インタビュー
ゾイド「RMZ-007 トリニティライガー」&「RMZ-008 コマンドウルフ アーバイン仕様」開発者インタビュー
2025年2月24日 00:00
- 【RMZ-007 トリニティライガー】
- 8月下旬 発売予定
- 価格:6,600円
- 【RMZ-008 コマンドウルフ アーバイン仕様】
- 9月下旬 発売予定
- 価格:5,500円
タカラトミーのハイターゲット向けホビーレーベル「T-SPARK(ティースパーク)」より展開される1/100スケールアクションプラキット「REALIZE MODEL(リアライズモデル)」シリーズ。
その中で「ZOIDS(ゾイド)」シリーズのゾイドたちが続々商品化が発表され、アニメの主役機はもちろん「ZOIDS」の各勢力を支える様々な機体をラインナップしている。
中でもゲームボーイアドバンス用ソフト「ZOIDS SAGA(ゾイドサーガ)」の主役機・トリニティライガーが初めてプラキット化され、強烈なインパクトを与えた。たてがみの展開ギミックをはじめ、ギミック盛りだくさんの機体となっている。
そして、アニメ「ゾイド -ZOIDS-」より傭兵・アーバインの相棒である黒いカラーリングにロングレンジライフルを装備した「コマンドウルフ アーバイン仕様」も商品化。イベント「T-SPARK ZONE 2025」では、一話限りの装備スプレッドミサイルのキット化も明らかとなった。
今回「RMZ-008 コマンドウルフ アーバイン仕様」の試作品の写真を交えつつ、本商品を担当されているタカラトミー ホビーキャラクター事業室コレクター事業部企画開発課の中瀬崇嗣氏にお話を聞いた。
数々の設定を詰め込んでアーカディア王国の伝説のゾイドがリアライズモデル化
――「RMZ-007 トリニティライガー」の立体化の経緯を教えてください。
中瀬氏:当時、私は玩具の開発チームにいましたが、コンシューマーゲームの開発メンバーの「ゲームオリジナルのゾイドを作りたい」という話から、ゲーム主役機の「トリニティライガー」は生まれました。
当時も立体化の話が無かったわけではありませんが、ムービングキットにした場合、歩きながら首のたてがみが回転したり、武器の展開などが期待される部分になるかと思いますが、そうするとデザイン的に不格好になってしまうことも懸念され立体化には至りませんでした。
中瀬氏:リアライズモデルの商品化ラインナップを検討した際は、「ブレードライガー」、「ジェノザウラー」、「コマンドウルフ」、「セイバータイガー」などゾイドの中でも定番のラインナップが挙げられましたが、、「せっかく何でもできるラインナップなので初立体化商品も必要だろう」、「ムービングキットには不向きな可動の多いギミックも、リアライズモデルなら再現できるだろう」という思いもあり、「トリニティライガー」を選択しました。
――「トリニティライガー」はゲーム主役機でこれまでほとんど立体化されていないゾイドだったので、商品化が発表された時は驚きました。
中瀬氏:実は、社内でも知っている人が少なく「?」と疑問を浮かべるメンバーも多いくらいマニアックなゾイドです。
20年以上前から、ゾイドのコンシューマーゲームソフトには関わることが多かったので、商品化を決めた時は当時のゲーム開発担当も大喜びしていました。
とにかく、リアライズモデルはあらゆるゾイドを商品化するんだという期待を持っていただきたくてラインナップ発表時に告知もしています。
――「トリニティライガー」も「ゾイドサーガ」のゲーム画面ではドットで表現され、のちの「ZOIDS VS.(ゾイドバーサス)」シリーズで3Dモデルが出ましたが、リアライズモデルによってギミックや造形がより鮮明になったかと思います。
中瀬氏:ゲームの劇中で表現されなかったギミックは、メカデザイナーさんのコンセプトスケッチを頼りに再現しています。
――「トリニティライガー」の造形についてお聞かせください。
中瀬氏:造形に関しては細かい部分でリファインをしております。メカデザイナーさんにも見ていただき、不明だった個所もクリアにしながらデザインを固めていきました。基本的に横から見ても目立ちませんが、たてがみのギミックや造形のために首がちょっと長いです。
中瀬氏:立体化にするにあたっての制約やサイズも1/100スケールと小型なので、開発段階では組み立てしにくい、たてがみを動かしにくいなどの問題もありまして、そこは調整を入れております。
開発初期は首を引き抜いてからたてがみを回すというのも考えましたが、そこまでしなくても可動範囲がキープできたので差し替えなどはありません。
――カラーリングや特徴的なたてがみなどはどのようになっていますか?
