インタビュー
カッコ良さに子供も大人もない! 「ゼンカイジャー」玩具の心躍るギミック!
戦隊玩具企画担当・寺野氏が語る、直感的に伝わるヒーローデザインの魅力
2021年12月30日 00:00
「スーパー戦隊」の玩具シリーズは、「仮面ライダーの変身ベルト」と共に子供達の心をがっつりつかむバンダイの商品である。戦隊の玩具の大きな特徴は「戦隊ロボ」と呼ばれる巨大ロボットの存在。等身大のヒーローが切れの良いアクションで戦った後、戦隊ロボの重量級の戦いが繰り広げられる、子供達にはたまらないたっぷりのアクションシーンが楽しめる。
2021年3月からスタートした「機界戦隊ゼンカイジャー」は、「5人のヒーロー」というこれまでのフォーマットに大きく変化をさせ、人間が変身するヒーロー「ゼンカイザー」と4人の機械生命体「キカイノイド」のチームという構成となった。
キカイノイド達は等身大の戦いを繰り広げるだけでなく、巨大化して2体ペアで合体し組み合わせによって4種類に変化する「ゼンカイオー」となる。ゼンカイオーに合体しても2体のキカイノイドの意識はあり、乗り込むゼンカイザーと協力して敵に挑むという、これまでの作品以上にロボットにキャラクター性を加えた点でも話題を集めている。
このヒーローと子供達を繋ぐスーパー戦隊玩具は大きく分けると等身大のヒーローが使う武器や変身アイテム、ヒーロー達に“なりきれる”商品玩具を「なりきり玩具」と呼ぶ。もう1つ巨大なロボットが敵と大迫力の戦いを繰り広げる「戦隊ロボ」がある。今回、この「機界戦隊ゼンカイジャー」の玩具を企画担当するのがバンダイ トイディビジョン ブランドデザイン部の寺野彰氏である。寺野氏はBANDAI SPIRITSコレクターズ事業部で超合金やMETALBUILDを担当しており、弊誌でもインタビューを掲載している。独特のこだわりと想いを込めて商品と向き合い続ける人物である。
今回のメインテーマは「戦隊玩具のカッコ良さ」である。「機界戦隊ゼンカイジャー」の玩具の対象年齢は3歳以上。複雑なギミックは子供達の“カッコイイ”を実現するには難しい場合もある。子供がしっかり実現できるギミックで、わかりやすく、ヒーローになりきれ、ロボットが変形合体をする。劇中そのままの“体験”が求められる。
そして、子供の玩具の扱い方は大人とは違う。振り回した武器が堅いものにぶつかってしまうこともあるし、ロボを床に落としてしまうこともしょっちゅうだ。子供向け玩具で求められるのは“安全性”である。振り回したり、落としても壊れない。頑丈さも求められるのだ。この安全性をもたらすため、戦隊玩具は徹底した耐久力試験や安全性を配慮して生み出されている。今回、寺野氏に加えアジアトイ戦略部 品質管理チームの飯島友梨奈氏に話を聞いた。「シンプルに伝わるカッコ良さ」を追求しながら、子供達が遊んで楽しい安全性も実現しているスーパー戦隊玩具の魅力を聞いた。
子供に向けた玩具を作ってみたい! ヒーロー像の構築からスタートする戦隊玩具
最初に質問したのは寺野氏が大人向けのコレクターズ事業部から、「戦隊玩具」を手がけるトイディビジョン ブランドデザイン部への異動を希望した理由である。寺野氏は商品オリジナルデザインである「超合金 トイ・ストーリー超合体 ウッディ ロボ・シェリフスター」や、「超合金 超合体SFロボット 藤子・F・不二雄キャラクターズ」なども手がけていく中で「合体ギミックの源流」を意識していたという。
戦隊ロボはかつては超合金ブランドで展開していた。コレクターズ事業部はその超合金ブランドから大人向けの「超合金魂」が生まれる流れでハイターゲット向けに発足した部署であるが、ある意味バンダイの“合体ロボの源流”といえるのが「戦隊ロボ」であり、いつかこれを担当してみたいという想いは寺野氏は持っていたという。
そして寺野氏には息子がいる。男の子から得られる情報は圧倒的だった。「いつ遊ぶか」、寝る前なのか、昼間なのか、それともずっと持っているのか? 「どう遊ぶか」、眺めるのか、同じ場所をぐいぐい動かすのか、振り回すのか、合体を繰り返すのか? 男の子が玩具を遊ぶそのリアルな感触は「男の子向けの玩具を作ってみたい」という気持ちを強めたと寺野氏は語った。
