドラゴン

 本記事で制作する「1:35 ’39-’45 SERIES Sd.kfz.171 Panther D Premium EDITION」を生産するドラゴンは香港にある模型メーカーです。1987年より自社開発を開始し、1990年には戦車模型分野に参入しています。ドラゴンの戦車模型は、細かいパーツ分割による緻密なディテール表現や、独自技術の連結履帯「Magic Track」が特徴です。さらに、エッチングパーツや金属パーツも標準で付属します。こうした仕様もあってユーザーからの評価は高く、数多くの人気キットを発売していました。

 同社は2026年5月にプラモデル事業から撤退しています。これまで使用された同社の金型はZimi Model社に移管され、「DRAMi Model」ブランドとして引き続き生産される見込みです。

今回の「1:35 ’39-’45 SERIES Sd.kfz.171 Panther D Premium EDITION」にも金属パーツやエッチングパーツが付属します。

「1:35 ’39-’45 SERIES Sd.kfz.171 Panther D Premium EDITION」を各部エッチングパーツや金属パーツを活用して制作する

 今回の作例ではキットに付属するエッチングパーツや金属パーツを活用して制作します。他社製品では別売りのことが多い金属砲身やエッチングパーツも付属するため、追加のディテールアップパーツなしでハイディテールな仕上がりを楽しめます。今回は本体を全塗装で仕上げますが、車輌は「クルスクの戦い」に参加したものをイメージし、迷彩塗装やダメージ加工、ウェザリングに反映してみます。

組み立て前の準備としてホワイトメタルパーツを洗浄

 キット制作の第一歩として、ホワイトメタルパーツを洗浄します。ホワイトメタルパーツは成形時に離型剤など汚れが表面に付着しているため、洗浄が必要です。ホワイトメタルなど金属パーツの洗浄にはガイアノーツの「ツールウォッシュ」を使用します。

メタルパーツは使用前に洗浄が必須です。

一部パーツをエッチングパーツに置き換えながら組み立てを行う

 付属のエッチングパーツはOVMクランプの留め金など多数ありますが、使用せずに組み上げられる構成です。エッチングパーツを使用する場合は、既存モールドの削り落としや埋め立て加工を行い、その部分に取り付ける手順になります。モールドを埋める際にはポリパテを活用しています。

エッチングパーツを使用する部位のモールドはポリパテ等で処理しています。

 エッチングパーツはナイフを使用して切り出します。この際、デザインナイフなどを使ってもよいですが、筆者は刃の交換頻度を考えてカッターナイフを使用しています。

エッチングパーツの切り出しにはカッターナイフを使用しています。

 切り出し後のエッチングパーツは曲げ加工が必要なものもあります。エッチングパーツは折り曲げ線に合わせて板厚を変化させるハーフエッチングが施されているので、折り曲げ線をピンセットで保持しながら指で曲げ加工ができます。

曲げ加工を行う際は折り曲げ線をピンセットで保持しつつ指で折り曲げます。
ハーフエッチングにより、簡単に折り曲げ加工が完了しました。

 エッチングパーツの貼り付けに溶剤系接着剤は使用できません。そのため、本作例では瞬間接着剤を使用します。瞬間接着剤は、使用する部位に応じてゼリー状と液状のものを使い分けています。

エッチングパーツの接着には瞬間接着剤を使用します。

 エッチングパーツを取り付けた部位は、真鍮の色味ではっきりと分かります。車体上部ではOVMクランプの金物や車体後部におけるグリルのメッシュにエッチングパーツが使用されます。

エッチングパーツはOVMクランプの金物や車体後部におけるグリルのメッシュに使用しています。

金属砲身で合わせ目のない真円の砲身が手軽に取り付けられる

 主砲の砲身は、通常のプラパーツと金属パーツのどちらかを選択して再現できます。金属砲身を使用すると合わせ目が発生せず、断面が真円の砲身を再現できます。また、見た目には分かりませんが、手に持った際の重みは制作者をワクワクさせてくれます。

金属砲身は簡単に砲身の断面形状を真円にしてくれるアイテムです。

履帯は「Magic Track」で簡単に組み立てできる

 履帯はドラゴン製キットの特徴でもある「Magic Track」が採用されています。この「Magic Track」はランナーに固定されていない連結履帯パーツで、袋から出してすぐに組み立てられます。起動輪に取り付ける履帯パーツは「Magic Track」と形状が異なるため、個別管理が必要です。

