特別企画

お母さんも変身したい! 家族を繋ぐ「デンオウベルト」

家族みんなで好きなライダーを語り、変身する楽しさをご紹介

【仮面ライダー電王 変身ベルト DXデンオウベルト】

2007年7月発売

価格:4,725円

 私は小学校低学年の息子2人と離乳食を始めたばかりの赤ちゃんの母として、子供たちに振り回されている毎日を送っている。そんななかでも唯一息子たちと共有して楽しめる時間がある。それが、息子2人だけでなく、親である私や夫もハマっている「仮面ライダー」だ。

 だからこそ私たち家族にとって「仮面ライダーのベルト」は特別な存在だ。きっかけは2016年に放送を開始した「仮面ライダーエグゼイド」、当時、最新ライダーのベルトを子どものために買ったのだが、そのギミックや面白さに私自身がすっかりハマってしまった。そこから新しいものを追うだけでなく、過去のシリーズも全て家族で視聴しベルトも集めている。

 どこが楽しいのか、どんな“夢”が詰まっているか? それを語り出したらキリがないが、やはり一番は「仮面ライダー」というドラマそのものが面白いのだ。そしてベルトはそれを表現するアイテムとして“最高”なのだ。

 主人公がいろいろな葛藤を抱えながら、それでも敵に立ち向かい、ライダーとしての自らの運命を受け入れて成長していく。ライダーシリーズは、1人の「青年」が「男性」になる物語だと思う。そして、30年以上生きてきていろいろな経験をしてきた今の自分は、過去の自分と重ね合わせて心がゆすぶられる。さらに「親」という立場になった今、彼らの成長を親のように喜ぶこともできる。

【家族のベルトコレクション】
私達家族のベルトコレクション。子供達だけでなく家族皆でお気に入りだ

 そんな彼らの成長を最も間近で見ていて、そして成長させる役割を果たしているのが、まさにライダーベルトなのだ。

 そしてやはりベルトが「特別な存在」なのは、私だけでなく、家族で共有して楽しいからなのだ。仮面ライダーのベルトは1年おきに新製品が出て、シーズンを逃すと再販されない。過去のライダーに魅力を感じた時は、中古のベルトを探すしかない。過去のライダーのベルトを手に入れるためブックオフをハシゴしたり、家族全員でオークションサイトなどをパソコン画面でのぞいたりそれもまた1つの大冒険だ。

 そして幸運にも手元に届いたライダーベルトの包装を開けて、家族で感嘆の声を上げる。子供がヒーローになりきってポーズを取る。豪華なギミックが子供だけでなく、私も仮面ライダーの世界に導いてくれる。家族全員がライダー世界の住人になれる。

 今回は私の中での特別な宝物として、「仮面ライダー電王」の「仮面ライダー電王 変身ベルト DXデンオウベルト(以下、デンオウベルト)」を紹介したい。私にとって「仮面ライダー電王」は特別なドラマで、そのベルトのギミックは作品世界に私を一体化させてくれる。変身ギミックの“お得感”や子供の思い入れなども併せて、私がいかに「デンオウベルト」が好きか、このベルトのギミック、そして「仮面ライダー」のベルト文化がいかに素晴らしいかを語っていこう。

【宝物のデンオウベルト】
その中でも特にお気に入りが「仮面ライダー電王 変身ベルト DXデンオウベルト」。2007年に発売された商品を中古で手に入れた。使い込んでいるため表面がはげているが、それだけ思い入れも強い
7月にリニューアル版の「変身ベルト ver.20th DXデンオウベルト」が発売された。こちらは販売中だ

放送10年後に出会った「仮面ライダー電王」に夢中に!

