インタビュー
「ガンダムアーティファクトPRO」企画者インタビュー
動かすことで、よりデザインの味わいが深くなる可動フィギュア
2026年6月30日 10:15
- 【ガンダムアーティファクトPRO フルアーマー・ガンダム】
- 11月発売予定
- 価格:7,150円(税込)
- 【ガンダムアーティファクトPRO 高機動型ザクII(黒い三連星仕様)】
- 11月発売予定
- 価格:6,380円(税込)
「ガンダムアーティファクトPRO」はバンダイキャンディ事業部の非常にとがった商品だ。「ガンダムアーティファクトPRO フルアーマー・ガンダム」、「ガンダムアーティファクトPRO 高機動型ザクII(黒い三連星仕様)」は、オリジナルのデザインを大胆にアレンジ、その上でフレームを持つ可動フィギュアとして、動かし、ポーズ付けを楽しむ商品となっている。
本商品は「ガンダムアーティファクト」というシリーズから派生したアイテムである。「ガンダムアーティファクト」は約55mmほどの固定ポーズの組立フィギュア。無彩色であるが、独特のデザインアレンジと、極限とも言える精密な造形技術で様々なMSを表現し人気を博している。
「ガンダムアーティファクトPRO」は約倍となる全高100mmにサイズアップ、着脱式装甲に、フレームに金属パーツも使用している。細かい彩色もされており、半完成品可動フィギュアとして新しい魅力を放っている。本商品は受注後あっという間に完売となり、現在2次受注が行われている。
「ガンダムアーティファクトPRO」のコンセプトや魅力はどのようなものか? 今回、試作品を前に本商品の企画担当者であるバンダイキャンディ事業部シニアプロデューサーの宮脇純氏に話を聞いた。
工業製品として“動く”ことで魅力を増すデザイン
――最初に「ガンダムアーティファクトPRO」のコンセプトを教えてください。かなりデザインアレンジが加わった「ガンダムアーティファクト」に可動を加えた商品、という印象です。
宮脇氏:まず、「ガンダムアーティファクト」そのもののコンセプトから説明します。 「ガンダムアーティファクト」は「MSを工業製品的解釈で再構築する」というものなんです。ザクやガンダムが実在したらリアルな工業製品としてはどういう姿をしているのか?
「高機動型ザクII」の肘部分のシリンダー、「フルアーマー・ガンダム」の腰の可動構造などをご覧いただけるとわかりやすいと思うのですが、オリジナルのデザインを踏襲しつつも、“より現実の機械をイメージする”というのがデザインコンセプトです。
そのテーマの1つが「可動」でした。MSがどう動くか、どうやったらMSとしての動きができるのか。関節や構造そのものを可動を想定してデザインしています。「ガンダムアーティファクト」はこのようなコンセプト・考え方から、立体化された固定ポーズのミニキット商品です。
そして、この「ガンダムアーティファクト」のデザインが提示した可動の表現による潜在的な魅力を、実際に動かしてよりきちんと感じていただきたい、それが可動モデルとなる「ガンダムアーティファクトPRO」のコンセプトになります。
「フルアーマー・ガンダム」、「高機動型ザクII」を第一弾に選んだ理由は“MSV(モビルスーツバリエーション)”だからです。「機動戦士ガンダム」本編では登場しなかったMSVだからこそ、作り手と受け手も"余白"を想像して楽しめるものになると考えました。
――「ガンダムアーティファクトPRO」は「デザイン」、「可動」と共に「金属(ダイキャスト)パーツの使用」というのも特徴だと思います。金属パーツは耐久性を考えた関節構造といった使われ方もしますが、金属パーツを使用した理由は?
