インタビュー

「METAL BUILDゴッドガンダム&ゴッドガンダム弐(セカンド)」企画担当者インタビュー

“武闘”を極めた可動と多彩な武器を使う「ゴッドガンダム弐(セカンド)」も再現

【METAL BUILDゴッドガンダム&ゴッドガンダム弐(セカンド)】
3月27日16時より魂ウェブ商店にて予約開始
8月 発送予定
価格:44,000円(税込、送料・手数料別)
※画像は試作品を使用しています

 BANDAI SPIRITSより展開されているさまざまなクリエイターの手を介し、「超合金の良さ」と「作品に応じたデザインアレンジ」が融合した究極を追求する完成品トイブランド「METAL BUILD」シリーズ。様々なロボット作品が立体化され、驚きのデザインアレンジやギミックを搭載したアイテムが発売されてきた。

 そして今回、満を持して『機動武闘伝Gガンダム』に登場した「ゴッドガンダム」がMETAL BUILDになって商品化され、3月27日16時より通販サイト「プレミアムバンダイ」内の「魂ウェブ商店」にて予約受付が開始される。

METAL BUILDでゴッドガンダムが登場
※画像は試作品を使用しています

 主人公のドモン・カッシュの後期主役機として登場したモビルファイター「ゴッドガンダム」。徒手空拳による格闘、斬撃のゴッドスラッシュ、射撃武器のマシンキャノンを備えた機体で、必殺技のゴッドフィンガーやドモンが修める流派東方不敗の最終奥義「石破天驚拳」などでガンダムファイトの強敵たちを打ち破ってきた。

 そして、『機動武闘伝Gガンダム』30周年を記念した、アニメで総監督を務めた今川泰宏氏による外伝作品『機動武闘伝Gガンダム外伝』第三部「三侠新傳 ~東方の珠~」にて新型コアランダーを装備した「ゴッドガンダム弐(セカンド)」が登場。「METAL BUILD ゴッドガンダム」ではなんと、翼に備えた各パーツを武器として使用する「ゴッドガンダム弐(セカンド)」を再現できるパーツも付属する。

METAL BUILDで早くも立体化された「ゴッドガンダム弐(セカンド)」
※画像は試作品を使用しています

 本稿では「METAL BUILDゴッドガンダム&ゴッドガンダム弐(セカンド)」のデコマス写真などを交えて、BANDAI SPIRITS コレクターズ事業部で本商品の企画担当をされている洲崎 敦彦氏に話を聞いてみた。

BANDAI SPIRITS コレクターズ事業部で本商品の企画担当をされている洲崎 敦彦氏

みなさん、お待ちかね。武闘を極めたモビルファイターの新境地がMETAL BUILDに登場

――最初に「METAL BUILDゴッドガンダム&ゴッドガンダム弐(セカンド)」の立体化の経緯をお聞かせください。

洲崎氏:4月に発売となります「METAL BUILD ゼータガンダム」もそうですが、従来厚く展開してきた『機動戦士ガンダムSEED』や『機動戦士ガンダム00』のシリーズとは異なるファンの皆さんにも、是非「METAL BUILD」に触れて頂きたいと考えておりまして、2024年に30周年を迎える『機動武闘伝Gガンダム』から「ゴッドガンダム」の商品化を企画いたしました。

 今後も既存のシリーズも拡充しつつ、これまでの「METAL BUILD」シリーズにはなかった機体も積極的に展開して参りたいと考えています。

――今回「METAL BUILD」シリーズといえば作品や機体に合わせたアレンジも魅力です。本商品ではどのようなアレンジが入っておりますか?

洲崎氏:本商品のデザインワークは「METAL BUILD ストライクフリーダムガンダム」など機動戦士ガンダムSEEDシリーズを手掛けて頂いているイラストレーターのKomaさん、ディレクションの坂本洋一さんに参加いただいております。

 「METAL BUILD ゴッドガンダム」はデザインが持つパワーも勿論ですが、本編中のアクションシーンで描かれている姿も印象的で迫力があり、特にメカニックディレクター/作画監督を務めていらっしゃった佐野浩敏さんの作画が皆さんの印象に残っているかと思います。

 ですので、今回の立体化では“アニメ作画で見た躍動的なイメージを、硬質の「METAL BUILD」に落とし込む”という形でアレンジが入っています。

アニメの作画を立体に落とし込んだデザイン
※画像は試作品を使用しています

――本商品では『機動武闘伝Gガンダム』の総監督を務めた今川 泰宏氏が監修されているとのことですが、「こういう風にしてほしい」などの要望はありましたか?

