レビュー
「MODEROID バルディオス」レビュー
3機のメカによる特徴的な合体変形を実現。明日を救え、バルディオス!
2021年4月1日 00:00
グッドスマイルカンパニーはモデルキットシリーズ「MODEROID」にて、「宇宙戦士 バルディオス」に登場した「バルディオス」を3月29日に発売した。今から40年以上も前に放映されたアニメの主役ロボのキット化は、時代にとらわれない個性的なロボやメカのラインナップを展開する「メカスマ」ブランドならではの着眼点で、新旧のホビーファンを大いに驚かせた。
「宇宙戦士 バルディオス」は1980年に放映された国際映画社・葦プロダクション製作のロボットアニメーションだ。父親を殺したガットラーを追って地球にやってきたS-1星人マリンの孤独な戦いを描くハードな作品であったが、放映打ち切りの憂き目にあい、敵側の戦略によって地球が大洪水に見舞われ、人々がそれに呑まれているシーンで終わるという衝撃的な結末が当時のアニメファンの間で大きな波紋を呼び、後に発売された映像ソフトや劇場版にてそのクライマックスが描かれることとなった。
そんな顛末のあった本作だが、当時小学生だった筆者には、ですます口調の歌詞が印象的な主題歌と、アニメ誌で劇場版のことが扱われていた程度のことしか記憶に残っておらず、番組が打ち切られたという事実も、放映からずいぶん後になって知ったことであった。作品はゲームの「スーパーロボット大戦」シリーズにも登場したことがあり、そちらで知ったという人も多いかもしれない。
6成形色や一部塗装済みのパーツで、劇中通りのバルディオスが完成する!
バルディオスは主人公のマリンが惑星S-1から脱出する際に搭乗した戦闘機「パルサバーン」と、地球で開発されたメカ「バルディプライズ」、「キャタレンジャー」の3機のメカが合体変形して人間型のロボットとなる。バルディプライズはマリンの地球到着後、バルディオスに変形するために改造が施されたという設定があり、S-1と地球の科学力を集結させたメカというわけである。パルサバーンが上半身になるのに対し、バルディプライズが右脚、キャタレンジャーが左脚になるという、他の合体メカではあまり見られない構成かつ、左右非対称というデザインが特徴的だ。
この「MODEROID バルディオス」は、そのほとんどがABSパーツで構成されている。ABSは対摩耗や柔軟性に優れた樹脂であり、完成後に合体変形を楽しむことを想定しているようだ。その一方で専用の塗料以外での塗装が難しいという難点もあるが、このキットではパーツを7色で成形し、さらに塗装済みパーツとシールによって、素組みでも本稿のようなバルディオスが完成する。
キットはパーツ数は多いものの、組み立てはそれほど難しくない。ただし完成後の合体変形を考慮していることもあってか、パーツによっては1度はめ込んでしまうと分解するのが困難なこともあるので要注意。また対象年齢15歳以上のキットで、尖ったパーツや細いパーツが多いことも頭に入れておきたい。
上半身のメカ、パルサバーンを組み立てる
キットは合体前の3つの機体を順番に作っていく形となる。最初に作るのはパルサバーンだ。本編では当時のロボットアニメならではの誇張気味の合体変形が行なわれていたため、劇中のパルサバーンは戦闘機然としたデザインで、そのデザインのまま劇中通りの合体変形を行なうのは無理があり、過去に発売された玩具もその形状が劇中とはかなり異なるスタイルであった。
この「MODEROID バルディオス」のパルサバーンも、合体変形してバルディオスの上半身となる以上は、劇中のスタイルのまま立体化することは不可能ではあるが、過去に発売された玩具などと比較すると、かなり完成度を高めている印象がある。また各機体にはそれぞれ「形状重視パーツ」が用意され、それを使うことで合体前後のプロポーションを劇中のものに近づけている。
頭部、腕、肩などを組み立てて、それを胴体となるパーツに組み込んでいく。作中の合体プロセスを知らないと、作っている段階ではどう変形させるのかわからないのが逆に面白いとこである。胴体や頭部、腰部などは塗装済みパーツが採用されていて、シールを貼るところはなかった。
(C)葦プロダクション