「東方LostWord 博麗霊夢」を撮り下ろしで見どころチェック！

　今年は「東方Project」生誕25年目。この記念すべき年に、これまで数々の「東方Project」アイテムを手掛けてきたグッドスマイルカンパニーが、新作スケールフィギュアを発表！それが「博麗霊夢」です！「東方LostWord」での彼女の姿を、派手なエフェクトや特徴的な色遣いに至るまでゲームの雰囲気そのままに立体化した、まさにアニバーサリーにふさわしい豪華フィギュアとなります。

　2021年9月に発売予定で、現在受注中のこのフィギュアについて、撮りおろし写真とともにその魅力をレポートしようというのがこの記事の趣旨なのですが、これを知っているとよりそのフィギュアや作品を楽しめるといううんちくも一緒にまとめてみましょう。

東方Project×フィギュア

　このフィギュアの出典である「東方LostWord」は、「東方Project」の二次創作ゲームですが、まず知っておいて欲しいことは「東方Project」とフィギュアの関係。もちろん現在もフィギュアとして非常に人気が高い作品なのですが、2010年前後にいわば第一次東方フィギュアブームとでもいうべき流れが起こっています。ちょうど2000年代後半はPVC製完成品フィギュアの人気が急激に盛り上がった時期でもあり、その中の定番アイテムとしてさまざまなメーカーからフィギュアが発売されたのです。

配信中のスマホ用RPG「東方LostWord」。

　さらに、その少し前くらいからワンダーフェスティバルでも毎回トップクラスの当日版権申請数を記録するようになります。その傾向は、2014年冬ワンフェスで「艦隊これくしょん-艦これ-」が当日版権申請数でトップになるまでは続いています。キャラクターが多くて完成品フィギュアではフォローしきれないために、当日版権でもいろいろなキャラクターを出す余地があるというのは、このあたりの当日版権での人気作では共通した特徴。現在圧倒的1位の「Fate/Grand Order」でも同様です。なお、「東方Project」は当日版権だけではなく、コミケットなどで同人誌と同じように事前許諾無しでフィギュアを出すことも可能でした。

　そういったフィギュアでの同人活動を行っていたサークルが、その後商業フィギュアメーカーになった（キューズQやアクアマリン）という例もあり、「東方Project」はフィギュア業界全体に大きな影響を与えているのです。

東方Project×グッドスマイルカンパニー

　「東方LostWord」はグッドスマイルカンパニー×NextNinjaが展開している「東方Project」二次創作のスマホ用RPG。ゲーム立ち上げ当初にはオリジナルのデフォルメフィギュアを、参加者全員がもらえるキャンペーンも開催されたこともあって、フィギュアファン的にも注目のゲームでした。

　そして、今回のフィギュアはゲームでもメインキャラとして描かれている博麗霊夢のビジュアルイラストを立体化したものです。

今回の霊夢は「東方LostWord」からの立体化。アプリ内でのイラストがモチーフです。

　グッドスマイルカンパニーはこれまでも数々の「東方Project」をフィギュア化しているのですが、実はこれまで出ていたのはすべてねんどろいど。2009年8月に発売された「ねんどろいど 博麗霊夢」を始め、これまで20体の「東方Project」ねんどろいどと2セットのねんどろいどぷちが登場しています。しかも造形や可動をバージョンアップして2017年12月に発売された「ねんどろいど 博麗霊夢2.0」はねんどろいどのナンバー700という記念ナンバーアイテムに選ばれています。

ねんどろいど700体目となる「ねんどろいど 博麗霊夢2.0」。100番ごとのナンバーでは必ずねんどろいど的＆フィギュア市場的に重要なアイテムがセレクトされます。

　ここまで「東方Project」はある種特別扱いなのに、グッドスマイルカンパニーはこれまではスケールフィギュアは出していませんでした。グッドスマイルカンパニーが流通を請け負っている他メーカーではスケールフィギュアが出ていたのですが。

