レビュー
「アスレチックランドゲーム」レビュー
時代を超えた楽しさ! タイミングと力加減が試される8つの仕掛け
2022年3月31日 00:00
- 【アスレチックランドゲーム】
- 3月24日発売
- 価格:3,300円(税込)
- 全長:約310mm
- 重量:約790g
- 内容:本体(1)、タイマー(1)、モンキーリング(1)、ボール(2)
タカラトミーが3月24日に発売したアナログゲーム「アスレチックランドゲーム」は、1979年、昭和54年に発売されたゲームがそのまま復活した商品だ。レトロな雰囲気と共に、今でも変わらない面白さを感じさせてくれる。
「グラグラ橋」、「ドキドキクレーン」、「ワニワニ池」……。8つのアスレチックを小さな鉄のボールが走破していく。シンプルわかりやすい仕掛けだが、力加減が難しい。タイマーが鳴るとなお焦る。子供はもちろん大人でもやりこんでしまいたくなるゲーム性がある。今回は各アスレチックのギミックを細かく紹介し、商品の魅力に迫っていきたい。
シンプルだけど奥が深い、タイミングと力加減が重要なアナログゲーム
「アスレチックランドゲーム」はコンピューターゲーム全盛の現代に改めてアナログゲームの楽しさを教えてくれる。鉄のボールを転がす微妙なタイミングやバランス、思わずムキになって操作してしまったり、偶然うまくいったりと、ボールの動きで感情が上下する、このドキドキ感は、ボールが転がるという"リアルな感触"だからこそだ。
1979年は「アスレチックランドブーム」があった。野山が開発され、色々なところに木材を組み合わせたアトラクションを配置した「アスレチックランド」が建設され、家族連れで賑わった。「アスレチックランドゲーム」はまさにその時代の"雰囲気"を感じさせるゲームだ。
当時のアスレチックランドは"野山で思いっきり遊ぶ"というのがコンセプトだった。ゲームの「アスレチックランドゲーム」もフィールドは自然を思わせる緑、アトラクションは木材の遊具を思わせる木目が造型されている。池にワニがいるところは、"冒険ロマン"を感じさせるところ。アスレチックは子供の冒険心を刺激する場所でもあった。「アスレチックランドゲーム」も子供の想像力をかき立て、ただボールを転がすだけでなく、様々な困難に打ち勝ち、ゴールへ向かう冒険を体験させてくれる。
まずはプレイしている動画を見て欲しい。「アスレチックランドゲーム」はこのボールを転がしていくのが本当に楽しい。ちょっとしたタイミング、力のいれ具合、時には運……。各アスレチックはシンプルだが、これらを連続でクリアしていくのが面白い。
「アスレチックランドゲーム」の"流れ"を見せたところで、各ギミックを紹介していこう。「グラグラ橋」は3つの坂を上下させてボールを先まで送っていく。タイミングが重要でうまくいかないとボールがスタート地点まで戻ってしまう。1つめの橋で加速をつけて一気に3つめの終端まで転がすのがコツだ。
次の「ドキドキクレーン」はマグネットでクレーンの先がボールを引き寄せるので、グラグラ橋の先端でそっとボールを持ち上げていくとカチリとクレーンにくっつくのが気持ちいい。「ドキドキクレーン」は焦ると何度もボールが元に戻ってしまうところが面白い。
「ドキドキクレーン」は8つのアスレチックの中では難易度が最も低いだろう。手前のツマミを回転させることで次のアスレチックへボールを導く。面白いのが操作のツマミが後半のアスレチック「ゴーゴーロケット」と連動しているところ。ドキドキクレーンを操作することで、ゴーゴーロケットがスタート位置にセットされるのだ。
「ワニワニ池」は2つのバーを広げたり縮めたりすることでボールを進めるアスレチック。広げるほどボールが先に進んでいくが広げすぎると落ちてしまう。こちらも加速をつけて落ちる寸前で狭めるテクニックが求められる。
ちなみに「アスレチックランドゲーム」は失敗してボールが落ちると手前にボールが集まるようになっている。こうすることで失敗しても再プレイしやすくなっている。床部分は緩く手前側に傾いているのだ。スイッチの連動で操作スペースを確保していたり、設計の巧みさを随所に感じる。
「ユラユラボード」は「アスレチックランドゲーム」で目立つかなり大きなアスレチックだ。このアスレチックには出口が2つあり、左側は次へ続くが、右側の出口にボールが言ってしまうと、即ゲームオーバーだ。フィールドの中の出っ張りはボールが引っかかりやすく慎重さが求められる。微妙な力加減が鍵となるアトラクションである。
「ホップステップジャンプ」も、設計者の工夫が光るアスレチックだ。ボタンを押すと飛び出す突起がうまく次のステップにボールを誘導する。最後のステップは力を込めて飛ばすことで猿の顔の輪郭をした「モンキーリング」をくぐり次のアスレチックに。シンプルだが最後でボールが違った動きになるのが面白いし、「輪をくぐらせる」というアイディアが良い。
「グルグル迷路」は難易度の高いアトラクションだ。ボールが見えない"目隠し迷路"である。ボールが転がる音と、ボールの重さで変化する迷路の傾きがヒントになる。大体どこに今ボールが転がっているかを推察して迷路を傾けてゴールさせていく。時には面倒になって乱暴に動かしてしまいたくなることも。焦る気持ちをどう抑えるかも大事だ。
「ゴーゴーロケット」も見た目の割に難易度が高い。個人的には一番難しく感じるアスレチックだ。ボールをロケット型の板に載せて運ぶのだが、ちょっとした振動でボールはこぼれ落ちてしまう。しかもラストのアトラクションへ続く場所にボールを載せるにはある程度加速をつけてその勢いを活かさなければならない。
そしてラストの「カンカンハンマー」もシンプルでありながら難しい。ボールの入ったハンマーを跳ね上げゴールに入れるのだが、力加減と運が関わる。早すぎても遅すぎてもボールは狙ったゴールの輪にたどり着かない。カンカンハンマーはかなり練習が必要なアスレチックだ。
各アスレチックは少し練習すればうまくできるようになる。間口の広さも本作の大きな魅力だ。しかし、「タイマー」が「アスレチックランドゲーム」の難易度を跳ね上げ、挑戦心を燃やすレベルにしている。タイマーはゼンマイで動き、その時間はおよそ1分、このタイマーがあると特に後半、グルグル迷路から難易度の高いアスレチックが続き、思うように進めなくなる。
ボールがどこにあるかわからないグルグル迷路、ちょっとした振動でもボールが落ちてしまうゴーゴーロケット、そして微妙な力加減が必要なカンカンハンマー。この3つのアスレチックをいかにスムーズにクリアできるか? それはもちろんそれまでの5つのアスレチックを素早くクリアして時間を稼いでおかなければならない。タイムアタックも熱くなるだろう。
「アスレチックランドゲーム」は子供をターゲットにした楽しいアトラクションだ。"現役"の子供なら文句なく楽しめる。一見シンプルだが、運やタイミングが重要となるアナログゲームならではの感触や、遊園地のアトラクションのような独特の世界観は時代を超えた面白さがある。親子で楽しむのもありだし、懐かしい感触を求めて大人が買うのもありだろう。普遍的な面白さを持ったアナログゲームである。