「Magic Track」はランナーに固定されておらず、袋から取り出せばすぐに組み立てできます。

 本作例の履帯は、転輪などと個別に塗装した後で一体化させます。そのため、履帯は「C組み」を採用します。C組みは、連結履帯を環状に一体化するのではなく、1カ所をつながずに塗装後の後ハメを可能にする工法です。これは筆者が戦車模型を制作する際に多用する工法で、各転輪の塗装がしやすいという利点があります。

 実際のC組みの手順は、まず連結時につながない部位を両端に設定して一列に接着します。その後、接着剤が完全乾燥する前に転輪に巻き付けて形を固定します。履帯の接着には乾燥が遅いタミヤの「タミヤ リモネンセメント」を使用しました。この接着剤は乾燥が遅いため、履帯の形状を調整するための時間を稼いでくれる便利な接着剤です。

「Magic Track」と起動輪の履帯パーツを並べました。全部で89コマ並べています。
車体に巻き付けて固定します。この際に少し履帯が長いと感じたため、2コマ抜きました。
乾燥後の履帯は起動輪の部分で取り外しできます。

省略されたアンテナは伸ばしランナーで再現

 車両後部に搭載される通信用アンテナは形状の再現が省略されているため、「伸ばしランナー」を使用してアンテナを自作します。伸ばしランナーは、ライターやロウソクの炎で熱したランナーを引き伸ばし、アンテナなどの細いパーツを表現する方法です。

加熱したランナーを引き延ばすことでアンテナを自作しました。車体への固定は塗装後に行います。

 各部パーツの組み立てはこれで完了です。ここからは、作品にオリジナリティを加えていきます。

各部のダメージを塗装前に加えていく

 ここからは作品にオリジナリティを出すためにダメージ表現を加えていきます。今回のダメージ表現は、フェンダーの変形、車体の弾痕、シュルツェンの破損の3点です。

フェンダーの変形はロウソクで車体を炙って変形させる

 フェンダーは、ロウソクの炎でパーツを炙って変形させます。熱でフェンダー部分を柔らかくし、固まる前にラジオペンチやピンセットで形を整えます。この際に加熱時間を長くしすぎるとパーツに引火してしまうため注意が必要です。

フェンダーを変形させる際は加熱しすぎに注意です。

車体の弾痕はヒートペンで再現

 今回制作するキットのテーマは「史上最大の戦車戦」です。そのような戦いに参加した戦車であれば無傷というわけにはいかないでしょう。そこで車体が受けた弾痕をヒートペンで再現します。筆者が使用するヒートペンは白光の「my pen α」です。このヒートペンの先細のペン先を押し付けて弾痕を表現していきます。

ヒートペンのペン先は先細のものを使用します。
キットが貫通しない程度に弾痕を刻印していきます。
砲塔にも車体と同様に弾痕を刻印します。

シュルツェンはポンチやラジオペンチでダメージを表現

 車体側面に取り付けるシュルツェンは金属板で再現されています。金属板であればポンチやラジオペンチで変形させることができます。戦闘ではライフルの弾痕やどこかに接触した損傷が発生すると考えられます。そういった損傷を意識しつつ変形させていきます。

シュルツェンはポンチやラジオペンチで変形させました。

 シュルツェンは一部を取り付けず、戦闘中に外れた様子を再現します。左右で取り外すシュルツェンを変更することで、事故で外れてしまったように見せられます。

シュルツェンはあえて一部を取り付けません。

 これで塗装前の加工は全て完了となります。金属パーツ取り付け部位が肉眼で確認できるタイミングは今が最後となるため、塗装前に全体の形状を見てみましょう。戦車模型は、塗装前に取り付けた金属パーツを眺めることができ、未塗装の状態でも楽しめます。

左側前方はシュルツェンだけでなく留め具も外しました。
金属砲身は取り付けるだけでワクワクします。
車体後部には多くのエッチングパーツが取り付けられており、塗装前は質感の違いを楽しめます。

迷彩はフリーハンドで塗り分け。各種ウェザリングで深みを与える

 ここからは塗装に入ります。今回は、車体の迷彩をフリーハンドで塗り分け、各種ウェザリングで塗装に深みを与えることにしました。塗装はベースカラーを指定色より明るくし、後のウォッシングで目標の色味に近づける方針です。

サーフェイサーは実車の塗装と同様にオキサイドレッドを使用

 下地となるサーフェイサーは、実車の塗装方法と同様といわれるオキサイドレッドで塗装します。なお、金属パーツを使用したため、プライマー入りのサーフェイサーを使用する必要があります。今回はタミヤの「ファインサーフェイサーL (オキサイドレッド)」を使用します。このサーフェイサーはプライマー入りで、金属パーツにもしっかり密着します。

