レビュー

「METAL BUILD クロスボーン・ガンダムX1 フルクロス」レビュー

「クロスボーン・ガンダムX1」の集大成が豊富なプレイバリューで登場

【METAL BUILD クロスボーン・ガンダムX1 フルクロス】

開発・発売元:BANDAI SPIRITS

発売日:2021年4月16日

価格:33,000円(税込)

ジャンル:アクションフィギュア

サイズ:全高約170mm

 長谷川裕一氏による漫画「機動戦士クロスボーン・ガンダム 鋼鉄の7人」にて主人公トビア・アロナクスが駆る“最後のクロスボーン・ガンダム”がガンプラ化、ROBOT魂化と数々の立体化がされてきた。

 そして、ついに「METAL BUILD」シリーズで再現された「METAL BUILD クロスボーン・ガンダムX1 フルクロス」が発売となった。初報を聞いた時、筆者は歓喜とともに「ついに来たか!」とこぶしを握り締めた。過去に発売された「METAL BUILD クロスボーン・ガンダムX1」、「METAL BUILD クロスボーン・ガンダムX2」の劇中再現と濃密なディテールでのビジュアルからもその完成度の高さ、プレイバリューの充実感は「METAL BUILD」シリーズだからこそ成しえた“業物”だ。

METAL BUILD クロスボーン・ガンダムX1
METAL BUILD クロスボーン・ガンダムX2

 その本流を受けての商品化に何の不安があるというのか。今回は「METAL BUILD クロスボーン・ガンダムX1 フルクロス」の魅力を紹介する。

長きにわたる“クロスボーン・ガンダムX1”の歴史

 本商品を紹介する前に、登場作品である「機動戦士クロスボーン・ガンダム 鋼鉄の7人」を少し解説させてほしい。本作は木星帝国と宇宙海賊「クロスボーン・バンガード」の戦い“木星戦役”を描いた「機動戦士クロスボーン・ガンダム」より3年後、新たな木星帝国の総統カリスト兄弟が始動した木星圏からのコロニー・レーザー「シンヴァツ」による地球への超・長距離射撃「神の雷計画」を阻止するため、トビアを含めた7人の精鋭による阻止作戦「鋼鉄の7人」が描かれている。その際、数々の激戦を潜り抜けた「クロスボーン・ガンダムX1」の最後の姿が「クロスボーン・ガンダムX1 フルクロス」だ。対ビーム兵装「ABCマント」の素材を積層して作られた全身を覆う「フルクロス」、両肩のスカルヘッドに搭載された「クロスボーン・ガンダムX3」用のI・フィールド発生器4基による大軍に切り込むための特殊兵装を身に纏っている。劇中では9発のビームを一斉発射可能な特殊兵装ピーコックスマッシャー、両刃に計14基のビーム発振器と中央にビーム・ガンを備えたムラマサブラスターが使用された。

 「機動戦士クロスボーン・ガンダム」からいくつもの激戦を駆け抜け、破損と改修を繰り返してきた。フルクロス装備も作戦目前に完成した機体であり、劇中でクロスボーン・ガンダムを整備したウモンじいさんの「もう1個の補給パーツも残っちゃいねぇ! こいつが最後の“クロスボーン・ガンダム”だ!」は筆者にとっては今でも胸を熱くさせる名台詞だ。

 「METAL BUILD クロスボーン・ガンダムX1 フルクロス」ではその勇姿を再現したほか、「クロスボーン・ガンダムX1」の各種武装に加え、外伝作品「機動戦士クロスボーン・ガンダム スカルハート」で活躍した“スカルハート”こと「クロスボーン・ガンダムX1改・改」の姿も再現することができる。

【パッケージ】
豪奢装丁とクロスボーン・ガンダムの勇姿がカッコいい

パーツ確認。ブリスターに敷き詰められた武装の数々。

 パッケージを開けると取扱説明書とブリスターに詰まった武装の数々に、専用台座、フルクロス装備、スチロールに収まった「クロスボーン・ガンダムX1」本体が収まっている。特に武装周りは細かなギミック再現やケレン味のある武装再現と豊富なプレイバリューが約束されたラインナップとなっている。支柱も本体を支えるものに加え、アクションの補助やコア・ファイターのディスプレイに使用する補助支柱が付属し、プレイバリューの幅がさらに広がる。ただ、「スカルハート」を再現する「ABCマント」が付かなかったことが少し悔やまれる。

【内容物】

コア・ファイターに宿るアクションの肝

 ガンダムシリーズの中でも、独特のデザインをしたコア・ファイターは「クロスボーン・ガンダム」の背中、ひいては全体的な象徴ともいえるX字のブースターを備えている。束ねた状態や展開状態で見た目も大きく変わる。その存在感を破棄しつつ、本体とのアクション時のバランスを見事に再現できるフレキシブルな可動とディテールが備わっている。

【コア・ファイター】
大きく折り曲げるような可動ができる

フルクロスの前に「スカルハート」を遊び尽くす!

