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トミーテックは鉄ポケの新作と「鉄コレ東急電鉄」を展示。マイクロエースからは小型スピーカーが登場【#静岡ホビーショー】

 第64回静岡ホビーショーには、各鉄道模型メーカーもブースを出して新製品を展示している。この記事では、その中でもトミーテックとマイクロエースのブースについて紹介する。

 トミーテックの注目商品は多く、昨年注目を集めたデフォルメ車両「鉄ポケ」シリーズ。トミックスブランドの新作がある。そしてマイクロエースは小型スピーカーが登場。魅力的な製品を紹介していきたい。

トミーテック、鉄ポケ新作の舞台は北海道

 トミーテックブースの注目はなんと言っても「鉄コレポケット」(鉄ポケ)だ。鉄ポケは通常のNゲージサイズの半分というショートサイズでできている模型のこと。こちらの新作が出ているのか確認したくて、はやる気持ちで訪れた。鉄ポケの第4弾のサンプルは静岡ホビーショーではもちろん展示されており、今回のコンセプトは「北の大地の気動車編」とのこと。2026年秋に定価1,650円で発売される。

発表された鉄コレの新作「北の大地の気動車編」
JRキハ183系の正面。彫り込みが分かるので何となくイメージはつく

 展示されていたのは第4弾に含まれるJRキハ183系。「キハ」とあるように電車ではなく気動車(ディーゼルカー)だ。今回はまだ成形色ベースのものだったのでカラーリングは施されていないが、「HET」と書かれているように、正面は青、側面は青と緑の帯を配したカラーという「HET色」となるのだろう。ブースでは成形色のサンプルと、北の大地をイメージしたと思われるジオラマが置かれていた。担当の方に今回は3種類なのかと聞くと未定とのこと。これまでの流れから言って3種類だと思うのだが、残りの2種類は「紫のもありますしね」と語っていた。

 “紫”と言われても鉄道ファン以外の方には想像できないと思うが、北海道を走る、車体カラーに紫をまとう列車といえば、キハ261系5000番代のこと。その中の「はまなす編成」、「ラベンダー編成」がそれに当たる。このうちのどちらかが製品化されるのか、それとも両方が製品化されるのかはもちろん不明だが、これについては発表を待ちたい。

 なお鉄ポケについては、ユーザーから「中間車(先頭車以外の車両)ばかりで編成がそろえづらい」という声もあるので聞いたら、これまでの車種では1編成が長かったのだが、第3弾は編成が短くても成立するので、先頭車が出やすくなっているという。

北の大地をイメージしたジオラマ
フル編成で走るE233系3000番代とJR115系(湘南色)

 鉄ポケのように中身が見えないパッケージで1つの編成を作ろうとすると、フル編成を作りたい場合は中間車が多く必要になるし、4両程度の編成で満足できる人は中間車ばかりが出ても困る。「フル編成をそろえたい人には中間車がほしいと言われますし、難しいですね」と担当者。そのあたりのバランスは考えていくそうだ。

 現状の動力車は、車両の両端に車輪が1輪ずつある2軸車のみだ。これではせっかくリアルに近い車体を作れるといっても、私たちが乗っている電車の、1台に2軸ずつ配置されている台車とは異なるので、多少興ざめ感がある。このためBトレインショーティーにあるような、2軸の台車が車両の両脇に1つずつ配置されるボギー台車の動力を出してほしいという声も多い。

ユーザーが独自に開発して配布している場合もあるが、そこはぜひオフィシャルなものを出してもらいたい。これについて聞いたところ、検討していると回答があった。なおその場合は、現在の2軸動力も併売される見込みだ。KATOからはBトレインショーティー向けのボギー台車の小型動力が出ているので、トミックスでもぜひとも実現していただきたいところだ。ちなみにトミックスが発売している、R103という曲半径の小さい小型のレイアウトを組める「スーパーミニカーブレール」には対応しないので注意してほしい。

8月発売の鉄コレ「東急電鉄スペシャル」も展示

 さまざまな鉄道事業者の車両をシリーズ化して発売している「鉄道コレクション」(鉄コレ)については、8月に発売される「東急電鉄スペシャル」の展示もあった。この製品は電動車である「デハ3450形」と先頭車の「クハ3850形」のバリエーションを集めたシリーズとなっており、東急電鉄ファンならば絶対にチェックしておくべき製品だ。ブースでは成形色サンプルが展示されていた。

 鉄道事業者の東急電鉄といえば、現在でもさまざまな車種が走っており、バリエーションが豊かなためファンも多い。今回発売される旧3000系も“青ガエル”(旧5000系)と同様に人気のある車種だ。最初に「東急電鉄スペシャル」と聞いた時はもう少し形式のバリエーションがある車両が製品化されるのかと思ったが、あえて旧3000系に絞ったのは思い切りがよいと思った。しかし旧3000系といっても今回のようにオリジナルの緑色から青と黄色の復刻カラーまで車体色が違ったり、先頭車の顔に貫通扉の有無や、それぞれの車体における屋根形状の違いなどを作り分けてさまざまな車種を出してくれるので、その微妙な差を楽しめるのはよいと思う。

