インタビュー
トミーテックの「鉄コレポケット」はなぜ鉄道模型ファンを魅了するのか、企画担当者にその秘密を聞く!
2026年10月17日 00:00
- 【鉄コレポケット第4弾 北の大地の気動車編】
- 9月18日発売
- 価格:各1,650円(税込)(全8種類+シークレット1種)
トミーテックは9月18日に鉄道模型「鉄コレポケット」の第4弾「北の大地の気動車編」を発売した。こちらは発売直後からこれまで以上に大きな人気を博しており、現在入手困難になりつつある。全日本模型ホビーショーで第5弾も発表され、この人気は今後も盛り上がりそうである。
「鉄コレポケット」はトミーテックが展開する「鉄道コレクション(鉄コレ)」の新シリーズだ。2025年10月に第1弾がスタートした。「鉄コレポケット」の最大の特徴は、トミックスの鉄道模型製作ノウハウをベースにしつつ、車体の長さ方向のみを実物の約半分にデフォルメしているところ。通常のNゲージ車両が約13cm程度の長さであるところを、「鉄コレポケット」は半分の約6.5cmにしているのだ。
鉄コレポケットはどの車両が入っているか分からない「ミステリーボックス販売」で、価格は1,650円(税込)。動力を持たない組み立て式の「プラモデル」ジャンルの商品だが、別売りの動力ユニットを使うことでNゲージの線路を走らせることができる。
「鉄コレポケット」は、鉄道模型メーカーの老舗であるトミーテックが手掛けるだけあって、鉄道模型ならではの精密なディテールを楽しめるだけでなく、省スペースなため机の脇に飾るなどコレクション性も高い。加えて下回りは展示用のリアルな「4軸仕様」と、走行に適した「2軸仕様」を選択・組み替えでき、別売りの動力ユニットを組み込むことで、Nゲージの線路を走らせることも可能だ。デフォルメの車体は小さなジオラマによく似合い、走行風景には愛らしさがある。筆者を含めた鉄道模型ファンに注目されているシリーズなのだ。
今回、「鉄コレポケット」の企画担当者に話を聞くことができた。「鉄コレポケット」の企画経緯から、バンダイが発売していた同コンセプトの鉄道模型「Bトレインショーティー」との差別化、細部のこだわりなど、商品の魅力について聞いた。そして最後には「周辺機器」というキーワードも登場した。
プラレールと鉄道模型の間を埋める商品に
トミーテックが発売している鉄道関連の商品としては、「トミックス(TOMIX)」ブランドによる製品と、日本のさまざまな鉄道車両を模型化した「鉄道コレクション」の2種類に大まかに分けることができる。しかし昨今の資材価格高騰などにより、製品の値段が上がってきてしまった。企画担当者は、「これでは若年層の模型ファンが手に取る環境としてはあまりよろしくない」と考えていたという。
「心苦しいのですが、TOMIX製の機関車も1万円を超えてきてしまっています」と企画担当者。タカラトミーグループには「プラレール」という子供向けのおもちゃがあるが、年齢が上がって、そこからNゲージに移るにはかなりの隔たりがあり、なかなか難しい。「その間の橋渡し的なものを何か作れないかといったところで出てきたのがこの企画でした」と企画担当者は語る。
ショーティーサイズの製品としては、すでにバンダイが展開した「Bトレインショーティー」がある。Bトレインショーティーとは、実在する全国各地の鉄道車両をNゲージ車両の約半分の長さに短縮し、デフォルメして販売された製品のことだ。2018年に最後の製品が発売されてから新製品は登場しておらず、事実上の終息を迎えたのだが、昭和から平成の年代までの各時代、各鉄道会社の車両を幅広く発売していたこともあり、とても人気を博し、1つの市場を築いた製品だ。今でも中古市場で活発に取引されるなど、根強い人気がある。
「ショーティーサイズはバンダイさんがあれだけのセールスをされて、一大ムーブメントを作られたわけですが、ショーティーというものは鉄道模型文化としては相当昔からあるものなので、その空席を埋めるという意味でも何かできないかと考えていました。本格的な鉄道模型とまではいかないが、鉄道模型として遊べる余地を残した商品が必要でした」と企画担当者。
今回の鉄コレポケットについては、「企画室ねこまた」とのコラボレーションという形で製品化されている。企画室ねこまたは、バンダイでBトレインショーティーを企画していた担当者が独立して立ち上げた会社で、多くのノウハウを持っている。この協力の下に製品化が行われている。