今回使用したサーフェイサーは缶スプレータイプです。
下地色は錆止めカラーの赤褐色としました。

明度と彩度を高めた配色でウェザリングに備える

 車体の基本塗装は後々に行うウェザリングを考慮して明度と彩度を高めた配色で塗装します。そのため、基本塗装完了時はかなり明るい色合いになります。

基本塗装色は指定色をベースに調色を行ない、明るい配色としています。

 基本塗装の1色目となるサンディブラウンはGSIクレオスの「Mr.カラー C19 サンディブラウン」をベースに「Mr.カラー C45 セールカラー」を添加して明るくしています。

「サンディブラウン」は「セールカラー」を添加して彩度と明度を調整しました。

 基本塗装の2色目以降は迷彩を描き込むため、シュルツェンと砲塔を取り付けて塗装を行います。2色目のグリーンはGSIクレオスの「Mr.カラー C54 カーキグリーン」をベースに「Mr.カラー C124 暗緑色(三菱系)」と「Mr.カラー C64 ルマングリーン(黄緑)」を添加して色味を調整しています。迷彩は塗装図を参考にしつつ、塗装図にない部分は想像で仕上げます。

迷彩は塗装図を参考にフリーハンドで塗装します。

 迷彩塗装3色目のブラウンはGSIクレオスの「Mr.カラー C41 レッドブラウン」をベースにガイアノーツの「ガイアカラー 014 ナチュラルブラウン」を添加し、明るいブラウンとしています。ブラウンを塗布する際は細吹きとすることで迷彩にメリハリをつけています。

ブラウンの迷彩は細吹きで仕上げています。

各部品の塗装はラッカー系やエナメル塗料、水性塗料を駆使して塗り分ける

 基本塗装完了後は各部塗分けを行います。各部の塗り分けは、ラッカー塗料だけでなくエナメル塗料や水性塗料も使用します。

各部の塗分けはラッカー系だけでなくエナメル塗料や水性塗料も併用しつつ塗分けます。

 各部の塗分けは基本的に筆塗りで塗分けを行いますが、履帯は広範囲の塗装となるため、エアブラシを使用して塗装を行いました。

OVMは、水性塗料を使うとはみ出した際に修正しやすくなります。

エッジを強調するためにドライブラシでハイライトを追加

 各部塗り分け完了後はエッジ部分を強調するためにドライブラシを行います。ドライブラシにはタミヤの「タミヤ ウェザリングマスター《Eセット》」のグレイを使用します。ドライブラシ後はつや消しコートを塗布するため、ここでのドライブラシは濃く塗布します。

ドライブラシは扱いやすいタミヤのウェザリングマスターを使用しています。
後ほど塗布するつや消しコートを考慮して濃く塗布しています。

 ウェザリングマスター塗布後はつや消しコートでウェザリングマスターを定着させ、表面のツヤを整えます。つや消しコートには、GSIクレオスの「Mr.スーパークリアースプレー(つや消し)」を使用します。つや消しコートを行うことでドライブラシのハイライトも落ち着いた印象となります。

つや消しコートは缶スプレータイプを使用します。
つや消しコートをすることで、ドライブラシも落ち着いた印象になります。

ウォッシングを行うことで色味を落ち着かせる

 ツヤが整え終わったらウェザリングに入ります。ウェザリング工程最初の一歩はウォッシングから行います。ウォッシングはブラウン系にしたいところですが、GSIクレオスの「Mr.ウェザリングカラー WC02 グランドブラウン」だけでは茶色みが強いと感じました。そこで、「Mr.ウェザリングカラー WC01 マルチブラック」を混色し、色味を調整しています。

ウォッシングは「Mr.ウェザリングカラー WC02 グランドブラウン」と「Mr.ウェザリングカラー WC01 マルチブラック」を混色しました。
ウォッシングすることでスミ入れと色味の調整を兼用しています。

各種機構部分に発生する油シミをピンウォッシュで再現

 ウォッシング後は各部ヒンジや車軸部分など作動油の油シミが発生すると思われる部位にピンウォッシュを施します。ピンウォッシュにはガイアノーツの「ガイアエナメルカラー 54 オイル」を使用しました。ピンウォッシュは油シミが発生すると思われる部位の周辺にじんわりと広がるように塗布します。

