レビュー

「1/24 バック・トゥ・ザ・フューチャー PartⅠ タイムマシン」レビュー

タイムサーキット、次元転移装置も再現、組み立てることで蘇る映画の興奮

【1/24 バック・トゥ・ザ・フューチャー PartⅠ タイムマシン】

開発・発売元:アオシマ

発売日:5月2日

価格:6,600円

全長:約184mm

 アオシマのプラモデル「1/24 バック・トゥ・ザ・フューチャー PartⅠ タイムマシン」が発売された。本作は1985年の映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』に登場するタイムマシンをモチーフとしている。

 本商品はアオシマの注目商品として、2023年の静岡ホビーショーで大きく発表され、さらに劇中同様、実車「デロリアンDMC-12」を改造したレプリカも展示された。「バック・トゥ・ザ・フューチャー」のタイムマシンは人気の高いモチーフであり様々な立体物が出ている。アオシマは30年前にプラモデルを発売していたが、今回、完全新規設計であらたな立体化が行なわれた。

【バック・トゥ・ザ・フューチャーの「デロリアン」が静岡ホビーショー会場に出現!】

 「1/24 バック・トゥ・ザ・フューチャー PartⅠ タイムマシン(以下、1/24 タイムマシン)」は作ってみると改めてタイムマシンの凝ったデザイン、考えられた各機構をしっかり楽しむことができる。より深くタイムマシンを知ることが出来るプラモデルである。

 今回はさらに金属のエッチングパーツを使った「1/24 バック・トゥ・ザ・フューチャー タイムマシン専用ディテールアップパーツ」も使用し、未塗装素組みで組み立ててみた。商品のレビューをしていこう。

映画の人気を大きく後押しした「カッコイイタイムマシン」

 まずプラモデルの前に、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』に登場するタイムマシンを紹介したい。タイムマシンを開発したのはドクことエメット・ブラウン博士。彼が作ったタイムマシンはスポーツカーのデロリアン・DMC-12を改造したもので、次元転移装置(フラックス・キャパシター)を搭載、原子炉によって生み出される膨大なエネルギーを使うことで、タイムサーキットに指定した時間へのタイムトラベルを可能とする。

 主人公・マーティーは友人であるドクのタイムマシンの実験に立ち会う。実験に成功したドクをマーティーは祝うが、その直後原子炉に使ったプルトニウムを取り返しに来たテロリストに襲撃を受けてしまう。マーティーはタイムマシンに乗ってアクセルを踏み込み、セットされたドクが次元転移装置の基礎を思いついた日、1955年11月5日にタイムトラベルしてしまう。

【バック・トゥ・ザ・フューチャー】
映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー」は現在でも語り継がれる名作映画だ

 1955年に来たマーティーはドクに助けを求める。しかしプルトニウムは入手できない。おまけにトラブルからマーティーは自分の母親と出会い、両親の出会いの瞬間を邪魔する形になってしまう。これによりタイムパラドックスが生じ、自分の存在が消えてしまうかもしれない事態に。マーティーは未来へ帰るため、両親の仲を取り持つため、奮闘することとなる……。

 『バック・トゥ・ザ・フューチャー』は世界的大ヒットとなり、その後続編も作られ3部作となった。映画と共に、タイムマシンもその後に強い影響を与えた。映画の人気の1つに間違いなく「タイムマシンがカッコイイ」というものがあるだろう。タイムマシンは様々な商品が販売されている。

【パッケージ】
「1/24 タイムマシン」は映画のポスターデザインが使われている

 ベースとなるデロリアンDMC-12は、デロリアン・モーター・カンパニーが製造したスポーツカーだが、映画放映時には会社は倒産、車も生産終了していたが、映画をきっかけに人気を集め、市場で高値で取引されるようになり、2007年には再生産が決定した。実車を映画のタイムマシンのレプリカに改造した熱心なファンもいて、日本にも数台が存在、ホビーショーで展示されたのもその1台だ。

メカがびっしりの後部や次元転移装置など組み上げることで映画の世界に近づく!