 「仮面ライダー」を知らない人にベルトの魅力を一瞬でわかってもらうのは難しい。ベルトはやはり「仮面ライダーを追体験するアイテム」なのだ。主人公が強大な悪に立ち向かう時、悲しい戦いに向かわねばならない時、皆の声を受けて、「変身」する。「仮面ライダー」のドラマにおいて変身はクライマックスである。ドラマでの様々な感情がない交ざった頂点に「変身」はある。

 ベルトはピカピカ光るし、様々なオプションパーツをつけたり、ギミックそのものはとても「オモチャ」らしい。「仮面ライダー」の面白いところは、そのオモチャそのもののギミックがきちんとドラマや、カッコイイ変身に繋がっているところ。外から見るとベルトをガチャガチャやってるだけかも知れないが、“変身”している本人の脳内では、カッコイイライダーに自分が変わっている。そのカッコイイシーンと仮面ライダーのドラマ、それらがベルトを通じて自分の中で融合するのが、たまらなく楽しい。

 例えばものすごくシリアスなドラマが展開する「仮面ライダーアマゾンズ」に登場する「アマゾンズドライバー」は、ベルトの取っ手をひねるという玩具っぽい動きが劇中でもきちんと行われているし、2人のベルトが共通と言うことで、ベルトで2人それぞれの変身アクションが再現できるギミックが入っている。

 「仮面ライダージオウ」でクライマックスにかけて登場する「オーマジオウドライバー」は、王様になりたいという主人公の気持ちが反映されたようなゴージャスなデザインと、レジェンドライダーの必殺技音声から主人公の劇中セリフまで豊富な音声が収録されている豪華さだ。

【パスをセタッチ!】
劇中のギミックそのまま。ボタンを押して付属のパスをセタッチ(セット・タッチ)すると変身だ

 ライダーベルトは玩具でありながら、劇中そのままのギミックや音声なので、使うことで大好きな登場人物になりきることができる。そこが「ライダーに変身したい」という子どもだけでなく、ドラマや登場人物にハマる私や夫のような大人までも魅了するのだ。

 だからこそ「デンオウベルト」のギミックや魅力を紹介するよりまず、ベルトが登場する番組である「仮面ライダー電王」を語りたい。「仮面ライダー電王」との出会いは強烈だった。

 本作の主人公・野上良太郎は気も弱ければ体も弱い。ケガをしたり事故に遭ったり、運も悪い。でも本人はそれほど気にしていなくて、なんならその日常に慣れさえ感じている。そんな主人公が現在や未来を変えようとする敵・イマジンに対し、“仮面ライダー電王”に変身して戦うのだ。

「そんなひ弱な良太郎に仮面ライダーが務まるのか?」とい私自身も思ったが、そんな心配は無用だった。なぜなら味方イマジンが憑依するからだ。モモタロスなどのイマジンが乗り移ることで、良太郎は全く別の人格になり、時には雄々しく、時にはクールに敵に立ち向かう。

「俺、参上!」なんて本来の良太郎なら絶対に言わないセリフなのに、ポージングまでして堂々と決めている。それは、良太郎を演じた佐藤健さんの演技力あってこそなのだが、その大胆な設定と魅力あふれるモモタロスに、一瞬で心を射抜かれた。

【変身!】
劇中の良太郎になりきって、変身!

 正直モモタロスを初めて見たときは悪役とも見間違うようなちょっと不気味な見た目にギョッとしたが、良太郎に憑依して変身するシーンを迎えると、数分前のそんな印象はかき消され「かっこいい!」の一言。

 そして、電王に魅了されたその瞬間にひときわ存在感を放っていたのがデンオウベルトだった。電王は平成仮面ライダーシリーズ8作目だが、それ以前の仮面ライダーベルトと比べるとシンプルだと感じたが、おもちゃとして発売したときに子どもでも扱いやすいように考えられたのではないかと思った。

 個人的にはメタリックを基調としたシンプルなデザインには洗練された印象を受けた。バックルにはパンタグラフを模しているといわれるマークが施され、ライダーパスをかざすと変身することができるという改札をICパスで通るときのようなアクションで変身するという「電車」に振り切った仕様も、本作のモチーフを大事にしている制作側の意向が反映されていると感じた。

