レビュー

タミヤ「1/12 ロータス タイプ78 (エッチングパーツ付き)」レビュー【後編】

いよいよ完成! 当時の設計思想をしっかり楽しめるビッグスケールキット

【1/12 ロータス タイプ78 (エッチングパーツ付き)】

開発・発売元:タミヤ

4月1日発売

価格:14,080円

ジャンル:プラモデル

サイズ:全長381mm、全幅171mm、全高76mm

 さて、前編ではロータスタイプ78を構成する各構成要素を組み上げていきましたがいかがだったでしょうか。細かなディテールを持ちつつも組み立てやすさを考慮した内容で、タミヤのビッグスケールだからこそできるキットだと感じられました。

 後編ではそれぞれの構成要素をアッセンブル(集めた部品を組み立てる)していき、カウルを塗装してデカールを貼っていきたいと思います。アッセンブルの工程においては各構成要素をどのように接続していくのかが最大のトピックとなります。組立説明書を見ると細かなアーム類を使うようで難易度も上がりそうな感じです。ドキドキしつつもチャレンジしがいのある工程のようです。

 塗装はブラック1色のカウルですね。前編でエッチングパーツによるシャープな翼端版もありますからいきなりブラック一色を塗るよりはサーフェイサー&プライマーを塗るほうがよさそうです。デカールは主にカウルに合わせてゴールドのラインを乗せていきますがこちらも大きいサイズなので取り扱いも慎重になりそうですね。では進めていきましょう!

【前編で組み上げた各構成要素】
これらをアッセンブルしていきます。なんだか実際のF1を組み上げる感覚です!

アッセンブル開始。車体は前後の2ブロックに集約される

 これまでの構成要素をまとめていきましょう。車体は大きくシャーシとコクピットをもつフロント部分、エンジンとギアボックスで構成されるリヤ部分の2つに分けられます。これまでパーツだったものが合わさってそれぞれの機能を明確なものにしていくところがプラモデルを組み立てることの楽しさでもありますね。

 まずはフロント側を組んでいきます。大きな一体成型のシャーシの上にノーズを構成する隔壁を核にドライバーが乗り込むコクピットを形作っていきます。サスペンションアームの上に置かれたアクセル・ブレーキ・クラッチの3ペダル、ドライバーが脚を通すバルクヘッドと床、ステアリングとシフトノブ。

 F1、しかも1970年代のF1マシン(レーシングカー)は一般的なクルマのような架装はなにもなく、ただレースに勝つためにとても簡素だということがよくわかる構造を感じ取ることができます。ステアリングギアボックスとタイヤが接続されるフロントアップライトとの位置関係、サスペンションの構造もビッグスケールならではの説得力をもっています。

【アッセンブル:フロント】
シャーシにバッテリー、オイル/燃料リザーブタンクを設置
さらにステアリングギアボックス、コクピット隔壁などを設置
コクピット内の床とバルクヘッドを構成します
ステアリングとシフトノブを設置
コクピットは肩幅ギリギリ、バルクヘッドは足を通すだけしかできなさそうです
ラジエーターコアからパイピングでエンジンまで冷却水を回す構造がわかります
フロントに消火器を搭載します
フロントノーズ先端にもラジエーターコアがあります

 リヤセクションはエンジン本体、ギアボックスで構成されます。強大なパワーのDFVエンジンがあるリヤセクションはたくさんの強度が必要な部分になります。1970年代当時の剛性の高め方はとにかくアームで固定することだったようです。そこから素材や製法が進化して現在のF1マシンにつながるのがとても興味深いところです。

【アッセンブル:リヤ】
オイルタンクとギアボックスを接続、リヤアクスルを取り付けます
ギアボックスに多数の支持アームを取り付けます
レーシングカーとしていかに軽量に、剛性をもたせるかということを実現するために1970年代のF1マシンでは複雑なアームによって実現しているとおもわれ、設計の苦労がにじむようです
チューブ類も取り付けていきます
エンジン本体とドッキングさせます。がっちり固定させたいので縦に置き、パーツの重みも利用した状態で接着をしました
リヤライトもフレームの上にあります
リヤアップライトを取り付けるとどんどんF1マシンのリヤセクションのイメージに近づきます
エキゾーストパイプでさらにレーシングエンジンの様相に!
リヤウイングステーを組みました
ウイングステー同士を結ぶ補強アームが目を引きます
底面から見てみました。いろいろとパーツを組み込んでいくとさらにメカメカになってきました!
うん、かっこいい!