今回、聞きたかったテーマの1つは「スーパー戦隊が生まれるまでのプロセス」である。スーパー戦隊は変身アイテムや武器、乗り込むロボットなどバンダイの商品開発と密接な関係にある。ヒーローのデザイン、様々なアイテム、武器、ロボのデザインやギミックは番組を制作する「東映」、商品を製作・販売する「バンダイ」、そしてヒーローなどのデザイン・企画を担当する「PLEX」など複数の担当が協力して生み出されていく。寺野氏はトイディビジョン ブランドデザイン部に異動したのは2020年4月、「機界戦隊ゼンカイジャー」は立ち上げから関わった。
「機界戦隊ゼンカイジャー」に関しては、「全体ロボを強く打ち出したい」という想いに東映の白倉伸一郎プロデューサーをはじめとしたスタッフが独特の答えを提示した形になる。もちろんこれまでも様々な形でヒーローの姿、フォーマットに変化をもたらしてきたが、今回は戦隊のメンバーとしてロボットが登場、そこからそのまま巨大ロボとなるというキャラクター性が生まれた。
今回最初の戦隊ロボ「ゼンカイオー」は、2体のキカイノイドが左右合体する。2体合体というのは、近年の戦隊ロボの合体としてはかなり少ないといえる。2体に決まった理由の1つがバンダイ側の「音声による合体シーケンスの再現」だ。劇中の合体シーンの音楽、音声がロボの変形に合わせて鳴り響き、合体をさせていくと「ガシーン」といった合体音声が鳴り響く。まるで劇中のシーンをその手で再現しているかのような、とてもカッコイイ演出だ。今回寺野氏の実演を録画したので、ムービーを見て欲しい。
凝った合体音声を鳴らせるためある程度のサイズの音声ユニットが必要となる。またコストの問題もある。このため戦隊ロボ商品「全界合体 DXゼンカイオー ジュラガオーンセット」は、「ゼンカイジュラン」と「ゼンカイガオーン」の合体となるが、音声ユニットをゼンカイジュランに内蔵している。
ゼンカイジャーのメンバーはゼンカイザーと、ゼンカイジュランとゼンカイガオーン、ゼンカイマジーヌとゼンカイブルーンで構成されており、ゼンカイマジーヌとゼンカイブルーンは「全界合体 DXゼンカイオー ブルマジーンセット」で合体を再現できる。音声ユニットはゼンカイブルーンに内蔵。
子供達はこの2体のロボを持っていれば、異なる組み合わせゼンカイジュランとゼンカイマジーヌの「ゼンカイオー ジュラマジーン」。ゼンカイガオーンとゼンカイブルーンで「ゼンカイオー ブルガオーン」という4体の変形合体が楽しめるのだ。ジュランとブルーンの音声ユニットはもちろんこの異なる変形にも対応している。
音声ユニット搭載のためのロボットの大きさから2体合体のコンセプト、4つのロボットの組み合わせの面白さ、そしてドラマの上でそれぞれの合体で生まれるキャラクターの掛け合いを、リーダーであるゼンカイザーが取り持つというキャラクター性・物語作りに昇華される。こういった面白さは番組と玩具が密接に関係している「戦隊玩具」ならではだ。
「『ゼンカイオー』の音声ギミックのアイディアは『ライダー変身ベルト』からの発想です。変身手順を踏んでスイッチを操作すると劇中と同じ音がする。なりきり玩具からの発想です」と寺野氏は語った。
寺野氏はコレクターズ事業部で「DX超合金魂コンバトラーV」を手がけているがこの商品の売りが音声と合体ギミックの連動だった。劇中の各機体の音楽、合体した時の効果音などが劇中通りに鳴り響くのだ。「ゼンカイオー」ではこのときの経験も活きているとのこと。
「全界合体 DXゼンカイオー ジュラガオーンセット」ではもう1つ遊びの要素が入っている。片方が合体準備をしている時もう片方を変形させている間合体シーンを盛り上げる“待機音”が鳴る。ゼンカイオーは笛と太鼓という楽しい“待機音楽”なのだが、ちょっと時間をかけるとこちらを急かすように音楽のテンポが上がるのだ。「この仕掛けはゲームの「スーパーマリオ」からです。音楽のテンポが変わるとつい急いじゃう。そういう要素を入れてみました」とのこと。様々なアイディアを盛り込んでいるのだ。