 「フルクロス」を装着する前に、「スカルハート」こと「クロスボーン・ガンダムX1改・改」をじっくり見ていこう。白と青みの入った黒のマッドな彩色と各部にちりばめられたシルバー、ゴールドのメタリック塗装が豪華に彩る。細かいマーキングやダイキャスト使用の関節部の輝きが、より重厚感とリアリティを醸し出す。「スカルハート」の所以となる胸部装甲のドクロのレリーフも緻密に再現されている。頭部はアンテナパーツを外すことで、設定デザインに近い状態になる。

 胸部の装甲は「フルクロス」のものとは別のパーツを使用した組み換え式となっており、MGシリーズではあったハッチ開閉はなくなっている。

【クロスボーン・ガンダムX1改・改(スカルハート)】
アンテナパーツを取り外した状態

 可動部分も「METAL BUILD」シリーズのダイキャスト使用のフレームで保持力の強さを誇る。接近戦が映える機体なだけに、メリハリのアクションが楽しい。肩の装甲は肩口の可動域とは別に前面部はスイングし、見栄えを崩さない機構が採用されている。これは後述する「フルクロス」装着時のアクションを再現するのに活躍する。また、上腕部は分割可動域があり、ビーム・サーベルなどを振るったり、ビーム・シールドの位置を調整したりと“ひねり”を加えることができる。ビームザンバーやムラマサブラスターのような大振りの得物を腕部の力だけで振るうのではなく、機体の各関節が連動し力が伝わっていく「力の動き」を再現し、より躍動感ある動きを可能とした。

 そして、機体の特徴であるフェイスオープン機構も再現されている。限界性能を引き出す「クロスボーン・ガンダム」の咆哮するような表情や大きく息をつくような表情が劇中では描かれ、立体物でもそのキャラクター性を存分に発揮することができる。また、頭部は口元のフェイスオープン機構がないディテールを追求したものが付属している。そして、狙撃時の眼帯付きアンテナが装着されおり、こちらはフェイスオープン機構が付いた頭部アンテナと付け替えることができる。

【可動部】

 「クロスボーン・ガンダムX1」同様、機体各所にはエポックメイキングな機構が備わってる。サイド・アーマーはスライドすることで、接続口を露出させバスター・ガン、ビーム・ザンバーのマウントはもちろん専用の接続パーツを使うことでピーコックスマッシャー、ムラマサブラスターを付けることも可能。

 フロント・スカートは、ハサミ上の武装シザー・アンカーの展開ができ、リア・スカートにはスクリュー・ウィップの柄が収納されている。そして、脹脛裏にはヒートダガーの柄が収納されている。全身に武器を仕込んだ虚をつく戦闘スタイルや汎用性の高いサブ・ウェポンが「クロスボーン・ガンダム」らしい奇抜なアクション再現を可能する。

【各部機構】

多彩な武装が魅せる! ケレン味あるアクション。

 ボリューム満点の武装の数々は「クロスボーン・ガンダムX1」のアクションを極限まで楽しめる。ビーム・サーベル、バスター・ガン、ビームザンバー、ブランド・マーカー、ビームシールド、ヒートダガー、スクリュー・ウィップ、シザー・アンカーと列挙しただけで、そのボリュームが伝わってくる。さらに、バスター・ガンとビームザンバーは連結させることでザンバスター形態にすることが可能で、付属の弾頭を装着することもできる。

 さらに、それら武装の魅力をアップさせるエフェクトパーツや材質へのこだわりがファンも大満足な出来栄えとなっている。例えば、シザー・アンカーは射出した際のチェーンがしっかりと鎖となっており、専用台座の補助支柱に接続するメリハリある鎖の動きが楽しめる。そして、鞭型の武器あるスクリュー・ウィップは芯が入っているため、鞭特有のたわみや弧を描く軌道が決まる。だが、力を入れる過ぎると芯が折れてしまう恐れがあるので注意が必要だ。

【各種武装】
バスター・ガン
ビームザンバーのエフェクトは2種類あり、直線的なデザインと斬馬刀のような弧を描いたものがある
バスター・ガンとビームザンバーを変形
合体することで、ザンバスター完成
弾頭を装着し、眼帯を下ろせば狙撃描写も再現できる
ブランド・マーカー
ビーム・シールド
シザー・アンカー
専用の連結ジョイントを使いビームザンバーを装着
脹脛裏の柄を取り外し、ヒートダガーの刃と合わせて持たせる
もちろん、脚部裏にヒートダガーの刃を装着することもできる
肩口のビーム・サーベル柄を持たせてエフェクトパーツを付ければ、ビーム・サーベルの発振表現ができる
スクリュー・ウィップは自在に鞭の軌道を変えられる