「鉄コレポケット」の売行は好調で、3カ月に1製品というハイペースで製品化されているが、「近年の鉄道模型はどうしても最初に受注を頂いて、発売日にドン、と製品を出荷して、それが終わって売り切りという商売ですが、この商品については在庫をきっちりと持って、市場からできる限り枯渇させないようにしつつ売り続けるようにしたいと考えています」と企画担当者は語る。しかし第1弾は完売してしまい、それは予想外だったとのこと。第2弾以降は極力在庫を潤沢に持ちつつ、供給できればと考えているという。
「鉄道マニアの方にボックスをドン、と買っていただくという流れのみならず、お店に行った時にお小遣いで1個、2個買ってもらって、ちょっとずつ増やしてもらうということを念頭にしているので、長い期間やっぱり売り続けたい」という思いが企画担当者にはある。
完売してしまった第1弾について再生産の予定はないのか聞いたのだが、「ご要望は頂いているのですが、あとの商品が控えていますので、そのあたりのバランスを考えていくことになると思います」とのこと。「第5弾もありますし、ここまでハイペースで来ましたが、コンスタントに出すためにタイミングも調整しながらやっていきたいと思うので、余力があればそういう差し込みもあるのかなと思います」と企画担当者。
鉄コレポケットとBトレインショーティーの違い
次にユーザーからの反響について聞いてみたが、企画担当者が一番心配していたのは“組み立てる”ということだったという。ただ、「難しいところや説明書が分かりにくいところは少しずつフィードバックしており、改良しています」とのこと。「他社さんのショーティーモデルと比較しても、組立方法という意味では全く別物なのでそこを心配していましたが、今のところは受け入れていただいたと思っています」と語る企画担当者。
また、ユーザーの反応としては、これまで発売されてきたBトレインショーティーと同じ車種はいらないという声もあるそうだ。しかしトミーテックとしては、Bトレインショーティーの後を追っているわけではなく、あくまでも“鉄コレポケット”というブランドを1から立ちあげているので、それは特に気にしていないとのこと。
ただ、山手線や横須賀・総武快速線、新快速、大阪環状線など、現役で走っている新型電車という所にも比重を置いているので、キー車両として必要になる電車は第2弾のようにどうしてもかぶってしまう。企画担当者は「マニアのお客様にはちょっと申し訳ないと思いつつ、そのある意味1つの答えが第4弾のラインアップなのかと思っています。そのあたりはこれからも注視しながら、どの車両が望まれているのかを考えつつ、いろいろ織り交ぜていきたいと思っています」と語る。
購買層のデータを調べたそうだが、お母さんが子供に買ってあげる需要もあるそうだ。先日行われた鉄道模型のイベントである「国際鉄道模型コンベンション」で聞いたのが、このサイズでこの値段であれば1個買ってみて組んでみると、プラモデル作りの勉強になるという声だったとのこと。この結果について企画担当者は「対象年齢15歳以上ですが、小さいお子さんが親御さんと一緒に作っていただいたりするのは、われわれが思っていた以上に興味を示していただいたのだと考えています」と語る。「中高生以上の20代の人でも、電車が好きだけどこの値段では鉄道模型に手が出ないという人に買ってもらい、鉄道模型ってこんな製品なんだと思う糸口になればいい」とも。
また、Bトレインショーティーと異なるのは、そのスタートの仕方だ。Bトレインショーティーは、全国各地・各時代の鉄道車両のコレクション性を重視していて、そこに鉄道模型としての遊びの余地を入れているとも言えるわけだが、鉄コレポケットの場合は、トミーテックが発売してきた“鉄道模型”が発端になっているというのが異なると企画担当者は語る。
「偉大な、本当に前例のない市場を作られたとは思っていますが、鉄コレポケットは完全に鉄道模型の発展です。出自が異なるが最終産物は割と似ていると言えます。その上で、やっぱりバンダイさんのいい意味でのデフォルメ感と言いますか、リアルなんだけどなんかちょっと愛嬌がある、かわいいっていう、ああいう感じが好きで集められてたお客様が非常に多いと思いますので、そういった層の方に鉄コレポケットが刺さるのかというところも、やっぱり今後の課題ですね。リアルすぎてちょっと違うという意見もあります」と、企画担当者。
ユーザーの反応を見つつ商品を展開
