レビュー

「1/35 レオパルト2A6戦車“ウクライナ軍”」レビュー

追加装甲やペリスコープ、長大な主砲とA6ならではのポイントが詰まった砲塔

 レオパルト2A6は強力な55口径120mm滑空砲、着脱可能なくさび形増加装甲、赤外線カメラを内蔵した車長用ペリスコープと、砲塔に特徴的な改修箇所が多い。プラモデルではこれらを組み立てて確認できるのが楽しい。

 こちらも大型の砲塔パーツに細かい部品を取り付けていく。最初は砲手が外側を見るための「ガンナーズサイト」。特に外部の情報が必要な車長はハッチの基部も視界が確保できるようにガラスをはめ込んだのぞき穴が設定されている。これらを透明なプラ板を切って接着していく。

【ガンナーズサイト】
ガンナーズサイトは熱源探知や、レーザーレンジファインダーなど様々なセンサーが組み込まれている
車長用ハッチは様々な角度ののぞき窓が設定されている

 次は主砲だ。レオパルト2A6の最大の特徴である55口径120mm滑空砲を組み立てていく。プラモデルではレオパルド2A5の部品も入っており、A5に搭載されていた44口径120mm滑腔砲とで砲身を較べることができる。改めてA6の砲身がどれだけ長いか実感できる。主砲は基部ににポリキャップを使うことで、角度を変えることが可能だ。砲身基部の装甲は可動式で、主砲の角度を変えてもスムーズに変化し基部を覆うようになっている。ちなみに44口径120mm滑腔砲は砲身と砲口パーツがあるので、接着前ならば砲身パーツをまるまる交換して組み立てることも可能だ。

 砲塔の各装備品を取り付けていく。注目は全部に取り付けられるくさび形の追加装甲だろう。プラモデルでは下半分は砲塔基部と一体化しているが、上部分は取り付ける設計となっている。内部は細かくモールドされているわけではないが、装甲内部の構造も想像できるデザインとなっている。

【砲身の取り付け】
キットにはA5に搭載されていた44口径120mm滑腔砲の砲身パーツも。並べることで55口径120mm滑空砲の砲身の長さを実感できる
砲身基部を砲塔に取り付ける
砲身は角度を変えられる。くさび形追加装甲の下部分は、砲塔パーツと一体化している
四角いカメラのような装置が車長用ペリスコープ
砲塔前面とその左右に追加装甲が取り付けられている

 砲塔上部には特徴的なパノラマペリスコープを取り付ける。基部にポリキャップが使われており、スムーズな回転が可能だ。他にもガンナーズサイトの装甲板の取り付けなどレオパルト2A6のディテールが確認できるのが楽しい。

 砲塔周辺の小さい部品を取り付けていく。砲塔後部のバスケットはアミ部品をフレームパーツに取り付ける。アミを組立説明書のガイドに合わせて付けるのだが、細かい上に接着がうまくいかずに苦戦した。ここは瞬間接着剤を使うのが良いようだ。慣れていないためアミが接着剤でベタベタになってしまった。

 また、スモークディスチャージャーも部品が細かく取り付けるのが大変だった。細かい部品はなくさないようにするために注意が必要だ。ローダーズハッチと車長用のハッチを取り付けることで、レオパルト2A6の基本的な組み立ては完了だ。

【装備品の取り付け】
アミ部品を説明書に従って切り取っていく
フレームに貼り付ける。瞬間接着剤を使うのが良いようだ。慣れないためガビガビになってしまった
煙幕弾を車体周囲に発射するスモークディスチャージャー
砲塔後部にバケットを取り付ける

 最後はフィギュアを取り付ける。ハッチを閉じた場合は必要ないのだが、今回は車長と装填手フィギュアのどちらも載せてみた。ハッチを開けて顔を出している、行軍中の雰囲気だ。戦闘時には2人は車内に入りハッチを閉じる。フィギュアが顔を出していることで、戦闘前の風景を描写したプラモデルとなった。

 そして本キットならではのウクライナ仕様のデカールだ。敵味方識別用の白い十字マークを、前面と側面、砲塔に貼った。指示は内がウクライナ国旗のマークを側面に貼ってみた。迷彩はされていないが、スミ入れのみの無塗装でも戦車の特徴がわかるしっかりした造型が感じられる姿となった。

【フィギュアとデカール】
左が車長、右が装填手のフィギュア。ゴーグルはクリアパーツ
フィギュアを配置、デカールを貼り付けて完成だ。今回はデカールを柔らかくしてつきやすくするマークフィットも使用してみた。これにて完成だ

レオパルト2A6とはどんな戦車か? 作ることでわかる“模型”の楽しさ

 完成した「1/35 レオパルト2A6戦車“ウクライナ軍”」を様々な角度から眺めてみよう。現実のレオパルト2A6は、全長10.97m、全幅3.74m、全高3.00m。大きな戦車のその迫力を実感できるプラモデルである。

 スミ入れによりサイドスカートの継ぎ目や増加装甲を留めているリベットなどディテールがくっきりと浮き上がり、戦車の存在感がしっかり感じられる。装備品やライトなど実在する兵器として説得力のあるパーツがきちんと再現されているのは、架空のメカモデルにはない魅力だ。

【様々な角度から撮影】
【ギミックとディテール】
スミ入れでのディテールが楽しい
砲塔前面の追加装甲を留めるリベット表現
砲塔、砲身を動かす
砲塔を動かすと隠れていたディテールが確認できる
砲塔上面
手軽に組み立てられ、レオパルト2A6の魅力をたっぷり味わえる

 「1/35 レオパルト2A6戦車“ウクライナ軍”」の魅力はやはり組立の楽しさにあると思う。本物の戦車、世界最強とも言われるレオパルト2A6はどのような機能を持ち、それがドンアカタチで表現されているのか。戦車として求められる機能を実現するため、設計者はどのように答えを出したのか? プラモデルを作ることで一段深く知ることができる。

 組み立てやすさ、無塗装でもかっこよさが感じられる造型の精密さはやはりとても楽しい。作例などを見ると難しそうで尻込みする気持ちも生まれてくるが、作ってみると手軽に組み立てられる。初心者でもしっかり組み立てられるパーツ造型、クリアパーツやポリキャップなど様々なマテリアルを活かした組立そのものが楽しい仕掛けなど、タミヤのプラモデルの面白さを実感できる商品である。ぜひ多くの人に手に取って欲しい。

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