ピンウォッシュにはガイアノーツの「ガイアエナメルカラー 54 オイル」を使用します。
転輪の車軸部分に油シミによる光沢を付与しました。

泥汚れはウェザリングペーストで立体的にウェザリング

 ここからは戦車運用時に付着する泥汚れを追加します。クルスク州の特徴の章で記載した通り、クルスク州周辺は黒土地帯(チェルノーゼム)です。黒土地帯の名が示す通り、この戦いに参加した戦車には黒い泥汚れが付着したと考えられます。GSIクレオスより発売されている「Mr.ウェザリングペースト WP01 マッドブラウン」を使用して再現することも考えましたが、筆者がイメージする色としては明るすぎると感じます。そこで、「Mr.ウェザリングカラー WC01 マルチブラック」を混ぜ合わせることで色味を黒土に近づけました。

Mr.ウェザリングペーストとMr.ウェザリングカラーは混色できます。
転輪の外周面など足回りを中心にウェザリングペーストを盛り付けました。

塗装剥げとサビを3色で表現

 足回りのウェザリング後は、塗装剥げやサビの表現を描き込んでいきます。使用する塗料はタミヤの「エナメル塗料 X-11 クロームシルバー」、ガイアノーツの「ガイアエナメルカラー 51 赤サビ」、「ガイアエナメルカラー 52 黄サビ」です。

塗装ハゲ、サビ表現にはエナメル塗料3種類を使い分けます。

 最初は「エナメル塗料 X-11 クロームシルバー」で地金の露出を表現します。地金の露出はヒートペンで彫刻した弾痕部分やエッジ部分に発生するものとして塗装します。弾痕部分への塗装は面相筆で塗装し、エッジ部分への塗装はスポンジチッピングで塗料を乗せていきます。スポンジチッピングはちぎった台所用スポンジに塗料を含ませ、エッジ部分にランダムなパターンを塗装します。

スポンジチッピングは台所用スポンジでランダムパターンを塗布します。
エッジ部分のチッピングは左右対称にならないように注意しつつ塗布します。

 2色目は「ガイアエナメルカラー 52 黄サビ」を塗装します。黄サビは先ほど塗布した地金の露出部分を参考に周囲に筆塗りやスポンジチッピングで塗料を乗せていきます。

地金の露出部分周辺にサビ色を乗せていきます。

 最後に「ガイアエナメルカラー 51 赤サビ」で色味の調整を行います。塗装方法はこれまでの2色と同じ方法で色数を増やします。

これで、塗装ハゲとサビ表現は完了です。

弾痕の色味を調整

 これで塗装完了かと思いましたが、地金の露出表現で塗布したシルバーが目立ちすぎると感じたため、最終仕上げで色味を落ち着かせます。今回はタミヤの「タミヤ ウェザリングマスター《Bセット》」の「スス」を使用します。弾痕部分には面相筆で色を入れ、弾痕周辺にもぼかしを入れていきます。

弾痕部分の色味を落ち着かせました。

本作例最大のミス、デカールの貼り忘れとそのリカバリー

 これで完成!としたいところでしたが、最終組み立てを行って眺めていた際に、何かが足りないと気が付きました。デカールを貼り忘れているのです。今回制作している車体のマーキングは砲塔部分に車体番号が入ります。今回の製作での最大のミスですが、リカバリーに取りかかります。

最終組み立てをした際にデカールの貼り忘れに気が付きました。手直しをしていきます。

 本来であれば、デカールはつや消しコート前に貼り付けます。現状、塗装は完了しているのでデカール貼り付け後、つや消しコートとウォッシングをやり直すこととします。

デカールの貼り付けは軟化剤を活用しつつ、立体面になじませます。
デカール乾燥後につや消しコートを施しますが、このままではきれいすぎて違和感があります。
最後にウォッシングを行ない、色味を周辺になじませます。

 これで本当に完成となります。これまで紹介した中でも、かなり時間を要した作例になりました。次章では、完成した「パンターD型」を見ていきます。

史上最大の戦車戦を戦い抜いた姿をイメージ。「パンターD型」が完成

 最初に完成した「パンターD型」を前後左右から見ていきます。3色迷彩による車体と強めのウェザリングが印象的な作品となりました。

車体正面からはヒートペンで彫刻した弾痕を確認できます。
履帯のウェザリングはウェザリングペーストを厚く盛ることで泥汚れを表現しています。
シュルツェンはあえて取り外すことで戦場のダメージを再現しています。

 車体側面のOVMクランプや背面のグリルにはエッチングパーツを採用し、プラパーツでは再現できない細かい金具類まで再現しています。シュルツェンは金属パーツであることを生かしたダメージ表現だけでなく、斜めから見た際の薄さも金属パーツならではの利点といえます。

各部の細かい金物はエッチングパーツで再現できました。
シュルツェンは斜めから見た際に金属パーツであることの利点を感じます。

 砲塔に目を向けると金属砲身を使用したことによる形状の整った砲身が目を引きます。プラパーツでは合わせ目消しにより少なからず形状がゆがんでしまうため、採用する価値があるパーツです。

