レビュー
ガンプラ「HGUC 1/144 バウンド・ドック」レビュー
「機動戦士Zガンダム」の可変大型MSが待望のHGUC化。完全変形も嬉しい!
2020年11月20日 00:00
- ジャンル:ガンプラ
- 開発・発売元:BANDAI SPIRITS
- 発売日:10月24日
- 価格:5,500円(税込)
- 全高:19cm
BANDAI SPIRITSは、プラスチックモデル「HGUC 1/144 バウンド・ドック」を10月24日に発売した。バウンド・ドックは1985年放映の「機動戦士Zガンダム」のストーリー後半に登場した可変型の大型モビルスーツ(以下、MS)で、放映当時よりプラモデル化された機会がほとんどなく、ファン待望の発売となった。
主役機のZガンダムの設定身長が19.85mなのに対し、このバウンド・ドックは29.7mと非常に大きな機体であり、スカートの中に上半身を収納する特徴的な変形プロセスを持ち、それがキット化時にどう反映されるかも注目が集まった。今回は製品版の素組みによるレビューをお届けしていきたい。
ニュータイプ向けの異形の試作可変MS、規格外の大きさが楽しい
バウンド・ドックはティターンズがニュータイプ(強化人間)向けに開発した試作可変MSで、初登場時は強化人間のロザミア・バダムやゲーツ・キャパが搭乗した。ニュータイプ向けの機体でありながら、ファンネルやビットのような無線式の攻撃システムは搭載しておらず、サイコミュ・システムは操作系に充てられていた。
ニュータイプ用の機体ではあったものの、その力を持たない(力があったとしても強くはない)ジェリド・メサが搭乗し、Zガンダムと戦いを繰り広げるという、柔軟な運用性も備える機体でもあった。
この機体は、上半身を90度回転させて、下半身の中に収納することでモビルアーマー(以下、MA)形態へと変形する機構を備えている。このキットはロザミアやジェリドが登場したカラーで、ゲーツ機はグレーを主体としたカラー、設定のみが存在し、後の作品などでジェリド機に設定されたイエロー主体のカラーが存在する。
動物のような顔とクローを備えた左右非対称の上半身、変形時にそれを収納する巨大なスカート、MA形態時にクローとなる脚部など、要所に特徴的な意匠を備え、放映当時よりプラモデル化が期待されたが、バンダイからは「SDガンダム BB戦士」で発売されたのみにとどまり、スケール設定されたキットはガレージキットなどを除いて一度も発売されたことがなかった。
劇中でロザミアはすぐにサイコ・ガンダムMk-IIに乗り換え、ゲーツ機はMAでのみの登場、ジェリドも比較的あっさりやられてしまい、その存在感ほどの活躍の場がなかったのも、プラモデルで発売されなかった理由かもしれない。
とはいえ、インパクトのあるデザインとその後のバリエーションの派生、ゲームなどでの活躍から、現在も高い人気を誇るMSであることは間違いなく、HGUCで発売が発表された今年4月と、発売日の10月24日にはその名前がTwitterのトレンド入りするほどの話題となり、発売当日は早々に売り切れた店舗もあったようだ。
この「HGUC 1/144 バウンド・ドック」のパッケージだが、HGUCシリーズとしては驚くほど大きい。実寸で縦31cm×横39cm×高さ9cmあり、筆者も店頭で見て「こんなデカいの!?」と思ったほどでだ。調べてみると箱の表面積に限っては「HGUC 1/144 サイコガンダム」とほぼ同じサイズであった。
パッケージが大きい理由は、パーツの大きさで、特にクローやスカートなどのパーツの存在感が際立っている。マニュアルも折りたたみではなく綴じられた冊子タイプであるが、組み立て工程は他のHGUCシリーズとさほど変わりはなく、約1/4は付属のディスプレイベースと変形プロセスの説明だ。
組み立ては特別難しい点はなく、パーツが大きめなぶん、全体的に作りやすい印象があった。全体に対して小さな頭部は、モノアイもかなり小さめ。可動もする仕組みだが、レールに沿うのではなく、円柱状のパーツを回転させて動かす仕組みだ。頭部を分解しないと動かせないので、組み立て時に中央に位置しておくのが無難だろう。なおモノアイはシールで、モノアイレールのパーツはグレーなので、ここだけでも塗装すると引き締まるのではないだろうか。