レビュー

「METAL BUILD ガンダムアストレアTYPE-Xフィンスターニス」レビュー

闇に潜む黒き刺客! 盛りだくさんの武装で組み合わせの楽しさを!

「METAL BUILD ガンダムアストレアTYPE-Xフィンスターニス」

開発・発売元:BANDAI SPIRITS

発売:12月22日

価格:24,200円(税込)

ジャンル:アクションフィギュア

全高:約180mm

主な素材:ABS・PVC・ダイキャスト

 「METAL BUILD ガンダムアストレアTYPE-Xフィンスターニス(以下、「METAL BUILD フィンスターニス」)」は、プレミアムバンダイにて12月22日に発売された商品だ。本商品はMETAL BUILD 10周年を記念し、「METAL BUILD ガンダムアストレア TYPE-F」をベースに、メカニックデザイナーの海老川兼武氏が新たにデザイン、特徴的なマスクなどの追加装備により「機動戦士ガンダム00」の物語の“影”で活躍する機体として生み出された。

 「フィンスターニス」はドイツ語で「闇」を意味する。歴史の闇で暗躍する人造人間「イノベイド」が運用する量産機と設定されており、その活躍は作品では詳細には語られていないし、機体のパイロットなども決められていない。

 「機動戦士ガンダム00」において多くのガンダムは専属パイロットがいて、特に主要のガンダムはパイロットは近接型、狙撃型などキャラクター性と厳密に結びつけられた機体特性を持っていた。その点から見ると「METAL BUILD フィンスターニス」は“個性のなさ”が最大の魅力ともいえる。

 武装で特性は付与できるものの、機体そのものは汎用性を重視しており明確なキャラクター性は付与されおらず、ユーザーは自由にその活躍を想像できる。武装を1つだけ持たせれば、その機体が担う“任務”が見えてくるし、ゴテゴテの重装備も楽しめる。“何でもアリ”が本機体の魅力だ。ガンプラで自分設定の「ジム」や「ザク」を作るように、装備を組み替えることで「オリジナルの物語で活躍するフィンスターニス」を想像することができるのだ。

 そして「METAL BUILD フィンスターニス」は非常にたくさんの装備が同梱されている。今回はたっぷりの写真と共に本商品の魅力を紹介していきたい。

【METAL BUILDガンダムアストレアTYPE-Xフィンスターニス PV】

“浸食されたエクシア”、悪の量産型ガンダムとしての面白さ

 「フィンスターニス」は、第2世代ガンダム「ガンダムアストレア」をベースとしている。アストレアはアニメ「機動戦士ガンダム00」の前半の主役機「ガンダムエクシア」へ発展していく。エクシアはパイロットの特性に合わせた格闘戦に特化した機体となるが、アストレアは汎用性を重視、各種武装をテストしている。アストレアの武装は発展、改良、機能複合などが加えられ後の世代のガンダムに活かされることとなる。

 フィンスターニスはその後改修を加えられ第3世代の技術をフィードバックした「ガンダムアストレアTYPE-F」をコピーした機体。「ブラックアストレア」とも呼ばれ、装備はTYPE-Fと同じものを使う。今回、メカニックデザイナーの海老川兼武氏によってこの機体の設定が掘り下げられ、任務遂行用の機能強化装備「ロイヤルマスク」と、「GNシャープシューター」、そしてGN-X(ジンクス)のシールド「GNシールド(GN-X)」を装備している。GN-Xの意匠はシャープシューターにも盛り込まれており、海老川氏は「エクシアベースの機体が侵食された感を出したかった」とその狙いを語っている。

【フィンスターニス・素体】
黒をベースに、金色と金属パーツが効果的に機体を演出している。紫の差し色がとても悪役っぽい。胸には疑似太陽炉「GNドライヴ[Τ]」を搭載している。

 「METAL BUILD フィンスターニス」は素体は「METAL BUILD ガンダムアストレア TYPE-F」のカラーを変更したもので、「METAL BUILD ガンダムエクシア」とデザインでの共通部分も多い。その機体が黒と金、そして紫のカラーリングで染め上げられており、“悪役”の雰囲気がグッと増している。アストレアという機体を知らない人には、“悪のエクシア”といえる外見になっている。