洲崎氏:今川総監督からは「ゴッドガンダム」に持っているイメージであったり、作品の「武闘伝」の名前の様に、“武闘”をキーワードにしたいというニュアンスのお話をいただきました。

 今川総監督も沢山の玩具に触れていらっしゃる方なので、合金を使用した「METAL BUILD」での商品化を喜んで下さっていると受け取っております。商品化にあたっては、外伝でもスポットの当たった、流派東方不敗の存在感を感じられる様な、キャラクターのバックボーンがしっかりと盛り込めるように心がけました。

――なるほど。『機動武闘伝Gガンダム』といえば格闘戦ですが、可動で挑戦した機構などはありますか?

洲崎氏:可動に関しては大きく分けて2つポイントがあります。ひとつは本体に対する可動の工夫と外装に対する可動の工夫を入れています。

 本体に対する可動として、胴体のひねりなどの可動はもちろんですが、大きなところでは股関節部分には、過去に発売された「METAL BUILD エヴァンゲリオン初号機」や「METAL BUILD DRAGON SCALE ランスロット・アルビオン」等の人型に近い商品で培ってきた構造をフィードバックして作りました。

 ここは坂本さん、Komaさんのご意見もあり、これまでの「METAL BUILD」で展開されたガンダムシリーズのモビルスーツとは異なる力強い人間らしさが感じられる構造を心がけています。

アニメの印象的なシーンを再現できる可動域の広さ
シャイニングフィンガーも表現することができる

洲崎氏:そして、膝に関しては曲げた際に前に出るような形になります。関節部が脆いという表現ではなく、「METAL BUILD」のダイキャストによる頑強さを表現し、曲げた際に強いシルエットになるようにデザイン頂きました。格闘での膝蹴りなども強く見えるように意識しております。

股関節の可動により人間らしい動きを表現
※画像は試作品を使用しています
膝関節は曲げた際に前に出る形となり、ダイキャストの頑強さを前面に押し出している
※画像は試作品を使用しています

洲崎氏:また、腕部の脇を開く関節は、従来より少し外側の位置に配置しております。これは肩アーマーが横方向にも非常に大きい機体ですので、肩の根元近くに配置すると二の腕がアーマーの中に全部隠れてしまい伸びやかさが損なわれると考えたためです。

 外側にオフセットしたことで、腕を大きく広げた時や構えた時に、腕のシルエットが隠れずにのびやかな構えの印象を感じて頂けるかと思います。

腕の位置を少し外側にすることでのびやかな腕の動きを表現できる
※画像は試作品を使用しています

洲崎氏:続いて外装の可動についてですが、フロント、リアのスカート部分が長いのが非常に特徴的なので、これらの青いパーツの基部に可動ギミックを入れています。そのため、布のように若干なびいたようなリアスカートのイメージやフロントスカートもアクションに合わせて、表情を付けられる構造となっています。

広い面積のフロントスカート
※画像は試作品を使用しています
可動ギミックにより動きあるシルエットにすることができる
※画像は試作品を使用しています
動きに合わせてスカート部分を広げるなどの調整ができる
※画像は試作品を使用しています

洲崎氏:細かい部分として、マシンキャノンがある肩部も動くようになっていまして、腕組ポーズで肩が上がっている雰囲気や、力を入れて拳をふるう姿を表現できるようになっています。その他にも足先も独立可動を入れてますので、力を入れて地面を蹴る動きも表現できます。

――これまでの機械的なモビルスーツとは異なるモビルファイターとしての設定や動きの緻密さがありますね。人間の動きを再現している感じなのでしょうか?

洲崎氏:人間の動きを忠実に再現するというよりは、モビルファイターが人をさらに超えた動きをするだろうと私は考えていまして、先ほどの肩部の構造であったり、股関節や膝部の構造など“格闘するガンダム”としての、人よりも先に進んだモビルファイターとしての可動を心がけました。

 なので、お客様に豊富な動きのプレイバリューで遊んでいただけるかと思います。

――続いてギミックについてお伺いできればと思います。本商品ではゴッドフィンガーの手甲部分の展開はできるのでしょうか?

