インタビュー
「GFFMCガンダムデスサイズヘル(EW版)」開発者こだわりのポイントは?
カトキハジメ氏が注力したバスターシールドの立体感
2023年3月1日 10:23
- 【GFFMCガンダムデスサイズヘル(EW版)】
- 3月1日16時 2次受注開始
- 8月発送予定
- 価格:33,000円(税込)
BANDAI SPIRITSコレクターズ事業部は、フィギュア「GFFMCガンダムデスサイズヘル(EW版)」の2次受注を3月1日16時より開始する。発売は8月。価格は33,000円。本商品の一次受注は2月27日に行われたが、人気が高くあっという間に規定数に達してしまった。買い逃した人はぜひ2次受注で申し込んで欲しい。
「GFFMCガンダムデスサイズヘル(EW版)」は、OVA「新機動戦記ガンダムW Endless Waltz」に登場した「ガンダムデスサイズヘル」をモチーフとしたアクションフィギュア。コウモリのような羽が大胆に広がる驚きのギミックの他、様々な形に組み替えられる武装、装甲が展開する「グリムリーパーモード」や、飛行形態の「レイヴン形態」へと変形可能と言った特徴がある。
本稿では前回のレポートに続き本商品の企画を担当するBANDAI SPIRITSコレクターズ事業部稲吉太郎氏にインタビューとして思い入れのポイントを深掘りしていきたい。
最大の注目ポイントはやはり翼。カトキ氏の細かいこだわりも魅力
――非常に魅力的なギミックを持つ「GFFMCガンダムデスサイズヘル(EW版)」ですが、開発で難航したところはどこでしょうか?
稲吉氏:最大のオススメポイントである翼のギミックは、一番大変なところでもありました。この開閉ギミックをどう見せるか、どう実現するか、設計担当と何度も話し合い調整を重ねました。カトキさんのデザインを実現するためにはどうするか、実現させるためにデザインをどう調整するか、何度もキャッチボールを行って実現させました。
翼の最終的なデザインと仕様が決定するのに、1年近く時間がかかっています。もちろん他の仕事も並行してではありますが、これだけ時間がかかるのはあまりないことです。私はカトキさんとはずっと「デスサイズをやりたい」と言っていたんですが、だからこそ実現できたことに感慨があります。
――企画担当として様々なキャラクターに思い入れがあるともいますが、稲吉さんはガンダムデスサイズには特別な思い入れがあったんですか?
稲吉氏:はい、やはり「コウモリのような羽をもつ機体」というイメージが大好きなんです。ガンダムは「ライフルとシールド」というポピュラーなイメージがあると思うんですが、特長的な羽に鎌で敵を倒すという、従来のガンダム像にはないイメージの広がりに痺れました。加えて、この機体に搭乗するデュオ・マックスウェルが人間的な意味でも好きなんです。「ガンダムW」の中でも共感できるキャラクターで、思い入れがあります。
――本商品は「GFFMCガンダムウイングゼロ(EW版)」の仕様をある程度受け継ぐ、ゼロシステム発動形態や、飛行モードなど、求められるものがあったとは思いますが、その上で「GFFMCガンダムデスサイズヘル(EW版)」だからこそ実現できたものは何でしょうか?
稲吉氏:繰り返しになりますが、羽のギミックです。本商品の最大の特徴であり、オリジナリティのあるところです。今までの立体物では見たことのない羽の展開、羽の動きを見せたかったんです。開いたり閉じたりするだけでなく、複雑に折れ曲がり、基部を後ろにそらせ、先端をぐいっと前に曲げることも可能です。この羽の可動ギミックは見た目はもちろんですが、ポーズを取らせる時の腕の自由度を上げるためにも必要なギミックでした。
翼は開くだけでなく、内部は塗装されています。機構、保持、開いた時の見え方、そういった様々な要素をこの細かいパーツに込めています。これは本当に私が実現したいという想いを込めて設計担当者にお願いをして、たどり着いたギミックです。
もちろん本体もこれまでの技術が積み重なっており、可動、スタイリング、ディテール表現に、装甲可動など見所は非常に多いのですが、今回は羽に特に注目して欲しいと思います。
――翼に関しては非常に強いこだわりがありますが、それ以外で、カトキさんがこだわった部分というのはどこでしょうか?
稲吉氏:ほぼ全体にカトキさんのこだわりが詰まっていますが、細かい部分ですと、バスターシールドヘルの中央の十字の立体感です。黄色の十字が浮きでていることで、立体物として影が生まれ、高級感が生まれます。これはシールドと十字を別パーツにすることで生まれる立体感がこの雰囲気をもたらしています。
もう1つが飛行モードでの肩スラスターの動きですね。変形時できるだけ流線型になるような可動をします。カトキさんのこだわりは全身に及んでいるのですが、随所に特にこだわったデザインやギミックが盛り込まれています。
こういった箇所は私がカトキさんとやりとりをした上で特に印象に残っているところです。「トップデザイナーはこう言うポイントも注目するのか」と思いました。全身にこだわりがあるのですが、この2つは「そこをこだわるのか」と印象に残っています。
マーキングに関してはミリタリーテイストのある、カトキさんならではのデザインだと思っています。
――他にも読者にアピールしたい特徴はありますか?
稲吉氏:武器の組み替えの楽しさです。玩具オリジナルの様々な武器の組み替え、ブロック玩具的な組み合わせで、例えばてんこ盛りにした鎌を作ってみたりも可能です。意図していなかったんですが、組み替え替え、アレンジが可能な昨今のロボプラモデルの様な遊び方もできる商品になったと思います。
私が手がけたMETAL BUILDの「オルタナティブストライク」の特に「レッドドラゴニクス」もそうですし、同じくMETAL BUILDの「ガンダム00」系統も様々な武器や装備をユーザーのアイディアで組み合わせたり、色々な場所に付けたり、トイならではの面白さがあります。
実はこれらのカスタマイズが楽しめる商品は私たちにも紹介しきれないようなプレイバリューや、実は発表していない設定、形態などもあるので、ユーザーの皆様の手で色々組み替えたり、自分なりの設定で遊んで欲しいです。本当に自由度を高めて作ってるので、たっぷり遊んで欲しいですね。
――「GFFMCガンダムデスサイズヘル(EW版)」のお気に入りのポーズをお願いします。
稲吉氏:製品版はしっかりしているので、もっとかっちりポーズが決まりますが、こういう感じですね。翼はもっとしっかり開きます。片側だけ開くというのもカッコイイと思います。
――最後にユーザーへのメッセージをお願いします。
稲吉氏:皆様に「GFFMCウイングガンダムゼロ(EW版)」シリーズを応援していただいたおかげで、「GFFMCガンダムデスサイズヘル(EW版)」が実現できました。こちらもバリエーション展開をしていきたいと思っています。アーリータイプや、小説版など、モチーフは色々ありますし、ご期待ください。
――ありがとうございました。
「GFFMCガンダムデスサイズヘル(EW版)」は、やはり翼が開き内部の複雑なメカが露わになる瞬間の驚きが楽しい。稲吉氏が想いを込め、設計担当が苦労して実現したのが実感できる部分である。この翼の機構は以降の「GFFMCガンダムデスサイズヘル(EW版)」のバリエーションでも継承されていくだろう。ぜひ注目して欲しい。
©創通・サンライズ