【機体の関連性】
「METAL BUILD ガンダムエクシア」。フィンスターニスのベースであるアストレアはエクシアのプロトタイプと言える存在。武装などはエクシアの方が洗練されている
「METAL BUILD ガンダムアストレア TYPE-F」。フィンスターニスはTYPE-Fを複製、量産したという設定。商品としてはカラーを一新、オリジナル装備を盛り込んだ仕様となっている
GN-X、写真はガンプラの「MG 1/100 ジンクス」。アニメ「機動戦士ガンダム00」に登場する機体。劇中でガンダムの量産機といえる設定だ。フィンスターニスは同じシールドを装備している

 フィターニスの外見上の大きな特徴が「ロイヤルマスク」という大きなマスクだ。「METAL BUILD フィンスターニス」では頭部をまるまる差し替えることでマスク装着状態を再現している。このマスクはMSがガンダムであることを隠すことよりも機能強化の面が大きいという。巨大な単眼に見えるマスクは各種センサーが強化されている。一方、ロイヤルという格式張った名前は、本機体とパイロットが“使い捨て”に近い任務が多いことでの皮肉の意味も込められているという。

 今回商品を遊んでみて、「METAL BUILD フィンスターニス」のユーザーにとっての魅力は「豊富な武装」と「キャラクター性の薄さ」だと感じた。「機動戦士ガンダム00」のMS,特にガンダムは7本もの剣を装備し格闘戦に特化した「エクシア」や、狙撃特化の各種装備を身につけた「デュナメス」など特性、そしてパイロットと密接なキャラクター性を持つ。それに対しフィターニスは「汎用性の高い機体に任務に合わせた装備」というコンセプトとなっており、比べるとキャラクター性が弱い。逆に装備を自分で考えて取り付けることで、様々な活躍シーン、運用方法が想像できる機体だと感じた。劇中のシーンを再現するのではなく、装備を組み替え、オリジナルストーリーを考えるのが楽しい商品という印象を持った。

【フィンスターニスオリジナル装備】
「ロイヤルマスク」。ガンダムタイプのフェイスにかぶせる形で装着。商品では頭部をまるごと差し替える仕様となっている。大きな単眼は複合センサーで、機能強化の意味合いが強い
「GNシャープシューター」。狙撃用ライフル。マスクの複合センサーと合せ、狙撃能力は高そうだ
GN-Xの装備である「GNシールド(GN-X)」。中央のディフェンスロッドは敵の攻撃に合わせて動かすことで効果的に攻撃をはじく

 様々な装備を身につけることで、「METAL BUILD フィンスターニス」はその機体イメージが大きく変える。まずは本商品のオリジナル装備「GNシャープシューター」と「GNシールド(GN-X)」を見ていこう。この2つをつけると大きな単眼センサーも相まって“狙撃用機体”としての雰囲気がグッと高まる。

 「GNシールド(GN-X)」は、中央に“ディフェンスロッド”という装備がある。このディフェンスロッドは敵の攻撃に合せロッドを回転させることで敵の攻撃を“はじく”防御装備だ。シールド自体にもGN粒子を放出するGNフィールドを展開させる能力があるので、より防御力は高いようだ。

 「METAL BUILD フィンスターニス」はリアスカートをアーム付きのものに交換し、背中にもアームをつけることでそれぞれにシールドをつけることができる。手とは別に可動するアームにシールドをつけることでシルエットも大きく変化する。特に「GNシールド(GN-X)」とは別の「GNシールド」は、GN粒子を放出させることでブースターとして使用でき、アームと合わせて使うことで高機動を実現する。「METAL BUILD フィンスターニス」で遊ぶ場合にはブースターと考えて配置することで、機体のイメージや想像する運用方法も大きく変わるだろう。

 そして「METAL BUILD フィンスターニス」にはシールドやシャープシューターだけではない盛りだくさんの装備が同梱されているのだ。次項ではこの装備を持たせていこう。非常にプレイバリューの高い商品である。

【アームを接続】
リアスカートを差し替えることで左右にアームがつく
背中の太陽炉ユニット側面もアームを接続可能。装備の幅が広がる
【GNシールド】
GNシールドは展開させることでブースターとしても使用可能
マスクとシールド、カラーリングで他のガンダムとは全く違う印象を持つ機体となっている