レビュー
「インテグレートモデル マジンガーZ」レビュー
ガシャポンの可能性に限界はない。カプセル3つが合体して内部フレームまで再現した魔神の胸像が完成
2020年6月2日 00:00
「インテグレートモデル マジンガーZ」
ジャンル:カプセルトイ
開発元:バンダイ
発売元:バンダイ
発売日:5月28日
価格:500円(税込)
バンダイから5月28日に新たなカプセルトイ「インテグレートモデル マジンガーZ」が発売となった。1回500円(税込)で3種をラインナップする本商品は、3種を合体させることで全高約20cmのマジンガーZの胸像を再現できるというもの。
本商品のモデルとなるのは、2018年に公開されたアニメーション映画「劇場版 マジンガーZ / INFINITY」に登場するマジンガーZだ。同作は1982年に放送されたTVアニメ「マジンガーZ」および「グレートマジンガー」から10年後の世界を描く。メカデザイナーの柳瀬敬之氏のアレンジにより、装甲の分割などのディテールが追加されている。
ガシャポンマシンから排出されるのは、直径約7.6cmのカプセル。この中にマジンガーZを構成するパーツがぎっしりと詰まっている。カプセル外装部分も凝った造形だが、この部分もパーツとして使用する。そのため、外装も二重巻きのフィルムによりしっかりと保護された状態で出てくる。
カプセルは、マジンガーZの内部フレームを納めた「インターナルストラクチャー」、外部装甲を納めた「アウターボディ」、そして「ホバーパイルダー」の3種。すべてを合体させて1体のマジンガーZの胸像が完成するが、3種それぞれを独立して完成させることもできる組み立てキットとなっている。本稿では、まずは3種それぞれ単体でも組み立てキットとして遊べるということを確認し、最後に3体合体した姿をご覧頂こう。
「アウターボディ」
アウターボディにはマジンガーZの装甲パーツが納められている。装甲を土台パーツに組んでいくことで、アウターボディのみでもマジンガーZの胸像を再現できる。ただし、内部フレームが存在しないため強度的な不安や装甲の隙間が貫通している点など気になる点はある。
組み立て方は3種とも共通で、まずはすべてのパーツをばらばらにする。「アウターボディ」の場合はカプセル部分の外側に付いた装甲板もある。各パーツは、内側に左右を示す「L」と「R」のモールド印字があるため、組み立の際にはこれを参考にする。
「アウターボディ」はパーツ数33個。組み立て説明書も同梱されている。首元に付ける長方形のパーツや、胸部にはめ込む正方形の装甲は小さいため、なくさないように注意が必要だ。また、首の部分など強度的に不安なパーツもあるため、組み立ての際には力を込めすぎないようにしよう。
スタンド部分から組み上げていく。カプセル外装となっていた部分を裏返して自立させる形だ。ジョイントを反対側から差し込むことで、カプセル部分を違和感なく活用しながら立体模型へと変化させている。
土台部分ができたら、ここにマジンガーZの黒金の装甲板を取り付けていくことで「アウターボディ」の胸部は完成する。ここに、首の外装を接続した頭部を挿すことで全体像が見えてくる。
最後にブレストファイヤーを放つ放熱板を胸部に取り付けて完成だ。作り自体はシンプルで、パーツの判別も印字により容易なため10分程度で組み上げられる。
これが1個500円のカプセルトイで、元は手のひら大のカプセルだった。そんなことは誰も信じられないほど、細かなディテールまで再現された仕上がりとなっている。
問題となるのはやはり強度だ。3つを合体させた姿では「アウターボディ」の内側に内部フレームが存在する。「アウターボディ」単体では単純に接続ピンが半減しているため、グラつきや歪みが生じてしまう。実際、組み立ての際にも首や首裏の装甲が外れやすかった。この状態で長時間展示するならば、外れやすい部分は接着剤などで固定してしまった方がよいだろう。
「インターナルストラクチャー」
続いて組み立てるのは、金色のパーツが外からも目を引く「インターナルストラクチャー」だ。マジンガーZの内部フレームを再現している。パーツ数は24個。冷凍光線を放つ耳パーツはシャープな造形となっているのでケガをしないよう注意すること。
組み立ての過程については省略させていただくが、大筋は「アウターボディ」と同じ。こちらは内部フレームであり、合体させる際にもベースとなるため、強度はかなりしっかりとしている。接続の際に多少力を入れても問題なく、組み立ても容易だった。
出来上がる内部フレームは、「劇場版 マジンガーZ / INFINITY」の作中でも見られたものを、カラーリングまで再現している。お忘れの方はマジンガーZと蘇ったDr.ヘルが駆る地獄大元帥の戦闘シーンを思い出して頂きたい。地獄大元帥が放つ溶解弾により超合金ニューZが融解。マジンガーZは頭部や胸部フレームが露出した姿にまで追い詰められていた。