 なお、当時の目蒲線を走っていた旧3000系の製品化ということで、東急電鉄の蒲田駅のジオラマも展示していた。駅は社員の方が作ったそうだが、内部にはくし形の4面4線(4つのホームと4つの線路)のホームが配置されているほか、旧3000系も入線。そのほか、車止めやホームのベンチ、防護柵に至るまで詳細に作り込まれていた。屋根はフルスクラッチで作り上げたという傑作で、裏側を見ると細かな梁まで作られており、素晴らしい出来だった。

東急電鉄スペシャルの成形色サンプル
台車もきっちりと表現
目蒲線の終着駅だった東急電鉄蒲田駅
内部はこういう作りに。顔が歌舞伎の隈取に似ている「歌舞伎塗装」の7700系も入線している
フルスクラッチで作り上げた屋根

新しいEF58の台車を展示したトミックスブランド

 トミーテックの鉄道模型ブランド・トミックスの展示では、これから発売されるNゲージの新製品に加えてジオラマを作成し、先日発表になった「<3251>複線トンネル(丸形)S280」や、製品化が決定した「留置線レールセット」が展示されていた。

 複線トンネルはとても話題を呼んだ製品で、お座敷レイアウトに置く形でも楽しめるのがよいところだ。このあたりはプラレールの発想に近いが、トンネルポータルからその内部に至るまできっちりと表現されているのが、鉄道模型のストラクチャーとして販売される上でのポイントだ。

 列車を一時的に止めておくための留置線を再現した留置線レールセットについても、レイアウトを組む人はもちろんのこと、道床と線路が一体化されているので、お座敷レイアウトでも利用できる。通常の複線よりも狭い間隔となっており、上下の路線を1つのホームで使う“島式ホーム”の先にあるレールヤードとして、また相対する形でホームが置かれている“対向式ホーム”の真ん中に置いて折り返し運転を楽しめることをアピールしていた。

 なお留置線レールセットでは、車両の長さが20mである“20m級車両”4両分の停車が可能となっている。これにより車両の入れ替えを楽しめる手段が増えたわけで、違った遊び方ができる。なお留置線レールセットにはこのほか、新規製作の安全柵や車止め、架線を留めておく機能を持つ架線トラスが付属するので、留置線の雰囲気をしっかりと出してくれている。

<3251>複線トンネル(丸形)S280
20m級車両を4両分停車できる留置線レールセット

 先日開催された「上野駅×トミックス50周年コラボイベント」でも展示されていた「BタイプSL貨物列車セット」については、静岡ホビーショーで詳細を発表するといわれており、気になっている人も多かったと思う。これは2026年12月下旬に発売予定で、価格は12,760円となる予定だ。架空企業の館山重工業が所有する蒸気機関車「館山重工業乙C825タイプ」と貨車の「ワ1039」、タンク車の「タ270」の3両編成で発売される。なお、タカラトミーモール限定だ。

BタイプSL貨物列車セット

 そしてこれも話題を呼んでいた「回転式トレインマーク」。会場でもデモが行われており、小さい表示のトレインマークが上下方向に回っていく“幕回し”をしっかり再現していた。これまでトレインマークを変更するといえば、例えばKATOの24系で左右の回転により入れ替えることができるようなものだったが、実際の車両のように上下で回転して幕回しができるのであれば、より実車に近づき、遊び方の幅が広がったといえる。

「ひばり」から変わるところ
こちらは「はつかり」

 2026年9月に発売される予定の電気機関車「EF58 61」については、台車枠と一体化することによって、カーブ通過時の見た目を改善したところが目を引いた。サンプルを見ると確かに今までとは全く異なり、先台車が主台車の回転に連動して動くので、車体の左右に飛び出して動くといった表現から随分進化した。実車とは違うこの動きには抵抗があったが、これであれば興ざめすることも少なく遊べるだろう。なお、EF58 61は“お召し機”と呼ばれ、皇族が鉄道で移動する際の機関車を担っていた。

EF58がカーブを通過する時の見た目。右が新製品
上から見るとよく分かる
EF58 61を横から見たところ
車両本体の屋根の表現も精密になった

 ストラクチャーだが、11月に発売予定の「吉野家」サンプルが展示されていた。高架下にも設置できるようで、レイアウトのバリエーションが増えるだろう。なお吉野家の看板は、昔ながらのオレンジベースと、最近よくある黒ベースの看板を再現したステッカーを選ぶことができる。