宮脇氏:本商品では“演出”という意味合いが強いです。「ガンダムアーティファクトPRO」では「膝」、「胴体」、「股関節」などの一部に金属パーツを使っています。立っているときもキラリと光り、動かすときもその存在を主張します。金属が見えることでメカニカルな雰囲気も強くなります。そしてやはり重みですね。手に取るとズシリと重い。金属パーツを使うことで商品としての印象を深めるようにしています。
――次にそれぞれの商品の魅力を深掘りしていきたいと思います。「フルアーマー・ガンダム」は増加装甲をつけた、パワフルな姿が印象ですね。しかもこの装甲は外れて、ノーマルな姿の「ガンダム」にもなる。プレイバリューの高い商品の印象です。
宮脇氏:「増加装甲をまとったガンダム」として、工業製品としてのリアリティを意識しています。アーマーを着込んでいてもかなり可動する。動かすことで関節構造の面白さや、引き出し関節などで全体のシルエットも変わる。全身に配されたディテール表現も動かすこと、ポーズによっての見せ方なども考えています。
脚にはデザインと整合した多くの可動軸を設けていています。特徴的な所として脛部分はメカならではの解釈で前に曲げられます。膝は装甲を展開することで可動範囲を広げ、多重関節も相まってかなり深く曲がります。ここで金属パーツがクローズアップされるのも特徴ですね。足首もしっかり動きより自然なポージングを可能としています。装甲を着込んでいる「フルアーマー・ガンダム」ですが、ポージングする楽しさも追求している。そして装甲を外すとさらに動く、というのはセールスポイントです。
――正面の姿も面白いですが、後ろ姿がすごくボリュームがありますね。腰後部の装甲・リア・アーマーが大きく盛り上がっています。
宮脇氏:この「フルアーマー・ガンダム」は、「ガンダムアーティファクト」シリーズのデザインが蓄積された上での商品なので設定的な面白さも盛り込んでいるんです。「ガンダムアーティファクト」では動かせなかったところですが……このリア・アーマーには「小型ミサイル」を搭載しているんです。後ろのハッチを開けると、ミサイルが出てきます。
もう1つは「ビーム・サーベルラック」ですね。「フルアーマー・ガンダム」はバック・パックが変わるためビーム・サーベルを装備していない、とする資料もありますが、本商品のフルアーマー・ガンダムはスネの側面装甲が展開し、ビーム・サーベルが取り出せます。陸戦型ガンダムのような収納です。
――フルアーマー・ガンダムはこれまでいくつもの商品が出ています。中には装甲着脱を前提としていない商品もあるし、それぞれのデザインがある。「ガンダムアーティファクトPRO フルアーマー・ガンダム」は全高100mmというサイズで、装甲が着脱できる。その着脱を前提としたデザインになっているのが面白いと思います。
宮脇氏:パッケージ状態ではノーマルのガンダムが封入されていて、お客様が装甲を組み付ける仕様となっています。フルアーマー・ガンダムのバック・パック&キャノン砲も差し替えではなく、ガンダム本来のバック・パックに装甲をかぶせる仕様になっています。逆にガンダム状態の時は、バック・パックの両脇のサーベルラックを引き出して、そこにビーム・サーベルを差し込むギミックが内蔵されています。
カラーリングこそ違いますが、スタンダードなガンダムの姿にもできます。こちらのガンダム用のビーム・ライフル、シールドも付属しています。ビーム・ライフルは銃身下部にグレネードランチャーが取り付けられるアレンジもしています。
もう1つ、プレミアムバンダイでは、「ガンダムアーティファクトPRO フルアーマー・ガンダム」と「ガンダムアーティファクトPRO 高機動型ザクII(黒い三連星仕様)」をセットで購入すると、特典として、「フルアーマー・ガンダム」用のクリアのアーマーパーツが用意されています。フルアーマー状態がガンダムのどこを覆っているのかわかる構造が実感できるアイテムです。こちらも手に取っていただきたいですね。
――他にも紹介したいポイントはありますか?
宮脇氏:本商品には表情の違う手首パーツが用意されていますが、これを保管するためのパーツが用意されており、紛失を防げます。また、股間部分に直径3mmのクリアのジョイントパーツを取り付けられます。市販のスタンドに対応しているので、宇宙空間を意識したポージングで浮かせてのディスプレイが可能です。
パッケージにもこだわり! ユーザーの意見とともに成長していく
――次に「高機動型ザクII」を見ていきたいと思います。こちらは「フルアーマー・ガンダム」に比べると装甲の着脱がない分、プレイバリューが少ないのでしょうか?