中瀬氏:カラーリングに関して、一番はクリアーパーツが多用されていて、黄色のクリア―パーツとスモークのクリア―パーツがあり、差し色の白色など今回の「トリニティライガー」はイラストベースなので色数がものすごく多いです。その色分けのために、パーツ数も増えてしまい組み立てが大変になったり、価格が上がってしまうリスクもありました。
なので、内側の見えにくいところはシンプルな構造としました。
――キットのボリュームとしては第1弾の「RMZ-001 ブレードライガー」よりも多めなのでしょうか?
中瀬氏:基本的な4つ足ゾイドの構造としては「ブレードライガー」が先行していたので、そこで培われたノウハウを活かしつつ、サイズもゲームの設定から逆算しています。
大きさ的には「RMZ-001 ブレードライガー」よりもちょっと大きいイメージですね。
――パイロットフィギュアには主人公のアトレーが付いていますね。
中瀬氏:アトレー王子は立体化は初めてだと思います。ゲームオリジナルゾイドなので、当初は一般兵を乗せる案も考えましたが、アトレーは抑えどころかなと。
――続いて可動についてお聞かせください。「トリニティライガー」ならではの可動などはありますか?
中瀬氏:そうですね。大きい部分ではやはり回転ギミックがあるたてがみやビームガンの展開などがあります。初の立体化でもあるので、動く設定がある箇所は動くようにしております。
――腹部のブースターもですが、脚部のアーマークローの展開もあって驚きました。
中瀬氏:気合で入れました(笑)
可動箇所が多いため、ポリキャップも多くなっています。たてがみだけでもポリキャップの数が多く、ブースターやバックパックにも使用しています。
一方で取り外しも簡単で組み替えもできるので、、ユーザーの方にもカスタムしやすいものになっているかと思います。
――コックピットハッチの開閉もありますが、やはりクリアーグリーンのキャノピーなども目立ちますね。
中瀬氏:もちろん、ハッチは開閉いたします。また、目元はクリアーイエローで、キャノピーのクリアーグリーンは元のイラストにもある設定なので再現しました。
コックピットハッチの開閉もヒンジを使って開くものになっていて、こちらの位置の検討や開け方の工夫をして今の形になっています。
――「トリニティライガー」で目指した表現や演出、テーマのようなものは何でしょうか?
中瀬氏:「RMZ-007 トリニティライガー」ではゲームでは再現しきれなかったギミックなど、当時からのファンの方に実際に触っていただいて「どうなっているか?」を触って楽しんでいただけることを意識しました。
――続いてこだわりポイントを教えてください。
中瀬氏:とにかくたてがみを回すのはマストでした。そのうえで、各たてがみパーツに装備されている3種類の武器とその出し入れのギミック、色分けをギリギリまでパーツで再現したのがこだわりです。
「トリニティライガー」のキャラ選択がそもそもこだわりですが(笑)
――次に開発していく中で苦労されたポイントはありますか?
中瀬氏:やはりたてがみが大変でした。首元とは2重関節で接続されていまして、正面から見た時と横から見た時のビジュアルのバランス調整できるようにしました。
――今後の機体展開としてライバル機の「ジェノハイドラ」などは期待されているかと思います。
中瀬氏:いずれは……ですが、今は何とも言えませんね。まだまだ、立体化が待たれているゾイドもありますので、お待ちいただけますと幸いです。
リアライズモデルはムービングキットの制約がないのもあり、ゲーム作品のゾイドは出る可能性は高いかと思います。
数々の熱いドラマを生み出したアーバインの相棒がリアライズモデルに満を持して登場
――「RMZ-008 コマンドウルフ アーバイン仕様」の立体化の経緯を教えてください。
中瀬氏:アーバイン仕様は「RMZ-003 コマンドウルフ」の設計と同時進行をしていました。実は「RMZ-008 コマンドウルフ アーバイン仕様」は別の開発担当者から引き継ぐ形で、その担当者からは「スプレッドミサイルを立体化したい」、「メモリーバンクは絶対に入れたい」という強い意志があり、今回の立体化で採用しております。
――造形面では「RMZ-003 コマンドウルフ」の違いやこだわった部分を教えてください。
中瀬氏:「RMZ-003 コマンドウルフ」の違いとしてはメモリーバンクとロングレンジライフルが付いていることで、本体は基本的にカラーリングが異なるものになります。
ただ、ムービングキットで出ていた「コマンドウルフ アーバイン仕様」の色分けは踏襲し、アニメでも特徴的な肩部の赤いアーマーは、成型色で再現されています。黒い丸のデザイン部分は塗装済みのものとなります。また、マフラー部分のメタリックシルバーも塗装で再現しています。
――ロングレンジライフルも伸縮ギミックや砲座があるのも驚きですね。
中瀬氏:そうですね。ロングレンジライフルは旧キットの「コマンドウルフ」の2連装ビーム砲座を改造しているので、それを踏襲しています。
アニメではアーバインが一人で操縦しているので、砲座に人を乗せることはありませんでしたが、今回はおまけ的にパイロットフィギュアを乗せることができます。
最初はロングレンジライフル全てを新規造形でやってみたのですが、ムービングキットを踏襲すべきと考え、2連装ビーム砲座に被せる形で再現しました。
伸縮ギミックもアニメではありませんでしたが、駆け抜けながらの射撃と精密射撃時の展開シチュエーションを妄想しながら楽しんでいただければと思います。
――ロングレンジライフルの可動はどのようになっていますか?
