レビュー

「ROBOT魂 <SIDE ANTIBODY> ネリーブレン」レビュー

有機的なデザイン造形を再現して、初の完成品フィギュア化

【ROBOT魂 <SIDE ANTIBODY> ネリーブレン】

開発・発売元:BANDAI SPIRITS

9月15日 発売

価格:8,800円(税込)

ジャンル:アクションフィギュア

サイズ:全高約150mm(頭部ブレードを含むと約180mm)

 BANDAI SPIRITSコレクターズ事業部は、アクションフィギュア「ROBOT魂 <SIDE ANTIBODY> ネリーブレン」がプレミアムバンダイにて9月15日に発売した。価格は8,800円(税込)。

 本商品はアニメ「ブレンパワード」にて登場したアンチボディ「ネリーブレン」を立体化したものだ。

「ROBOT魂 <SIDE ANTIBODY> ネリーブレン」

 「ブレンパワード」は「機動戦士ガンダム」の生みの親の一人、富野由悠季氏が手掛けたアニメ作品。富野作品の中でも異色な作品であり、これまでのロボットものとは趣が違うデザインや存在感を放つ。

 その中で主人公、伊佐未 勇が物語の後半から付き合うこととなるのが「ネリーブレン」だ。有機的なデザインと積層構造のような手足の造形など複雑な造形が特徴となっている。

 アクションフィギュアブランド「ROBOT魂」シリーズで初立体化された。今回は「ROBOT魂 <SIDE ANTIBODY> ネリーブレン」の魅力をお伝えする。

オーガニック的な生命力にあふれた「ブレンパワード」の魅力

 「ブレンパワード」は1998年に富野由悠季氏が手掛けたアニメ作品。メインデザインには、いのまたむつみ氏、永野護氏が参加し、耽美なキャラクターデザインや独特のメカデザインも印象的だ。

 物語は、全ての生体エネルギーを奪って、宇宙に飛び立とうとする謎の巨大生命体オルファンを巡って、地球を捨てオルファンに乗り込もうとするリクレイマーと、それを阻止する為に建造されたノヴィス・ノアの戦いを軸に、主人公・伊佐未 勇を含め、各キャラクターたちが家族の問題や葛藤、悩みを持ち、それらが様々なドラマが展開された。

 そして、劇中では円盤状の物質「オーガニック・プレート」から「アンチボディ」と呼ばれる生命体が生まれる(リバイバルする)。オルファンに同調するグランチャーとそれに反目するブレンパワードに分かれ、それぞれの陣営で活躍する。

 キャラクターやブレンパワード、オルファンまでキャッチコピーである「頼まれなくたって、生きてやる!」が示すように、生命力を感じさせる物語となっている。

【ブレンパワード Blu-ray Revival Box 2022年3月29日発売告知PV】

 勇はユウ・ブレンとともにオルファンのグランチャー部隊との戦いやオルファン浮上を阻止するため戦っていたが、進化したグランチャー、バロン・ズゥとの戦いで深手を負ってしまう。意志を持ち、ブラシを擦れば喜び、困難に立ち向かったユウ・ブレンが傷つき、なおも戦おうとする姿は痛々しかった。

 その中で勇はネリー・キムとネリー・ブレンに助けられる。そして、バロン・ズゥによって傷つけられてしまったネリー・ブレンに、ユウ・ブレンが体を補うようにして青いネリー・ブレンとなった。ロボットものでいえば後期主役機への乗り換えだが、失って生まれ変わる悲しくも神秘的なドラマとなってる。

ブレンパワード公式ページより「ユウ・ブレン」
ブレンパワード公式ページより「ネリー・ブレン」

 通常のブレンパワードよりも大きく、頭部の形状などが異なる。「ROBOT魂 <SIDE ANTIBODY>」シリーズでは、劇中のデザインが再現されている。

美しいネリー・ブレンが描かれたパッケージ

 パッケージは、「ROBOT魂 <SIDE ANTIBODY> ネリーブレン」が描かれている。緩やかに飛翔するような姿が表現され、神秘的な雰囲気となっている。

 内容物には交換用手首と主要武器の「ブレンバー(ネリー・ブレン専用)」、ブレンバー用の接続パーツ、交換用コックピットブロック、腰部の魂STAGEアダプターパーツが封入されている

【パッケージと内容物】
パッケージ正面
パッケージ裏面
フィギュア本体
交換用手首は左右各4種類。伊佐未 勇が体を出した交換用コックピットパーツ、「ブレンバー(ネリー・ブレン専用)」、ブレンバー用の接続パーツ、
取扱説明書

ROBOT魂のネリー・ブレン、イエスだね

 本商品の主役である「ROBOT魂 <SIDE ANTIBODY> ネリーブレン」は劇中のイメージに近い造形となっており、特徴的なフィンや手足のプレートが積層したような構造などが再現されている。

