特別企画

ヘタ仙人の「プラモデルを楽しもう!」、横山宏氏のSF世界を満喫できる「ドーヤネン シュトゥルムケーファー」

シンプルな組み立てながら、世界観をたっぷり楽しめるプラモデル

 では作業開始ですが、接着剤なしで作ることができました。接着剤なしで、パーツの嵌合だけで組み上げられるキットをスナップフィットなどと呼んだりしますが、このキットもそうですね。スナップフィットはガンプラをはじめとしたキャラクターモデルでは主流の方式で、一方スケールキットは接着剤を使うものが大半です。

 ガンプラのHGを組んだことのある人であれば、問題ないのではないかなあと。いずれにせよ、私にとってはたいへん組みやすいキットだなあという印象ですね。ただなあ……これも人によるんですよね。

 例えばガンプラのRGを作れれば大丈夫だと思うのですが、それが難しいと感じる方だったり、おもちゃ的にガシガシと動かしても大丈夫! みたいなことを期待する場合は、ちょっと厳しいかもなと。あくまでも作る過程だったり、その形状を楽しむのがよいのではないでしょうか。

 作業時間は、撮影しながらなので少し時間がかかりましたが、2時間程度でしょうか。普通に作るだけなら、もっと早く出来てしまうと思います。説明書に従って、まずは下面からやっていきましょう。

【機体下部の組み立て】
ところどころアンダーゲートが使われています。初心者には整形しづらい曲面にゲート跡を作らない配慮なのかなあとも
機体後部の円筒。側面のパーツは向きを間違えないように工夫されています
後部のパーツができあがりました! スケールモデル的なディテールでテンション上がりますね!
機体底面のパーツに先程の円筒形パーツを取り付け、さらにその横に位置するかまぼこのようなパーツも付けていきます
美しい曲面の中に現れるメカメカしいパーツがいいですね。パイプも密度感を演出しています
こちらは機体中央の円筒形のパーツ。リベットが打たれたカバーがこれまたカッコいいし、前面に伸びているパイプも有機的(?)な曲面を構成していて楽しいです
機体下部がほぼ出来上がりました。ぎっしりとしたメカ的な魅力がありますね

 下面がこれにて完成となりますが、シンプルなパーツ構成ながらエンジン部の細かいモールドが楽しいというところ。パーツを組み付けるたびに、メカというか機械の複雑な構成が出来上がっていくところが魅力ですね。

【コクピットの組み立て】
お次はパイロット。シートを含めて4つのパーツで作られます。モールド細かい!
コクピットのパーツにパイロットを配置。
無事座らせることが出来ました。だんだん雰囲気出てきましたね~。

 このコクピットですが、SF3D時代から登場していたシリーズ最初期の機体であるところの、P.K.Aのコクピットと同じ意匠なんですよね。同じシュトラール軍だからそうなのですが。これがまた、同じ系統のメカということでソソります。

 もともとP.K.Aの上半身は、ヘリコプターのヒューズ500のキットを縦にして使われていたと記憶していますが、その発想に、少年だった私は「わーすごい!」と感動したわけで、その意匠にまた出会えたというところです。というわけで、次ページは上面や脚を組み立てていきます。

【P.K.A】
P.K.Aは海洋堂からもカプセルフィギュアとして立体化されています
P.K.Aを含む「35ガチャーネン -横山宏ワールド- ガチャーネンVol.2.0」

生物的な魅力も感じる細い脚に支えられたぶっとい胴体

 下面が終われば、お次は上です。こちらは下面に比べると駆動部が少ないので、大きな上面パーツにアクセサリ的に小さなパーツをはめ込んでいくかたちで作業します。

 上面に関しては、ホントに楽しい作業ですね。細かいパーツが多いので、プラモデルが苦手な方にはちょっとたいへんかもしれませんが、プラモデル好きな人にとっては、大きな上面パーツにアクセサリを付けていく行程は、ドレスアップ的な意味合いもありますし、「ここに細かい色を塗ったらカッコいいかも!」などと妄想も膨らむ部分です。

