特別企画

ヘタ仙人の「プラモデルを楽しもう!」、最小限の塗装でキリリと仕上げる!

ズゴック最大の魅力、アイアンネイルを塗る!

アイアン・ネイルはGMの腹も貫けるように鋭利な感じに!

 アイアン・ネイルはズゴックの最大の見せ場。ここを塗ると印象が大きく変わります。こういうところを細かく仕上げると、見栄えがぐっと上がるのでやってみたいと思います。

 まずは恒例の分解作業から。

【恒例の分解作業】
ネイルを分解して、ツメ部分を取り出します

 このツメですが、小さくて持ちにくい。そこで、模型店などで販売されているクリップ付きの竹ひごを使いました。「猫の手」などの商品名で販売されています。手元になければ、未塗装の部分にテープなどを巻きつけてねじり、固定するなどしてもいいと思います。

 そしてこのツメ、根本とツメ本体に段差があるんですね。なので、そこを塗り分けるといわゆる「情報量」が増えて奥に別の色がチラリとのぞく感じになるかなと。そこで根本はレッドで塗装しました。「モビルスーツの内側は赤がカッコいい」なので。

【爪の根元もレッドで】
根元部分を赤で塗装。ハイドロジェットと同じく、きっちり塗り分けなくてもそれほどばれないので、お気軽に作業します

 そして、ツメ本体はちょっと計画があり、暗い色にしました。使ったのは「ガンダムガンメタリック」というガンダムマーカーです。もっとも、この色はたまたま私がチョイスしただけなので、みなさんお好みで。「暗くてキラキラしたやつ」みたいな決め方でよろしいかと思います。

【暗くてキラキラした爪に!】
ガンダムガンメタリックを塗ったところ。赤と黒のコントラストは映えますね。そしてよーく見てみてください。またしても塗り分けがテキトーです。こういうところをきちんとやると、それはもう美しいのですが、気にして手を止めるくらいなら、最初は気にせずどんどん好きにやりましょう

 そして、ここで少し、模型ならではの技法を使ってみたいと思います。それは「ドライブラシ」です。簡単に言えば、カスカスに乾いた塗料がついた筆で、パーツをこするという方法です。微妙に塗料がついて、凹凸が浮き出してきます。

【必殺! ドライブラシ!】
まずはシルバーのガンダムマーカーのペン先をお皿に押し付けて、塗料を出します。写真では模型専用の皿を使っていますが、周りが汚れなければなんでもけっこう
続いて塗料を染み込ませた筆をティッシュなどで拭って、さらにティッシュにゴシゴシと押し付け、筆をカサカサにします
ドライブラシ前のツメ。真っ黒です
パーツを、乾いた筆で「カササササササ!」と高速でなでていきます
するとどうでしょう。シルバーが、凸部分にわずかに乗って、凹凸がくっきり浮き出てきます。ちなみに、赤丸で囲んだ部分は塗装ムラで塗料が盛り上がってしまっていた部分。こういう細かいところまで浮き彫りになるのです

 実はドライブラシは、やるのは簡単ですが上手にやるのはそこそこ難しい。乾きすぎたら塗料が乗らないし、焦って生に近い状態でやると筆跡が残ってしまいます。ちなみに、写真の通り、私は未だにうまくできません。うまいドライブラシは、本当に「ふわぁ~」っとカスミのように色が乗っているのです。模型店店頭に飾られているプロモデラーの作品や、上手い人の作品を、ぜひ見てください。

 さて、これでツメは完成! なのですが、ここでまた思いつきが。ツメの、三角錐状のカバーには円状のモールド(彫刻)が施されています。ここに、前回ご紹介したスミ入れをホワイトで行なったら見栄えがいいのでは? いきあたりばったりに、ちょっとやってみました。

【さらにもう一手間】
円錐状のパーツに入っているモールドにガンダムマーカーのホワイトを流し込み……。
綿棒に消しペンの溶剤を染み込ませて吹きました。やりやすいのは綿棒ですが、なければティッシュも代用可能です
完成! 意外と金属チックになりました! 根本のレッドも効いています

 そして! ついにアイアン・ネイルの完成です!

 というわけで、作業完了です!

もう少し手を入れてよりかっこよく仕上げてみる

【見比べてみよう】
無塗装のズゴック(左)と今回部分塗装をしたもの(右)

 うーん……。なんかなあ。どうもなあ。なんだか、そんなに印象違いますかねぇ。まあ確かに、今回はちょこちょこと手を入れて(部分塗装をして)完成というテーマではあるものの、今ひとつ代わり映えがしないなあと。特に胸のダクトですね。成形色とあまりにも似た色で、なんだか努力の甲斐がイマイチ感じられませんなあ。

 よし! 少しやり直そう!

 胸のダクトをシルバーにしてみたいと思います。

【胸のダクトを変えてみる】
胸のダクトをシルバーに

 当初は塗装した上からシルバーを塗ったのですが、今ひとつうまく行かなかったので、消しペンで全部塗装を剥がして最初からやり直しました。バレないならば無精も大いにいいのですが、さすがに単に汚くなってしまうのであれば、丁寧に作業するしかないですね。

 そして、さらに気になる点が。それはこちら。……ツメの根本に塗り残しが。これはさすがに目立ちます。分解してリタッチしましょう。

【爪の塗装にさらにこだわる】
せっかくうまくいったなと思っていたアイアン・ネイルですが、レッドの部分に塗り残しが……
ツメの根本を完全にレッドに
無事赤くなりました

というわけで、今度こそ完成といたします!

【今度こそ完成!】
頭頂部アップ。かなり「細かい」印象になっているかと思います
胸部ダクト。シルバーにして明るい印象になりました
アイアン・ネイルも、こうしてみるとけっこう見栄えがよいですね。こういう、自画自賛できるところが、塗装の楽しさです
【無塗装との比較】
素組みとの比較。ガラリとは変わらないまでも、質感はだいぶん違うと思います

 せっかくですので、少しポーズを取らせて遊んでみました。

【ポーズ!】
ズゴック的には定番の、ツメ開きポーズ
水中を潜航中
前から見れば、ミサイル射出口が強調されていい感じに
ハイドロジェットのシルバーが映える後方から

 これにて、部分塗装についての紹介記事を終わります。塗装と言っても、ガンダムマーカーを使えば塗り絵と同じどころか、はみ出しを拭き取ったりやり直したりが可能ですし、失敗したところで「どうということはない」ものです。冒頭で申し上げたとおり、プラモデルの楽しみは「ディレクション」にあります。その手始めとして、部分塗装は意外と低予算で、そして手軽に楽しめますので、ぜひお試しを。