レビュー

「METAL ROBOT魂 ガンダムTR-1&OPパーツセット」レビュー

ティターンズ「TR計画」の試作実験機「ヘイズル改」が多数の装備パーツを備え満を持してリリース

【METAL ROBOT魂 <SIDE MS> ガンダムTR-1[ヘイズル改]&オプションパーツセット】

開発・発売元:BANDAI SPIRITS

発売日:3月23日

価格:14,850円(税込)

ジャンル:アクションフィギュア

サイズ:全高約140mm

素材:ABS、PVC、ダイキャスト

 「機動戦士Zガンダム」の外伝的作品として、小説やコミックで展開された「ADVANCE OF Z ティターンズの旗のもとに」に登場するモビルスーツ(以下、MS)が、BANDAI SPIRITS並びにバンダイによってコンスタントに立体化されている。ガンプラのHG・MGシリーズや食玩のGフレーム・ FW GUNDAM CONVERGE、カプセルトイのMOBILE SUIT ENSEMBLEといった各シリーズにて、劇中の重要機体であった「ヘイズル改」を中心にリリースされてきた。

「METAL ROBOT魂 <SIDE MS> ガンダムTR-1[ヘイズル改]&オプションパーツセット」。豊富なパーツを揃え、換装ギミックを楽しめる仕様だ

 そんなヘイズル改が、久しぶりに完成品のアクションフィギュアでも発売となった。しかも関節などのパーツにダイキャストを使用した「METAL ROBOT魂」での登場だ。本稿でレビューするのは、プレミアムバンダイの魂ウェブ商店で昨年9月より受注販売された「METAL ROBOT魂 <SIDE MS> ガンダムTR-1[ヘイズル改]&オプションパーツセット」。劇中で装備した武装が多数付属し、プレイバリューの高い仕様での発売となった。

ティターンズ側の視点で物語が描かれた「A.O.Z」。ヘイズル改はその中盤の主要機体として登場

 「ADVANCE OF Z ティターンズの旗のもとに」(以下、「A.O.Z」)は、「電撃ホビーマガジン」誌上にて、小説と模型の作例による連載として2002年にスタートした。宇宙世紀0084年に地球連邦軍からティターンズへと転属した若き軍人エリアルド・ハンターを主役に、新型兵器のテストチームT3部隊(TITANS TEST TEAM)の物語を描いている。「機動戦士Zガンダム」では敵勢力だったティターンズの物語であり、同作内のグリプス戦役にて発生した出来事なども交え、ティターンズ側の視点からその正義や信念が描かれるのが見どころであり、翌2003年にはコミック連載も始まって、より細かく描写されたキャラクターやメカの活躍を楽しむことができた。

パッケージは「METAL ROBOT魂」シリーズのフォーマットに則った横置きのデザイン
ブリスターは2枚。パーツは多いが本体サイズは小さめなので、上手く収められている

 このガンダムTR-1[ヘイズル改]は、ティターンズの次期主力機の開発計画「TR計画」の一環で開発された試作機「ガンダムTR-1[ヘイズル]」がジオン軍残党部隊との戦いで大破し、それを改修・強化した機体で、ヘイズルで得られた実戦データと開発ノウハウを投入している。改造にあたりジム・クゥエルやヘイズルの予備パーツを使用し、コクピットには全天周囲モニターやリニア・シートを採用、前身機よりもバランスの優れたMSとして完成している。

ジム・クゥエルをベースにガンダムの頭部や各種装備を取り付け、独自のシルエットが構築されている。
背面は背中のブースター・ポッドや脚部の大型スラスターに目が行く。カラーリングはグレーを基調としている
重量は実測で182g。手に持つとずっしり重い

 前身機であるヘイズルも元はジム・クゥエルをベースとした機体であったが、一年戦争で伝説となった「ガンダム」の頭部を取り付け、機体名にもその名を冠することにより、敵味方に与える心理的影響の検証も意図されていて、コミック版の劇中でも、エリアルドが搭乗する際には、「ガンダムが引き継ぐ『栄光』と『因縁』」についても語られている。

本体内部にダイキャストパーツを採用し、重量感と剛性を確保。タンポ印刷のマーキングは緻密な仕上がり

 この2022年にアクションフィギュアとして発売されたヘイズル改は、METAL ROBOT魂の特徴であるダイキャスト素材を採用した重量感と剛性、タンポ印刷による美しいマーキング、そして豊富なオプションパーツにより劇中の様々な形態を楽しめるプレイバリューの高さがセールスポイントである。

ガンダムタイプの頭部。形状はガンダムMk-IIに近いが、額のセンサーなどが異なる
頭頂部には後方まで伸びた全方位センサーが備えられている
首の左右には折り畳み式のフォールディング・グリップがある。差し替えで起こした状態にもできる
胸部や股間にはブロックが装備され、ジム・クゥエルとは形状が異なる
腰部にはEパックが取り付けられている。取り外しも可能だ
機体の特徴の一つである脚部の大型スラスター
背中のブースター・ポッドは上下にスイング可動する

 ヘイズル改本体は全高約140mm。設定上の頭頂高がほぼ同じRX-78-2ガンダムの1/144スケールプラモデルと比較すると2回りほど大きいサイズだった。またプラモデルとして発売されたヘイズル改よりもスリムかつシャープな印象を受ける。メインのグレーの部分はつや消しで、胸部やつま先の紺色や腰のブロックなど少し濃いグレーは半光沢、そしてイエローの部分はメタリックという、質感の異なる塗装が施されていて高級感がある。ざっと見る限りは、成形色の部分はないようだ。T3部隊やブラックオター小隊のマーキングは、本体にあるものは大きくても1cm程度、書き文字に関しては小さなもので目測で0.5mm以下と非常に小さいが、どれもしっかり読むことができるほど鮮明だ。

肩と腰にあるブラックオターの部隊章。隊長のウェス・マーフィー大尉のペットであるウサギがモチーフ
T3小隊のマーク。Tの文字を3つ合わせたデザインだ。要所のマーキングも非常に細かい
ライトグレーの塗装はよく見ると濃淡のある2色に塗り分けられている
イエローの部分は角度によってきらめいて見えるメタリック仕様

 手に取ってみると、一般的なアクションフィギュアやプラモデルよりも重量感があり、関節を動かしたときの滑らかさもフレームにダイキャストが使われたMETAL ROBOT魂の持ち味だ。一部のダイキャストパーツは、関節部や背中のバーニアなどに露出していて、これらの部分には電解メッキが施され、全体のアクセントにもなっている。可動は2重になったヒジやヒザの関節、引き出し式の肩などはよく動く印象だが、首があまり上に向けられないのは少し残念なところ。また全塗装フィギュアの性質上、パーツ同士のコスレには気を使う。このヘイズル改はパーツの換装も魅力の一つなので、このあたりはジレンマを感じてしまうかもしれない。

公式サイトより、本体のダイキャストパーツの使用箇所を表すCGがこちら
電解メッキにより、鈍い銅色で仕上げられたダイキャストのパーツ。バックパックのノズルはそのまま使われている
ダイキャスト関節は動きが滑らかで保持力もあるため、武装を取り付けてもへたることがない
ヒザには曲げるとブロックがせり出すギミックを内蔵