 いよいよプラモデルを作っていこう。「1/24 タイムマシン」は19のランナーとタイヤパーツ、デカールで構成されている。パーツは、ボディの灰色、ケーブルや原子炉などに使用する黒、クリアパーツといった色分けが成されている。塗装を前提とした商品だが、精密なパーツ表現で組み立てるだけでもイメージに近い色分けとなる。

【ランナー】
黒、灰色、クリアパーツなどパーツは成型色で色分けされている。デカールと組み合わせると無塗装でも劇中に近いイメージで組み上げられるが、ボディとドアをメタリックに塗装すれば劇中イメージにさらに近づけられるだろう

 今回はさらに別売のディテールアップパーツを使用している。一部のパーツを金属パーツに交換して使用する。金属の輝きは独特の質感をもたらし、プラモデルにアクセントを加えてくれる。プラモデル用の接着剤ではくっつかないため、取り付けには瞬間接着剤を使用する。

【ディテールアップパーツ】
エッチングパーツと、金属パーツで金属ならではの質感をプラスできる

 最初の組立は、車体底面と足回りだ。足回りはシンプルだがきちんとダンパーも再現されている。また、今回はディテールを浮き立たせるために、ウォッシングによるスミ入れを行っている。灰色の部品には黒のスミ入れ、黒い部品にはグレーのスミ入れを行った。

車体裏側、グレーのスミ入れで、ディテールを浮き立たせる
ダンパーやブレーキディスクも再現した前輪
後輪部分
車体に組み付けていく
タイヤはトレッドパターンも再現されている

 車体下部の次は車内だ。タイムトラベルを決める数字が並んだ「タイムサーキット」、タイムトラベルに必要な時速141㎞を出すスピードメーター、謎めいた機械などタイムマシンの内部は外見に負けない重要ポイントだが、本商品ではデカールでメーターなどを再現している。

 様々なパーツを配置し、デカールを貼ると映画でおなじみのタイムマシンのコクピットができあがっていく。クリアパーツで囲まれたY字型のレバーや、助手席の電圧計など、色々なガジェットが楽しい。

ダッシュボード。運転席側(左)だけでなく助手席にも様々なメーターがある。すべてデカールだ
数字が並ぶタイムサーキットなど、映画でおなじみの車内が組み上がっていく

 次はタイムマシンとしての最大の注目ポイントである、車体後部の機械である。原子炉からのエネルギーを各機械に提供しているのがきちんと"視覚"で確認できるのが楽しい。まず原子炉を中心に15の外縁パーツを取り付けて、そこからパイプやコードを細かく取り付けていく。ここでディテールアップパーツも使用していく。

 円筒状の金属パーツの上に、細かい金属パネルを取り付けていく。ディテールアップパーツを台紙から切り外す場合、今回はデカール用のハサミを使用した。切り離すときにパーツをなくさないように気をつけた。また金属パーツはプラモデルよりもくっつきにくい。ゼリー状の瞬間接着剤を使用したので塗布するのは楽だったが、パーツが固着するのに少し時間がかかった。

 特にこの車体後部は本商品のクライマックスといえる部分だ。円筒、ボックス、細長い丸い物体、謎の機械をベースに取り付けていく。それらがコードで繋がれていく様も楽しい。パーツは細かく組立にはピンセットも必要な部分があるが、ぎっしりと密度の濃いメカを組み上げていくのは面白い。

タイムトラベルを実現させるエネルギーを供給する原子炉
ディテールアップパーツで円柱などを取り付けていく
細かい装置やコードなどを配置、みっしりとした密度感が魅力だ

 この原子炉に直結しているのが車内の後部にある次元転移装置である。映画内でも細かく毒が説明しているが、Y字型のこの回路に強力なエネルギーを発生させることでタイムマシンは時間を越えるのだ。プラモデルでもY字のパーツがクリアパーツのパネル越しに確認できる。ほかにも色々な形の装置をパネルに組み付け、原子炉のある車体後部パーツと接続させることで、車体後部パーツは完成となる。

映画内でもしっかり紹介されるY字型の次元転移装置
車内後部パーツと接続。原子炉からエネルギーを受けているのが組み立てることで確認できる

 次ページでは車体を組み上げ、完成させていこう。