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子供達がロボット操縦を競う「タミヤロボットスクール 選手権大会」開催!

押し出し、跳ね飛ばし、妨害専門……。子供達が生み出した奥深い駆け引き

【タミヤロボットスクール 選手権大会】

4月1日発売予定

会場:東京都立産業貿易センター 台東館

 タミヤとナチュラルスタイルは、全国で子供達を対象として展開している「タミヤロボットスクール」において、各教室の選手がペアで参加する競技大会「タミヤロボットスクール 選手権大会」を4月1日に開催した。

 ナチュラルスタイルはプログラムや設計などのロボット研究を、カリキュラムを通じて子供達に教える教室を運営している。「タミヤロボットスクール」は、タミヤが企画協力、ナチュラルスタイルが本部運営し、小学生を対象に全国27都道府県61教室を展開している。教室は塾の特別カリキュラムや、地元企業の協力の下、会議室を貸りるなどしてナチュラルスタイルが教室を運営、子供達が月2回、ロボットの構造や機能や構造、プログラミングを学んでいる。

実行委員長を務めるナチュラルスタイルの安中剛氏

 「タミヤロボットスクール 選手権大会」はその学んだ成果を試せる場所。競技ルールに対し、ロボットのデザイン、機能は自由。競技はペアで行われるため連携や作戦も重要となる。コロナ禍で大きな規模の大会がこれまで自粛されていたが、今回は宇都宮、水戸といった関東圏から、南は大阪のチームまで40チームが参加する大会となった。

 競技は相手の陣地により多くのポイントを放り込んだ方が勝ち。ロボットの設計は自由。ブルドーザーのように押し込んだり、モーターで歯車を回しポイントを吹き飛ばしたり、巨大な壁で相手を邪魔したりとアイディア豊かなロボットが集まった。そして試合はペアで行われるため、片方が相手チームの妨害に徹したり、ポイントを一カ所に集め、それをもう一人が運んだりと、作戦とチームワークも重要となる。

 今回このアイディア豊かでユニークな大会を取材した。印象に残ったポイントをレポートしていきたい。

【全国から40チームが参加した、「タミヤロボットスクール 選手権大会」】

子供達の創意工夫が活きるロボット競技

 競技に出場するロボットはタミヤが販売する「リモコンロボット製作セット(タイヤタイプ/クローラータイプ)」をベースとして使い、ロボットのデザイン、機能は子供達の設計となる。ポイントを敵陣地に弾き飛ばす機構や、大きなブルドーザーブレードで相手の攻撃を防ごうとするなど、様々な機能を盛り込んだロボットが登場した。

 子供達が手にしているのは8チャンネルの有線式リモコンだ。最大で4個のモーターを搭載できる。前進、後退、左右の旋回で4チャンネル。後の4チャンネルが機能に盛り込める。クレーンの操作が多かったが、中には高速で羽のついた歯車を回転させ相手陣地に向かってポイントを弾き飛ばすロボットや、巨大な壁を展開するロボットもあった。

【基本キット】
リモコンロボット製作セット (タイヤタイプ)、4,180円
リモコンロボット製作セット (クローラータイプ)、4,180円

 この選手権ではペットボトルの蓋を使ったポイントをいかに相手のコートに入れるかが勝敗の基準となる。試合時間は2分間。相手にたくさんのポイントを入れられても、終盤に相手陣地にそのポイントを押し込めば大逆転もあるのだ。

 ポイントは配置によって違いがある。中央の白い蓋は1点、中央のポイントが3点、奥にあるのが5点。陣地は木枠に仕切られており、この枠をどう超えて相手の陣地にポイントを投げ込むかが鍵となる。

【競技フィールド】
ペットボトルの蓋のポイントを相手陣地に投げ込むのが勝敗の基準となる

 競技において、ロボットの設計、操作だけでなく、重要なのは「チームワーク」である。2人で何をするのか。片方が相手の妨害、もう一方が得点という作戦や、1人が前方の得点、後方は自陣の得点ポイントを集めて、相手に放り込むなど色々な作戦がある。

 面白いのは自陣にあるポイントをあえて場外に“捨てる”ことで失点を防ぐことができる点だ。しかしそれだけでは敵に勝てない。相手にポイントを押し込みつつ、自陣のポイントをいかに少なくするか、そのためにロボットのデザインや機能をどうするか、もちろん操縦技術も問われる。

【様々なロボット】
ブルドーザータイプが基本だが、そこから様々な機能を持たせている
ロボットの戦略、子供達の表情、観客のリアクションも面白い

 もう1つの面白さはやはり子供達のリアクションだ。ロボットの動きに合わせて思わず体が動いてしまう子が多い。他にも、やたらと相棒に指示を送る割に自分が動いてなかったり、うまく動かない自分のロボットを叩いてしまったり、競技ならではの感情がむき出しになる場面もあった。観戦している子供も思わず白熱してしまいその場で足を踏みならしたり、飛び上がったり、踊ってしまう子もいる。もちろんその熱気は親たちも同様だ。

 40チームは最初はリーグ戦でぶつかり合い、上位16チームがトーナメント形式で1位を競った。行われた試合は全95試合、白熱の戦いが繰り広げられた。

【「タミヤロボットスクール 選手権大会」、様々なロボット達の戦い】

 決勝戦は門前仲町1チームと、宇都宮3チーム。門前仲町1チームはオーソドックスなブルドーザータイプでスピード重視の作戦。宇都宮3チームは前後で機能が変わるロボットでの戦いだ。

 競技ではいつでもロボットをスタート地点に戻せる。この時に向きを変えてのセットも可能だ。宇都宮チームはそのルールを活用して前後で機能が変わる宇都宮チームはポイントを集める機能と、ブルドーザーでポイントを押し出す機能を持たせていた。決勝まで勝ち進んだ両チームはさすがの戦いだった。

 スピードと確実な操作を活かした門前仲町チームは優勢にゲームを進めていたが、宇都宮チームはそのポイントを場外に捨てることでポイント差を縮める。最後は僅差のポイント比となった。わずかなリードで勝利したのは門前仲町1チーム。勝った選手は歓声を上げ跳びはねるような喜びようだった。非常に盛り上がった決勝戦だった。

【「タミヤロボットスクール 選手権大会」、最終戦・門前仲町1チームvs宇都宮3チーム】
【決勝戦】
奥が門前仲町1チーム、手前が宇都宮3チーム
勝利した門前仲町1チーム、跳ね上がっての喜びを表現
金メダルを首にかけての記念撮影

 今回初めて「タミヤロボットスクール 選手権大会」を見たのだが、子供達の創意工夫、競技への熱意、観客達の盛り上がりも非常に楽しかった。ロボットをどのような設計にして、ポイントをどう運ぶか、相手の動きがどう防ぐか、そのアプローチは本当に多彩で、奥深さを実感させた。

 正直ロボットのアイディアと創意工夫は驚かされた。子供の時「自分で操作するロボットが欲しい」とは多くの子供達が思うだろう。「タミヤロボットスクール」ではきちんとした教材と、指導者の下ロボット設計の基礎が学べる。まず機能を自由に考え、その動きをさせるためにどう設計し、どう動かすかを考えて、試せる。それは子供の夢や空想を明確に形にし、「どう実現するか」を真剣に問うことができる。子供の未来にとってとても新鮮で、具体的な経験だろう。

 この教室に通い、ロボットを作り、多くの仲間達とそのロボットの真価が問える、「タミヤロボットスクール」と「選手権大会」は面白い取り組みだ。自分たちが住んでいるところにこの教室があるか、まずは探してみてはいかがだろうか?