レビュー

「METAL BUILD ガンダムエクシアリペアIV」レビュー

特別な左腕、最新武器、長刀……想像力を刺激する「グラハムガンダム」

「METAL BUILD ガンダムエクシアリペアIV」

開発・発売元:
BANDAI SPIRITS
発売日:
7月25日
価格:
23,100円(税込)
ジャンル:
アクションフィギュア
サイズ:
全高約18cm

 「機動戦士ガンダム00」に登場する「グラハム・エーカー」は、かなり強い印象に残るキャラクターである。ライバルキャラクターとして登場し、主人公・刹那を何度も窮地に追い込む。特にファーストシーズンでのラスト、物語の黒幕の敵を倒した刹那に襲いかかるという、「ラストバトルの先に、さらに戦いが待っている」シーンは筆者ならずとも驚かされたろう。“ただひたすらにガンダム打倒を目指す男”、として記憶に残る演出だった。

 そのグラハムが幾多の因縁の果てに彼の心を捕らえた最初のガンダム、刹那の乗った「ガンダム エクシア」に搭乗する……「ガンダムエクシアリペアIV」は、ファンにとって様々な想いを感じさせてくれる機体である。その機体をモチーフとした「METAL BUILD ガンダムエクシアリペアIV」は、だからこそ見所の多い商品だ。

 「進化していくMS技術が、旧世代機であるエクシアをどう変えたか?」、「グラハムが乗るエクシアという複雑な因縁をデザインでどう表現するか?」、「“7本の剣”というユニークなコンセプトをどう活かすか」、「金属、クリアパーツ、マテリアルの表現に優れたMETAL BUILD最新作の面白さ」……様々なコンセプトが詰まった、楽しい商品である。「METAL BUILD ガンダムエクシアリペアIV」の魅力を語っていこう。

【METAL BUILD ガンダムエクシアリペアIV】
ガンダムエクシアが4度の改修を受けた姿をMETAL BUILDで表現。METAL BUILDならではの金属、クリアパーツを多用した“マテリアル感”。丁寧な塗装、マーキングなど魅力的な商品だ

因縁を経て、かつてのライバル機体に。燃えるシチュエーションを実現

 「METAL BUILD ガンダムエクシアリペアIV」は、“グラハムの乗るエクシア”というはっきりしたコンセプトを持った機体である。グラハムは「機動戦士ガンダム00」のセカンドシーズンでは仮面をかぶり、「ミスター・ブシドー」と呼ばれ、軍とは独立した立場でガンダムをただひたすらに追い求める。

 この時、グラハムは「マスラオ」、「スサノオ」といった機体に乗るのだが、そのコンセプトは「近接戦特化」。サーベルを主装備にしており、まさに阿修羅のごとき凄まじい剣劇で刹那に迫る。

【ガンダムエクシア】
右腕の巨大なGNソードが大きな特徴のガンダムエクシア
【スサノオ】
2刀流の「スサノオ」。グラハムがダブルオーガンダムと戦った機体だ

 ガンダムエクシアもまた接近戦に重点を置いた機体である。巨大な剣「GNソード」に加え、フル装備では7本の剣を纏う。「ガンダムエクシアリペアIV」……グラハムが「グラハムガンダム」と名付けたこの機体は、その2つのコンセプトをはっきり融合させた機体なのだ。

 「METAL BUILD ガンダムエクシアリペアIV」もフル装備では7本の剣を纏う。この機体が持つ刀は、刀身が緑のクリアパーツでできているのが特徴で、これは作中の技術の進化を受けてのものだ。「ガンダム00」ではビームサーベルや、“GN粒子”によって刀身を強化した実体剣が登場したが、この緑の刃は作中最新の新素材であり、これまでの武器以上の切れ味を誇る。その武器を7本も持っている、というところが大きなポイントとなっている。

 特に主装備である「GNタチ」は、まるで佐々木小次郎が背負う長刀の様な雰囲気のある反りのある長刀だ。これまでエクシアを象徴していた巨大なGNソードではなく、このスマートな雰囲気のGNタチを構えさせるというのが、「METAL BUILD ガンダムエクシアリペアIV」の最大の楽しさだろう。

【主武装:GNタチ】
長剣を背負う。“剣豪”の様なイメージだ
巨大な日本刀のようなGNタチは、ポーズを取らせるのが面白い武器だ
ダイナミックなポーズが似合う

 もう1つの大きな楽しさは「左腕」である。本機には“第6世代”、最新のMS技術を投入した左腕を装備している。なぜ左腕だけなのかというのは、作品世界から敢えて離れたた解釈をすれば「グラハムが左利きだから」、「左右非対称なカッコ良さがあるから」というところである。「METAL BUILD ガンダムエクシアリペアIV」は、金属パーツ、クリアパーツを使用していて、左右の差異、そして左腕の異様さが一層際立っている。

 むき出しの金属を思わせる黒鉄色の腕、軟質パーツのエネルギー電動チューブ、肘の巨大な緑のクリアパーツ……実験色の強い、急造感を感じさせる左腕だ。ちなみに設定上はこの左腕のみでの瞬間的な“トランザム(一定時間機体の能力を3倍以上に跳ね上げる)”が可能と言うことで、想像力を刺激させられる。巨大なGNタチを片手で軽々と扱う、というポーズ付けの説得力にも繋がっている。

