レビュー

京商エッグ「R/C ザ・タイヤ!」レビュー

タイヤだけのRCカー!? その走る風景と独特の操作感が楽しい

【R/C ザ・タイヤ!】

発売元:京商エッグ

発売日:4月30日

価格:3,828円

サイズ:全長120mm、幅120mm

重量:232.5g

電源:単三乾電池(本体3本、コントローラー2本)

走行時間:約40分

 京商エッグの「R/C ザ・タイヤ!」は、“タイヤを自由に操れる”というユニークなトイラジコンだ。本来タイヤは手で押したり、エンジンが動かすシャフトに接続されることで回転をするが、「R/C ザ・タイヤ!」は手を触れなくても回転し、コントローラーで自由自在に操れるのだ。

 操作方法は通常のRCカーとは違いちょっと特殊だが、コツを掴むと右旋回、左旋回、さらにスピンターンまで決められる。タイヤだけが動き回るというそのコンセプトが面白い商品だが、操作する楽しさも魅力だ。商品のポイントを紹介していきたい。

【【京商エッグ】R/C ザ・タイヤ】

爆音を上げて斜め移動! 独特の走行感覚が楽しい、しっかり遊べるトイラジコン

 「R/C ザ・タイヤ!」の走行の秘密は、タイヤが内部と外側で分かれており、内部のモーターで外側のタイヤ部分だけを動かすことで前進・後退すること。そしてタイヤは左右で分かれているため、左右片側だけ動かすことで旋回することができるのだ。

【走行の秘密】
「R/C ザ・タイヤ!」は、タイヤそのままのデザイン。このタイヤが自由自在に駆け回るのだ
タイヤは左右に分かれており、別々に動くことで左右旋回を可能にする

 コントローラーの左右のレバーを両方前に倒すと前進、後ろに引くと後退。左右どちらかを前に倒すとそれぞれの方向に曲がる。この操作感は、筆者が子供時代に流行した有線式の戦車のラジコンの操作に似ているが、左右の曲がり方は異なる。

 戦車のラジコンは片側だけのキャタピラを動かす方式で曲がる。左に曲がりたければ右のキャタピラを動かすことで左旋回していた。一方、「R/C ザ・タイヤ!」の場合、右のレバーを倒すと左半分が回転し右に旋回する。右旋回したいときは右のレバーを倒せばOKで、より直感的に操作できるようになっている。

 そして左右のレバーを逆方向、例えば右を前に、左を後ろに倒せば高速スピンだ。左右のレバーを使ってタイヤを動かす操作そのものが面白い。早速操作する動画を見てもらおう。タイヤが単体で自由自在に動き回り高速スピンする姿はとても面白い。本商品は屋内を前提としており、外で走らせるとタイヤに傷がつく場合があるが、今回はより広い場所として駐車スペースで遊んでみた。

【右に左に、スピンターン! タイヤを自由自在に操作可能、「R/C ザ・タイヤ!」】

 「R/C ザ・タイヤ!」のディテールに迫っていこう。本体のスイッチはホイール部分にある。一方、コントローラーはレバーを入れたときだけ通電する仕組みなので、電源スイッチは存在しない。

 「R/C ザ・タイヤ!」を走行させるためには本体に3本、コントローラーに2本の単3電池が必要となる。本体に電池を入れるためにはホイール中央のネジを外すことで外装を取り外し、内部ユニットの電池蓋を外す必要がある。内部のユニットがむき出しになった感じはこのユニークなRCカーの秘密が明らかになったようで、メカニカルな雰囲気が楽しい。

【スイッチ】
ディスクローター部分にスイッチがある
【内部構造】
ホイール中央のネジを外すことで内部ユニットを取り出せる
内部ユニットの電池蓋を外すことで電池を交換できる

 コントローラーはゲームパッドのようなデザイン。レバーを倒したときだけ通電する仕組みだ。デジタル式なので回転の強弱はできない。スピードは速くないのでRC初心者でも気軽にチャレンジでき、独特の操作感を学びながら走行が楽しめるだろう。

【コントローラ】
ゲームパッドタイプのコントローラー。レバーを倒したときのみ通電する設計

 「R/C ザ・タイヤ!」は操作が独特だ。特に左右に曲がる場合は、右か左のレバーをニュートラルにすることで曲がる。左をニュートラルにし右を押し込めば右に曲がり、逆ならば左に曲がる。最初はこの独特の操作性を体得できず、曲げようとして逆にしてしまうことも多かった。

 このちょっと癖のある操作性をあえて遊びの中心としてみることにした。ミニ三角コーンを置いて、2つのコーンの間を8の時で回るようにしたのだ。RCカーの練習としてポピュラーな練習方法だ。……これがまあうまくいかない。しかしそのうまくいかないことが面白い。電池を交換しながら2時間以上も練習してしまった。

カラーコーンを置いて、8の字を描くように操作する。RCカーの練習の基本だ

 結果、何とか三角コーンの間を回ることができるようになった。「R/C ザ・タイヤ!」は片側のタイヤだけを回して曲がるので、回転半径の制御が難しい。ハンドルを切る角度で曲がるアナログ式ではないため、ちょっと角度を変えたら両方のタイヤを回して加速して調整する必要がある。

【京商エッグ「R/C ザ・タイヤ!」で8の字練習をしてみる】

 正直、「R/C ザ・タイヤ!」は操縦の正確性を楽しむタイプのRCカーではない。思った半径で回転させるのが難しいし、路面の状態でグリップ力が大きく変わっり、その場で回転してしまうなど、意図しない挙動になってしまう。しかし、逆にこのランダム性がゲーム性を生む。失敗も楽しみつつ操縦をしてみるのが面白いと感じた。うまくいくと達成感が大きい。練習を繰り返すと直感的に操作もできるようになり、軌道修正などもできる。

 この8の字の練習は、RCの特性を覚えるとても良い練習方法だというのも確認できた。RCカーの操縦特性を体感したり、トリムなどの調整にも使える。もうちょっと本格的なアナログ式のRCカーが欲しくなった。RCカーのポテンシャルを実感できる練習方だと感じた。

 今回はもう1つ、もっと地上に近いアングルで「R/C ザ・タイヤ!」の挙動を撮影してみようと思い、ミニ三脚で撮影してみた。この時に偶然スロー撮影になってしまった。映像を見直すとスピンでのタイヤの動きや挙動が面白い。タイヤが単体で転がるというアイディアが面白い「R/C ザ・タイヤ!」ではあるが、工夫次第で遊びの幅が拡げられると感じた。フィギュアを前にして迫り来るタイヤを複数のカメラでスローで撮る、なんて言うのも良いかもしれない。

ミニ三脚で、カメラをできるだけ地面に近づけて撮影した
【スロー映像で見る京商エッグ「R/C ザ・タイヤ!」ならではのタイヤの動き】

 「R/C ザ・タイヤ!」はそのアイディアが面白いRCカーだ。本格的で正確な操作性や、オフロードでガンガン遊ぶ、といった商品ではないが、家の中でも気軽に遊べ、ちょっと広い空間があればさらに楽しい。友人や子供にコントローラーを貸してわいわい楽しむのにも向いているだろう。

 RCカーはやはり操作するとその通りに動くという原初的な面白さがある。「R/C ザ・タイヤ!」はRCカーが持つ根本的な楽しさを実感させてくれる商品である。このRCカーでどんな遊びができるか? 色々なアイディアが生まれてくる商品である。

「R/C ザ・タイヤ!」は走る姿そのものに驚きと面白さがある