洲崎氏:そうですね。これまでのゴッドフィンガーの展開イメージとして、青い装甲が前にせり出すイメージがあるかと思います。本商品でもマニピュレーターを覆うようにせり出すのですが、なるべくせり出す幅が広くなるようにヒンジを使って展開するようになっています。また、左右への角度調整による表情付けもできます。黄色の爪部分も左右に少し開くような動きを入れる予定です。

 ゴッドフィンガーではマニピュレーターを開いた形になりますが、親指の位置がそのままだと装甲の位置と合わせないので、親指を覆う装甲が動いてしっかりと親指を覆うようにできます。

通常の腕部装甲
※画像は試作品を使用しています
ゴッドフィンガーを再現する際は前にせり出し、親指部分も覆うことができる
※画像は試作品を使用しています

――背部のウイング部分も引き出して展開される形でしょうか?

洲崎氏:ウイング部分も引き出して展開するギミックを備えています。

 やはり、アニメでもウイングが開いて背後に浮かぶ円環の迫力があり、キング・オブ・ハートのマークとともに胸部も展開するのは見どころの一つだと思います。なので、円環が大きく背負えるようなイメージで各ウイングが伸びるギミックを入れています。

ウイングには展開ギミックが備わっている
※画像は試作品を使用しています
背後に浮かぶ円環も迫力あるサイズ感
※画像は試作品を使用しています

洲崎氏:円環パーツに関しても遊ぶ際の操作のしやすさを含めてPETシートなども検討していましたが、カラーコーディネートで参加頂いている、デコマスラボの広瀬さんからも「METAL BUILD」では本体の情報量に負けないような光のエフェクト演出が欲しいとの意見がありまして、試行錯誤を重ねました。

 反面、例えば爆発エフェクトの様に光が拡散するようなギザギザの形状にするのはアニメのイメージから離れているので、ここに関してはモールドを入れるなど試行錯誤をして同心円で抑揚のあるようなモールドを背面側から入れて、表側はつるりとした平面になっています。見る角度によって、彩色と造形で表情が出てくるような立体物ならではの造形にできたかと思います。

本体を支える台座よりも巨大な円環パーツ
※画像は試作品を使用しています
日輪のようなグラデーションや凹凸のあるモールドで立体感ある造形となっている
※画像は試作品を使用しています

――胸部部分も展開できるのでしょうか?

洲崎氏:こちらも展開ギミックを仕込んでおります。胸部のマルチプライヤーにはキング・オブ・ハートのマークが見えるようになっています。また、マルチプライヤー部分はレンズ部分だけでなく周りの部分もクリア―パーツを使用しています。

 「ゴッドガンダム」のハイパーモード時に現れる特殊なパーツなので、今回はデコマスラボの広瀬さんからのご提案で緑色のパールを吹いてあるクリアパーツになっています。そこは単なるマシンとしてだけではなく、一種の超常の力のシンボルになる、ファンの方が見たことのないような仕上げになっています。

胸部のマルチプライヤーはクリアパーツが使用されている
※画像は試作品を使用しています

――本商品ではコアランダーの着脱ギミックも備わっているのでしょうか?

洲崎氏:コアランダーの着脱ギミックは再現しております。やはり、ガンダムファイター、ドモン・カッシュが乗っているのを想起させるように意識しております。

 また、脹脛部分が展開し、スラスターが露出するギミックも備わっています。

「ゴッドガンダム」のコアランダーも再現されている
脹脛部のスラスター展開
※画像は試作品を使用しています

――本体の可動やギミックを聞いていて、苦労された部分などはありますか?

洲崎氏:2024年7月に開催されたイベント「METAL BUILD FESTIVAL 2024 WITH CLUB TAMASHII MEMBERS」で展示しました試作が、30%くらいの状態で可動機構などがほとんど入っていない状態でした。

 そのアウトプットされたシルエットから「どうのびやかに動くのか?」をクリエイターの皆さんと検証し、お客様が触れる時に“モビルスーツではなくモビルファイターである”というのを感じてほしいと考えました。

 先ほどお話にもありました肩部や股関節の機構は何度もトライ&エラーを重ねてきました。当時の展示品から股関節は特に大きく変わっていますね。また、イベント当時の試作品では脛の部分に分割線が入っていたのですが、脛の分割線が見えないように構造の細やかな調整なども行なっています。

 また、イベントで展示させていただいた試作品から頭部のブレードアンテナも調整しております。イベント当時は腕組ポーズだったので、大きな肩に囲まれても強く映えるように少し大きめに設計しておりました。

