特別企画

【ちょい組み】RCベルグのカラーレジンキャストキット「1/7SCALE 冬坂五百里」を組んでみた

躍動感あふれる「十三機兵防衛圏」の主人公の1人を組み立てる!

発売・開発元:RCベルグ

受注期間:3月31日~6月27日

価格:17,380円(税込)

全高:約215mm

 2019年11月に発売され口コミで話題を呼んだ「十三機兵防衛圏」というゲームをご存知でしょうか。アトラスとヴァニラウェアが手掛ける本作は、13人の少年少女が織りなす群像劇や特徴的なグラフィックスが魅力の作品です。全世界で40万本のセールスを達成するなどのヒットを記録し、筆者も「面白い」という声を聞きつけ豪華版を買いに走った思い出があります。

【『十三機兵防衛圏』 プロモーションムービー】

 そんな本作には個性豊かなキャラクターたちが登場するのですが、その中でも主人公の1人としてパッケージなどに大きく描かれるキャラクター「冬坂五百里」のカラーレジンキャストキット「1/7SCALE 冬坂五百里」がRCベルグより発売されました。本キットはオンラインイベント「ウェブワンフェス2021[冬]」にて先行発売されたもので、6月27日までRCベルグのページにて期間限定で実施している「春の大受注会2021」より注文が可能です。そんなキットを受注分の発送に先駆けて制作する機会を得たので、本記事では組み立ておよび完成形を紹介していきます。

【RCベルグの作例】
こちらが作例となるRCベルグの素組完成見本です。塗装しなくてもここまできれいに作れるとのことで、今回はこの作例を目指して作ります
こちらは塗装例。塗装することでここまで美しくできるんですね!
【パッケージ】
筆者はまずパッケージに感動! 鞍部十郎と冬坂五百里の2人が描かれたなんとも美しいイラストになっています
「冬坂五百里」画像は「十三機兵防衛圏」の公式ページより

レジンキットになった冬坂五百里を紹介!

 今回紹介していく「1/7SCALE 冬坂五百里」は全長約21.5cm、1/7スケールの冬坂五百里を組み立てることができるカラーレジンキャストキットです。色分けされたパーツがセットになっており、カッターなど必要な工具を用意することで、塗装をすることなくイメージに近い仕上がりになります。パーツはランナーなどが付いていないため、基本的には接着剤でくっつけていくだけで完成するほか、瞳用のデカールも付属しているためカラーレジンキットとしては初心者向けの設計になっています。

 筆者は子供の頃にガンプラを2つほど組み立てたことがありますが、レジンキャストキットの組み立ては初めて。箱を開け全てのパーツが切り離されていることに驚きました。パーツのカラーも「十三機兵防衛圏」の世界観を彷彿とさせる落ち着いた色味で、特に彼女の特徴ともいえるボリューミーな白いロングヘアーは、カラーレジンキャストキットならではの魅力になっています。

パーツはこのように袋分けされておりランナーから切り離す必要はありません。バリが残っているパーツもあるため、きれいに取って上げると完成度がアップします
説明書のサンプル
デカールのサンプル
本キットでは別売りの台座が必要になりますが、今回はこちらの台座を使用しました。

いよいよ制作開始!

 前述したようにガンプラしか組み立てたことがなかったため、簡単な説明書のつくりにも驚きました。両面カラーコピーの説明書には簡単な説明に加え、パーツリストとどの部分をくっつけるかといった説明のみ。組み立てる順番が記載されていないため好きなところから組み立て始めることが可能です。

 接着剤が固まるまで時間を要するため時間をおいて作業することになるのですが、自分の場合は下半身を主に最初に組み立ててから上半身の接着に取り掛かりました。太ももにソックスのパーツを付ける部分からスタート。靴を接着しスカートなど、それぞれのパーツを組み合わせることで下半身の完成です。パーツでしかなかったものが接着することで体らしい形へと生まれ変わります。

足が完成。ほぼずれなくピッタリとくっつきます
翻るスカートと組み合わせると躍動感がすごい!