 そして最も気になったのが、デンオウベルトについている4色のボタン。赤、青、黄色、紫のボタンがある。「ソードフォームのモモタロスは赤だから、あとの3色は一体……!?」と、その後のストーリー展開で他のフォームも登場することが予測でき、好奇心をかき立てられる仕掛けだ。

【フォームチェンジのボタン】
4つのボタンでそれぞれのフォームに変身

 私にとって「仮面ライダー」はベルトと一緒に見るものだ。だから「仮面ライダー電王」の第1話を見終わったら敢えて続きは見ずに、デンオウベルトを手に入れるため探した・その当時「電王」は10年以上前の番組で、中古屋で探すしかない。しかし、状態のいい中古品は高値。他のベルト以上に高いのだ。発売から10年以上経過していても、まだまだ電王人気が強いことを思い知った。

 しかしどうしても欲しかったため主人とお小遣いを出し合って手に入れたのが、いま私の手元にあるデンオウベルトだ。私の元に来るまで何人の手を渡ってきたかは分からないが、いまだにエフェクトの発光・発色もよく、サウンドも雑味がないクリアな音を維持している。次からは写真と共に私達家族の「デンオウベルト」の魅力を説明していきたい。

4つのフォームになりきれる「デンオウベルト」。家族皆でなりきって変身!

 デンオウベルトの最大の特徴が、4色のフォームチェンジボタンでの変身遊び。赤はモモタロスの「ソードフォーム」、青はウラタロスの「ロッドフォーム」、黄色はキンタロスの「アックスフォーム」、紫はリュウタロスの「ガンフォーム」に変身できる。

 デンオウベルトは効果音や変身メロディが多彩に搭載されていて、個人的に大好きな変身シーンを細かく再現することができるのは嬉しい。

【デンオウベルト、変身!】

 デンオウベルトは作中のようにライダーパスを素早くかざすだけでも反応するため、「色々な変身シーン」が再現できるのである。変身シーンはドラマの見せ場だ。感情が高ぶった変身もあれば、余り気分が盛り上がらず仕方なく変身するような場合もある。そういうドラマの変身シーンを思い出しながら、実際のアクションで再現するのだ。

 例えば、18話で拗ねたモモタロスが強引に呼び出されてやる気なく「おれ、さんじょ」と変身するシーンは、「そんな拗ねているのにセリフはちゃんと言うのね」というモモタロスのかわいさが垣間見えて、私の大好きなシーンの1つだ。

 変身アクションに夢中になるあまり、ライダーパスをセタッチ(ベルトに触れさせる)しすぎてベルトのバックル部分の塗装がはがれてきてしまうのは「デンオウベルトあるある」だろう。我が家のデンオウベルトも相当くたびれているが、私にとっては「電王が実在していたらこれとは比にならないくらい擦り切れているだろう」と妄想を膨らませて電王愛をかき立てられるポイントだ。

【歴戦のベルト】
私達のデンオウベルトは擦り切れている、まさに歴戦のベルトだ

 最初に本編での変身シーンを見たときに感じた「扱いやすさ」も、その通りだった。「分かりやすさ」や「扱いやすさ」は歴代のライダーベルトの中でもトップクラスなのではないだろうか。ボタンを押す→ライダーパスをセタッチする→変身というシンプルな流れで、小さな子どもでも問題なく変身動作ができる。

 おもちゃというカテゴリーではあるが、子どもから大人までが大好きな電王の世界に浸れるファンアイテムとして完成されていると感じた。電車をモチーフにしていることからも幅広い年代をターゲットとしていることが分かるが、ベルトの仕様もそのスタンスを崩すことなく反映している。

 また、1つのベルトと付属のパスを持っているだけで一通りの変身遊びができるため、親の視点ではお得感も評価したい。先述のゲーマドライバーを例に挙げると、ガシャットを集めることでさまざまな形態に変身することができる。逆説的にいうと新しいガシャットが発売されるたびに子どもたちに「あれもこれも」とねだられるため、懐事情としては正直痛手もある。

 ところがデンオウベルトは、クライマックスフォームに変身するための「ケータロス」も後に追加で発売されたが、基本の4フォームはベルトとライダーパスだけで完結できるためお得感があるだろう。実はここも気に入ってる。

