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【魂ネイション】フィギュアメーカーのデジタルフィギュアアプリ「Digi-Fig」

魂ネイションのフィギュアをデジタル化、質感からギミックも完全再現!

【TAMASHII NATION 2022】

開催期間:11月18日~11月20日

開催場所:ベルサール秋葉原 B1F~2F イベントホール

 今回の「TAMASHII NATION 2022」で面白いプロジェクトの発表があった。「Digi-Fig(デジフィグ)」という、スマートフォン/タブレット向けの「デジタルフィギュアアプリ」だ。サービス開始や料金などはまだ未定だが、現在βテストのユーザーを募集している。

 本アプリは「ROBOT魂 ver. A.N.I.M.E.」や「METAL STRUCTURE 解体匠機」を手がけたBANDAI SPIRITSコレクターズ事業部の野口氏が立ちあげたプロジェクトだ。スマホの中で「ROBOT魂」や「METAL BUILD」といったロボットフィギュアが遊べ、ジオラマとして飾ることができるアプリである。

【いつでも、どこでも つながる、ひろがる フィギュアライフ 「Digi-Fig」コンセプトムービー】

 現代のフィギュアは3Dデータが欠かせない。高精度のフィギュアの3Dデータを作り込み、材質なども検討し設計を行なった上で、実際の製品として工場でパーツを作り、組み上げる。データ上でもミクロン単位でフィギュアの部品を設計しておくことで安定したフィギュア製造が可能となるのだ。「Digi-Fig」はこの"生データ"を使って、デジタルフィギュアとして活用できないだろうか? というところがスタートだという。フィギュア製造のための"設計図"をそのまま商品化できないだろうか? というプロジェクトなのである。

 ユーザーはデータであるフィギュアを購入、自分の端末にダウンロードする。フィギュアは実際の可動カ所に関節を仕込んでいるのでタッチパネルの操作で直感的にポーズ付けが可能だ。フィギュアのサイズに応じて可動カ所は多くなる。ポーズ付けもいくつかプリセットを用意しているので、「うまくポーズが付けられない」というユーザーも開発者が提示するプリセットのポーズでこつがつかめる。

製品の設計図であるフィギュアデータをそのまま活用。商品の質感までもきちんと再現するので、「ROBOT魂」や「METAL BUILD」といったブランドによる素材の違いやデザインの解釈も楽しめる。可動カ所もフィギュアに準拠、ギミックはプリセットでも楽しめる

 ポーズを取らせたり、アクションをさせることも可能で、ジオラマベースに立たせたり、エフェクトを配置、アニメーションさせることで「動くジオラマ」を造り出すことが可能だ。変型など複雑な動作もプリセットボタンで一発。もちろん自分の手でパーツを動かして変型させることも可能だ。

 「Digi-Fig」で本物クオリティのフィギュアを提供するというのはある程度ハードルはあると思うが、興味深いプロジェクトである。まずデータは実際のフィギュアそのもの、フィギュアと同じアクションができるものとなる。「ROBOT魂」、「METAL BUILD」といった商品ならではのアレンジデザイン、ギミックなども楽しめる。何より金属の質感や光沢など、商品そのものの実在感にはこだわりたいと野口氏は語った。

 細かいパーツをなくしてしまったり、パーツ交換などで無理な動きをさせて壊す心配もない。製作側である野口氏は「安定したクオリティ」も指摘する。実際のフィギュアは塗装やゲート処理などでどうしてもわずかな品質の差が出てくる。デジタルフィギュアはそういった商品の均一性は極限まで保たれるのだ。

 「ゲームやアニメで使うCGデータと違って、フィギュアとして本当に細かく作り込めますしディテールはフィギュアと同一のものにできる。フィギュアメーカーだからできるデジタルフィギュア、という魅力は大きいと思います」と野口氏は語った。

 デジタルデータでの販売のため、現在のフィギュアのように「転売屋の買い占め」が起きないところも大きな魅力だ。どこでもどんな時間でも変える。フィギュアショップなどがない海外のユーザーも購入することができ遊ぶことができる。コレクターにとって「コレクションが場所を取らない」というのも魅力だろう。

 ただ、もちろんこの「Digi-Fig」は"実際の商品も手に取って欲しい"という想いも込められている。デジタルフィギュアを遊ぶことでお気に入りのフィギュアを買って実際に手にするその楽しみを想像し、応援する側面もあるとのこと。

フィギュアをデジタルジオラマに配置、エフェクトも配置することができる。簡単なアクションアニメをさせることで「動くジオラマ」も可能だ
ARで現実の風景にデジタルフィギュアも置くことも。課題は多いと思うがぜひ進めて欲しいプロジェクトだ

 「Digi-Fig」はとても魅力的で、フィギュアの未来を考える上で今後見逃すことのできないプロジェクトだと感じた。もちろん実際のデータ量や端末の性能、何より3Dのデータを動かすインターフェースなど課題も多いだろう。デジタルフィギュアを触ったことのある人なら伝わるが、とにかくポーズ付けが難しい上に、やはり「本物のフィギュア」の圧倒的な質感の魅力は大きい。

 ただ、フィギュアのトップメーカーと言えるコレクターズ事業部が、フィギュアの表現にこだわるという動きを見せる中で、きちんと技術的なバックボーンを育ててデジタルフィギュアに挑むとすればブレイクスルーの可能性はあるかもしれない。今後さらにVRやARの技術も高まっていく中で、コレクターズ事業部の応援は応援したいところだ。