レビュー
タミヤ「1/12 ロータス タイプ78 (エッチングパーツ付き)」レビュー【前編】
F1初の本格的なウイングカーをビッグスケールとエッチングパーツで堪能する!
2023年4月1日 00:00
- 【1/12 ロータス タイプ78 (エッチングパーツ付き)】
- 開発・発売元:タミヤ
- 4月1日発売
- 価格:14,080円
- ジャンル:プラモデル
- サイズ:全長381mm、全幅171mm、全高76mm
今回レビューするのはタミヤから再びリリースされることになった「1/12 ビッグスケールシリーズ No.37 ロータス タイプ78 (エッチングパーツ付き)」です。タミヤは実車がデビューした1977年に最新マシンを再現したプラモデルを発売。その後2008年にエッチングパーツ付きでリニューアルしました。今回発売されたキットは2008年以降、約15年ぶりに再登場することになったモデルです。型番も(ITEM 12037)で変更はありませんがメタルインレットや布製シートベルトが付属しています。
F1初の本格的なウイングカーとして誕生した「ロータスタイプ78」はシャープなウェッジシェイプ(くさび形)のボディを採用することでサイドポンツーン内部を航空機とは上下逆のウイング形状としました。それによって“グラウンドエフェクト”による強力なダウンフォースを発生。
タイヤの接地力を究極的に高めるという革新的なアイデアで圧倒的なコーナリングスピードを獲得。マリオ・アンドレッティとグンナー・ニルソンがドライブして、アンドレッティが3つのグランプリで勝利し、ニルソンも1勝。「ロータスタイプ78」は名門復活を強く印象づけました。
今回のキットはもともと2008年に発売されたものをいくつかの新しいマテリアルを追加して再登場となるものです。タミヤが持つ作りやすさをそのままに、1/12スケールという特大サイズ(全長381mm!)でロータスタイプ78を組み立てることができます。そのためボディはもとよりDFVエンジンも燃料パイプ、点火コードなども配線され、リアリティの高いエンジンを再現しています。
サスペンションも実車同様のラック&ピニオン方式を忠実に再現。スプリングによってサスペンション機構も楽しめます。F1初の本格的な前後のウイングの翼端板は77年と78年を選択できる金属製のエッチングパーツを採用、とてもシャープなフォルムを実現できます。
今回、発売前の製品版を提供いただきました。筆者にとってタミヤのビッグスケールF1は超久しぶり(1/12 マクラーレン・ホンダ MP4/6 初回生産分・約30年前)の挑戦となりそれぞれのマテリアルを組むのが楽しみでした。接着剤や塗装も久しぶりの感触でドキドキです。今回はこのボリュームたっぷりなキットを前・後編でレビューしていきます。前編となる本記事ではクルマを構成する各パーツを組み上げる工程をお届けいたします。
「1/12 ロータス タイプ78 (エッチングパーツ付き)」のキット内容をチェック!
それではキットの内容をざざっとチェックしていきましょう。ランナーはA~Pの13枚。エッチングパーツ、タイヤ一式、デカール2種、インレットマーク、シートベルト、説明図とビッグスケールを体現するボリューミーなキットになっています。
カウルはなるべく少ないパーツで組み上がるような配慮も見られます。ロータスタイプ78の後部は複雑なパーツ構成となっていますが、それも当時のF1の製造技術を感じられるのが楽しい部分となります。
組立開始。細かいパーツを組み上げ、ユニットを構築していく
今回は、まずは組立説明書を一通り読み込んで、先に組むべきパーツや同じ色で塗装できるパーツ群になるまで絞り込んでいき、組めるものを先に組むようにしました。ロータスタイプ78が1977年・1978年ごろのF1マシンということもあり、特に接続アーム類の「何に使うんだろう?」みたいなパーツが山ほどあるようにも感じます。
説明書を読み進めていくと組み立てやすさで定評のあるタミヤのカーモデルとはいえ1977年のキットでもあり、最新のキットと較べると接着用の穴やガイドも少ない印象です。だからこそ説明書をよく読み組立・塗装順を練りながら工法を探るというのも頭フル回転で楽しいものです。なお、ここに紹介するものは組立順を追うものではなく主な構成要素をまとめたものです。
F1マシンとはいえ、構造は4輪のクルマであることにはかわりありませんから構成する主な要素は「シャーシ」、「エンジン」、「トランスミッション」、「4本のタイヤ」、「外装(カウル)」となるでしょうか。F1マシンにドア類はありませんからその組み立てはありませんね。クルマを構成する要素の単位になるまで細かいパーツを組み上げていきます。
ロータスタイプ78のエンジンはフォード・コスワース製のV型8気筒のDFVエンジンと呼ばれるものです。“DFVエンジン”といえばF1で155勝を誇るすばらしい成績を残したエンジンです。V8であるためメンテナンス性にも優れ、低コストも実現していたためプライベートチームがグランプリに参戦しやすかったのも特徴です。
過去フェラーリ以外のコンストラクターがワークスエンジンを持つ必要がないと判断し、このDFVエンジンを使うようになったこともあるほど有名なエンジンです。“フォード”と名を聞けば“コスワース”や“DFV”の文字が頭に浮かぶ方も多いのではないでしょうか。2026年からレッドブルはフォードのPU(パワーユニット)でF1を戦うことになっています、
ロータスタイプ78は現在のF1のように空力を突き詰めたものではなく、本格的に採用され始めたころのF1マシンですから空力エレメントとしてのウイングはあまり構成要素は多くありません。そのため1パーツが大きいのが特徴です。前後ウイングの翼端板はエッチングパーツとなり、とてもシャープな仕上がりが期待できます。ただしプラスチックと金属ですのでプラスチック用の接着剤による接着はできませんから別途瞬間接着剤などが必要になります。
このビッグスケール・ロータスタイプ78は、ステアリングを回すとタイヤの方向を変えられたり、4輪のサスペンションは実際に伸縮機構を持っています。大スケールならではのギミックですね。ここではクルマを構成するバッテリーやラジエーターなどの補器類も組んでいきます。
こういった小さいものから自分で組んでいくことでそもそもの構造や存在する場所やその意味、設計・製造技術の時代背景さえも感じられるところがプラモデルを組むことの楽しさがあります!
前編はここまで!後編ではカウルの塗装と全体のアッセンブルを行います
さて、ここまでの組み立てはいかがだったでしょうか。1/12ビッグスケールは各部のディテールが細かくなるのと各パーツが大きいことで組みやすさも感じられました。小さいパーツを組み上げていくとクルマの各構成要素ができあがっていくのがプラモデルの楽しさであることを再確認することもできました。
ガンプラばかり作っていると接着剤もいらなかったりパーツ同士もかっちり固定されることが当たり前だったりしますが、接着前提のキットは一筋縄ではいかないことも多々ありました。特に固定するガイドがないパーツがいくつかあることで接着しても固定されずやり直しになることもありますね。そこはどうしたら手間なく組み上げられるかを考えるのもまた楽しいと感じました。
さて、後編では残った細かなパーツの処理を行いカウルの塗装と全体アッセンブリ、デカールの貼り付け作業となります。実車では線のデカールが特徴的ですが失敗せずに貼れるでしょうか。ビッグスケールだけに大判なデカールは取り扱いが難しいのでは?と想像しています。後編もぜひご覧ください。