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【年始特集】『機動戦士Zガンダム』40周年!ゼータの鼓動がガンプラの進化を促す

様々なスケールでその時々の進化を続けるゼータガンダム。君は40年の刻の涙を見る……

 HAPPY NEW YEAR!いよいよ2025年が始まりました。ここ数年HOBBY Watchで主にガンプラを担当させていただいている筆者もさらにさらにガンプラの魅力をお伝えできればと思っています。今年もよろしくお願いいたします!

 さてさて、2025年の40年前といえば……そうです!1985年3月2日に『機動戦士Zガンダム』がテレビ放送を開始した年ですね。1979年からTV放送された『機動戦士ガンダム』とその劇場版三部作の大成功によって続編への強い希望が寄せられ、ついにその願いが叶ったのです。

『機動戦士Zガンダム』主役機のゼータガンダム。最新キットは2023年4月に発売した「MG 1/100 ゼータガンダム Ver.Ka」

 『機動戦士Zガンダム』は前作『機動戦士ガンダム』の7年後を描いた作品です。アムロ・レイとシャア・アズナブルが闘った一年戦争と呼ばれる戦争の後、“ジオンの残党狩り”を名目に組織された「ティターンズ」とそれに対抗すべく組織された「エゥーゴ」、さらにジオン残党が組織した「アクシズ(ネオ・ジオン)」の三つ巴の戦いを描いています。

 一年戦争時に登場した人型機動兵器“モビルスーツ”は戦局を左右するほどの存在となった兵器でもありました。モビルスーツ開発はさらに進み装甲素材やフレームの進化、全天周モニターやリニアシートの採用などさらにブラッシュアップされ、戦況に合わせて形態を変化させる機体が現れるなど高機能で多様性にあふれる進化を遂げていきました。

【進化を続けるモビルスーツ】
「RG 1/144 RX-78-2 ガンダム Ver.2.0」と「RG 1/144 ジオング」。一年戦争を経てモビルスーツが戦闘の主役に
ガンダム、ガンダムMk-II、ゼータガンダム

 その進化をまざまざと見せつけてくれたのはカミーユ・ビダンが開発プランのアイデアをだした「MSZ-006 Zガンダム」で、この機体は初の可変機構を備えたガンダムです。ガンプラでもゼータガンダムの可変機構とプロポーションを両立させるべくこれまでに多くのチャレンジがされてきました。今記事ではガンプラがどのように進化を遂げてきたかを再確認しながら『機動戦士Zガンダム』40周年を深く感じていきたいと思います!

放送時に登場したキットで完全変形は成し遂げられていた!

【1/100 Zガンダム】

  • 発売日:1985年10月
  • 価格:2,200円

 TVで『機動戦士Zガンダム』が放送開始され、劇中でゼータガンダムが登場しモビルスーツからウェイブライダーへ変形するその姿は瞬く間にファンの心をつかみました。

 ガンプラとしては1985年4月の「1/144 ガンダムMK2」*を皮切りに、続々と新キットが登場しました。当時もガンプラの進化は絶えず行われていて新キットが登場するたびに毎回驚いたことを覚えています。

*当時の商品名に即して掲載しております。

 同年8月、ついに「1/144 Zガンダム」が登場!このキットは可変機構は無く、プロポーションと可動にフォーカスを当てたキットとなっていました。このキットをウェイブライダー形態に改造した方も多かったのではないでしょうか。翌9月発売の「1/220 メッサーラ」で差し替えなしの変形を実現します。

 そして10月に完全変形する「1/100 Zガンダム」が登場します。当時、“フルアクション”シリーズと題して「1/100 エルガイム」「1/100 オージェ」「1/100 エルガイムMk-II」が展開していた中の一つでもありました。これらは異素材をふんだんに使い、変形や可動、ディテールを追求したシリーズでした。当時ワクワクした方も多いのでは!

【1/100 Zガンダム】
フルアクションシリーズとして登場
1985年当時で完全変形を実現!

