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AIが持ち主を見分け、特別な親しさを! タカラトミーのシニア向けコミュケーションロボット「あみちゃん」の魅力とは?

【うちのあまえんぼ あみちゃん】

8月27日発売予定

価格:27,500円(税込)

 タカラトミーは顔認識機能搭載のシニア向けコミュニケーション人形「うちのあまえんぼ あみちゃん」(以下、「あみちゃん」)を8月27日より発売することを発表した。価格は27,500円(税込)。弊誌はさらに個別のオンライン取材で、「あみちゃん」の詳細を聞くことができた。

 この「オムニボット」というロボットはトミー時代から続くブランドだが、タカラトミーとしては2014年の「ハロー! ズーマー」から「オムニボット」シリーズとして様々なロボットを展開している。そのオムニボット商品のアンケートなどから、おしゃべりをするロボットは65歳以上の使用割合が4割以上も占めていることがわかったという。

タカラトミーの「オムニボット」商品の一部。ペット型、コミュニケーション、スポーツ型などアプローチは様々だ

 内閣府が発表した調査データによると、現在65歳以上の高齢者人口は3,600万人以上で、そのうち約600万人が1人暮らしという超高齢化社会となっている。それに加えて、昨年から続くコロナ渦の影響もあり、人と会う機会時代が減少してきている。

 そこでタカラトミーはシニア層に調査を行なったところ、「家族と離れて会話が減ってしまった」、「気持ちをわかち合う人がいない。必要とされていない気がする」、「ペットを飼いたいけど不安がある」といった悩みを抱えているという結果が出た。同社のこれまで培ってきた知見を活かして、それらを解決するために企画されたのが今回発表された「あみちゃん」である。

本商品のコンセプトを語った、タカラトミー ネクスト事業室 室長 木村貴幸氏

ユーザーを個別認識し、自分だけと特別なおしゃべりが楽しめる機能

 この「あみちゃん」という名前は、「“あ”なたを“み”つめるかわいい家族」というところから名付けられている。これまでのシニア向けの人形やロボットは存在したが、他社製品と異なるポイントは3つある。

 ひとつ目は顔認識機能だ。「あみちゃん」の胸のペンダントには顔を認識するための機能であるカメラセンサーの「なかよしセンサー」が搭載されている。センサーにはAIを活用した画像認識チップが採用されている。登録できるのはひとりだけと限られるが、メインユーザーを検知するとその人だけに特別な会話をしてくれる。

自分を認識し、特別な名前で呼んでくれる。

 カメラセンサーは通常はOFFになっているが、抱っこしたときにだけ起動するようになっている。「あみちゃん」を抱っこしたときにユーザーを認識すると、ピロリンという音が鳴って名前を呼んでくれるなど会話がスタートする。ちなみに、登録したユーザー以外が「あみちゃん」を抱っこしたときは、差し障りのない会話をするようになっている。

 この顔認識ができることで、登録したメインユーザーを検知して名前を呼んでくれるくれるというのがふたつ目の特徴だ。名前の呼び方は「○○おばあちゃん」や「○○ばーば」というように、12種類の呼称から選択することができる。

 ちなみに名前の登録は50音で入力する。「あみちゃん」のセンサーを使って名前入力モードにして、片手のセンサーが横の行、あ~わ、もう片方が縦の行、あ~おに対応しており、手を握るたびに「あみちゃん」が音声を発する。これを繰り返してユーザーの名前を決める。「ひろこ」と入力すれば、「ひろこおばあちゃん」などと呼んでくれるわけだ。もちろん名前の後ろにつける言葉も設定ができる。

メインユーザーを認識すると、会話の内容が変わる

 「あみちゃん」は、約1,600の言葉を話すことができ、それらを組み合わせて約25万通りものおしゃべりが楽しめる。「あみちゃんひらがな書けるんだよ」という感じで、自分だけに向けたおしゃべりもしてくれるというのが3つ目の特徴である。

 また、「あみちゃん」は時計とカレンダー機能も搭載されており、毎朝7時に勝手に起きて、夜8時には勝手に寝る。起きたときには「おはよう! 朝、お水を飲むのは体にいいんだって」といように、そのときどきによって様々なセリフを話してくれるのだ。

