レビュー
エアコッキングスナイパーライフル「VSR-ONE」レビュー
取り回しと拡張性、アクティブに活動する新しいスナイパースタイル!
2022年4月28日 00:00
- 【VSR-ONE】
- 4月15日発売
- 価格:32,780円(税込)
- 全長:614 mm / 800 mm(ストック伸長時)
- 重量:2,100 g(空マガジン含む)
- 装弾数:30 発
東京マルイから4月15日にボルトアクションエアーライフルの新製品「VSR-ONE」が発売された。
「VSR-ONE」は、東京マルイ「VSR-10」シリーズの最新版となる。「VSR-10」は、東京マルイ初のエアコッキング式ボルトアクションエアーライフルとして2003年に発売されると同時に、ゲームチェンジャーとしてエアソフトガン市場を席巻。20年近く経った今も、ボルトアクションエアーライフルの代名詞と言って良い存在である。
そのロングセラー製品「VSR-10」をベースに、これまでにないコンパクトさと拡張性の高いデザインを持たせたのが「VSR-ONE」だ。「取り回しと拡張性を持たせたスナイパーライフル」という本製品のコンセプトは発表と同時に話題を集めた。発売直後である現在、完売するショップも多く、人気製品となっている。
今回は、新規パーツをふんだんに盛り込んでデザインも一新、20年振りの新基軸爆誕となった「VSR-ONE」のサンプルを触れることができた。外観から内部機構、実射性能、サバイバルゲームに投入しての実用性に至るまでレビューしていこう。
「VSR-10」をベースとしたコンパクトアクティブボルトアクションスナイパー!
軍隊や警察に必ずと言って良いほど存在し、銃器の登場するゲームや映画などで、時に重要な役目を担うのが、スナイパー(狙撃手)だ。スナイパーが一般的なアサルトライフルの届かない距離から、精密射撃で撃ち倒すアウトレンジ戦法を採る為に、手にするスナイパーライフルは大口径長射程、大型化してきた。
サバイバルゲームでもスナイパーというプレイスタイルは人気だ。コンピュータゲームでいうところの「待ちプレイ」に近い戦法を採用することが多い。長いスナイパーライフルにサイレンサーを付けて静音性を高めたり、偽装に凝ったりして、隠密行動をして自陣のフラッグや拠点をストイックに護るのである。彼らが守ってると簡単には攻め込めない。味方として頼もしく、やっかいな敵にもなりうる。
ただ、エアソフトガンにおいては初速の上限が決まっているので、実は長大なスナイパーライフルと、取り回しのしやすいSMGの射程と威力は変わらなかったりする。それでも長い銃身や、単発で正確な射撃が出来るスナイパーライフルと、敵の出現地点を抑え、正確に撃ち抜くスナイパーという戦い方は有効だ。
そしてスナイパーライフルの特製をそのまま、取り回しの良さと、さらなる拡張性を持たせた新機軸のスナイパーライフルとして登場したのが「VSR-ONE」なのである。実は実銃の世界でもコンパクトなスナイパーライフルは出始めており、「VSR-ONE」はそのトレンドを取り入れた銃としても注目である。
「VSR-ONE」は東京マルイのデカこと島村広報が試作した「VSR-10」の極ショートバージョンが原型となっている(本人談)。島村氏がコンセプトを社内プレゼンしたのは18年前。発表時「短いスナイパーライフル」は社内では不評だったという。しかしまさに時代が変わった。「持ち運びやすいスナイパーライフル」という存在をユーザーが期待するようになったのだ。スナイパーでありながら戦場を駆け回るプレイスタイルや、車に乗らず電車やバイクで移動するサバイバルゲーマーが持ち運びやすい銃を求めた、というユーザー側の要望が高まってきているのだという。
そのコンパクトなコッキングエアーボルトアクションというコンセプトが製品にどう活かされているか、実際に見ていこう。まず外箱(パッケージ)だが、「VSR-ONE」も、東京マルイ製品スタンダードの凝った物に収められている。コンパクトなライフルと思っていると意外なサイズに驚かされるが、空いたスペースに別売りの各種オプションパーツを収納できる様になっている為だ。保管する場合や車で持ち運ぶ際に、ガンケース代わりに使えるので便利だ。