【フォームチェンジの発光】
4つのフォームの発光はどれも美しく鮮やかだ

 女性としては発光の美しさも評価点。各フォームのカラーである4色に発光するが、どれも発色が良く、ベルト自体がシンプルな設計のため鮮やかな色味が引き立てられる。

 モモタロスの強さを表した赤、ウラタロスのクールさにぴったりの青、キンタロスの正直者で力持ちを彷彿とさせる黄色、リュウタロスの華やかさを表現した紫、どのカラーも他のカラーに負けないくらい鮮やかに発光することで本人たちの魅力をさらに引き出しているのだと感じる。変身遊びのような「動」の遊びだけでなく、発光の美しさをじっと堪能する「静」の遊びもできるのがデンオウベルトの魅力なのだ。

 デンオウベルトは家族にとって大切なものでもありながら、ケンカの原因にもなる。なぜなら、主人はモモタロス、私はウラタロス、子どもたちはリュウタロスが好きなため「どの変身アクションが一番かっこいいのか」と討論になる。

 純粋にベルトの「カラー」「音声」「メロディ」の点から評価しても意見が割れてしまう。変身シーンや各キャラクターの性格など劇中の情報も合わせて評価すると、さらに意見が食い違う。良くも悪くも家族をつなぐコンテンツとして、デンオウベルトはわが家で存在感を放っているのだ。

 子どもたちは、仮面ライダー電王とサブライダーの「仮面ライダーゼロノス」に役割を分けて遊んで楽しんでいる。ここで少しゼロノスについて説明すると、桜井侑斗というクールで横柄な青年が、イマジン・デネブと変身するライダーだ。

 彼の正体は、実は良太郎の姉の婚約者の過去の姿。そして1度変身するたびに、関わる人々の侑斗の記憶が1つずつ消えてしまうという切ない運命を抱いている。そのゼロノスも我が家では人気のキャラクターで、ゼロノスベルトもデンオウベルトと同じくらい大切にしている。

【ゼロノスベルト】
ゼロノスベルトも宝物だ

 子どもたちは電王とゼロノスになりきって同時変身をしている。本編での同時変身のシーンは数回しかないレアシーンだが、我が家では見放題なのだ。

【ゼロノスベルト、変身!】

【ダブルライダーで変身!】

 今回は仮面ライダー電王にフォーカスしてベルトの素晴らしさを語ったが、もちろん他の仮面ライダーベルトも魅力にあふれている。個人的には、仮面ライダーベルトと出会ったきかっけとなった「ゲーマドライバー」、メダルを集めて組み合わせる楽しさがワクワクする「オーズドライバー」、豪華さでは歴代トップレベルの「オーマジオウドライバー」、大人向けに全振りした仮面ライダーアマゾンズの「アマゾンズドライバー」が気に入っている。

 アマゾンズドライバーはバックル部分を回転させることでアマゾンオメガもしくはアルファに変えることができる。オメガ本体と同じ釣り目のようにするとオメガの目と同様に赤く光り、アルファ本体の垂れ目のようにセットすると緑に光るという、細かい演出も好きだ。

 劇中のアマゾンオメガは仲間との絆としてハンバーガーを食べるシーンがある。子供達がアマゾンズドライバーを使った変身遊びのときは、ハンバーガーを食べて再現度を高める。そして私はアマゾンアルファをマネして豪快に生卵を飲み込む……恥ずかしくてママ友には言えない密かな楽しみだ。

【アマゾンズドライバー】
アマゾンズドライバーもお気に入り

 子どもにとっては大好きな仮面ライダーに変身できるベルトだが、大人にとってはストーリーを理解したうえで扱うことでさらに深く熱くなることができる。もちろん、塗装の美しさやギミックの緻密さなど、職人技ともいえる作り込みも評価できるだろう。

 仮面ライダーベルトは日本のおもちゃの最先端技術が詰め込まれていると感じる。今後も文化として楽しんでいきたい。