インタビュー

初の昆虫モチーフの戦隊1号ロボ! 「DXキングオージャー」

「戦隊ロボはまず驚きを!」、10体合体の楽しさと、可動とスタイリングを重視

――まず最初に「戦隊ロボはどのように生み出されているか?」を聞かせてください。スーパー戦隊シリーズのキャラクターやメカは東映とバンダイで協力して作っているイメージがあります。実際にはどのように生み出されているのでしょうか?

昆虫モチーフの1号ロボは戦隊ロボ史上初となるという。虫メカの表現は強いこだわりを感じる

木村氏:完全に共同態勢で、新しいスーパー戦隊そのものが生まれるにあたり、各社協力しあって作品作りに臨んでいます。「どういうモチーフにしていくか」、「コンセプトはどうするか」といった根幹部分からアイディアを出し合います。東映さんとバンダイと、そしてプレックスさんですね。プレックスは玩具や番組に登場するキャラクターのなどのデザインをする会社です。

 それぞれ各社でアイディアを出し、コンセプトを決めた上で、プレックスがそれらの意見を活かしながらデザインを起こしていく。そして、番組やメカとして、そして玩具としての面白さをどう活かしていくかブラッシュアップし、デザインが決定。それを活かして番組制作を東映さんが、商品をバンダイが製作するという感じです。

 その中で私は商品製作のプロデューサーとして東映やプレックスとの話し合い、番組の設定やデザイン、商品展開などが円滑に進行するように玩具メーカーの立場から作品に参加させていただいています。

 山本は実際の商品を製作する開発担当者です。商品のギミック、仕様などを決めて商品化まで持って行きます。商品仕様に関してはもちろん私も関わっていますが、山本は「DXキングオージャー」の開発者、私は玩具企画という立ち位置です。

――今回の「王様戦隊キングオージャー」の主役ロボ「DXキングオージャー」はどのように決まっていったのでしょうか?

木村氏:まずモチーフです。かなり初期の打ち合わせの段階で、東映さん側もバンダイ側も昆虫というモチーフで合致し、根本的なコンセプトが決定しました。モチーフが決まった上で、「どんな戦士がいるか」、「どんなアイテムがあるか」という意見を出し合っている中で、「たくさんの虫が出てくるのはどうだろう?」ということになったんです。「色んな虫が出てくるロボが良いよね!」ということになったのが、「DXキングオージャー」のコンセプトですね。

山本氏:実は「スーパー戦隊」シリーズには、過去にも昆虫モチーフのメカは登場しているのですが、主役ロボットで昆虫モチーフは初めてとなります。デザインを考えていく中で「カブトムシとブルドーザー」といった、「虫×建機」というようなモチーフの組み合わせも考えていたのですが、今回はそういうのではなく、初の昆虫モチーフ戦隊として、直球で虫の姿をそのまま再現したメカにしよう、ということになりました。

 実際のデザインに落とし込むのはプレックスが手がけ、変形前の虫ならではのシルエットにはかなりこだわっています。この昆虫の姿そのままのメカが合体すると人型ロボになる。この驚きを大事にしています。

パワフルさを感じさせるキングオージャーのデザイン

木村氏:「なぜ虫にしたか?」という根本部分ですが、長い歴史を持つ「スーパー戦隊」シリーズにおいて、お客様に驚きを与えたいというのは毎年本当に頭を捻っているところで、これまで先人達があらん限りのアイディアを込めているだけに本当に難しいのですが、「虫」で「最初のロボが10体合体」というところでどうだろう? というのが「DXキングオージャー」の大きなポイントとなります。

――「戦隊ロボはまず驚きを!」というのはとても共感できるコンセプトです。他にも大事にしている、シリーズを通じて意識しているポイントはあるのでしょうか?

木村氏:「DXキングオージャー」に関しては"可動"ですね。ただ、これは「DXドンオニタイジン」から受け継いでいる部分なので、シリーズを通じてというわけではありません。「戦隊ロボで求められているもの」というのは少しずつ毎年変わっているものだと思います。

 初代の「バトルフィーバーロボ」には現在長く続いている「5色のメカの5体合体」という特徴はなかったです。毎年の戦隊ロボは何らかの面白さを加算されています。諸先輩方が作り上げてきた戦隊ロボの歴史。「変わり続ける」ことを求められているところがおもちゃにはあると思いますし、今回の「DXキングオージャー」では、可動の楽しさを受け継ぎ発展させる、ということを意識しました。