カッコ良さには大人も子供もない! 安全性とのバランスを取ったデザインの追求
今回、もう1つなりきり玩具「全界変身銃 DXギアトリンガー」についても話を聞いた。大型の銃型武器で複数の銃身を回転させながら撃つガトリンガンモチーフ。ギアトリンガーはその名の通りギア(歯車)の「センタイギア」をセットさせることができる。センタイギアをギアトリンガーに収納、銃の側面についたハンドルを回すとギアが回転、引き金を引くことでギアの能力が解放される。
ゼンカイジャーのメンバーはそれぞれのセンタイギアを持ちゼンカイジャーへと変身する。ギアトリンガーは変身だけでなく、必殺技の「ゼンカイフィニッシュバスター」、さらにはジュラン達の巨大化、ゼンカイオーへの変身など様々な機能を持っている。これまでのスーパー戦隊のギアもあり、彼らの力を呼び出すことも可能だ。
ギアトリンガーはサブマシンガンくらいの、銃としてはちょっと大きめのデザイン。フォアグリップもついていて両手で扱う銃としての説得力もある。銃の上部は透明のカバーがついていて、ここにセンタイギアを入れる。面白いのが銃の側面についているハンドル。釣りのリールのようにハンドルを回すと銃身が回転、内部のセンタイギアも回転するのだ。ガトリングガンとしての砲身、グリップなど銃として説得力のあるデザインと、銃前面のワシの顔の意匠や商品名が描かれたステッカーなど、銃とヒーロー玩具としてのデザインバランスも面白い。
劇中のギアトリンガーに比べ、「全界変身銃 DXギアトリンガー」はサイズが小さめだ。これは子供の体の大きさと、ゼンカイジャーの体の大きさの比率を考えてのことだという。ゼンカイジャーが持つギアトリンガーと同じ比率でギアトリンガーを振り回せる。また銃のデザインは子供の握力を考えて持ちやすく重さなども考えているとのこと。
玩具のデザインにおいて「安全への配慮」は大事な要素だ。例えば玩具が床に落ちた場合、部品が割れ鋭角になってしまったら子供が傷ついてしまう。こういったことを避けるため出っ張った部分はPVCという軟質の素材でできている。大人の力で力を入れると部品はぐにゃりと曲がり、割れない。PVCは柔らかいがディテールが出せない。素材によってデザインやシルエットに影響が出る場合もある。
もちろん剣先なども過度にとがらせない。合体のシーケンスにおいて指が挟まるような構造もNGだ。こういった安全対策は玩具開発においての重要な要素であり、ヒーローやロボットデザインにも取り入れられている。そのうえで「子供が憧れるカッコイイヒーロー像の追求」と、「子供が求めるカッコイイヒーロー玩具」という2つのポイントをPLEXが主導となって行なっていく。
そして寺野氏が戦隊玩具を手がけることで、改めて実感できたのが「PLEXのセンス」だという。各キャラクターを示すマークは実に効果的に配置されている。動物などのモチーフ、顔や爪などはすごくわかりやすく配置されキャラクター性を際立たせる。安全性を考えデフォルメされてもしっかりメカ感が伝わるメカらしいラインなど全体から細部まで凝っていて感心させられることが多かったとのこと。
「本来、カッコイイに子供向けも大人向けもないと思うんです。もちろん大人になったら『理屈としてカッコイイ』というものはあります。だけど、直感的にわかる、わかりやすいカッコ良さというものはあって、PLEXはそこをきちんとつかんでいる。大人がわかるカッコ良さの『経験でわかる』という要素ではなく、キャラクター性、強そう、大きい、といったストレートなカッコ良さを突き詰めています」(寺野氏)
「コレクターズでの企画は『大人である自分たちが欲しいものを実現する』という意識で商品を作っていました。今は子供達へ向けて作っている。またモチーフへの向き合い方も違う。以前はすでに存在しているキャラクターを再現する方向でしたが、今は映像と同時並行でできあがっていく。このキャッチボールは本当に面白いと思います」(寺野氏)