頭部に目を向ければ、TVアニメ「マジンガーZ」のエンディングで見られたマジンガーZの内部図解と変わらぬ表情もうかがえる。45年の時を経て生まれ変わった姿となりながらも、オリジナルの意匠を尊重した部分も確かに残されているのだ。
「ホバーパイルダー」
「ホバーパイルダー」に含まれるのは、マジンガーZのコックピットでありVTOL(垂直離着陸機)として単独飛行もできるホバーパイルダーと、展示用スタンド、そして合体時に使用する装甲の一部だ。パーツ数は全部で19個。
こちらは、組み立て箇所はほとんどない。スタンドの足部分を組み合わせ、円形のパーツを接続すればスタンドが出来上がる。ホバーパイルダーは垂直翼を差し込めば完成だ。個体差は不明だが、筆者が組み立てたサンプルはこの垂直翼の差し込みがかなり固く苦戦した。ホバーパイルダーの完成済み部分は繊細な作りをしているため、上手く差し込めない場合はピンをヤスリで削るなどの工夫をおすすめしたい。
ホバーパイルダーは2パーツ構成の彩色済みキットとなっている。クリアパーツのキャノピーや兜甲児のフィギュアなど細かな部分まで再現して立体化されている。全長約3.5cmのボディには、キャノピーの開閉や主翼の折りたたみ、プロペラの回転といったギミックも仕込まれているから驚きだ。
スタンドには「マジンガーZ / INFINITY」の刻印が施され、メカメカしい装いとなっている。この部分は、後述の3体合体でもスタンドとして使用する重要なパーツだ。
1回500円のガシャポンで何が当たるかランダムとなると、どうしても「ホバーパイルダー」がハズレ枠になってしまうのではないかという懸念があったが、その心配は見事に裏切られた形だ。装甲の分割線まで丁寧に彫り込まれたホバーパイルダーは、これだけで十分に光を放つ仕上がりとなっている。
3種合体で完成するマジンガーZ
ここまで別々に組み上げたカプセルを、合体させることでマジンガーZが真の姿を見せる。基本的な組み立ては、完成済みの「インターナルストラクチャー」をベースに、各パーツを取り付けていく形だ。
まずは「ホバーパイルダー」に含まれるスタンドを一旦分解。「インターナルストラクチャー」の接地パーツを取り外すと、なんとスタンドの底部そのまま接続できるのだ。実はこのスタンドがマジンガーZの腹上部となっていたのである。そのまま、「マジンガーZ / INFINITY」の刻印つきパーツへ接続すると、台座が完成。頭部は一旦取り外しておく。
お次は胸部への装甲パーツの取り付けだ。ブレストファイヤーの放熱板は最後に取り付けるため取り外しておく。まずは「ホバーパイルダー」に含まれる下部の装甲パーツを取り付ける。ブレストファイヤーも同様に2枚重ねにし、頭部と共に取り付ければ完成だ。
続いて、「アウターボディ」から取り外したパーツを1個1個「インターナルストラクチャー」の同じ位置へと取り付けていく。差し込み口の形状が一致するため、接続場所が分からなくなったらピンの形を確認しよう。ピンはフレームを貫通して基部に差し込む方式が多いため、より強く固定できる。T字や十字のピンが用いられているため、位置の固定もバッチリだ。
頭部パーツは一旦すべてを分解。首インナーに装甲を取り付けたら顔インナーを取り付け、顔装甲で挟み込むようにする。かぶと部分は、左右後方共にインナーと装甲を重ねた状態で取り付ける。ブレストファイヤーも同様、重ねた状態で取り付ける。
頭部を接続し、パイルダーオンして出来上がるのが、内部フレームまで再現したマジンガーZ。この状態で、スタンド基部からパイルダーの垂直翼まで含めて全高約20cmとなる。内部フレームが入ったことで、「アウターボディ」単体時に見られたようなハリボテ感はなくなり、奥行きのあるディテールが感じられる。特に、頭部の裏側などの見える部分に裏打ちのパーツが入っているため、あらゆる角度からの撮影に耐えうる仕上がりとなっているのだ。
本体に可動部分はないが、ささやかなギミックとしてブレストファイヤーの間にあるパーツが開閉、内部フレームを展開できる。装甲の着脱は任意で行なえるため、本体片側の装甲だけを取り外したカットモデルのようにして展示することも可能だ。
以上、バンダイから5月下旬発売の「インテグレートモデル マジンガーZ」をレビューした。サイズ感やディテールの密度感からすると、本商品は同社がガンプラで展開するパーフェクトグレード(PG)に近い。これがガシャポンのカプセル3個分から構成される模型だということは、完成形から想像することは不可能だろう。まさにガシャポンの最前線にある商品で、それほどに完成度が高い。
キットはそれぞれパーツ数も多くなく、ニッパーなどの工具も必要ないため大人から子供まで手軽に組み立てることができる。往年のマジンガーZファンである大人はもちろん、ガシャポンで遊ぶ子供達にもちょっとした工作としてお楽しみ頂けることだろう。
(C)永井豪/ダイナミック企画・MZ製作委員会