 シートベルトを組んでいきます。6点式シートベルトはエッチングパーツでの金属パーツがシャープなディテールとなっています、各バックルは小さくて薄いので腕の見せどころでもあります。さらにミラーはインレットマークを使いました。

【他の細かいディテール】
シートベルトはとても細かい作業になります
シートに貼り付けると途端にリアリティが増しますね!
メッキのミラーがあるのですが、別でインレットマークが用意されています
左インレットマーク、右メッキです

 さぁ、いよいよフロントセクション、リヤセクションをドッキングさせましょう!シャーシ側とエンジン側はツメで噛み合わせるようになっています。さらにラジエーターコアとエンジンとを結ぶパイプを結んでいきます。

【ボディをドッキング】
シャーシ部とエンジン部は中央のツメで噛み合います
ラジエーターのパイプ、アームでも接続します

 車体も出来上がってきましたので、いよいよカウルの塗装とデカールの貼り付けを行っていきます。ロータスタイプ78のカラーリングは真っ黒で、ピンストライプのラインによるディテーリングとなっています。カーナンバー5と6とでピンストライプの意匠も異なりますから間違わないようにしたいところです。

 このピンストライプ、デカールでの再現となりますが、これがこのキット最大の見せ場となります。とても細いラインが大きいサイズのデカールとなっていますから、ちょっとしたことで切れやすいのも事実です。今回も何度も失敗してしまいましたが、あせらずゆっくりと修正しています。

【カウルの塗装とデカールの貼り付け】
筆者はいつもはペーパーがけで下地の処理をしますが、今回はエッチングパーツもあるのでプライマーにもなるサーフェイサーを吹いておきました
カウルすべて塗装しました
デカールを張り付ける前に車体がどうなるのかを見ておきます
ロータスタイプ78のカウルにはピンストライプがそこかしこにあしらわれています
今回はカーナンバー5のマリオ・アンドレッティ車を選びました
ノーズの“5”と側面の“5”はフォントが違います
リヤウイングは上面+左右でデカールを貼ります
ここからは組み上がっていく様子をごらんください
フロントタイヤがどのようにシャーシに接続されているかがよくわかります
“闘う男の仕事部屋”的な狭いコクピット
カラーリングされたカウルが装着されていくと俄然存在感が増します
シャーシ側のカウルもそれっぽくできあがってきました
サイドスカートがあることで翼断面形状のサイドポーンツーンによるグランドエフェクト効果が劇的に高まります

完成!「1/12 ロータス タイプ78 (エッチングパーツ付き)」

 ついにロータスタイプ78が完成しました!F1における本格ウイングカーをパーツを一つずつ組み上げてどの場所に置かれるのかを確認しながら、時には“へぇーそうなってるんだ!”と驚かされることもあったりとても充実した組立でした。

 特にシャーシ部とエンジン部を接続する時のパイプの取り回しであったり、なにをどのように補強しているかの苦労がわかる多数のアーム類の存在、現代F1とはまったくちがうコクピット回りなどなど。見どころ満載なキットでした。

【完成!ロータスタイプ78】
これぞタミヤのビッグスケール!全長381mm、全幅171mmの完成体は存在感がすごいです
黒いボディにピンストライプが映えます
リヤセクションがメカむき出しなのがあらためてすごいですね
リヤタイヤが太い!
リヤタイヤのホイールはとっても深いリムでその中にブレーキシステムはありません
サイドビューがかっこいいですね
フロントから見ると左右のサイドポンツーンとノーズ先端のラジエーターが見えます
フロントタイヤは左右に舵を切れます
巨大なウイングステーとエッチングパーツによる翼端版を持つリヤウイング
前側から流れてくる空気はコクピット前の返しでドライバーが乱流を浴びないようになっています

 せっかくのビッグスケールF1モデルです。自然光の下で撮影してみました!今回のアスファルトの路面とはスケール感合わないところもありますが、場所によってはいい写真になると思います。やっぱり自然光の中で撮るといい感じになりますね!

【自然光の中で本当のF1グランプリみたい!?】
カーナンバー5、マリオ・アンドレッティ
スタートへの緊張感が高まります
レーススタート!アンドレッティ選手懸命にトップを狙います!
ファイナルラップへ突入!
タイトコーナーを回り込む!
トップの車をとらえた!いけ、アンドレッティ!

「1/12 ロータス タイプ78 (エッチングパーツ付き)」に挑戦してみて

 前後編でお届けしてきた「1/12 ロータス タイプ78 (エッチングパーツ付き)」はいかがだったでしょうか。キットとしては接着するためのガイドやダボ穴などが少ないことと、細かなアーム類の接続方法の複雑なところなどもあり少々難易度高めな印象でした。組立説明書とパーツの状態を確認して何度も仮組して確かめる……というプラモデル組立の基礎を学べるところもありました。

 そして塗装とデカールも同様で組立順や工法を練って色を塗る瞬間、デカールを貼る瞬間、思わず息を止めてぐっと集中して組み上げていくのはこれぞプラモデル作りの醍醐味だと思います。今回組立、塗装、デカール等いろいろと失敗していますがとても充実したチャレンジとなったことと、今回得られたことを糧に次のプラモデルにチャレンジしていきたいと思います。

【歴史に名を刻んだロータスタイプ78】

 最後に、今回使用した塗料や工具をご紹介します。タミヤスプレーはTS-29セミグロスブラック、TS-14ブラック。TS-17アルミシルバー、TS-38ガンメタル。タミヤアクリルカラーがXF-17フラットアルミ、X-5グリーン、X-7レッド、XF-56メタリックグレイ、X-26クリヤーレッド。タミヤペイントマーカーがX-11クロームシルバー以上となります。工具はニッパーとエッチングバサミ・エッチングやすり、接着剤はタミヤセメントと流し込みタイプ。セメダインのハイグレード模型用を試用しました。

【今回使用した塗料】