レビュー

「VSMS 1/100 ゲートシオンマーク3 リッタージェット・破烈の人形(ホークヘッド)」レビュー

ツインスイングに優美な曲線を描くすね、独特の世界観に浸れる脚部

 脚部はフレームに装甲を取り付け組み立てていく。脚部では大きな注目ポイントである「ツインスイング関節」を組み立てる。ツインスイング関節は半円の部品を組み合わせた独特の関節構造で、これがスライドすることで膝関節の曲げ、ひねりを可能にしている。

【脚部の組み立て】
足の付け根と、すね部分を組み立てる。ABSのフレームパーツの成形色は塗装しなくても金属のような質感がある
ツインスイング機構。半月型のパーツがスライドし膝を曲げることができる
ツインスイングはひねることも可能。人体の関節とは大きく異なったデザインだ

 この独特の関節デザインは音速を超えての可動を可能にするだけでなく、巨大な手足の動き望んだ位置で止めることができる、「音速を超える速度で人間のような動きができる巨大人型兵器」を永野護氏が考えた上で設計されたデザインだ。

 巨大な人型兵器が人間のように手を動かすと指の先は音速を超えるスピードになる。そうやって動かすことが可能だとしても、肘などの関節には加速と腕の重さでの負荷はものすごいものとなり、手自体の重さによる慣性もすさまじい。

 GTMは操縦者である騎士の動きを全高25mを超える巨体で再現する兵器だ。しかもこの世界の騎士は音速を超えた動きができる超人である。その動きを再現するロボットはどういう関節を持つだろうか? 「VSMS」は永野護氏のアイディアを、デザインとしてだけでなく、動かしてその構造を見ることができる。膝を曲げるときパーツがどのように動くのか、さらにひねることで足がどのような形になるのか、他のロボットの立体物とは大きく異なる、「GTMならではの動き」を考察することもできるのである。

太ももを装甲で覆う。白いパーツでしっかり色分けがされる
非常に長いすねを覆う、曲線を描く装甲板。GTMの世界観が凝縮されたようなデザインだ
ハイヒール型の足もGTMの特徴的なパーツだ

 破烈の人形の場合、特に足に永野氏ならではの世界観が強く感じられた。地上での歩行を高速で行うため接地面を最小限にしたハイヒールの足、優美な曲線を描くすね装甲のライン、人間とは大きく異なるシルエットとなる膝のツインスイング……。足には特にGTMならではの要素が詰まっていると感じた。

 ファンタジー風でもあり、メカニックな描写も面白い。「F.S.S.の騎体を組み立てているなあ」と足のパーツを持って感慨にふけってしまった。パーツ単位でも世界観を感じられるのは、本商品の大きな魅力だろう。

金属感が強調された腕、背部の巨大な翼、ガットブロウの組み立て

 次は腕の組み立てだ。こちらも肘から先部分が大きく、肘のツインスイングが目立つ独特のシルエットだ。特に肘関節はパーツが重なる複雑な形状をしている。パーツを挟み込むことでツインスイングで肘を曲げたときどのような形になるかの演出を可能としており、「VSMS 1/100 ダッカス」からの進化が感じられた。

 前腕が大きく、指が鋭角にとがった大きな手を持つ破烈の人形の腕はさらに大きなフライヤーと呼ばれる装甲板をつけることでさらにシルエットが特徴的になる。足以上にフレームが強調されたデザインは、青い装甲板が部分的にフレームを覆うことで一層むき出しのフレームの金属感を強調しているように感じた。

【腕部の組み立て】
鋭角的な装甲を持つ上腕部分
肘のツインスイング機構
前腕部のフレーム
パーツを組み合わせ、前腕に装甲をつける。盾としても機能するフライヤーはかなり大型だ

 背部の逆V字型の背面輻射フライヤーも、破烈の人形のシルエットの大きな特徴である。すべてのGTMは空も飛ぶことができ、宇宙でも活動できる万能兵器なのだが、破烈の人形の背部フライヤーは翼のようなシルエットでいかにも空を飛びそうな形をしている。

【背面輻射フライヤー】
逆V字型の大型パーツ、背面輻射フライヤー

 最後は本騎の武器「D.B.B.」だ。通常のGTMが使用するガット・ブロウは電磁プラズマで敵を切断する剣としてだけでなく、電磁プラズマを発射する銃としても使える。破烈の人形のD.B.B.は、あり余る本体のエネルギーを刀身に上乗せすることでエネルギーをチャージし、強力なプラズマを発生させ、装甲を電磁崩壊させることができる。オレンジ色の刀身が特徴的なので、こちらは刃の部分と、柄部分の金色部分を塗装した。これらのパーツを組み上げることで完成となる。

【D.B.B.】
破烈の人形のD.B.B.は刀身部分がオレンジ色なのが特徴。金色部分も塗装した