レビュー
「プライオボット 天元突破グレンラガン 超銀河グレンラガン」レビュー
全高約220mmが放つ超弩級の存在感
2021年9月13日 10:25
千値練よりプラモデル「プライオボット 天元突破グレンラガン 超銀河グレンラガン」が8月31日に発売された。
千値練と聞くと、真っ先に思い浮かぶのが完成品アクションフィギュアだ。特にロボットフィギュア「RIOBOT」シリーズは高い完成度とコアな作品からの立体化が印象的で、吉永裕ノ介氏の漫画「ブレイクブレイド」の主役機「デルフィング 第三形態」が立体化した時は歓喜した。
その千値練が手掛けるプラモデルシリーズ「プライオボット」シリーズは「RIOBOT」シリーズの造形美を再現しつつ、プラモデル化した商品となっている。
そして、筆者が待ち望んでいた「超銀河グレンラガン」が「プライオボット」シリーズにて大ボリュームの立体化が発表された。「超銀河グレンラガン」は、これまでにも海洋堂の「リボルテック」で立体化されたが、筆者としてはやはり「大きさ」が欲しかった。そして、その欲求を満たす大ボリュームの全高約220mmでのプラモデル化に迷わず購入した。
一方で「大ボリュームのプラモデルとなると作るのが大変なのでは?」と筆者は思った。大ボリュームゆえに可動域を確保するために複雑な関節を組んだりするのではないか、と不安になった。
しかし、組んでみると「上級者から初心者まで楽しめるキット」だと実感した。
今回は「プライオボット 天元突破グレンラガン 超銀河グレンラガン」の組みやすさと造形美、そしてアクションについて語っていこう。
天井知らずの超スケールで繰り広げられたアニメ「天元突破グレンラガン」
最初に「超銀河グレンラガン」が登場するアニメ「天元突破グレンラガン」について紹介したい。
本作は2007年放送されたガイナックスが手掛けたTVアニメで、のちに劇場版が公開されている。
初期は地上を蹂躙する獣人たちを倒すためにカミナを筆頭に「大グレン団」を結成し、獣人たちを束ねる螺旋王ロージェノムを倒すストーリーとなっている。その中で、カミナが駆るガンメン「グレン」とシモンの「ラガン」が合体することで「グレンラガン」となり主役機として活躍する。そして、カミナの死やヒロイン、ニアの登場など怒涛のストーリー展開が話題を呼んだ。
そして、物語は中盤からロージェノムを倒して7年後を舞台にして、新たな敵アンチ=スパイラルとの人類の存亡をかけた戦いへと発展していく。その規模は星を超えて、太陽系を超え、文字通り銀河を踏み台にするほど壮絶なものとなった。
「超銀河グレンラガン」は物語終盤に登場し、「グレンラガン」をコアにした超弩級ガンメン「アークグレンラガン」から、さらにギア伝達によって超々弩級ダイガン(戦艦)「超銀河ダイグレン」が変形した姿。「超銀河ダイグレン」の時点で月とほぼ同じサイズで、ロボットアニメの中でも破格のスケールとなっている。
筆者が大きさにこだわったのは、劇中での「月ほどの大きさ」という計り知れないサイズ感にロマンを感じたからだ。
「プライオボット 天元突破グレンラガン 超銀河グレンラガン」はその点では全高約220mmとプラモデルの中でも大型サイズで、手の平に収まらないスケールが迫力満点で満足した。
しかし、「プライオボット」はそうしたサイズ感のみならず、特徴的なデザインを細部に至るまで立体化していた。
中身を確認。パーツ一つ一つがデカイ
パッケージを確認。パッケージは劇中での印象的な腕を組んだポーズ、通称ガイナ立ちした「超銀河グレンラガン」となっている。
中にはランナーと取扱説明書、塗装済みのパーツとシールが入っている。ランナーは全21枚。プラモ初心者にとっては多く感じる枚数だ。
ランナーはクリアパーツを除いて5色の色分けがされており、どの部分のパーツかがわかる。また、パーツ一つ一つも大きく直観的にどの部位かも想像しやすく、組み立て時にパーツが探しやすい。また、ランナー1枚あたりのパーツ数も比較的少ない構成となっている。
ボリューム感あるランナーは、構成するパーツの多さではなく、パーツ一つ一つの大きさによって生まれるものだった。
そして、それらが組み合わさることで一体どんな「超銀河グレンラガン」が完成するのか。その組み立てを見ていこう。
組み立てやすさの秘密はパーツの大きさ
組み立て工程を紹介していこう。まずは、頭部から組み立てる。