先ほども述べたが、鉄コレポケットは同社としては異例のハイペースでの展開となっているわけだが、それは鉄道模型の間口を広げるということと、鉄コレポケットを幅広く知らしめるという面展開を考えてのこと。第1弾から第4弾まで展開している中で、同社がターゲットとしているユーザーと、実際に市場に存在するユーザーのイメージをすり合わせようと考えているという。
そこで第1弾は横須賀・総武快速線のE235系1000番代や新快速などの225系という最新型の通勤電車を発売。第2弾は東と西の大型商圏に合わせて、山手線のE235系0番代や上野東京ラインのE233系3000番代、大阪環状線の323系を収録して発売したのだが、第3弾では少し古めの電車として113系や115系を出した。そして第4弾はショーティーサイズでは製品がなかった北海道の気動車について製品化した。その上で「この中でお客様のメインターゲットはどこにいらっしゃるのかを模索しつつ、それに合わせて第5弾以降のラインアップにフィードバックしていきたいと考えています」と企画担当者は語る。
その中で重要となってくるのは、“1,650円(税込)”という価格に収めるということだという。「できることは限られてきてしまいますが、細かな作り分けを徹底的にやるのは本家の鉄道模型に全て任せて、何か雰囲気がいいなとか、いろいろと並べて遊べるような横軸のつながりは意識しています」(企画担当者)。例えば第1弾と第2弾の製品は、東西の車両を収録しているので、第1弾の車両と第2弾の車両それぞれを並べて遊べるわけだ。
第4弾についてだが、北海道の車両というのは非常に人気があるので、ユーザーからも好評を得ているそうだ。「トミックスでもそうですが、北海道の製品は人気があります。鉄コレポケットも旅情を感じさせるような製品に仕上がっています」(企画担当者)。
こうした中でパッケージにも工夫をしているそうで、第2弾のパッケージ側面では第1弾の車両と並べた写真を載せていたりする。「第2弾を買ったから、逆に第1弾が欲しくなったという声もあります。せっかく前の製品を買ったのだから次の製品も横に置きたいという気持ちを誘発して、コレクションの楽しみを増やしていただければと考えています」と語る企画担当者。そういう意味では、第4弾は少し変わった毛色の製品だ。企画担当者は「1つのパッケージに普通列車と特急列車が両方入っていることで、遊びの幅を持たせました」という。
しかしクオリティーにはこだわっている。「鉄道コレクションもそうなのですが、それなりに形状にはこだわりを持って展開をしています。そのデータも含めたノウハウを生かした上で、「前から見た時には本当にトミックスと変わらないよね」って言ってもらえるような出来を目指してはいます。力の入れ具合というのはメリハリを付けてやっていきます」と企画担当者は強調する。
なおユーザー層についてだが、いわゆる鉄道マニアと、そうでない人の比率について聞いた所、年齢層や遊び方という意味で見ると、まず、かつてのショーティーモデルを遊ばれていた、リアルタイムで知っている3、40代に1つの山があると企画担当者は言う。
企画担当者の見立てとしては「意外と多いのが10代で、この2つのボリュームゾーンがあります。若年層とBトレインショーティー好き世代でいうと、若年層の方がちょっと多いかほぼ同じくらいかな、という感じですね」ということだった。企画担当者によると、「第3弾のような商品ですと、むしろ若年層の方が実は多くなっていまして。これは単純にもうBトレインショーティーで113・115系は散々集めた後だから、上位年齢層は買わなかったということもあると思うんですよね。いろいろな仮説を立ててはいるんですが、読んだ通りに出るのかは難しいですね」ということもあるそうだ。
車両を作る上でのこだわり
製作上で注意している点についても聞いてみた。「われわれとしてこだわっているのはその組み立て、構造です。極力内部の体積を広く取っています。先行していたショーティーモデルのようにブロックが入っていて、バチバチと取り付けていける方が頑丈に組み上がるので、そういう意味でのメリットはあります。ただ、発展性を考えた時に、例えば弊社の鉄道コレクションで発売している動力が収まる所を加味して、かなりスペースを取れるような構造で作っています。これは例えば今後、新しい動力などに対応する余地も考慮して作っているわけです」(企画担当者)。
