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繊細さと力強さのアンバランス。ユニオンクリエイティブの「シーエ」【#ワンフェス】

イラストレーターDeino氏の独自の世界観を見事に立体化したフィギュア

【ワンダーフェスティバル2025[冬]】

開催日時:2月9日 10時~17時

開催場所:幕張メッセ 国際展示場 1~8ホール

(千葉県千葉市美浜区中瀬2-1)
入場料:当日券 4,000円

※小学生以下無料・要、保護者同伴

 今回のワンフェスでユニオンクリエイティブが一押しなのが、「シーエ」だ。少女のようなボディから、左手は大きな骨、右手は巨大な刃をはやした機械式のアーム、両足にも巨大な刃を備えた機械式のものになっており、怖さと美しさ、繊細さを感じさせる不思議な魅力を持ったキャラクターフィギュアだ。

イラストレーターのDeino氏が創作したキャラクター「シーエ」のフィギュア。発売日、価格は未定。非常に印象に残るシルエットだ

 この「シーエ」というキャラクターはイラストレーターのDeino氏が創作したキャラクターで、「骨を模した体に皮膚をかぶせて人に擬態する、機械型のキャラクター」だという。パーツを付け替えることで様々な姿になることができるので、共通のキャラクターだと認識させるために、頭部にフナムシをつけているとのこと。確かにフィギュアにも、額の左側にフナムシが確認できる。Deino氏が生み出してから「シーエ」は15周年とのこと。

 今回、企画者に話を聞くことができたが、このイラストの繊細なバランスを立体物で表現するために、原型師、塗装スタッフは非常に力を込めたとのこと。この原型の味をいかに生産品で再現できるか、そこがこれからの課題だという。

シーエの特徴であるフナムシも確認できる。顎から下の表現も非常に特徴的で、ディテールを確認したくなる
華奢な体に接続された巨大な四肢。シーエには様々なバリエーションがあり、ユニオンクリエイティブは過去にもシーエのフィギュアを発売しているが、デザインは大きく異なる今回は「アンバランスさ」が大きなテーマになる

 Deino氏は3Dデータで今回のフィギュアのモチーフとなった「シーエ」を作成しており、フィギュアにはこのデータが活用されている。しかし立体物としての強度や見せ方などでフィギュア技術を盛り込んでいる。現在はレジンキャストで原型を製作しているが、生産品では、フィギュアで皮膚感や軟らかさを表現しやすいPVCだけでは強度が足らず、場所によってはABSを使うなど素材の吟味も必要となる。

 巨大なパーツが細く繋がる、このアンバランスさは「シーエ」の大きな魅力だ。場所によっては金属の芯なども使うことになるかもしれないとのこと。フィギュアとしての表現の美しさだけでなく、構造でもフィギュア製作技術を問われる素材というわけだろう。今後製品化への仕様を詰めていくという。特に“細さ”に関しては、量産できるギリギリを狙って詰めていくという。

 話を聞きながら見ていくほど造形の面白さがわかってくる。大きなパーツがどう繋がっているか、末端が重いデザインを立体物としてどう支えていくか。デザインは繊細で、接続部分などは非常に華奢なのに、力強さも感じる。全体のシルエットだけでなく、細部を確認しても「アンバランス」なのだ。かわいらしい頭部のすぐしたから、グロテスクな昆虫の足のようなものが生える“口”があったり、Deino氏のデザインセンスをしっかりと立体化しているのが伝わってくる。

 メカ部分はまるでロボットフィギュアのように力強く塗装も光沢を放つ素材感があり、赤いケーブルがアクセントになっている。その硬質さの一方でシーエがまとう布の軟らかな表現、造形と塗装で“布感”を追求しているのがわかる。

巨大なクローのような右腕
足も武器のようだ。赤いケーブルがアクセントになっている
造形と塗装で布の柔らかさも表現
特に袖の塗装は繊細だ
髪の毛の広がりなど、"動き"を意識したフィギュアアレンジがされているという
シルエットとディテール、構造、フィギュア文化の先端と言える商品だ

 造形と塗装に目がいきがちだが、髪の毛の広がりや、ポーズのバランス、袖部分の垂れ下がるシルエットなど、3Dデータから立体化し、フィギュアとして様々な角度で眺めるために考えられたシルエットにも工夫が込められている。“動き”を考えてのフィギュアアレンジを加えている。

 Deino氏は「シーエ」に加え、初音ミクの二次的著作物であり、「クリプトン公認VOCALOID亜種」として「骸骨シーエ」もデザインしており、こちらもフィギュア化が決定している。どちらもDeino氏のファンはもちろん、その独特なデザインの魅力や、フィギュア表現の面白さとして、「フィギュアでキャラクターを知った」という人にも注目してほしい商品だ。量産品の仕様もとても楽しみだ。

「クリプトン公認VOCALOID亜種」として「骸骨シーエ」もフィギュア化される