 ゼータガンダムの複雑な変形機構を盛り込んでいたのは当時とても驚かされましたし、現在の目で見てもこのキットの存在がとても大きかったと再認識させられます。シールドも腕から外さずに変形させられるんですよね!ガンプラの進化にはゼータガンダムという機体の存在が大きなファクターになっていることがよくわかります。

ターニングポイントとなったHGとたどり着いたRG!

【HG 1/144 ゼータガンダム】

  • 発売日:1990年5月
  • 価格:1,320円

【RG 1/144 Zガンダム】

  • 発売日:2012年11月
  • 価格:3,300円

 『機動戦士Zガンダム』放送終了後『機動戦士ガンダムZZ』、『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』とガンダム作品は続いていきガンプラも続々と進化を続ける中、後の新HGなどのグレードシリーズにつながる画期的なガンプラが誕生します。

 “HG”(ハイグレード)と銘打たれたこのシリーズは他に「HG 1/144 ガンダムRX-78」、「HG 1/144 ガンダムMK2」*、「HG 1/144 ダブルゼータガンダム」といった主役ガンダムを究極の技術でキット化するシリーズでした。機体各所のカラーリングやマーキングさえも金型上で実現するなど、とんでもない技術が投入され現在のガンプラの技術の礎となったシリーズでした。

 このキットは新設定として“ウェイブシューター”というモードが用意され、背面のフライングアーマーがウイングバインダーに変更されています。頭部と腹部などの一部差し替えはありますが1/144スケールでの変形を実現しました。ウェイブシューターは装備の一つとして後のゼータ系機体の装備ともなりました。

【HG 1/144 ゼータガンダム】
後のグレードシリーズへのターニングポイントとなったガンプラ
「HG 1/144 ゼータガンダム」パッケージ

 1/144スケールではその22年後にRGシリーズで究極の完全変形システムを実現します。これが実現したのもひとえにこのHG版での技術革新があったからにほかなりません。そののちHGUC、MG、PGといった傑作キットを経てこのRG版にたどり着いたのですからガンプラの歴史を語るうえでとても重要なキットだったといえるでしょう。

【RG 1/144 Zガンダム】
ついに1/144スケールで完全変形を実現!

進化は止まらない!MGシリーズで極まるゼータの軌跡

【MG 1/100 Zガンダム】

  • 発売日:1996年4月
  • 価格:3,300円

【MG 1/100 Zガンダム Ver.2.0】

  • 発売日:2005年12月
  • 価格:5,500円

【MG 1/100 ゼータガンダム Ver.Ka】

  • 発売日:2023年4月
  • 価格:7,150円

 手頃なサイズでコレクションしやすい1/144スケールでは完全変形を実現するのはなかなか難しいものがありましたが、ガンプラとしての取り回しや様々なチャレンジを行いやすいのは1/100スケールが適切というのは初代完全変形キットが同スケールだったことからも一目瞭然といえるでしょう。

 そのチャレンジは1996年4月にMGシリーズで実ります。各部機構を新機軸の方法論で積み上げ、複雑な変形システムを実現していました。ウェイブライダーに変形させたときの“航空機らしさ”を追求するために、どうすれば機体を薄くし上面をフラットにできるか。

 これらを実現するためにフライングアーマーの中身をスライドさせて空間を開け、そこへ腕部を収めるという“目からうろこ”的な構造となっていて「こんなことができるのか!」と発想の転換とそれを具現化する技術に当時驚いたものです。

【MG 1/100 Zガンダム】
複雑な変形機構を新機軸の方法論で実現し、驚かされたキット

その9年後の2005年、積み上げてきたガンプラの技術によって新たなMGとして「MG 1/100 Zガンダム Ver.2.0」が登場します。この時代は劇場版3部作として再構築された『機動戦士Zガンダム』が順次公開されている途中で、劇場版の新作画で高精細に描かれたゼータガンダムのプロポーションや可動、変形ギミック、設定を盛り込みだいぶイメージに近づくことに成功したキットになっています。

【MG 1/100 Zガンダム Ver.2.0】
よりアニメのイメージに近づいたディテールに注目

 さらに18年後の2023年にはMGのデザイナーズブランド“Ver.Ka”20周年記念として企画された最新キットが登場。カトキハジメ氏によってよりアニメ設定に近く、劇中プロポーションを追求。複雑になりがちな各部のギミックや構造を簡略化させつつも、可変モビルスーツ・ゼータガンダムの魅力を存分に感じられるキットが登場しました。

【MG 1/100 ゼータガンダム Ver.Ka】
ゼータの進化は止まらない!

