レビュー
「MODEROID バルディオス」レビュー
2021年4月1日 00:00
バルディプライズ、キャタレンジャーの組み立て
続いてはバルディプライズ。バルディオスの左脚となるメカで、海上での戦闘を主体とする戦闘艇だ。空母という設定があり、そのデッキのような部分が折りたたまれて、バルディオスの太ももの部分となる。キットでも劇中を意識した変形機構を備えているが、そちらは後ほど紹介する。完成後はバルディミサイルの展開と、形状重視パーツのミサイルの装着が可能だ
そしてキャタレンジャーは、巨大なキャラピラが印象的な陸上用のメカで、バルディオスの右脚となる。バルディプライズと同じように、機体下部のクローラーが折りたたまれて太ももになるのだが、合体時のスケールに合わせているこのキャラピラ部分ががかなり小さいため、それに被せるようにして使用する形状重視パーツが用意されている。これにより劇中の戦車メカとしての存在感を強めている。
「バルディオス! チャージ・アップ!」で3機のメカが合体変形
3機全てが完成したら、「バルディオス! チャージ・アップ!」のかけ声で行なわれる合体変形だ。まずはパルサバーンの機種と尾翼を折りたたんで形状重視パーツを取り外し、腰のアーマーを90度回転させる。腕を外側に引っ張り出して腰アーマーを腰にフィットさせて、肩アーマーを展開させて上半身は準備完了だ。
続いてバルディプライズは主翼を収納させ、劇中と同様にデッキ部を折りたたみ、それを取り外してしまう。バルディプライズのスネに当たる部分は中が空洞になっていて、折りたたんで細長くなったパーツをその中に収納。カチッとはまったら右脚の準備が完了する。
キャタレンジャーは形状重視パーツを取り外し、下部のクローラーを折りたたみ、スネに当たるパーツにはめ込んで伸ばして準備完了。右脚とは変形の構造がまったく違うのが面白いところだ。
この状態で先端のブロックを組み替えて接続すると、脚部ユニットが完成。これをパルサバーンの機首部分(股下)にあるカバーを開いてゆっくり差し込むと、上半身から頭部ユニットが現われるのだ。このギミックは合体ロボット合体ロボットのおもちゃをいじっている感触そのもので実に楽しいものであった。あとはパルサバーンの主翼を畳んで腕を伸ばし、足首を整えれば合体完了。バルディオスの完成である。
合体後のバルディオスは、合体変形のギミックを考えるとなかなかのプロポーションだが、プロポーションをよくするための形状重視パーツも付属している。手首と足首、頭部の飾りを交換または組み付けることでより迫力のある姿を楽しめるようになっている。またそれとは別に、アクションフィギュアとして可動させるための「可動向上パーツ」もある。合体後の状態だと股関節が左右わずかにしか開かないため、別途パーツを組み立てて股間の部分に組み込むことで、脚を動かせるようになるという寸法だ。
完成したバルディオスを手にして感じたのは、プラモデルというよりはアクションフィギュアのような手触りだったことだ。合体変形追求のために剛性を高めた設計なので、手に持ったときもパーツの緩みやたわみは感じられず、特にパーツの詰まった上半身は重みも感じられる。
バルディオスのデザインがシンプルなので、ポーズを付けているときもパーツなどが取れてしまう心配もない。可動はかなり制限されているので、外連味のあるポーズを取るのは難しいが、付属の武器も多く、合体変形ができることも考えれば、プラモデルとしては十分なプレイバリューがあると言えるだろう。
ポージングに多少の制限がある分、合体変形をさせるのが楽しく、筆者も完成後、昭和時代のおもちゃを触るように何度も楽しんでしまった。形状重視パーツなど、余剰パーツもいくつかあるわけだが、最低限のパーツで合体変形ができるのも魅力的だ。
以前弊誌にて掲載したインタビューにて、「MODEROIDは組み立てるアクションフィギュア」というコンセプトがあることを企画担当者は語っていて、このバルディオスはそれを強く感じられるキットであった。プラモデルは完成後に遊ぶと、パーツが外れたり関節がへたったりすることもあるが、このバルディオスのキットに限ってはそれもなく、合体と分離を何度か繰り返してもへたらず、完成品のフィギュアを遊んでいる感覚で楽しむことができた。
バルディオスをあまり知らない人でも、組み立てることでその魅力を知ることができるキットとして価値のあるアイテムと言える。今後立体化の機会は少ないかと思われるので、ぜひ楽しんでみてほしい。
(C)葦プロダクション