宮脇氏:「高機動型ザクII」は「フルアーマー・ガンダム」とは違う楽しみ方が盛り込まれています。パッケージを開けると、フレーム状態のザクが入っており、これに装甲を取り付けていく構造です。こちらは自分で「高機動型ザクII」を組み立てるという感触が得られます。よりメカニカルな演出を強めた設計と言えます。
フレーム状態だと、関節のデザインや、金属パーツの使用箇所などがしっかり確認できます。これにランナー状態のアーマーを取り付けていくことで「高機動型ザクII」の姿になります。外装を取り付ける、という意味ではこちらもプレイバリューがありますし、MS組立工場の風景を想像させるところがあると思います。
商品ページで紹介しきれなかった要素としては「モノアイの可動」があります。この商品のザクのモノアイは可動ギミックが設けられており、きちんと「視点」が演出できます。
――こちらも可動が面白そうですね。特にこちらの「高機動型ザクII」は肘部分と足首にシリンダーがあり、「フルアーマー・ガンダム」以上に、現実の工業製品的解釈のアプローチが強い印象です。
宮脇氏:シリンダー、特に足首のシリンダー可動は魅力の1つです。足首を動かすとシリンダーが伸縮していることがきちんと確認できます。肘の方はシリンダーそのものではなく、接続された基部が可動することで動きの演出をプラスしています。
「フルアーマー・ガンダム」も同様ですが、こちらの商品の元となった「ガンダムアーティファクト」版と並べると、シルエットがよりマッシブになっているんです。「ガンダムアーティファクト」では固定ポーズとしてのバランス。「ガンダムアーティファクトPRO」は装甲をつけ、動かすことでシルエットが変わるバランスで設計しています。ぜひ、実際に手にして動かしてその違いを楽しんでいただきたいです。
関節が動くことでの可動、というポイントでは「ふくらはぎのバーニアの可動」も注目ポイントです。膝を曲げると足首部分にスライドし、膝をより深く曲げられるようになっています。デザインと可動、それは既に「ガンダムアーティファクト」で考えているんですが、「ガンダムアーティファクトPRO」ではそこからさらに「動かすことでの面白さ」を追求しています。
――こちら、パッケージも独特ですね。ダンボールの地肌むき出しで、ちょっとガレージキットっぽい。
宮脇氏:わかります? パッケージの仕様もこだわったポイントなんです(笑)。ダンボールにシールで商品の写真を貼って、ガレージキット風の演出をしました。無骨な雰囲気でや「工業製品の部材っぽさ」をパッケージからも感じ取っていただけたらと思います。
――「ガンダムアーティファクトPRO」は弊誌でも記事化したところ大きな反響がありました。発表時、ファンからどのような反応があったでしょうか?
宮脇氏:それが……発表時は、否定的な意見も見受けられたんです。「『ガンダムアーティファクト』はユーザーが手を入れるのが楽しかったのに、『ガンダムアーティファクトPRO』は彩色もされていて、手を入れる要素がないじゃないか」とか「『ガンダムアーティファクト』をそのまま大きくすればいいのに」という感じで。
ただ、私たちは本当にお客様の声に学ばさせていただくことが多いんです。元々の「ガンダムアーティファクト」は、先ほど申し上げたコンセプトを「食玩」という枠組みの中でどう表現するか?ということで設計しています。つまり、売価設定なども意識しながら「造形再現」に傾注した結果が、「無彩色の組立てミニキット」という出力になっています。デザインとその造形技術をお客様に受け取っていただきたかったのです。
しかし、ユーザーの皆さんはこの小さな無可動キットをモデラー技術の"腕の見せ所"として塗装してくれる。これは私たちが予想していなかった“遊び方”なんです。モデラー達の素晴らしい技術が反響を呼んだこともあって、「ガンダムアーティファクト」は人気シリーズとなりました。コンセプトに対しどのように表現するか、その技術も蓄積されています。皆さんの遊び方、応援が私たちの考え方とシナジーを起こして拡張したシリーズなんです。
ゆえに、その流れを汲んでいる「ガンダムアーティファクトPRO」はマーキングなどをあえて一切入れていません。ユーザーの皆さんが手を入れる余地は充分あります。腕に覚えのある方は、ぜひここからどう手を入れるか、例えば「高機動型ザクII」はマーキングで黒い三連星各機にしたり、違うカラーリングを施すのもいいかもしれません。
もちろん、半完成品モデルとして、組み立てて、そして動かすことでデザインの面白さをしっかり味わえる商品です。手にすることで、可動フィギュアとしての楽しさに加え、組み立てキットとしての楽しさも実感できる商品だと思います。
――最後に、ユーザーへのメッセージをお願いします。
宮脇氏:繰り返しになりますが、この仕事をしているとお客様から学ばせて頂くことが本当に多いです。私たちが提供している独特のコンセプトと想いを込めた商品は、お客様の手に渡った後、それは商品でありながら“可能性に満ちた素材”に変わります。お客様が更に独自の解釈や楽しみ方をされることで、私たちも「あぁ、そういう表現・解釈も面白いかも!?」とか「そこは割り切って設計した方がデザインと組立て易さを両立できるかも!?」というような学びがあり、それが商品にフィードバックされて進化して行きます。同じガンダムファン・メカファンとして、今後も一緒にシリーズを盛り上げて行ければと思います。
――ありがとうございました。
「ガンダムアーティファクト」は最初から工業製品として動くことを意識したデザインをされており、そのデザインコンセプトを実現したのが「ガンダムアーティファクトPRO」だというのがとても楽しい。ぜひ製品を手にして、デザインと動きの面白さを感じてみたい。
(C)サンライズ




























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