 このほか気になったのは、トミックス50周年記念のパワーユニット(鉄道模型を運転するための装置)が発売されるという展示だ。懐かしい緑ベースの筐体となっており、ダイヤルを回す方向でFWD、REVを切り替える。

吉野家のストラクチャー。価格は4180円
写真だけの展示となったトミックス50周年記念新パワーユニット

マイクロエースは車両から音を流せるユニットを紹介

 いつも静かにいろいろな製品を展示するマイクロエースのブースだが、今回も目を見張る新製品が登場していた。

 マイクロエースの製品はこれまで“かゆいところに手が届く”というか、細かい車種、世代の違いによる差を再現しており、“それを出しましたか!”という驚きの製品群を発売している印象がある。

 先日も中古模型店で、半蔵門線に配備されるはずの営団8000系が試運転で東西線に導入されていた当時の、ドアの上に「東西線」と表示した姿の製品を見かけ、購入したいと思ったが予算の都合で諦めた経験を持つ。再度訪れたときにはその製品は売れてしまった後だった。ちなみに15年ぶりに生産される名鉄3400系には期待しており予約済みだ。今年の11月が待ち遠しい。

 こうしたユニークな発想を持って製品化するのがマイクロエースだが、今回は「J0001 マイクロスピーカーシステム」という製品を展示していた。これは小型バッテリーを内蔵しているスピーカーで、スリムタイプの「狭幅室内灯」を組み込める同社製品であれば対応する。

 なおこれは電池式でなく充電式なので、特殊な配線をしないとパワーユニットを通じて電気が取れないジオラマでも活用できるのがポイントだ。いわゆるBluetoothスピーカーなので、スマホとペアリングして音楽ファイルを流せば利用できる。鉄道の効果音以外でも、環境ビデオの音源を使えば雰囲気満点で、ジオラマやレイアウトでの活用の幅が広がるだろう。

 充電時間は90分で使用時間の目安は120分。操作も簡単で、本体にあるペアリング用のボタンを押して待機状態にして、スマホのBluetooth機能を使って接続すれば再生できる。正常に音が出ていれば、マイクロスピーカーシステムの本体にある青いランプが点滅する。音量はスマホのスライダーを操作すれば変えられる。

 このため紹介ビデオでは車両の中に仕込むデモのほか、ジオラマの底に隠して環境音を流すという例も紹介されていた。もちろんいつも聴いている楽曲を再生することも可能だ。また小型で車両サイズに収まるので、他社製でもマイクロスピーカーシステムを入れることができれば使えるのもよいところ。まだ製品が発売されているわけではないので、マイクロエースの狭幅室内灯を参考に、自分の持っている車両に搭載できるかを判断しておいてもよいだろう。

マイクロスピーカーシステム
LiPoバッテリーを積んでいる。右はスピーカーユニット
製品パッケージ

 また、プラスチックの板を真空で引っ張って成形して製造する“ブリスター”を使った駅のストラクチャーのサンプルも展示していた。ストラクチャーといえばプラモデルのように、分かれたパーツを組み立てて完成させるのが常だったが、真空成形のブリスターなら、ストラクチャーとしての精度はプラモデルに及ばないものの、コストダウンして販売されることも見込まれるので、安価に入手することができるだろう。

 なお展示されていた駅だが、ブリスターで成形された表面に、貨物用の車掌車である「ヨ5000」が乗っていた。かつての車掌車は今は使われないので、地方に行くと駅の待合室に改造されて使われていることがよくある。これを倣った形だが、特に車両上部だけを取り外すのではなく、車両自体をはめ込んで使うため、分解する手間も必要なく、手軽に駅の中のストラクチャーとして展示できる。

 しかしブリスターによるストラクチャーはまだまだ開発途中で、駅に設置されている自動販売機を表現するために押し出し部を細かく作っても、結果として出るのは真四角に出力されるのではなく丸みを帯びたりして、まだ成形がうまくいっていないとのこと。もう少し開発には時間がかかりそうだ。

ブリスターを使ったストラクチャー
裏側はこんな感じで、きっちりと作った成形部の表現ができているものの、表側にそれを反映するのはまだ開発途中

 今回第64回静岡ホビーショーで各鉄道模型メーカーを回った感想だが、展示スペースが例年並みといっても、各社共にイチ押しの製品を広く展示していて、これもまた例年通りに担当の方が熱心に教えてくれるのが印象的だった。模型の展示会としてはその年に先駆けて開催される大イベントなので、今後の各メーカーの動向を知るにはぴったりだ。

 一般公開日の申し込みに漏れた方はとても残念だが、こうした記事を知ることでその一端を感じてもらえればうれしい。これからのイベントとしては、8月に「国際鉄道模型コンベンション」(JAM)、秋には「全日本模型ホビーショー」が続く。その際には「発売予定」とされていた製品のサンプルも完成しているだろうから、どのような展示になるのか今から期待が高まる。