【ボディ上面】
上面のボディパーツ。複雑な曲面を楽しむためにも、本当に手にとっていただきたいですね
後部の開口部。ここに裏から……
ディテールのあるパーツをはめ込みます。
ピタッとはめ込みました。
裏返すとこのように、穴の底に細かいディテールが配置された形となります。
上部後面も同様に、ディテールの板を裏側からはめ込んでいきます。
【キャノピーの取り付け】
お次はキャノピー。説明書には、力を入れて割らないようにとの注意書きがありますが、そこそこすんなりと取り付けられました。
キャノピーを取り付けたところ。コクピット周りはホントに気分盛り上がるぅ~!

 ここまで来たら、いよいよ上下を合体させます。上面を裏返して、まずはコクピットのブロックを、続いて底面を組み付けます。

【ボディの完成】
コクピットのブロックをはめ込み……
続いて底面をカポッと。ここは結構力が必要でした。怖い場合は、底面についているカバーパーツなどをいったん外して力をかけてもいいかもしれません
上部左側の小さな突起パーツ。こちらをはめ込むと……
この通り。なめらかなボディーの曲面に、ワンポイントが出現しました。ボディーのスジボリと突起のスジボリがつながっているところもカッコいいですね。
機体前部のパーツ群
ボディがほぼ完成した状態。上面は曲面主体で構成され、裏返すとみっちりとメカが入っている。作ってよかったぁ~と思う瞬間です

 ボディを組み上げると、脚部がないながらもゴロっとした質感が出て、とにかく嬉しい。ちょっと手にとって、くるくるといろいろな角度から眺めれば、曲面に入る光のかたちが変わり、その影の移り変わりがまたたのしいわけです。さらにコクピットをのぞけばパイロットが鎮座していて、「人が乗っているんだなあ」という実感も湧いてきますね。

 ボディはこれにて、「ほぼ」終了。お次はシュトゥルムケーファーの特徴でもある4つの脚をつくります。同じ形状なので、1本ずつ作るのではなくて、同じパーツをどんどん切り出して流れ作業的に作っていきます。

【脚の組み立て】
脚を形作る4枚のDランナー。面倒くさく思えるかもしれませんが、流れ作業でやってしまえば、1つの行程が4倍になるので、逆に楽です。
こうして同じ形のパーツを切り出してしまい、組んでいきます。
脚部の構造。単純なので組みやすく、とはいえ複雑なディテールを構成するパーツは別パーツになっているので精密感も保たれています。
脚部が完成! ……かに道楽に行きたくなります。
さらに、脚の基部を作りますが、こちらも脚部と同様に流れ作業で組み立てれば楽です

 コレにて機体のシルエットが完成です。4脚の戦闘車両という独特なシルエットは、蜘蛛というかカニというか。細い脚に支えられたぶっとい胴体は、生物的な魅力というか美しさも感じます。が、同時にメカでもあるわけで、そのあたりは、ヒーロー体型のロボットだったり、世界観とは別の魅力を感じます。

 ここまで来たら、機体の基本形はできあがり。あとは細かいアクセサリ的なパーツを付けていきます。これがまた、細かいディテールが付け足されていくから楽しいのです。

 例えばスモークディスチャージャー、例えばコクピット左上の武装、そしてアンテナ基部など、曲面にちょいちょいと“尖った”場所があって、なんだろう……言い方はアレですが、お弁当に入っている漬物のような、ちょっと刺激的な部分がよいのです。

【アクセサリーの取り付け】
機体上面左に付く武装やスモークディスチャージャー、前面のバンパー的なカバーなど、細かいアクセサリを組み上げます
ボディ、脚部、細かいアクセサリ、すべてを組み上げました。これを接続すれば、本体が完成です