このほか、シールについてもこだわりがあり、貼らなくてもその車両の特徴がつかめるように作っているそうだ。例えば第4弾のキハ183系HET色については、先頭車側面にあるロゴは印刷済みだ。「シールに全てを任せるのは、単純にお客様に作業を転嫁しているだけだと思います」と語る企画担当者。第1弾と第2弾のグリーン車についても、ドア横のドアボタンも全部印刷でやっており、「絶対ここにグリーンマークが入っている」、というような、必要な箇所に関しては極力印刷してやっていくそうだ。「そうでないと、多分2個、3個と組むときに、作るのがどんどんしんどくなってくると思いますし」と企画担当者は作り手への配慮を語った。
パッケージに同梱される車両のバリエーション
ボックスを購入したときに封入される車両のバリエーションについてだが、筆者が購入した感触では、1ボックスで全てがそろうというわけではないものの、偏りがそれほどないように思える。そのあたりをぶつけてみると、賛否両論はあるというが、前提として2ボックスそろえるとほぼそれらしい編成になるように意識しているそうだ。ただし第1弾や第2弾では山手線や東海道線など、1両の編成が長くなる車種もあり、そのためにそろえる中間車が多く出るよう、中間車の比率は上げ気味にしているという。ただし第3弾は逆に短編成で遊びたい人が多いことを想定し、先頭車が少し多めに入っているとのこと。
「どちらにしても、お客様的には先頭車が欲しいという当然のお声もありますし、中間車が多い方が編成を伸ばしやすいというようなところもありますので難しいですね。ただ、われわれのターゲットという意味でいくと、1個ずつでもいいので、ちょっとずつ編成を伸ばしたり、ダブったら2編成作ってもらうというような感じを考えたら、(先頭車を増やすか中間車を増やすか)どちらがいいのかなというのは車種にもよるのかなと思っています」と企画担当者。
「ここは今後いろいろお客様からのご意見もいただきながら、また調整していきたい。後は製造上の都合もあったりはしますので、一概にはなかなか申し上げられないのです」(企画担当者)。
鉄コレポケットはこれまでとは違う製品
前にも述べた通り、この1年で4種類もリリースするなど、かなりのハイペースだが、今後はどうするのかを聞いたところ、企画担当者によると、ハイペースでリリースしてきたのはまずは面展開を考えてのことだという。「シリーズとして取りそろえた上で、“さあこの中からお好きなもの選んでください”という状態を作るための1年ですね。足固めの1年だったかなと思っていますので、ここからはちょっとペースを落としつつ、過去の製品と一緒に遊べるような、その遊び方のほうをもう少し訴求していきたいと考えています」と企画担当者。
「しかし新しい商品ラインアップも当然続けてはいきますので、定期的に増えてくるとは思うのですが、取りあえず車両をひたすら出し続けるということよりは、「もっとこういう遊び方ができますよ」といった提案や、あと周辺機器ですとか、世界観の裾野を広げるところにも力を割いていきたいなとは思います。とはいえ、それなりのペースでまた出てくると思いますが。そこは順番にご期待いただければと思います」(企画担当者)。
“周辺機器”という気になる単語が出てきたのだが、そこについて聞くと、「まだ決まっていることはないのですが、鉄コレポケットの遊び方については、集めるという所は提案していますが、どのようにすれば走らせて楽しめるの? とか、どのようにすればジオラマに飾って楽しめるのか、といった点も提案したいですね」とのこと。
ここまで担当の方にインタビューしてきたのだが、鉄コレポケットは単にショーティーサイズの市場を後追いしたわけではなく、トミーテックの戦略の一環として、プラレールと鉄道模型をつなぐ糸口としての製品という意味があることが分かった。展開の仕方も、先人であるBトレインショーティーとは異なり、鉄道模型からの出自としての独自展開もあるということなので、鉄道模型メーカーとしてどのような車両が今後出てくるのか楽しみだし、また最後に出た周辺機器についても非常に気になる。筆者は第1弾を買いそびれてしまったのだが、第2弾以降はボックス買いをしている。一ファンとしても、今後続いていく第5弾、第6弾が楽しみでしょうがない。


















































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