レビュー
「USB給電式霧発生モジュール」レビュー
超音波で水を水蒸気の霧に変えて発生させる、お手軽なモジュール機器が発売
2024年9月20日 00:00
- 【USB給電式霧発生モジュール】
- 開発・発売元:ビット・トレード・ワン
- 9月20日発売
- 価格:オープン(想定売価:1,980円前後)
ビット・トレード・ワンは模型やフィギュアの撮影時にスモークフォグを発生させる「USB給電式霧発生モジュール」を9月20日に発売する。
超音波で水を振動させ、ミクロの霧状にして噴き出す装置で、フィギュアや模型の情景撮影などでの使用を目的に開発されたものだ。霧の発生に熱源を使用しないため、小型で安全性が高く、なおかつ安価な製品となっている。
霧や煙がが立ちこめる雰囲気のある写真を気軽に撮れるこの機器を発売前に触ることができたので、レビューを本稿にてお届けしていく。
水とUSB電源があれば、手軽にスモークフォグを発生させられる
この商品を開発し、発売するビット・トレード・ワンは、電子工作キットや組み込み工作用の電子モジュールなどを発売しているメーカーだ。模型やフィギュア関連のアイテムとしては電飾の光を拡散して広範囲を光らせる「光拡散ディフューザー・フィルム」や、磁石を近づけることでスイッチを入れられる「磁気スイッチ付LEDマイクロモジュール」などを発売している。
今回発売するこの「USB給電式霧発生モジュール」は、その名の通りモバイルバッテリーなどからUSBで電源を供給して、付属の給水芯に含んだ水を超音波で振動させて霧状に吹き出す機器である。
一般的に販売されているスモークマシンは、質のいい霧を安定して発生させることができるぶん、熱を使用するものが多く機器が大型で、霧を噴射するための消耗品として専用のリキッドを使用するためコストがかかるという大きなデメリットがあり、一般人が導入するにはハードルが高い。本製品は小型軽量で、霧を発生させるための消耗品は水道水でOKという手軽さを売りとしている。
セットには霧を発生させる「超音波トランスデューサ」と制御用の「モジュール基板」、水を含ませる「給水芯」、トランスデューサと給水芯を組み込む「給水芯カバー」、電源供給用の「USBケーブルA-C」が入っている。ユーザーが用意するのは水とUSB電源だけでいい。ちなみに超音波トランスデューサと給水芯は消耗品で、同社から別途パーツとして発売される。
トランスデューサはカバーに入れなくても霧を発生させることが可能で、裏の給水面を水で湿らせた布やスポンジなどに接触させることでも使用できる。ただしこの場合はトランスデューサの給水面を密着させなくてはならず、使用できる環境は限られそうだ。
組み立ては簡単で、カバーにトランスデューサを組み込んで、ケーブルと基板を接続するだけ。USBは一般的な5Vの充電機器やモバイルバッテリーが使用できる。使うときは必ず給水芯に水を含ませてから給電すること。水を接触させずに空焚き状態にするとトランスデューサ破損の原因となるため厳禁とのことだ。
本体に電源スイッチはないので、USBを電源に接続するとすぐさま先端から水蒸気の霧が吹き出す。結構な勢いで吹き出すので、ちょっと驚くかもしれない。
霧やスモークで演出する写真を撮るためには、ちょっとした工夫が必要
モジュールの準備は簡単だが、霧を効果的に見せる撮影をするためにはちょっとした環境作りが必要だ。メーカーがワンポイントテクニックとして挙げている内容は以下の通り。
・風のないところで撮影する:霧が均一に広がりやすくなる
・背景を暗めに:背景とのコントラストで霧の存在感が増す
・ライティングを意識する:下、側面、逆側などから光を当てて霧を目立たせる
そのほか、公式サイトでは写真家の倉元一浩氏監修の本製品を使ったスモーク撮影のテクニックが掲載されているので、そちらも参考にさせていただいた。
筆者の場合は、普段撮影に使っている50cm角の撮影ボックスに霧を滞留させるための仕切りをダイソーで売っていた「カラーボード」で簡易的に作っている。また樹脂製の背景が光を乱反射して見栄えがよくなかったので、Amazonで購入した黒の背景布を背景に使用している。ライトはこれもダイソーで購入した「センサーライト バータイプ」と手持ちのアウトドア用高輝度LEDライトを使っている。
霧を効果的に見せるためには、公式サイトで倉元氏が述べているようにライティングが重要で、筆者の場合は手前にライトを置いて霧に光が当たるようにしている。またフィギュアによってはライトを向こう側に置いて逆光による効果も出してみた。
この霧発生モジュールと、ちょっとした環境を作るだけで上のような写真が撮れるのは結構感動する。霧は水蒸気なのでドライアイスの煙のように下に滞留しないので、撮影ボックスを使うと箱の中全体に広がってしまうので、モジュールを止めるか息を吹きかけるなどして霧の状態を変化させて好みの量を調整するといい。
吹き出すのが水蒸気で元が水なので、長時間の使用時はボックス内に若干の湿気が溜まる。布の背景を使っていると表面がしっとりしてくるのがわかるぐらいだ。あまり撮影の機会はないかもしれないが、当然ながら紙製のペーパークラフトなどとは相性が悪いと思う。
モジュールから出ているケーブルがあまりにも細く、扱いに気を配る必要があるのが気になった点で、もう少し堅牢なケーブルにアップデートされることを期待したい。また基板などに電源スイッチがあればさらに使いやすくなりそうだ。
この手軽さで霧やスモークで演出した写真を撮れるのは画期的で、ドライアイスやタバコなど、安全面が気になるものを使わなくていいのもポイントだ。想定価格が2,000円を切る買いやすさも魅力で、何か目的のものを撮るのではなく、買ってから撮るモノを考えるのもいいと思った。
使い勝手がわかるとかなり面白い機器なので、この機会にぜひ導入してSNSなどで撮った写真を共有していただきたいものだ。