 胴体は細く、肩や足先、頭部は大きく、ボリュームのある外観となっている。オレンジ部分は一部を除いて、クリアパーツが作用され内部の模様が見える演出が施されている。有機的な印象を思わせ、立体物ならではの表現となっている。合わせて要所にはモールドが施され、ブレンパワードらしい神秘的な印象を持っている。

 劇中では頭部の目の部分が発光し、意思を示すような描写があったが、本商品ではそういったラインは見受けられない。

【ROBOT魂 <SIDE ANTIBODY> ネリーブレン】
頭部は大きく、造形されている
表情も優しく、雄々しい印象
頭部後ろのフィンも存在感ある造形
肩などにラインが施されている
腕のカバー部分などにはクリアオレンジのパーツが使用されている
腕や肩の裏面はしっかりとプレートの積層造形が施されている
くびれのある胴体
腰回りはすっきりとして動かしやすい構造となっている
脛の部分にもクリアオレンジのパーツ
安定感のある足回り
背面側にはプレートやフィンの造形が再現されている
10月発売予定の「ROBOT魂<SIDE ANTIBODY> ヒメブレン」と合わせることができる握手用の交換手首パーツ

 複雑なプレート上の積層構造が再現されつつ、ブレンパワードの持つ神秘的な魅力が立体物として昇華されている。

 続いて可動に関しては、立体物としてのギミックを盛り込み、劇中の動きを再現することができる。ブレンパワードは金属の生命体であるが、仰向けに寝そべると人の肌のように頭部のアンテナ状のパーツが柔らかく動いた描写もあった。そのため、ネリーブレンの場合は大きな頭部が動きの干渉受けそうだが、劇中設定によってアグレッシブな動きもこなしている。

 そうした劇中の解釈は、引き出し関節などで立体ならではの機構でアクション面をフォロー。そして、手足は幅広い可動で片膝立ちなどの柔軟なポージングが可能となっている。

【可動】
頭部の左右に伸びたフィンは引き出し可動で伸ばすことができ、頭部左右の動きをサポートする
頭部はフィンの可動によって左右に大きく動かすことができ、うつむく、見上げる動きも可能
腕の水平可動。二の腕の軸可動でひねりを加えた動きもできる
肘や肩の可動
肩口は引き出し可動ができる
腰のサイドパーツも可動
腹部は左右へのひねりができる
胸部は上体そらしなどの動きができる
脚部の水平可動
膝関節、股関節は大きく可動。膝を大きく上げることができる
足首は左右へ動かすことができる
下腹部のコックピットハッチの開閉も再現されている
腕のカバー部分は展開ギミックが搭載されている

 可動の他に別売りの「魂STAGE ACT MECHANICS」に対応した臀部の差し替えパーツがある。また、劇中でのブレンバーを腕部に携行した状態を再現する接続パーツが付属している。

 さらに、コックピットは勇が乗り出したフィギュアが造形された差し替えパーツもあり、劇中でも印象的な会話シーンを表現することができる。

臀部のパーツを差し替えることで、「魂STAGE ACT MECHANICS」に接続することができる
コックピット部分は前に開くことができる
腕部のカバーにある接続口に小さい連結パーツを取りつけることで、ブレンバーの携行ができる
勇が身を乗り出したコックピットパーツに差し替えることで、オーガニックな雰囲気に

柔軟化可動で多彩なアクションができる

 作りこまれた細部と柔軟な可動を紹介してきた。

 これらによって「ROBOT魂 <SIDE ANTIBODY> ネリーブレン」は様々なアクションポーズを取ることができる。劇中では物語後半からの登場ともあって、本格的な戦闘シーンは少ない。しかし、直立で浮遊する姿など神秘的なブレンパワードらしさが感じられる。

 そして、最終話でのバロン・ズゥとの激闘でのアグレッシブさも表現することができる。そして、リラックスした姿など穏やかな雰囲気も表現できる。

 「ROBOT魂 <SIDE ANTIBODY> ネリーブレン」はアニメ放映から心待ちにされた立体化ともあり、満足感の高い造形再現となっている。

 生物的なデザイン再現とともに、各所の可動によって劇中のアクション再現もできる。ROBOT魂シリーズの技術の高さで放映当時では難しかったであろう動きや表現が実現している。

 ブレンパワードの持つ柔らかさが外観からも感じられる。また、ポーズの取り方や見る角度によって、劇中の優しい表情と表現される情動めいたものも感じられる。

 そして、10月発売予定の「ROBOT魂<SIDE ANTIBODY> ヒメブレン」や先日発表された「ROBOT魂<SIDE ANTIBODY> バロン・ズゥ」と今後の商品展開からも目が離せない。

【プレミアムバンダイで購入】

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