レビュー

ガンプラ「HGUC 1/144 バウンド・ドック」レビュー

「機動戦士Zガンダム」の可変大型MSが待望のHGUC化。完全変形も嬉しい!

ジャンル:ガンプラ

開発・発売元:BANDAI SPIRITS

発売日:10月24日

価格:5,500円(税込)

全高:19cm

 BANDAI SPIRITSは、プラスチックモデル「HGUC 1/144 バウンド・ドック」を10月24日に発売した。バウンド・ドックは1985年放映の「機動戦士Zガンダム」のストーリー後半に登場した可変型の大型モビルスーツ(以下、MS)で、放映当時よりプラモデル化された機会がほとんどなく、ファン待望の発売となった。

 主役機のZガンダムの設定身長が19.85mなのに対し、このバウンド・ドックは29.7mと非常に大きな機体であり、スカートの中に上半身を収納する特徴的な変形プロセスを持ち、それがキット化時にどう反映されるかも注目が集まった。今回は製品版の素組みによるレビューをお届けしていきたい。

【HGUC 1/144 バウンド・ドック】
「HGUC 1/144 バウンド・ドック」。「機動戦士Zガンダム」の終盤に登場した可変モビルスーツ。メカデザインは小林誠氏

ニュータイプ向けの異形の試作可変MS、規格外の大きさが楽しい

 バウンド・ドックはティターンズがニュータイプ(強化人間)向けに開発した試作可変MSで、初登場時は強化人間のロザミア・バダムやゲーツ・キャパが搭乗した。ニュータイプ向けの機体でありながら、ファンネルやビットのような無線式の攻撃システムは搭載しておらず、サイコミュ・システムは操作系に充てられていた。

 ニュータイプ用の機体ではあったものの、その力を持たない(力があったとしても強くはない)ジェリド・メサが搭乗し、Zガンダムと戦いを繰り広げるという、柔軟な運用性も備える機体でもあった。

 この機体は、上半身を90度回転させて、下半身の中に収納することでモビルアーマー(以下、MA)形態へと変形する機構を備えている。このキットはロザミアやジェリドが登場したカラーで、ゲーツ機はグレーを主体としたカラー、設定のみが存在し、後の作品などでジェリド機に設定されたイエロー主体のカラーが存在する。

【パッケージ】
「HGUC 1/144 バウンド・ドック」のパッケージ。店頭でも非常に目立つ大きさだ。パッケージアートは森下直親氏
手元にあった「HGUC 1/144 グフ」のパッケージとの比較。店頭で見かけたら「MG」シリーズと見間違えてしまうかも

 動物のような顔とクローを備えた左右非対称の上半身、変形時にそれを収納する巨大なスカート、MA形態時にクローとなる脚部など、要所に特徴的な意匠を備え、放映当時よりプラモデル化が期待されたが、バンダイからは「SDガンダム BB戦士」で発売されたのみにとどまり、スケール設定されたキットはガレージキットなどを除いて一度も発売されたことがなかった。

 劇中でロザミアはすぐにサイコ・ガンダムMk-IIに乗り換え、ゲーツ機はMAでのみの登場、ジェリドも比較的あっさりやられてしまい、その存在感ほどの活躍の場がなかったのも、プラモデルで発売されなかった理由かもしれない。

 とはいえ、インパクトのあるデザインとその後のバリエーションの派生、ゲームなどでの活躍から、現在も高い人気を誇るMSであることは間違いなく、HGUCで発売が発表された今年4月と、発売日の10月24日にはその名前がTwitterのトレンド入りするほどの話題となり、発売当日は早々に売り切れた店舗もあったようだ。

【パーツ群】
A、B1、B2パーツ。Aパーツはいろプラで、クリアパーツもある
C1、C2、Dパーツ×2。バウンド・ドックを象徴するピンクが鮮やかだ
E、Fパーツ。武器や関節部などのグレーのパーツ
Gパーツ、ポリキャップ、SB1パーツ、シール。動力パイプのGパーツはエラストマー製
ディスプレイベース。「アクションベース5 クリア」が一式付属している

 この「HGUC 1/144 バウンド・ドック」のパッケージだが、HGUCシリーズとしては驚くほど大きい。実寸で縦31cm×横39cm×高さ9cmあり、筆者も店頭で見て「こんなデカいの!?」と思ったほどでだ。調べてみると箱の表面積に限っては「HGUC 1/144 サイコガンダム」とほぼ同じサイズであった。

 パッケージが大きい理由は、パーツの大きさで、特にクローやスカートなどのパーツの存在感が際立っている。マニュアルも折りたたみではなく綴じられた冊子タイプであるが、組み立て工程は他のHGUCシリーズとさほど変わりはなく、約1/4は付属のディスプレイベースと変形プロセスの説明だ。

 組み立ては特別難しい点はなく、パーツが大きめなぶん、全体的に作りやすい印象があった。全体に対して小さな頭部は、モノアイもかなり小さめ。可動もする仕組みだが、レールに沿うのではなく、円柱状のパーツを回転させて動かす仕組みだ。頭部を分解しないと動かせないので、組み立て時に中央に位置しておくのが無難だろう。なおモノアイはシールで、モノアイレールのパーツはグレーなので、ここだけでも塗装すると引き締まるのではないだろうか。

【上半身の組み立て】
「1/12 scale RE:EDIT Master Chief MJOLNIR Mark V」正面。1/12で全高約180mmとかなり大きい
腹部に胸部のパーツを組み込んで胴体の完成
モノアイレールの組み立て。モノアイはメタリックのシールを貼って仕上げる
顔のパーツを取り付け。イエローの部分はシールとなる
首のパーツを組み立て、アンテナとともに取り付けて頭部の完成
【腕の組み立て】
右腕の組み立て特別に難しいところはない
大きいほうのクローは、パーツによって色分けされる
小さいほうのクローはポリキャップで可動する
組み立てたクローをはめ込んで右腕の完成
左腕の組み立て。左上はシールドを取り付けるジョイントだ
MA形態時にスカートのカバーとなるシールド。色分けがいい感じだ
左腕の完成。装甲がなく、フレームむき出しのデザインだ
両肩のパーツ。左右でまったく形が異なる
胴体に腕と肩を取り付けて、上半身が完成
【脚部の組み立て】
脚部はヒザから組み立て。二重関節になっている
スネとヒザの装甲を取り付け。イエローの部分は、上の三角がパーツによる色分け、下の2つの三角がシールだ
つま先とかかとは3分割され、全て可動する
両脚は最後に取り付ける股関節以外は左右対称だ
【スカートの組み立て】
後部のバーニア。3つのバーニアは根元と付け根に可動軸が設けられている
分割されたそれぞれのパーツを組み立てていく
スカートと脚部が完成。この1組でかなりボリュームがある
スカートの内側前方に股関節のパーツを取り付ける
上半身を取り付けてバウンド・ドックの完成