カレンダーに応じて変化する言葉

 先ほどの「なかよしセンサー」を含めて、頭をなでてあげるといろんな反応をする「なだなでセンサー(あたま)」や、抱っこをすると喜ぶ「だっこセンサー」、話しかけることでリアクションをしてくれる「おはなしセンサー(マイク)」など、全部で4つのセンサーとふたつのスイッチが搭載されている。

 左右の手には、「あくしゅスイッチ」が搭載されており、なにかおしゃべりを楽しみたいときは、こちらを握ることで会話を楽しむことができるようになっている。

話しかけたり、なでたり、手を握ったり、ユーザーのアクションに対する受け答えも多彩

セキュリティや認識精度向上のための工夫も

 登録したユーザーがメガネをかけていたり髪型が変わったり、あるいは照明の関係などでうまく識別できない場合がある。「あみちゃん」がうまくユーザーを判定できなかったときは「○○さんなの?」といった感じで確認してくる。そのときに「そうだよ」と答えることで、ユーザーの顔の特徴データに現在の特徴データが追加されていく。

 そのため、遊んでいくことでデータが追加されていき、顔を認識する精度も上がっていくのだ。ちなみに、顔の特徴データは最大10種類まで保存されるが、10種類以上になったときは頻度が低いものと入れ替わるといった仕組みになっている。

めがねをかけたり、外したり、変化するメインユーザーの特徴を記憶

 この顔認識だが、センサー自体はユーザーの顔写真を保存しているわけではなく、特徴点のみを保存してユーザーを認識している。「あみちゃん」にはユーザーの名前、入力したユーザーの誕生日などの、いくつかの個人情報が記録されるが、この情報はSDカードなどの取り外せる記憶媒体はなく、ネットに接続するといった仕組みもないため、外部にデータが漏れるといった心配はない。

 また、「あみちゃん」は充電するスタイルではなく、単二乾電池4本で駆動する。1日1時間程度使用で1ヵ月半ほど電池が持つ仕様となっている。電池は背中から取り出すことができ、シニア世代でも簡単に入れ替えが行なえるようになっている。これとは別にデータを記憶するためのコイン電池も使用しており、電池交換時にデータが消えてしまうといった心配も不要だ。

開発担当のネクスト事業室 企画開発課 係長 多田翔平氏。このように、「あみちゃん」の電池はボックスで背中から取り出せるようになっている。機械が苦手なシニア世代でも直感的にわかりやすい構造になっている

リカちゃんで培ってきた人形作りのノウハウも採用

 タカラトミーは、50年以上女児玩具の代表的なブランドといえる「リカちゃん」を作り続けてきた。植毛や、顔のデザイン、愛らしい体のバランスといった、女の子の人形を作るノウハウを持っている。この「あみちゃん」でも、そうした人形作りのノウハウが最大限活かされている。髪の毛は、本格的なドールと同じ仕様の植毛ヘアーを採用。顔は、可愛さを追求したドールタイプのフェイスが採用されており、"お人形"としても愛せるような外観に仕上げられている。

 また、10月以降の展開になるが、別売りでお着替えコレクションというアイテムも展開されていく予定になっている。こうした商品を通して、シリーズとして長く遊べるようなものにしていきたいと考えているそうだ。

リカちゃんで培ってきたかわいらしいドールを作る技術を活用。愛らしさを表現
着せ替え人形同様に、お着替えコレクションも別途発売される予定だ

 今回は通常のおもちゃとは異なりシニア向けの商品ということから、まずは直販サイトからスタートということで、8月18日よりタカラトミーモールで予約が開始されている。また11月4日まで、二子多摩川にある次世代型ショールーム鷲谷家電+でも展示中だ。

 ロボットに話しかけるユーザーにシニア世代が多い、というデータは興味深い。筆者は「おもちゃは子供のもの」というイメージが強かったが、同じ技術やアイデアを活かして違った世代が楽しめるようにしていくノウハウは斬新に感じた。「あみちゃん」をきっかけに、新たな展開も期待したい。