初めての戦隊ロボは1979年放映の「バトルフィーバーJ」に登場するバトルフィーバーロボ。画像は2006年に発売された「超合金魂GX-30 バトルフィーバーロボ」。バトルフィーバーロボは変形合体はなかった。ここから様々なアイディアが盛り込まれ戦隊ロボは進化していく

山本氏:一方で、商品として大事に守っている所はあります。「お子さんでもきちんと合体遊びが楽しめるところ」です。「DXキングオージャー」の対象年齢は3歳以上です。デザインや可動にこだわりながら、3歳のお子さんが合体遊びを楽しめるように合体変形のやりやすさ、安全性も気を配りながら作っています。「凝った変形ではなく、面白い変形を意識する」というのは、これまでも、これからも継続していく要素です。

 ……もちろん工場での生産のしやすさ、商品価格とのバランスも大事です(笑)。まず「DXキングオージャー」をしっかり購入していただいて、ご予算を考えて追加装備で楽しんでいただく、ということは意識しています。

木村氏:「DXキングオージャー」は、虫メカが10体入ってこのお値段! みたいなお得感も感じて欲しいなと。虫の形で並べたときのボリュームはこの商品のセールスポイントの1つです。

プロポーションと可動に注力しながら、遊んで楽しい本質を追求

――「DXキングオージャー」はやはりその変形合体が大きな魅力だというのがわかりました。デザインそのものはプレックスさんですが、商品として実現の際のポイントはどこでしょうか?

木村氏:プロポーションの追求には力は入れました。ギミックやコンセプトとプロポーションの両立。は、常に変形ロボット作りの難題でありますが、「DXキングオージャー」はヒーローロボとしてのプロポーションと、そして可動、さらに合体という難題に挑んでいます。

【マッシブなプロポーション】
力強いプロポーション。設計では足を開いたヒーロー立ちの姿でも検討を重ねたという

 通常、ロボットの立体化をするための設計は直立した姿で3Dモデルを起こしていくのですが、「DXキングオージャー」の場合は"かっこよさ"がこの姿だと確認しきれない部分がありました。このため、データの時点で足を開かせ、つま先を外側に向けたヒロイックな立ち姿を意識して設計を進めました。設計上のデータ興しは直立の姿なのですが、確認と調整用にヒーローロボとしての立ち姿をデータの時点で追求しています。

 足の付け根は2軸のクリック関節を使うことで強度と自由度を確保しています。腰部分のゴッドクモは足が動くので、調整すれば腿をかなり前に出すことができ、膝立ちも可能になります。腰も捻られるので、様々なポーズを取らせることができます。

山本氏:腕に関しては、胸部分の装飾と一緒に基部ごとの回転ができるだけでなく、肩と上腕の間にも軸を仕込むことで、胸部分を動かさない見栄え重視の可動ができます。基部から大胆に可動させるか、見栄えを考えたポーズを取らせるか、選択が可能にしています。クワガタとしての関節がそのままロボットとしての関節に使えるのは、これまでの商品開発のノウハウです。変形時とロボット時での関節は共用することで、コストを下げることができます。

【関節の自由度】
腕や足、腰など多彩な関節で自由度の高いポージングができる
膝立ちも可能だ

木村氏:前作である「DXドンオニタイジン」が可動に力を入れることで話題を集めましたが、「DXキングオージャー」はさらに可動に注力しました。その1つが「クリックの刻みの細かさ」です。「DXキングオージャー」は肩や膝、肘や足の付け根など、角度である程度固定される「クリック関節」を使用していますが、前作よりクリックの刻みを細かくすることで、より多彩な表情付けが可能になっています。

――ユーザーに注目して欲しいポイントも教えてください。

山本氏:各部に設けられたジョイントです。こちらは今後の拡張を視野に入れた設計になっていて、位置や大きさなどは最後まで調整を重ねました。「DXキングオージャー」では剣をどう持たせるかもかなり調整しましたね。部品の分割からしっかりと剣に見えるようにシルエットを形成する設計、強度もきちんと考えています。

 特に、腕や剣、太ももには凹凸のある新ジョイントを採用しているところはオススメポイントです。ゴッドテントウなどはこのジョイントで接続されていて、前腕、上腕、さらには前腕の側面などにも付けられます。ゴッドテントウを盾に見立てて腕の側面に付けたりもできるんです。このジョイントは今後登場するパワーアップメカの接続にも有効です。玩具らしい操作感、くっつく感じが面白いと思います。

【ジョイント】
凹凸のあるジョイントを腕や武器などに使用しており、パーツの着脱が可能。今後の拡張にも応用できる機構だ

――「DXキングオージャー」に関しては、昨年のスーパー戦隊の戦隊ロボ「DXドンオニタイジン」というプロポーションと可動にフォーカスした商品の存在が欠かせないと思います。「DXドンオニタイジン」からのフィードバックなどが活かされているのでしょうか?