98cm高さからの落下テストなど、バンダイが求める安心安全の基準
「『戦隊玩具』の対象年齢は3歳以上。お客様へ安全・安心を提供するための品質設定と評価をするのが品質管理チームの業務です。例えばギアトリンガーの落下テストですが、どのくらいの高さからやると思いますか? 98cmから堅い床に、しかも壊れそうな部分を狙って落とすんです」。寺野氏の言葉に、飯島氏が実演してみせる。
品質管理チームは玩具を落としたり引っ張ったり ひねったり、とにかく玩具を壊す勢いでテストを繰り返すのだという。品質管理を担当する飯島氏はバンダイに入社してまだ2年目。「戦隊玩具などのヒーロー玩具に関わりたい」という希望がきちんと叶えられた形になった。
飯島氏は「ヒーローが好きでバンダイに入社した」とのこと。子供の頃に「百獣戦隊ガオレンジャー」にあこがれそのままスーパー戦隊や仮面ライダーが大好きになったという。飯島氏は「魔進戦隊キラメイジャー」のテストを経て、「機界戦隊ゼンカイジャー」の玩具も担当することになった。
飯島氏が今回の商品で一番印象に残っているのが製品を振り回したり、振り下ろしたときに、パーツが分離して飛んでしまう危険性を防止するテスト。今回はギアトリンガーのパワーアップアイテム「DXゼンカイジュウギア」と合体した状態でも振り回した時に安全なようにしなくてはならないのだ。
ゼンカイジュウギアは単体で恐竜型の小型ロボとなりこれが変形してギアトリンガーに収まる。まず玩具として求められるのは「子供が直感的に合体できること」。はめ込んでパチンと気持ちよく合体できねばならない。しかししっかりとホールドできなくては、振り回した時に外れてしまう。そして直感的に外せるようにもしなくてはならないのだ。
接続の形状はギアトリンガーの時点でもう決まっている。接続部分はセンタイギアをはめる際のジョイントと同じ上、ハンドルを回すと回転しなければならない。外す際は子供が操作できるシンプルなボタンスイッチで、しっかり外れるようにする。……それなのに、振り回したらその衝撃で外れてはならない。この調整は難しく、設計担当と何度も協議を重ねたという。
前述の「落下テスト」だが、合体状態でも行なう。「DXゼンリョクゼンカイキャノン」と4体のロボが合体した「ゼンリョクゼンカイオー」でももちろん行なうのだ。5体のメカが合体したゼンリョクゼンカイオーを98cmの高さから堅い床の上に落とす。もちろん合体部分が外れてバラバラになる。しかし、破損して、危険な箇所が発生してはいけない。
このため、強い衝撃を加えたり、無理に引っ張ったりするとあえて外れるようにしている部分もある。関節など可動部分を子供が無理に動かしてねじ切ったりさせないために、強度を上げたり、外しやすくする場合もある。ちなみに今回のゼンリョクゼンカイオーへの合体のギミックは強度面で外れるようにしたパーツも合体の機能として取り入れたとのこと。落ちてバラバラになっても良いのだが、振り回して外れてはいけないし、割れるようなことがないようにしなくてはいけない。幾つもの矛盾するポイントをクリアしなくてはならない。
今回見せてもらったのが検査専用器具「シャープポイントテスター」。中心部に穴が開いておりここにとがった部分を挿入し、危険な尖った先端だとライトが光るというもの。部品が割れた時の安全性を調べるだけでなく、ロボの鼻の先端まであらゆるところを細かくチェックする。さらに赤い筒状のプラスチックの治具は窒息の危険があるか調べるためだ。この筒に入る大きさの部品にならないようにする。外れる構造のものでもこの筒に入らない大きさにするなど、窒息の危険を防ぐ。
「戦隊玩具は関節がクリック構造になっている部分が多いですが、これは耐久度を持たすためだったり、急に動いて子供が指を挟まないようにするなど安全性を考えているからです。大人向けの商品でも耐久度テストはしますが、ここまで過酷なテストはしない。このテストのすごさはバンダイ社員として知ってはいましたが、こうやって社外の方に話をすると驚かれますよね」(寺野氏)
