レビュー

「MGEX 1/100 ユニコーンガンダム Ver.Ka」レビュー【前編】

君はMGを超える”MGEX”を組み上げることはできるか。「だが行け、恐れるな。自分の中の可能性を信じて力を尽くせばMGEXは作り上げられる」

「MGEX 1/100 ユニコーンガンダム Ver.Ka」

開発・発売元:
BANDAI SPIRITS
発売日:
9月12日
価格:
25,300円(税込)
ジャンル:
プラモデル
全高:
22cm
使用電池:
単3電池3本

 今回レビューする”MGEX 1/100 ユニコーンガンダム Ver.Ka”は、「BANDAI SPIRITSが積み重ねた技術と、異素材を組み合わせて機体ごとに設定した『テーマ』をもとに、MSの“極限表現”に挑む新ブランド”MGEX”」として誕生しました。MG(マスターグレード)シリーズの到達点ともいうべきガンプラであり、ガンプラ40周年を記念したハイエンドブランドの第1弾商品となります。

 商品の発表時にだれもが驚かされた「極限の“発光機構”」は計算しつくされた「構造」と新たなLEDユニットによる「発光」表現はこれまでのガンプラでは到底実現できるものではありませんでしたが、ユニコーンガンダムの設定にある変身機構と発光システムを再現するために高密度に実装されています。その発光はLED制御ユニットによってボタン操作で数パターンの発光モードを搭載しています。LEDは発光素子をシート上に配置された新開発の「フレキシブルLEDシート」により確実な組み立てやすさを実現してユニコーンガンダム史上初の変身、発光、色調変化、可動の共立を実現してます。さらに、リード線を使うことでシールドのクリアパーツを発光させることが可能になったのも大きなトピックです。

【MGEX 1/100 ユニコーンガンダム Ver.Ka スペシャルPV】

 ここで、「RX-0 ユニコーンガンダム(以下、ユニコーン)」について少し触れておきましょう。もともとは「ガンダムエース」誌上で福井晴敏氏による小説として2007年から2009年にかけて掲載されていたものが原作となり、2010年から2014年の間に全7章にわたってアニメ化され大ヒットとなった作品の主人公”バナージ・リンクス”が搭乗するMS(モビルスーツ)です。

 劇中でユニコーンは”NT-D(ニュータイプ・デストロイヤー・システム)”と呼ばれるニュータイプを駆逐するためのシステムを搭載しており、対峙する者をニュータイプと認識すると機体のリミッターが解除され、”変身”することで全身の骨格である”サイコフレーム”が剥き出しになって赤い燐光を伴って光り輝きだす、という機構を持っています。ニュータイプとは”人の革新した姿”・”戦争などしなくて済む人”という解釈がされています。そういった”可能性”を持った対象を駆逐するシステムをガンダムに搭載するというのはとても怖いことですが、設計者でありバナージの父親でもあるカーディアス・ビストは”ユニコーンを使って皆を助けよ”とバナージにユニコーンを託すことになります。

 そして今回、ガンダム・ガンプラファンの私たちには”MGEX 1/100 ユニコーンガンダム Ver.Ka”が託されました。開発発表時に筆者もこれは体験するしかない!と心に決めていて今回レビューさせていただけることになりました。ものすごいボリュームとなったので、前・後編で送りたいと思います。MG25周年でもある2020年に登場した”MGを超えるMGEX”はどういう可能性を見せてくれるかとても楽しみですね。それでは早速組み立てていきたいと思います。

幅約576㎜の特大パッケージにユニコーンの可能性がびっしり!