 上半身は制服のパーツを中心に、袖や襟に加え胸のリボンを接着します。本商品には瞳のデカールに加え、まぶたや眉毛を表現するためのデカールもセットになっており、ハサミで切断し貼り付けていきます。特にまぶたのデカールは非常に小さく、かつ小さな起伏に貼り付けなければならないため組み立てる上で最難関のポイントであるように感じました。コツとしてはできるだけデカールを小さく切り取り、粘着力が落ちる前に素早く貼り付けることが肝心。貼り付けに失敗してしまったときのために各5枚ずつ入っているため、ずれてしまったり剥がれてしまったりした際にも予備が入っているのは安心です。

 デカールの貼り付けは1度ではうまく行かず、何度か再挑戦しました。非常に小さいですが、とても重要なポイントであるため集中が必要です。力が入りすぎて思わず息を止めて貼り付けに取り掛かっていた記憶があります。だんだん慣れてくると手際が良くなり、思っていた場所に的確に貼れるようになりました。

 髪の毛は複雑な構造になっているため最初から接着せずに、1度仮組みして完成した状態のイメージを立ててから接着し始めるのが良さそうです。最後に花飾りを付け上半身ができ上がります。最後に上半身と下半身をしっかりとくっつけ遂に完成です。

 組み立てる際に感じたのは、本キットのポイントの1つである髪部分を構成するパーツの複雑さです。風でなびく髪は多数のパーツで構成されており、袋から開けた状態ではどことどこを接着するのかがわかりません。説明書と照らし合わせながら接着していくとバラバラだったパーツが頭部と組み合わさり「形になったな!」という感動がありました。

顔のデカールを貼り付けをした後に、髪の毛パーツの接着したため、髪の毛に引っかかって目のデカールが顔から剥がれ落ちていったときはヒヤヒヤ
上半身が完成です。パーツと組み合わせることで制服のシワが意味を持ちます

 ゲーム内で冬坂五百里はクライスメイトたちと買い食いをしたりと日常的な場面も描かれ、明るい女子高生としての印象が強いです。「ちこくちこくー」と食パンを咥えて走り、男子高校生とぶつかって一目惚れなんてことも。本作における最初のカットシーンでは街に巨大怪獣が迫り逃げ惑う人々が映し出されます。そんな中、彼女は人とは逆の方向に走り自身が乗り込む機兵(ロボット)を出現させるという冒頭の大役を担うキャラクターでもあります。

 「十三機兵防衛圏」の温かみのあるタッチで描かれる世界やキャラクターは、どこかノスタルジックな雰囲気で溢れています。本キットではそんな世界の魅力を余すことなくキット化し、組み立てが楽しめます。パーツの1つ1つをとってもメリハリのあるカラーではなく、ゲームの作風を表現しやや淡い色味に。さらに、カラーレジンキットという強みを活かし、好きに彩色を施したりを加えたりとアレンジも可能です。

13人の主人公たちはそれぞれ身体のどこかに「起動マーカー」を持ちますが、冬坂五百里のマーカーの位置は右の太もも。発売1周年を記念し実施された配信番組内では「好きなマーカーの位置」として1位にも選ばれていました
画像はRCベルグの商品ページより

パーツたちが1つになり遂に完成!

 完成形は思っていたよりも大きく、写真で見るよりも遥かに髪のボリュームが作り込まれています。正面から見て右に向かって吹く風を感じさせるデザインで、髪がそれぞれ異なる方向に煽られており作り込みの細かさを感じました。加えて、それぞれのパーツが繋がり制服やスカートのシワと組み合わさることで、躍動感を感じさせます。

 改めて正面から見てみると指先に至るまで作り込まれており、少し内側に曲げた足の角度も生き生きとした印象を与えています。デカールには「起動マーカー」もセットになっているため、アクリルケースを購入し内側へと貼り付けることで、作中の世界観を彷彿とさせるデザインに仕上げることもでき、世界で1つだけのオリジナルとして組み立てることも可能なキットとなっていました。

 プラモデルと比較すると完成させるまでの工程の数が段違いだと感じました。説明書を読み、ランナーからパーツを探し、ニッパーで切り、それらを組み合わせ大きくなっていくプラモデルとは違い、本カラーレジンキットはパーツが形をなしているため、基本的には接着およびデカールを貼り付けるだけで完成させることができます。一方で、パーツを組み合わせていくことで次第に完成形へと近づいていくワクワク感は、プラモデルでもレジンキットでも同様の楽しさがありました。

 塗装せずに完成させることができるため比較的手軽な組み立てキットとなっていますが、初心者の自分にとってはやや難しく感じる部分もありました。特に顔のデカールは非常に小さく、眉の角度などによっては印象を大きく損ねてしまう可能性があるため失敗できません。しかし、完成したモデルは非常に細かな部分まで作り込まれており、カラーレジンキャストキットのクオリティの高さに驚かされました。ふわりとなびく髪や翻るスカート、指先に至るまでこだわりが詰まっています。

 彼女以外にも個性豊かなキャラクターたちが登場するため、新商品の展開にも期待がかかります。筆者は13人の中では女の子たちももちろんですが、イケメンかつお金持ちの網口愁くんや、焼きそばパン好きの比治山隆俊くんなど男の子たちの立体化にも期待しています。自分好みにカスタマイズ可能な本商品の組み立てに挑戦してみてはいかがでしょうか。