中瀬氏:左右の旋回はもちろん、上下の仰角調整もできます。また、基部には3mm受けが採用されているので、別のゾイドに付け替えることができます。
――パイロットフィギュアの造形はアニメ準拠のデザインなのでしょうか?
中瀬氏:もちろん、アーバイン仕様なのでパイロットフィギュアはアーバインが付いています。
――今回のキット化にあたり、やはりスプレッドミサイルが付いてくるのは驚きました。
中瀬氏:ムービングキットでも立体化されていないもので、先ほどの話にもありました前の開発担当者が「スプレッドミサイルを立体化したい」というのがはじまりでしたが、同梱するかは考えつつ試作を進めていました。
ただし、そのまま取り付けると割とシンプルな箱形状ですので、差し替えパーツで発射口の開閉を再現できるようになっています。差し替えパーツは4つずつ展開したものがあるので、全開や半分開けた状態にすることもできます。
また、弾頭パーツは別パーツになっていまして、塗装して楽しみたい方には塗分けがしやすくなっています。
――そして、アニメではレイヴンの乗るセイバータイガーを追い詰めた槍状の弾体があるのもいいですね。
中瀬氏:スプレッドミサイルだけでは何か足りないと思い、弾体も追加しました。劇中で印象的だたのはどちらかというとこちらなので「リアライズサポートパーツ」として、情景を再現するのが楽しくなるアイテムかと思います。
槍の弾体は黒とグレーで2本ずつ収録しております。
中瀬氏:口に咥えている20mm連射砲は、ジョイント箇所を作って「コマンドウルフ」の口奥にあるジョイントに合わせて咥えさせることで固定しやすいようになっています。
口元の取り付けに関しては「RMZ-003 コマンドウルフ」の段階で試行錯誤しており、口に咥えるのが一番フォルムを崩さないと思い現在の取り付け方法にしました。骨じゃないですよ(笑)
――メモリーバンクパーツは首のどのあたりにつくのでしょうか?
中瀬氏:メモリーバンクは首の上部、付け根あたりにはめ込む形になります。「RMZ-003 コマンドウルフ」には付属しないのでアーバイン仕様だけのパーツですね。
――アニメでの後継機となる「ライトニングサイクス」の立体化でもこの部分は期待が高まりますね。
中瀬氏:そうですね。「ライトニングサイクス」を立体化する時はマストの箇所になるかと思います。
――「RMZ-008 コマンドウルフ アーバイン仕様」のこだわりポイントを教えてください
中瀬氏:スプレッドミサイルの発射口のバリエーションを作ったことと槍状の弾体を立体化し、数多くつけたことですね。
――次に開発していく中で苦労した点はありますか?
中瀬氏:色分けですね。どうしてもマフラーの色分けが多く、左右各4パーツに塗装されているので大変でした。特に価格はおさえたかったので。
――今後の機体展開として「ライトニングサイクス」や「セイバータイガー」などは検討されていますか?
中瀬氏:欲しいですね。「ライトニングサイクス」は特に欲しいなと拘束具やコマンドウルフのメモリーバンクの移植とかはやりたいですね。とはいえ、先になるかと思います。
「この機体が出たから、ライバル関係のこの機体」というよりは、今はいろんなゾイドを展開している段階なので、今後のラインナップにも期待していただければと思います。
――最後にユーザー様へのメッセージをお願いいたします。
中瀬氏:私は「ゾイド」シリーズの担当が長いので、20年前にやりきれなかったアイテムにはフォーカスを当てたいと思っています。
ほかのシリーズにはなりますが、例えばアダマスマキナの「バーサークフューラー」の平成ファン向けヤクトユニットやAZ(ADVANSCED Zi)の昭和ファン(自分を含め)向け「シーパンツァー」、そして、リアライズモデルのゲームファン向け「トリニティライガー」などあまりこれまでの人気ゾイドにとらわれず、各年代、様々なカテゴリーのゾイドを検討中ですのでご期待いただければ!
――ありがとうございました。
(C) TOMY (C)ShoPro
※画像は試作品を使用しています。実際の製品とは若干異なる可能性があります。ご了承ください。