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神秘的な透明感……。ずっと見つめていたい「初音ミクシンフォニー 2022Ver.」【#ワンホビG】

【ワンホビギャラリー 2023 SPRING】

開催期間:
5月27日10時~20時 最終入場19時30分
5月28日10時~19時 最終入場18時30分
会場:アキバCOギャラリー

東京都千代田区外神田3-16-12 アキバCOビル1F

入場料:無料

 グッドスマイルカンパニーのフィギュアで「初音ミク」は1つのジャンルを成すと言えるほど様々な商品が発売されている。今回の「ワンホビギャラリー 2023 SPRING」でも様々な商品が展示されていた。

本稿で取り上げるのは「初音ミクシンフォニー 2022Ver.」。発売日、価格は未定

 緑の髪のツインテール、華奢な少女の体……。いくつかの共通項を持ちながら、手がけるイラストレーターや、原型師によって全く別な姿を見せ、それでいながら「初音ミク」というキャラクターに統合される。アニメやコミックの人気キャラクターも様々なテイストで描かれるが、ミクほど多彩で自由なイメージで立体化されるキャラクターはないのではないだろうか?

【様々なミクのフィギュア】
「初音ミクNT風私服Ver.」。こちらも全く雰囲気が違う。シースルーのスカートの表現が見事だ
こちらは会場で発表された「初音ミク Happy 16th Birthday Ver.」

 今回取り上げたいのは「初音ミクシンフォニー 2022Ver.」。VOCALOID楽曲をフルオーケストラで美しく奏でるコンサート「初音ミクシンフォニー2022」の開催を記念して描かれたイラストがモチーフとなっている。構図やイラストのテイストを再現しながら、フィギュアとしての表現で独特の質感を表現した商品となっている。

 原作のイラストではミクのツインテールがハートの形を描いているが、フィギュアではミクが座る台座も凝ったものにして構図を変えている。そして白と金によるコントラストで、イラストとは異なる質感をもたらしている。飾って眺めて楽しめるフィギュアとして、全体と細部のデザインを練り込んでいると感じた。

透明感のある華奢な少女の姿。まっすぐにこちらを見るミクの瞳は金色だ
金の装身具、ビニールのような透明な布、色の薄い白い肌。神秘的な雰囲気がある

 初音ミクはイラストやフィギュアそれぞれで"解釈"が異なる。「初音ミクシンフォニー 2022Ver.」は少女が持つ無垢な雰囲気、透明感に特に力を入れていると感じた。むき出しの白い肩は華奢で、肌の質感は成型色のなめらかな質感を活かしながら温かみを感じさせる塗装が成されていて、指で触れるのをためらうような神秘的な雰囲気がある。

 髪の毛や首の金具はマヤ文明などの古代文明の遺跡を思わせる複雑な意匠があり、ミクの白い肌とコントラストを際立たせている。面白いのは直接胸の肌に描かれた金色の線。これだけでこのミクが人型のロボット・アンドロイドにも見えてしまうのだ。それを意識するとミクの金の瞳もそれっぽく感じてしまう。人なのか、ロボットなのか、ミクというキャラクターの曖昧さがフィギュアに面白さを加えている。

 衣装は白い硬質な素材に金の縁飾りがあり、ティーカップなど陶磁器の金の飾りを思わせる。実際に着る服では表現が難しい堅さを持ったデザインを表現できるのはフィギュアならではだろう。胸元からはビニール状の布が掛けられており、未来的な雰囲気もプラスしている。

左右でデザインの異なる足の衣装。直接肌に張り付く金のアクセサリーはフィギュアだから映えるデザインとも言える。右足の陶磁器のような雰囲気も注目
それぞれの足首には大きめの金の飾りがある

 ミクは左足と右足で衣装のデザインが異なる。それぞれの足の横についている金の飾りが全く違うデザインなのも注目ポイントだ。

 台座も金と白が複雑に織り込まれたデザインで造型の面白さがある。腰掛けている大きなリボンは、布と言うより金属の塊のように見えるのも面白い。「この物質は実在していたらどんな材質なんだろう?」と想像させるところも、このフィギュアの神秘的な雰囲気を増している要素だろう。白い部分は天使の羽根の衣装も加えられているように感じる。

 そして全体の外縁をなすのがツインテールだ。毛先で色を変えていく表現はミクフィギュアで多用される手法だが、淡く金色に変化していくように見えるのは「初音ミクシンフォニー 2022Ver.」ならでは。本当に細部をどこまでもチェックしたくなるフィギュアだ。

毛先で色を変えるのは初音ミクのフィギュアで多用される表現だが、このフィギュアではより印象的になっている。台座のデザインも面白く細部をどこまでもチェックしたくなる