バンダイも所属する一般社団法人 日本玩具協会では「STマーク」を発行している。協会が定める安全基準で、機械的安全性、可燃安全性、化学的安全性を保証するものだ。しかし玩具メーカー各社はそれより厳しい自社の安全基準を設定している。筆者はバンダイの様々な部門で「バンダイの社内基準はすごく厳しくて玩具作りはそこをクリアするのが大変」という話は聞いていたが、改めて驚かされた。
寺野氏はさらに「『落ちた時にパーツが割れないようにある程度の大きさの部品で外れる』、『合体に必要な接続強度をきちんと確保する』、『子供がはめ込みやすいように複雑な手順ではなく合わせるだけで合体できるようにする』……。こういった様々な要求を目指し、なおかつわかりやすいカッコ良さも持たせる。バンダイの設計チームはこれまでのノウハウを活かしながら、高いクオリティで商品を作り、そして品質管理の厳しいチェックに合格している。本当にプロダクトとしてのすごさを実感します」と言葉を重ねた。
「バンダイの製品はひっぱったりねじったり、大人が本気で壊すようなテストをクリアしている。それでいてちゃんとデザインがかっこいいんです。機能と安全性を満たしながら、例えば剣の先端パーツはちゃんととがっていて、尻尾から剣に変わってどちらの形態もカッコイイ。こういうところが私は好きです」(飯島氏)
もちろん飯島氏の仕事はただひたすら玩具の強度を試すだけでなく、品質管理を円滑に進めるための全体の作業や、マニュアル作成、ユーザーへの情報提示など多岐にわたる。バンダイの品質を管理するチームなどが属するプロダクトマネジメント部には「お客様相談センター」で直接ユーザーと言葉を交わしバンダイの“顔”として商品への意見を直接受け止め、会社としての対応を考える仕事もしていく。バンダイの様々な活動を子供達に出張授業をするスタッフもいる。
マニュアル作りも大事な仕事の1つだ。商品の魅力をいかに伝え、わかりやすく説明するか。マニュアルとしての信頼感を持たせながら、きちんと読む子供達をワクワクさせなければならない。玩具は商品そのものだけではなく、パッケージでのイメージを膨らませるアプローチや、マニュアルでの機能の伝え方、パッケージときちんとなじむ注意書きの表記など、本当に様々なものにそれぞれノウハウが詰まっている。品質管理はその“全体”を考えるチームなのだと飯島氏は説明した。
読者へのメッセージとして寺野氏は「今回は『戦隊玩具はいかにガシガシ触っても壊れないか、ちゃんとしているか』をアピールできたと思います。ハイターゲット商品の繊細な表現とは違う、ガンガン遊ぶ楽しさの方向を示しています。大人の方も触っていただいて現代の子供向け玩具の楽しさを感じて欲しいです。新鮮に感じると思います。『確かに98cmから落としても壊れなそうだぞ』とか感じてもらいたいです」。
飯島氏は「やっぱり小さい子が遊んで、その子の『幸せな時間』を玩具で感じていただけたらと思います」と語った。
「これほどか」と驚かされることが多かったインタビューだった。戦隊玩具は遊びに特化し、子供達がそのギミックをたっぷり楽しむための商品であるということを知識として持っていたし、バンダイの安全基準は要求が高く、様々な開発者がこの基準を満たすためのバランスをかなり苦労して満たしているのは知っていたが、改めて具体的な要素を聞くと驚かされる。
それでいてきちんとカッコイイのだ。まずギミック、大きく姿が変わったり、合体したり、盛りだくさんの要素を持ちながらプロポーションもしっかりしている。そして「遊んでいる風景の楽しさ」だ。音が鳴り、劇中のヒーローのアクション、ロボットの合体シーケンスが再現できる。現代の玩具の進化は本当に様々な方向性を持っているというのを実感できた。今後も様々な商品の魅力だけでなく、今回のようにバックボーンに迫る取材もしていきたい。
(C)2021 テレビ朝日・東映AG・東映