【マテリアル感】
特徴的な左腕。前腕部分に金属パーツ、肘のクリアパーツ、肩のケーブルは軟質素材だ
足も金属パーツが多用されている。膝のクリアパーツ内部の細かい構造やマーキングも楽しい

シールドに7つの武器。最新の技術で生まれ変わったエクシアの楽しさ

 ここからは各種武装にフォーカスしていこうエクシアはすでに旧型の機体であるが、次期MS技術を投入した左腕だけでなく、各所がアップデートされ最新機体に引けを取らない、という設定である。GNタチだけでなく、武装も最新のものだ。武装で大きく目を引くのが、「GNシールド」だろう。このGNシールドは主人公である刹那が乗った最新機体「ダブルオークアンタ」とおなじもの。ダブルオークアンタでは左側についていたものが、ガンダムエクシアリペアIVでは左側についている。

 ダブルオークアンタは盾に「GNドライブ」を搭載しているが、「METAL BUILD ガンダムエクシアリペアIV」にも同様のものが確認できる。これは地球で生産可能な「疑似太陽炉」という設定。敢えて高い要求を言えば「METAL BUILD ガンダムエクシアリペアIV」の太陽炉は疑似太陽炉を示すオレンジ色のクリアパーツを使って欲しかったところだが、「METAL BUILD ダブルオークアンタ」同様の緑のクリアパーツが使われている。

【GNシールド】
シールドには4つの刀を装備可能
シールドを展開すると、内部の太陽炉を露出させることができる

 GNシールド、そして背中の「GNベイオネット」を接続しているアームは「METAL BUILD ガンダムエクシアリペアIV」で遊ぶ際の楽しいポイントである。アームはフレキシブルに動き、他の剣を構えている時にぶつからない位置に移動できる。シールドも可動範囲が多く、動かすと機体全体のシルエットが変わる。エクシアは近接特化のMSであり、戦う際は激しく動き素早い斬撃を加える。その“動き”をイメージし、刀を振る手や、斬撃に力を与える足だけでなく、アームとシールドの位置を変えるのが楽しいのだ。

 実はガンダムエクシアリペアIVに乗り込むグラハムはその前の「劇場版ガンダム00」で“死亡”しており、地球外の金属生命体・ELSと同化することで奇跡の復活を遂げている。ELSとなったグラハムの能力は未知数であり、シールドやアームも四肢を超えた新たな手足として動かせるかも知れない。そういった想像をしながらポーズ付けをするのはとても楽しい。

【アーム】
シールドを接続するアーム。腰はGNベイオネットを接続するアームがある。背中は太陽炉ではなく、GN粒子を封入しているGNコンデンサとなっている

 各種武器を見ていこう。GNベイオネットは、剣としてだけでなく、ビームライフルとしての機能も持つ。エクシアの後継機「ダブルオーガンダム」の主武装「GNソードII」の発展型である。二丁拳銃風の構えも楽しい。ガンダムエクシアリペアIVは劇中のエクシア同様常時フル装備ではなく武装を選択していたかも? と考えると射撃武器にもなるGNベイオネットはメインウェポンだったのではないだろうか?

【GNベイオネット】
ライフルモードは2丁拳銃の雰囲気
ソードモードは2刀流の構えが似合う

 盾に接続する2振りずつの実体剣、刃の長いものが「GNバトルソード」、刃の短いものが「GNバトルブレード」である。ダブルオークアンタのシールドには宇宙空間を刹那の意思のまま飛行する「ソードビット」が搭載されていたが、GNバトルソードとGNバトルブレードはビットとしての機能はないとのこと。

 ではどのような時に使っていたのか? いくつもの“代えの刀”として切れ味が鈍くなったら代えていた? 刹那のエクシアのように投擲武器としても使用していたのか? ガンダムエクシアリペアIVは今のところアニメなどには登場していないためどう使っているかはユーザーの想像力次第だ。今回はGNバトルブレードを逆手に持たせてみたが、これらの武器をどう使うかを考えるのも楽しい。

【GNバトルソード・GNバトルブレード】
長さの違う2種の刀
長い刀身を持つGNバトルソード
こちらは刀身の短いGNバトルブレード

 「METAL BUILD ガンダムエクシア」は人気商品であり、様々なバリエーションでリニューアルされている。今回の「METAL BUILD ガンダムエクシアリペアIV」もそのバリエーション展開ではあるが、“グラハムが乗るガンダム”という独特のアレンジが楽しい。グラハムがこの機体でどう戦うのか、どんな敵が待っているのか、それらはまだ語られていない。そういった戦いを考え、本商品を“ブンドド”するのは、とても楽しい。

【シールドギミック】
説明書にはないが、ダブルオークアンタ同様背中に太陽炉(疑似太陽炉)を向けられる。クアンタの場合は背中のもう1つの太陽炉と直結できるのだが、リペアIVの背中はコンデンサーのため接続ギミックがない。なにか秘められた力があるかも……と考えるのも楽しい