頭部は本キットの中でも小さい部位だが、塗装済みのパーツのフェイスパーツを装甲でサンドする形となっている。また特徴的な星形のサングラスは側頭部に差し込む形で脱着が可能。
飛び出した角やサングラスのエッジの効いたデザインが細かく造形されている。サングラスもクリアパーツなので、奥に覗く瞳が見て取れるのも嬉しい。
続いて胴体部分。胴体はもう一つの顔といえる部分で「天元突破グレンラガン」のメカを象徴するデザインとなっている。胸部と腹部の2カ所で構成され、くびれラインを造形しつつ可動域を確保する構成だ。
しかし、組み立てはシンプルで接続部位は挟み込む形が多いため組み立てもサクサクできる。そして、作中のコアブロック部分となるクリアパーツには、動力源となる「グレンラガン」が造形されている。
思わずニヤリとしてしまう仕掛けだ。だが、「後でもう一度見よう」と思うと開閉ギミックなどはないため、組み立てた部分を分解する必要がある。あくまで設定を楽しむ造形だと筆者は感じた。
また、胴体の背面は先にシールを張る箇所がある。
今回のキットの中でもシールを張る工程は難関だった。シールは1枚を平面に貼り付けるのではなく、平面部分と隣接する側面部分に貼り付けるため位置の調整などが難しい。指で直接貼り付けようとすると、指先が貼り付け箇所に届かない場合があるのでピンセットなどで行なうことをオススメする。
筆者は今回の製作では1枚をまるごと貼るのではなく、シールをハサミで分割することで、貼る面積を小さくして貼り付けを行なった。これで角の貼り付けがしやすくなりシワのリスクを少なくできた。
だが、分割した箇所が切れ目になってしまうデメリットもあるので注意が必要。
こうしてできた背面にスラスターとなるパーツをはめ込んで、コアパーツを挟む形で胴体が完成する。
胴体部分のサングラスもクリアパーツで構成され、ド迫力の存在感を放つ。
そして、腰部はエッジの効いたアーマーが細かく表現されている。
ここで一度、頭部、胴体部、腰部を合わせたものを紹介。
この時点で約140mmの大きさで、エッジの効いたデザインが細かく造形されている。逆三角形の体格もバランスよく立体化されている。
次に腕部の作成。腕部は手首を除いて左右同じパーツ構成で、同じものを2つ作る。肩、二の腕、前腕と3ブロックでそれぞれの関節が駆動する仕組みとなっている。
肩部のドリルは存在感があり、単体での長さは約90mmの大ボリューム。「ドリル」は「グレンラガン」を語る上で外すことができないパーツであり、武器だ。「超銀河グレンラガン」のドリルを両肩に備えたデザインは多大なインパクトを誇り、立体にしてもその存在感は健在だ。
また、肩部のドリルは取り外しが可能で取り外した状態の肩部も再現できる。
続く、脚部も同じパーツ構成で、同形状のパーツを2つ作る構成となっている。可動域は股関節と膝、足首の3箇所。大腿部は小さめの造形で、下腿部は大きく堅牢なデザイン、そして、全身を支える足先も大きく造形されている。
股関節から足先にかけて広がるような造形は力強く、完成した時の安定感を感じさせる。
出来上がった各パーツを合わせて脚部が完成。突出したドリルや流麗なデザインが見事に造形されている。
残る組み立てパーツは手首と腕組み再現用のパーツ、そして、超銀河ギガドリルブレイク用の接続パーツ。
手首は握り手、武器持ち手、平手の3種類。手の甲となるパーツと手の平、指で構成されている。また、左右の振り分けは手の甲パーツの内側に「L2」、「R2」とナンバーが示され、組み立て後にも容易に左右を区別できる安心の設計となっている。
劇中でも印象的な腕組みは専用のパーツで再現。組み立ても上下の挟み込みと肘パーツを付けるだけのシンプルなものとなっている。
超銀河ギガドリルブレイク用接続パーツも接続部位を挟み込むシンプル構造となっている。
そして、武器となるグレンブーメランはランナーからの切り離しで完了。
すべてのパーツが組みあがり、最後に各パーツを接続することで組み立てが完了。筆者が組み立てに要した時間は約5時間ほど。
全高約220mmの大ボリュームに存在感を放つドリル。「超銀河グレンラガン」の勇姿が体現されている。
ここまで組み立て部分を紹介してきたが、まだ終わりではない。
仕上げはシールの貼り付け作業だ。
© 中島かずき・今石洋之・プロジェクト「グレンラガン」