木村氏:「DXドンオニタイジン」はそれまでの戦隊ロボからプロポーションや可動に注力した初めての試みとなりました。初めてだっただけに、試行錯誤も多かったんです。だからこそ反省点や改善点も見えてきました。「DXドンオニタイジン」があったからこそ、「DXキングオージャー」でできたことというのはたくさんあります。

 「DXドンオニタイジン」の関節設計や、部品強度でかなりのノウハウが蓄積され、これを「DXキングオージャー」には多く反映しており、従来の戦隊ロボに近い大きさの全高でもしっかりと可動をする玩具にできました。

――「DXキングオージャー」に関しては、基本のセットに加え、既に新たな武装「DXゴッドカブト」が公開されています。「DXキングオージャー」の全長を超える全長約400mmの武器カブトキャノンに変形する驚きの武器ですが、この武器を番組開始前に公開する意図も含めて、特徴を教えてください。

【ゴッドカブト】
追加装備となる「DXゴットカブト」。番組放映前で第一の追加装備が公開されている

木村氏:「どんどん新しい虫が出てきて、パワーアップしていくんだ」ということをまず印象づけたかったんです。そしてその虫がとんでもなく巨大な武器になって合体する。キングオージャーのロボコンセプトでワクワクしていただき、番組を楽しみに待っていただきたい。そんな思いもあったりします。今後店頭での展示も行わてもらいますが、とにかくでかい! ぜひこのキャノン状態の大きさを実際に見て欲しいですし、ロボに装着すると迫力満点のかっこよさです。

――「DXキングオージャー」は「DXドンオニタイジン」のフィードバックを受けた上で進化させています。他にもどんな挑戦を心がけているんでしょうか?

木村氏:挑戦はいつも難しいです。方向性は引き継いでも、同じものになっては意味がない。どう変えるかも強く求められます。「DXキングオージャー」の基本に関しては今回色々語らせていただきましたが、やはり期待していただきたいのは"今後"です。もちろん今は言えませんが「今年も面白いですよ」ということだけは声を大きく言いたいですね。とっても楽しい合体ロボになります、ぜひお楽しみに。

山本氏:「DXキングオージャー」はもちろん、今後の商品に関しても"塗装"は注目ポイントの1つです。「DXゴッドカブト」の金メッキは実現できた目標の1つです。クリアパーツの使い方とか、素材の使い方も期待してください。

――最後にユーザーへのメッセージをお願いします。

木村氏:まずは1号ロボである「DXキングオージャー」を手に取っていただき、"今年のロボ"を感じて欲しいです。ディテール感、プロポーション、可動……。実物を触っていただくことで実感していただけると思います。今後続々と登場するマシンに関しては、気に入ったキャラクターをを買っていただき、どんどん装備を楽しんで欲しいです。

山本氏:「DXドンオニタイジン」以上に細かい可動を実現できました。可動はもちろん、「DXキングオージャー」の10体合体を楽しんでいただきたいです。戦隊ロボらしいしっかりした構造と、クリック感のある関節、合体の楽しさ。私たちが大事にしている戦隊ロボの楽しさと新しさのある玩具になっています。変形合体とポージングをたっぷり楽しんでください。

――ありがとうございました。

玩具としての遊ぶことの楽しさを追求しつつ新しさを盛り込む、とても挑戦的なプロダクトだ

 今回実際の商品を見ての感想は「カッコイイ」であった。昆虫モチーフで、デザインもとげとげしているし、ディテールもたっぷり、ヒーローロボとしては王道から少し外れた悪役要素も感じさせるデザインだが、変形させ、合体するととてもケレン味があってカッコイイ。

 そして動かすときのしっかりとしたクリック感と、玩具としての頑強な構造は単純に遊んでいて楽しい。そしてカブトキャノンである。番組終盤の最終武器のようなデカイ大砲がいきなりつくのだ。「お客様に驚きを」という開発の根幹のコンセプトが伝わってくる。とても面白いプロダクトだと思う。このロボが番組でどう活躍するかも期待したい。