 それでは商品を見ていきましょう。手元に届いたユニコーンのパッケージは幅約576㎜あります。それこそPGガンダムやPGザク、MGEX-Sガンダムなどの大型商品のパッケージサイズとなっています。サイズはともかくズシッっとくる重量(筆者実測:約2.4kg)も手に取った時にその中身のすさまじさを想像させてくれます。

【パッケージ】
巨大なパッケージにはパーツがぎっしり!LEDシートやLED制御ユニットがこれまでのガンプラとは一線を画す内容だと思わせてくれます

 パーツ構成を見ていきましょう。成形品は46ととんでもない数です。ユニコーン本体と装備類は標準と考えますが、LED関連のスタンドや、シールドファンネル3基分、MSケージ一式という構成ですのでこの数量は納得ですね。少々おじけづいた筆者は組み立て始めるまでに箱を開けて眺めてはそのまま閉める、という謎行動が何度も発生しました。

【成形品:その数圧巻の46!】
全て取り出してみるとその物量に圧倒されますが、同じ構成のものも多く、部位単位で構成されているので作業が終わるとランナーにパーツが残りにくいので分類もラクな印象です
【パーツ:新規開発のLED関連とデカール類】
複雑に思えるLED関連はユニットとしてまとまっているので、箱から出してよく見るととても簡単だとわかります
【組立説明書:左MGEX、右MG】
ex1030.jpg
実際真っ先におどろくのはこの組立説明書かもしれません。”小冊子”とも呼べそうな全67ページの大ボリュームは前作MGユニコーン(全27ページ)の約2.48倍の厚み!
【商品構成】
積み上げてみました。カメラの画角に入りきらないほどのボリュームです

組立開始!これまでのMGシリーズの構造の知識がほとんど役に立たない!

 MGEXユニコーンの目玉であるLEDユニット関連からのスタートになります。まずはLEDシートがちゃんと発光できるかをテストします。LEDシートとシールドファンネル用のLEDケーブルを接続して、制御ユニットに単三電池を3本入れます。

 電源スイッチをONにしてMODEスイッチを押すごとに、1.頭部のみ点灯(約3分後に消灯)、2.頭部と全身(赤色:シールド点灯なし:約5分後に消灯)、3.頭部と全身(緑色:シールド点灯あり:約5分後に消灯)、4.2と3を繰り返す(約5分後に消灯)、5.消灯、6.1に戻る、というパターンになります。

【LEDの点灯テスト】
今回は充電池のeneloopを使ってみました。電池ボックスは1.5V指定になっていますがeneloop(1.2V)でも問題なさそうです。点灯させてみると想像以上に高輝度ですので機体に組み込んでも全身に光がいきわたるものと期待できますね

 LEDのベースを組み立てます。組み立てるといってもどちらかというと配線に近い作業になるでしょうか。”ガンプラ”というくくりではあまり行なうことのない作業ではありますのでケーブルを無理に引っ張ったり挟み込んだりしないように注意して作業します。

【LEDベースを組み立てる:本体】
ユニコーン本体を支えるメインのアームは伸縮します。ケーブルはそれを考慮された長さと配線方法になっていますし、ロック機構もあるのでがっちり固定できそうです

 シールドを接続するアーム部を組み立てます。同じものを3つ作りますので同時に切り出してしまいましょう。シールドとの接続部にLEDを仕込み、アーム内にケーブルを配線します。ガイドがあるのできれいに収まるのは見ていて気持ちがいいですね。内部にはケーブルを回転収納するためのローラーがあります。邪魔になるケーブルを収納できるのでうれしいですね。

【LEDベースを組み立てる:シールド用3セット】
完成したユニットはベースの後端に差し込んでおけます

いよいよユニコーン本体に着手!LEDシートは初めての手触りでちょっとドキドキ

 まずはLEDシートの前処理です。シート表面にはLED素子が並んでいて、白い印刷がありますがこちらが表となります。白い単線が山折り、二重線が谷折りとなりますのでしっかり折り目をつけていきますがシート状とはいえ中には電線が配置されているわけですからそれを折り曲げるのは正直不安ですよね。ですがゆっくり、しっかり曲げていけば問題ありません。

【LEDシートの前処理】
山折りと谷折り、何年ぶりかに見た言葉でした。この前処理をしていないとこの後の作業に影響が出ますので、無理せずここで折り曲げておきましょう

 ちなみに、組立説明書によるとLEDシートは4,000円、LED制御ユニットは5,000円となかなか高価です。大切に扱いましょう。