 製品版では腕組ポージング再現はもちろんですが通常の状態でも違和感がないように初期試作よりは少し短めに調整しております。

――続いて、気になる「ゴッドガンダム弐(セカンド)」についてお話を伺えればと思います。

洲崎氏:「ゴッドガンダム弐(セカンド)」に関しては『機動武闘伝Gガンダム外伝』に登場するということでいち早く「METAL BUILD」で商品化させて頂きました。

 ストーリーテキストと一枚絵のビジュアルも公開されていますが、“まだ立体として誰も見たことがないゴッドガンダム”というファーストインプレッションを大切にできる様に写真のポージングにもこだわって参りました。

 劇中ギミックでは背中のウイングが分離して武器になるのが特徴です。劇中であった棍や双節棍(ヌンチャク)、三節棍、釵(サイ)、偃月刀を再現できるようになっています。

 ビジュアルとして武器を構えた姿がないので、商品ページにもあります写真もどんなポーズがいいのか皆で悩みながら撮影しました。

 それでも念頭には今川総監督がおっしゃっていた「『武闘伝』なので武闘でありたい!」というニュアンスを取り入れながら、頭に“武闘”の文字が浮かぶ拳法的な要素を盛り込んでいきました。

「METAL BUILD」で「ゴッドガンダム弐(セカンド)」が立体化
※画像は試作品を使用しています
※画像は試作品を使用しています
背面には新型コアランダーのウイングが展開
※画像は試作品を使用しています
※画像は試作品を使用しています
新型コアランダー形態も再現できる
※画像は試作品を使用しています
ウイングを広げた状態
※画像は試作品を使用しています

洲崎氏:各ウイングに武器が備わっておりまして、下段には釵が収納されています。中段は4つのパーツが収納されていて、連結することで長柄の棍やワイヤーの入っているPVCのジョイントパーツを使用して双節棍(ヌンチャク)、三節棍にすることができます。

 上段も取り外して展開することで偃月刀にすることができ、先端にはビームエフェクトを付けることができます。左右にひとつずつあるので、偃月刀2本持ちなどにすることもできます。

スラスター各部には武器が収納。分離・展開することで各種武装に変化
※画像は試作品を使用しています
偃月刀によるアクション
棍パーツは4つ連結することで長柄の棍に
背中に回すダイナミックなポーズも可能
ジョイントパーツを使用した三節棍
棍パーツを2つ連結することで双節棍(ヌンチャク)を表現
コンパクトな釵によるポーズ

――多彩な武器を使いこなすゴッドガンダムはかなり新鮮に映りますね。

洲崎氏:『機動武闘伝Gガンダム外伝』の作品内で流派東方不敗は武器は使わないが、一度手にすれば変幻自在に使いこなす、とのコメントもありました。

 今回に関しては本来の必殺技の「爆熱ゴッドフィンガー」がありつつ、武器を使うこともできるゴッドガンダムというのを立体で初めてお見せできるのが、私たちも光栄ですし、楽しい商品ですね。

 「ゴッドガンダム」の戦い方も徒手空拳主体なイメージがありますので、今回新たに武器を5種類持つことで色々なポージングが広がり、お客様にもさらに豊富なプレイバリューを楽しんでいただけるかと思います。

刀型のゴッドスラッシュ以外の新たな武器を手に戦う姿
※画像は試作品を使用しています

――「ゴッドガンダム弐(セカンド)」を立体化するにあたり、今川氏からの要望であったり、イメージの共有はありましたか?

洲崎氏:そうですね。今川総監督から打ち合わせの際にイメージされている拳法であったり、双節棍(ヌンチャク)の構えのイメージを元にしてポージングを検討して参りました。

――最後にユーザーへのメッセージをお願いいたします。

洲崎氏:今回は2024年7月に試作を公開してから少しお時間を頂戴しましたが、 ようやく皆様に「METAL BUILDゴッドガンダム&ゴッドガンダム弐(セカンド)」の全貌をお披露目することができました。

 今回「ゴッドガンダム弐(セカンド)」の装備も商品化させていただいております事で、 「METAL BUILD」らしい“今までにない、見たことがない「ゴッドガンダム」”になっていると思いますので、ぜひ手に取って遊んで楽しんでいただけたらと思います。よろしくお願いいたします。

――ありがとうございました。