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【模型ホビーショー】組み立てやすく、よりリアルに! 試行錯誤を繰り返し進化するタミヤのバイクプラモ「1/12 ドゥカティ スーパーレッジェーラV4」

【1/12 ドゥカティ スーパーレッジェーラV4】

10月8日発売予定

価格:4,620円(税込)

 今回の模型ホビーショーでタミヤの一押しの製品がプラモデル「1/12 ドゥカティ スーパーレッジェーラV4」だ。10月8日発売で、価格は4,620円(税込)。

 ドゥカティ スーパーレッジェーラV4は、「バイク界のフェラーリ」とまで呼ばれるメーカー・ドゥカティの最高の公道走行可能モデルとして世界限定500台のスーパープレミアムバイクだ。限られた人しか手にできないどころか、見ることすら難しいバイクを、タミヤは実車取材で精密にプラモデル化している。

今回熱く語ってもらったのがチェーンの再現度。2パーツを貼り合わせることでこれまでのパーツにはない詳細でリアルな表現を実現している

 本製品の最大の特徴と担当者が勢い込んで説明してくれたのが、チェーンの表現である。エンジンの駆動を後輪に与えそのパワーを発揮させるチェーンはバイクのとても大事なパーツだが、これまでは1パーツで表現していた。しかし、こだわりのユーザーは「チェーンはギアを噛んで車輪を回転させるのだから、中央に溝がなければ!」というのだ。その声に応え、極薄のパーツを重ねることで、よりリアルなチェーンを実現したという。しかしこの極薄のパーツをプラモデルパーツとして作るには耐久どの点で難しく、「この主砲が今後の標準になるかは検討中」とのこと。ある意味、この製品もとてもプレミアムなのだ。

ものすごく薄く細い2パーツ構成のチェーン。生産もかなり大変そうだ

 タミヤのバイクプラモデルは各パーツがリアルなだけに、作るだけでバイクの構造を詳しく学べる。ブレーキのケーブルがどこにどうつながっているのか、冷却水を冷やすためのラジエターを通る水はどう循環しているのか、バイクそのものが「走るためのメカ」に特化しているだけに、理屈の塊であることが、作っていてしっかり学べるのだ。

 複雑な部品が重なって組み上がる一見難しいプラモデルに見えるが、組むための工夫、最小限の塗装で仕上がるアイディアが盛り込まれており、初心者から上級者までおすすめのプラモデルとのこと。組み立てやすさの工夫の1つが、前方についているウィング。部品の状態だと、2つの翼をつなぐ極小のランナーが残っている。これはわざとで、このランナーが残っていないと小さな翼が外れてしまい組み立てにくくなる。このランナーはあえて接着するまで外さず、土台にしっかりくっつけてから切り離すことで、小さな翼が簡単に土台につけられるとのこと。

あえてランナーで2つの翼がつながっていることで組み立てやすい

 また、特徴的な真紅のカウルだが、カウル部分のパーツをスプレーでさっと赤く縫ってしまうだけで、実車に近い雰囲気にできる。それはデカールの工夫があるからこそだ。デカールはよく見ると赤い部分がある。カウルを赤くするのになぜ赤い部分を上から貼るのか? それは実車の赤が随所でツートンの赤で染められているからなのだ。近くで見ないとわからないような、微妙な赤のツートンをデカールできちんと再現しているのである。

デカールに赤い色が入ってるのは、本物の赤い2段階の塗装を再現するためだ

 ほかにもカウルはネジ止めされているため、組み立てた後も外すことができるといった工夫もある。ネジはどうしても実車感覚で見るとオーバースケールになってしまうためできるだけ隠すようにするのだが、それと同時に取り外しやすいようにアクセスも考えている。ウィングパーツの基部にネジ穴を設け、ウィングパーツそのものは磁石でいつでも取り外せるようにしているという。

 モチーフの表現や注力という方向性ではなく、模型設計の工夫点や、作り手としてのアプローチ、ユーザーを意識したパーツやデカール構成などをしっかり聞けたのは面白かった。ホビーショーでは様々なメーカーの開発者が、それぞれの立場で工夫をしたり、アイディアを盛り込んでいる。こういった作り手の工夫やアイディアを聞いた上でプラモデルを作ると気づく点も多い。ぜひ「1/12 ドゥカティ スーパーレッジェーラV4」にチャレンジして欲しい。

本当に限られた等し亀にすることすらできないスーパーマシンを組み立てられる。しかも初心者への配慮もしっかりしているところに作り手のユーザーへの思いがある