圧倒的存在感の1/60スケールでは可変型MS建造を楽しめるように!

【1/60 Zガンダム】

  • 発売日:1985年11月
  • 価格:3,850円

【PG 1/60 MSZ-006 ゼータガンダム】

  • 発売日:2000年3月
  • 価格:22,000円

 ガンプラの中でも憧れの存在でもある1/60スケール!18m級モビルスーツなら30cmの全高となるサイズは圧倒的な存在感を持って眼前に現れます。当時1/60スケールで唯一の存在だったゼータガンダム……年末に近い発売だったこともあり、貯めたお小遣いやお年玉を手にドキドキしながら買いに行った方も多いのではないでしょうか。その1/60スケールは両手で持たなくてはならないほど大きくってすごい存在感でしたが、プロポーション優先だったため変形機構はありませんでした。

【1/60 Zガンダム】
憧れの存在だった大きいゼータガンダムのキット!

 その15年後、ガンプラの技術革新は1/60スケールでまさに“パーフェクト”な「PG 1/60 MSZ-006 ゼータガンダム」を登場させます。HGUCやMGでの技術革新を集約・発展させて大きいサイズでの完全変形ゼータガンダムの構造を感じながら建造していく楽しさがあります。

 大きさゆえに剛性が不足しそうなところにはロック機構を盛り込み、モビルスーツ形態・ウェイブライダー形態でもがっちり固定できる仕組みを持っています。どちらの形態で飾ってもその大きさと存在感がたまらないゼータガンダム。ぜひともこの大きさで変形するガンプラを体感してみてほしい傑作キットです!

【PG 1/60 MSZ-006 ゼータガンダム】
可変モビルスーツを建造していく楽しみが味わえるキット!

悲願達成!40年目の節目についに出揃うゼータ系ガンプラ!

 40周年を迎えるにあたり、ついにゼータ系ガンプラが出揃うことになりました!筆者を含めた古参ファンはこの状況をどれほど夢見たことでしょうか。シロッコのジュピトリス製モビルスーツ「ボリノーク・サマーン」とティターンズの禁忌のモビルスーツ「サイコ・ガンダムMk-II」が共にHGシリーズで登場です。

【ついにゼータ系ガンプラが出揃う!】
HG 1/144 ボリノーク・サマーン:2024年11月30日発売

 特に「サイコ・ガンダムMk-II」はベースとなる「サイコ・ガンダム」のキットである「HGUC 1/144 サイコガンダム」が2004年8月の発売でしたから実に21年近く待ち続けたキットということになります。当時はすぐにでも発売されるものだろうと思っていたのですがここまで熟成を重ねることとなりました。

 完成したら全高約270mmのキットは現在のフォーマットで構築されるでしょうからこれは超期待するしかありません。『機動戦士ガンダムZZ』にも登場する機体ですのでそういった点からもとても楽しみなキットとなっています!

HG 1/144 サイコ・ガンダムMk-II:2025年3月発売
モビル・フォートレス形態へ変形可能!

 ここまで『機動戦士Zガンダム』40周年でガンプラのゼータガンダムを振り返ってきましたがいかがだったでしょうか。完璧なゼータガンダムを送り出すためにガンプラの技術も進化しその時代に合わせた答えを提示してくれていて、これから先も新たなゼータの鼓動を聞かせてくれるのではと期待しちゃいます。

 筆者もタイミングよく先日全話見返したところでした。40年経ってもさらに面白く、新たな発見もまだまだありました。ガンプラも出揃いますから2025年は皆さんが思い描くゼータガンダムを机の上で展開してみてください!