　というわけで、今回のフィギュアはグッドスマイルカンパニー自身が出す、初のリアル頭身の「東方Project」関係スケールフィギュアということになります。さらに自社ゲームからのフィギュア化ということもあってかなり力が入ったものになっているのです。

撮り下ろし写真でフィギュアの魅力をチェック！

　それでは、この注目のフィギュアの塗装見本品をじっくりと見ていきましょう。まずは全身正面から。動きのあるポーズに、さらにエフェクトパーツも加わってダイナミックで迫力あるフィギュアに仕上がっています。

フィギュア本体のポーズに加え、エフェクト、お札、袖、リボン、髪の毛等が一体となって大きな動きを作り出しています。

　3次元のフィギュアなのでグルグルと回して楽しめるわけですが、だからこそフィギュア本体を取り巻くクリアーのエフェクトパーツが作る流れの美しさがハッキリと確認出来るのです。

エフェクトパーツに入ったグラデーション塗装が効果的。

このアングルだとエフェクトパーツの構成と袖の動きが見えやすくなっています。

後ろから見るとエフェクトパーツが描く円が印象的です。

厚みのあるベース込みで全高約26cmですが、その幅のみならず見ての通り奥行きもかなりのボリューム。

　表情は、イラストと少し異なるこのフィギュアオリジナルのもの。ビジュアルイラスト担当のイラストレーター・夢野ろて氏が描きおろしたイラストをもとにしています。

ドヤッとした表情がかわいいのです。

　もとのイラスト通りに、髪の毛のハイライトとして、白の他に緑や青、オレンジ、ピンクといった色が使われています。ちょっと変わった色使いですが、立体でもしっかり馴染んでいて独特の雰囲気を醸し出しています。

こういった色使いはイラストでは良く見る手法ですが、フィギュアでは少し珍しいところ。

反対側から。袖のひるがえりにも注目！

　大きく立体的なうねりをみせるポニーテール。いろいろな角度から見てもキレイな流れになっています。単純に見えて、2次元のイラストを3次元のフィギュアに置き換える際の構成をどうとっているか、面白い見どころのひとつなのです。

髪の毛にはクリアーパーツを使用。先端にかけてグラデーション塗装が施されています。

髪の毛全体の流れと、袖やリボンが動きと勢いを感じさせる構成。服に入っているシワの方向やスカートのひるがえりなどもその動きを強調しています。

上方向から見た髪の毛の流れと裾の動き。複雑な空間構成になっています。

　最近のフィギュアは凝った作りのベースが多くなっていますが、このベースもクリアーのエフェクトパーツが重層的に流れを作り、お札が宙に浮かんだ構成で、見どころたっぷり。

ベースは陰陽模様入り。斜めに切られていて、奥に行くほど高くなっており、正面からでも模様がよく見える仕様です。

本体とベースは片足での接続ですが、これまでのグッドスマイルカンパニーのノウハウがあるので製品版でもしっかりとポーズが固定できるものになるはず。

靴はピカピカの赤。同じ赤でも服の赤とは異なる質感を塗装で再現しているのです。

ベースには半透明のお札も浮かんでいます。

　立体であるフィギュア鑑賞の大きな楽しみのひとつがスキマと重なり。服と肌の間のスキマ、布同士の重なりとそこに出来るスキマ。このフィギュアでも各所非常に精緻に造形されています。そしてそのスキマはしっかりとした人体の造形があってこそ説得力を持ちます。それを探し出してのぞき込んだり触ったりしてみましょう！