蓋を開けると長く大きな「VSR-10」と同じ機関部を共有しているとは思えない、コンパクトな「VSR-ONE」がお目見えする。付属品として、取扱説明書、マズルキャップ、六角レンチ4本、M-LOCKシステムのレイルが3種類、ボルトスリーブカバー、BB弾が入っている。
「VSR-ONE」の外観は黒い樹脂と印象的な金属パイプによるストック、金属レシーバーで構成されている。
島村氏の原案は、1m以上ある「VSR-10」の銃身とストックを手作業で短く切り詰めた、ソウドオフカスタムだった。「短い銃が好き」という個人の好みに合わせ、ストックの曲線と銃身の直線で構成されたボルトアクションライフルをカスタマイズする独特のカッコ良さがあった。
「VSR-ONE」では、東京マルイ開発陣がその「短い銃が好き」という想い入れを製品に昇華させている。完成された「VSR-10」のフォルムをそのまま短くするのではなく、「VSR-10」の機関部を元にして、ストックにも直線を多用し短くデザインし直した、マスプロダクションならではの美しさ、カッコ良さがある。
では各部を仔細にチェックしていく。まずフロント部分は、サイトのない太い金属製ブルバレル(肉厚のバレル、ヘビーバレルとも呼ぶ)で、先端には各種パーツをネジ込める逆ネジが切られている。そのネジ山の保護を兼ねた樹脂製のフラッシュハイダーが装着されていて、取り外し易い幅広のスリットが入れてある。
フロントサイトのない、太い無骨なブルバレルから繋がるレシーバー部分もやはり金属製で「VSR-10」を踏襲している。そのレシーバーには、様々な光学器機に対応した長いマウントベースと、コッキングし易い大型のボルトハンドルカバー「ボルトリフトセット」が新造されている。「ボルトリフトセット」は従来の「VSR-10」ユーザーも欲しくなる、太くていかにも引き易そうな物だ。そしてマウントベースには、シンプルで実用的なリアサイトとフロントサイトが設けられているので、狙撃用の外付け光学器機である「スコープ」や「ダットサイト」が無くてもすぐに使える。
そのレシーバーをガッチリ受け止めているストックは基本的に直線で構成され、樹脂と金属が組み合わせて見るからに頑丈に造られている。
ストックの樹脂部分はM-LOCKレイルを取り付けるM-LOCKスロットが設けられ、QDスリングスイベル用のQDホールが開いていて拡張性が高い。
さらに銃を構えて自然に手を添える部分には、サムレストがある。指をトリガーに添え易くなっている大型のトリガーガードと相まって、射撃姿勢を取り易い。また、「VSR-ONE」の近未来風な印象を醸しだしているのが、独特の角度を持つピストルグリップだ。電動ガンではモーターを収納する必要上太くなってしまうが、その必要のないコッキングエアーの機構を活かして幅の狭い中空となっており、四面に施されたシボ加工と相まって、手に吸い付くかの様に非常に握り易い。
また「VSR-ONE」最大の特徴と言えるのが無骨な金属製ストックパイプだ。グリップ部分との位置関係が絶妙で、銃を構えての頬づけが一発で決まる。
「短いVSR-10」というコンセプトからスタートしながら、それだけで完結することなく、より構え易い、コンパクトかつ射撃において実用的なストックに仕上がっているのは、流石東京マルイだと唸らされる。
また、そのパイプストックはサイドスイング式で左側に折り畳める。ボタンでワンタッチで解除し、ストックにロックでき、基部は肉厚の金属パーツで構成されていて、ガタつきや「しなり」は一切ない。使い易く、丈夫という、文句のない仕上がりだ。
また、肩当ての部分には樹脂のバットプレートが付けられていて肩付けや立て掛ける時に衝撃を和らげるが、取り外すとストック尾部には六角レンチ5本、本商品付属の4本と、マイクロプロサイト調整用の1本を収納できる様になっているのも嬉しい配慮だ。
全体としては重量約2kgでパイプストック分やや後ろにバランスが偏重しているとのことだが、前記の様にグリップの角度が絶妙で構えた時に違和感はない。全長は、畳むと約62cm、伸ばした状態で約80cmだが、スペック以上のコンパクトさを感じさせるデザインと言えるだろう。次ページからは内部機構に迫っていこう。