砲身は金属砲身によりゆがみのないきれいな円筒形状が得られました。

 ヒートペンを使った弾痕は、溶けたプラスチックが弾痕の横に盛り上がることで、実際の弾痕のようにリアルに仕上がりました。

弾痕はヒートペンを使用することで弾痕周辺における金属のめくれが再現できています。

 履帯周辺の泥汚れはウェザリングペーストの色味を調整して使用しました。クルスク州周辺のチェルノーゼムに合わせた色合いになったと思います。

履帯の色味はチェルノーゼムに合わせた黒土色にしています。

 スケールモデルの記事では恒例のあおりで撮影しました。ソ連軍兵士の目線で見ると、圧倒されそうな存在感があります。一方、ドイツ軍兵士の目線となると背中に頼もしさを感じます。

ソ連軍兵士目線で見た「パンターD型」は威圧感を感じます。
ドイツ軍兵士目線で見た「パンターD型」は背中に頼もしさを感じます。

 今回作成したドラゴンの「1:35 ’39-’45 SERIES Sd.kfz.171 Panther D Premium EDITION」は、エッチングパーツや金属砲身など、国産メーカーの戦車模型ではアフターパーツとされることが多いメタルパーツ類が最初から同梱されているキットでした。プラモデルとしては比較的高難易度ですが、それだけに完成させたときの達成感は大きいです。

 また、今回の作例では激戦の地となったクルスクの気候や戦線の動きなど改めて調査することから始めました。こうした調査に基づきウェザリングの方針やマーキングを選定したことで、より説得力のある仕上がりになったと考えています。今回制作したキットは模型店でなかなか見かけないと思いますが、ソ連軍側で参戦した「T-34/76」であれば、タミヤからクルスクの戦いに参加したマーキングのキット「1/35 ソビエト T34/76戦車 1943年型」が発売されています。このキットは現行品として模型店でも見かけるキットなので、本稿を参考に制作してみても楽しいと思います。

使用塗料一覧

  • 下地サフ:タミヤ ファインサーフェイサーL(オキサイドレッド)
  • 基本塗装(サンディブラウン):GSIクレオス Mr.カラー C19 サンディブラウン
  • 基本塗装(サンディブラウン):GSIクレオス Mr.カラー C45 セールカラー
  • 基本塗装(カーキグリーン):GSIクレオス Mr.カラー C54 カーキグリーン
  • 基本塗装(カーキグリーン):GSIクレオス Mr.カラー C124 暗緑色(三菱系)
  • 基本塗装(カーキグリーン):GSIクレオス Mr.カラー C64 ルマングリーン(黄緑)
  • 基本塗装(レッドブラウン):GSIクレオス Mr.カラー C41 レッドブラウン
  • 基本塗装(レッドブラウン):ガイアノーツ ガイアカラー 014 ナチュラルブラウン
  • 部分塗装(履帯、機銃):GSIクレオス Mr.カラー C28 黒鉄色
  • 部分塗装(転輪ゴム部分):タミヤ エナメル塗料 XF-85 ラバーブラック
  • 部分塗装(OVM金物等):タミヤ エナメル塗料 XF-56 メタリックグレイ
  • 部分塗装(ペリスコープレンズ):タミヤ エナメル塗料 X-11 クロームシルバー
  • 部分塗装(OVM木製部分):ファレホ パンツァーエース 311 New Wood
  • 部分塗装(排気管):GSIクレオス 水性ホビーカラー H76 焼鉄色
  • ドライブラシ:タミヤ ウェザリングマスター《Eセット》
  • つや消しコート:GSIクレオス Mr.スーパークリアースプレー(つや消し)
  • ウォッシング:GSIクレオス Mr.ウェザリングカラー WC01 マルチブラック
  • ウォッシング:GSIクレオス Mr.ウェザリングカラー WC02 グランドブラウン
  • ピンウォッシュ:ガイアノーツ ガイアエナメルカラー 54 オイル
  • 泥汚れ:GSIクレオス Mr.ウェザリングペースト WP01 マッドブラウン
  • 泥汚れ:GSIクレオス Mr.ウェザリングカラー WC01 マルチブラック
  • チッピング:タミヤ エナメル塗料 X-11 クロームシルバー
  • チッピング:ガイアノーツ ガイアエナメルカラー 52 黄サビ
  • チッピング:ガイアノーツ ガイアエナメルカラー 51 赤サビ
  • 最終調整:タミヤ ウェザリングマスター《Bセット》