お腹とスカートのスキマ、スカートのシワが生み出す布の重なり、さらにはポニーテールと袖の動きとも相まってとても良いアングル。

袖口の布の重なりに注目！薄い布が重なり、さらにその間にスキマが出来ているのです。

肩と脇、首は露出面積こそ少なめなものの、鎖骨や首の骨、女の子らしい腕やお腹の柔らかな肉付きなど人体を感じさせるラインが垣間見えます。

背中と服の間のスキマ、すらりと伸びた足とヒザ裏のひかがみ、後ろ姿だからこそのポイント。

　良いフィギュアというのは、全体のシルエットだけで見てもその良さが伝わるもの。このフィギュアは細部の構成はもちろん、シルエットで見ても、全体の流れ、たなびき、回転といった動きが感じられるものになっています。フィギュアのクオリティが格段にアップしている2020年現在（発売は2021年ですが）だからこその、「東方Project」フィギュアに仕上がっているのです。

グッドスマイルカンパニー企画担当者、原型師コメント

　特別に今回のフィギュアについてコメントをいただきました。まずはグッドスマイルカンパニー企画担当者様から。

Q：グッドスマイルカンパニーとしては「東方Project」初のスケールフィギュアとなりますが、企画を立てる際にそのあたりを意識しましたか？

A：勿論意識しました。ねんどろいどではかなり初期から商品化をさせて頂いているのでスケールフィギュアが出ていなかったのは意外でもありました。折角だから今グッスマでできる一番格好いい霊夢をつくろう！という意気込みで企画はスタートしました。

Q：二次創作RPG「東方LostWord」からの立体化ですが、オリジナルの東方Projectとは違うということで意識したことはありますか？

A：特徴的でシンプルなオリジナルのキャラクターデザインを元に、「東方LostWord」では、より華やかで可愛らしいキャラクター達が夢野ろてさんによって描かれました。ろてさんのイラストをできる限り再現すること、スマホゲームならではの良い意味で「派手な」要素をうまく立体でも取り入れることを意識しました。

Q：イラストの夢野ろてさん、原型の鶴の館さん、彩色のいわびつについて、こういうことをお願いした、ここが良かったなど教えてください。

A：ろてさんは自身初のフィギュア化ということで大変喜んでくださって、設定提供など沢山ご協力をいただきました。フィギュア用の描き下ろし表情イラスト制作についてもお願いしてから即日でご対応頂いて感激しました。

　制作陣にオーダーした内容は多岐にわたりすぎる＆細かい内容すぎて文章ではまとめられませんが、彼らの仕事の素晴らしさについては言葉で説明するよりも今回のフィギュアを見ていただければ伝わるところかと思います。

Q：ここは特に見て欲しい、力を入れたというポイントはどこでしょうか。

A：一番はお顔です。瞳の情報量をがんばりました。凄く可愛いです。個人的にオススメなのはお腹です。健康的でやわらかそうなお腹なので触りたくなります。

　続いて、原型を担当した鶴の館さん。鶴の館さんは商業原型としては「東方Project」初挑戦となります（当日版権フィギュアとしてはイラストレーターとのコラボで手掛けたことあり）。

「東方Project」生誕25年の節目に現われた傑作

　グッドスマイルカンパニーが初の『東方Project』スケールフィギュアを手掛けたということでも、記念すべき特別なアイテムとなったこの「博麗霊夢」。その企画への力の入れ方はグッドスマイルカンパニー20周年に向けたプロジェクト「GOOD SMILE NEXT」公式サイトでの連載企画第1回で「知れば納得。東方Projectとグッスマの歴史」として「東方Project」についてまとめていることからも分かるかと思います。

　実際に出来上がってきた塗装見本品も、見ての通り造形、彩色ともに素晴らしいものに仕上がっています。そしてもちろん、この塗装見本通りの商品が出来上がってくるというのもこれまでの実績からすれば確実です。現在の最先端のフィギュア技術の粋を凝らした逸品として、お勧めなのです。

　このフィギュアのGOODSMILE ONLINE SHOPでの予約締め切りは9月23日21時まで。その他のショップを利用する場合でも、確実に手に入れるためにはこの日付までに予約することがお勧め。「東方Project」関係の商品は販売チャンネルが限られているので、グッドスマイルカンパニーの商品情報サイトの確認もお忘れなく！