特別企画

ヘタ仙人の「プラモデルを楽しもう!」、横山宏氏のSF世界を満喫できる「ドーヤネン シュトゥルムケーファー」

完成! 力強い曲面やディテールをさらに楽しむために色々手を入れたくなる

 すべての部品を組み合わせ、これにて本体が完成となります。いやもう、今こうして原稿を書いている最中も、脇に完成品を置いているのですが、やっぱりMa.K.はついつい見入ってしまいます。とにかく曲面とメカ的部分の組み合わせが抜群にカッコいいんですよね。

 キットの可動部は4脚の付け根とヒザ? 部分なのですが、付け根は前後と上下に可動します。これで、たとえばお尻を少し上げたポーズから、ちょっと全体的に伏せたようなポーズも取れますね。もっとも、動かして遊ぶ模型ではないので、いったん好きな形(ポーズというよりは、カタチ、ですかね)を取らせて、その後は見て楽しんで……という感じでしょうか。

 なので、組み立てが簡単とはいえ、アクションフィギュア的な楽しみを求める人(を否定しているわけではなく)には向かないのですが、模型としてのディテールだったり造形を、手軽に楽しんでみたい! という方には手にとっていただきたいですね。ロボットものだけではなくて、ちょっとスケールモデル的な楽しみ方もしてみたいな、という方には、最適だと思います。

【完成】
上から
ちょっと視点を下げてみると、下面のメカが見え始めて、また別の印象になりますね
真正面。スマートだけがカッコよさではないのだなあとしみじみ
横から。下面のメカがよく見えるアングルです
後面。排気口らしきダクトが目立ちます
斜め後ろから。意外とコクピットが目を引きますね
下から眺めるとメカ味が増してゾクゾクします
ひっくり返してみました

 お次に、細かい部分も見ていきましょう。全体のフォルムに配置された細かいディテールが、このキットの楽しみであります。

【メカディテールに注目】
先端部はライトやセンサーが配置されていますが、リベットのモールドも、ウェザリングをしたら映えそうな部分だなあと
先端脇の、バンパーっぽいアーマー部分。こちらもリベットのモールドが細かく造形されています
コクピット付近。パイロットが押し込まれている感じがして、これがまたいいですね。
武装も、先端まで作り込まれています。砲口が微妙に窄まっているところも味があるな~と
全体の丸っこい雰囲気とは対象的に、かっちりと尖った爪先
ちょっと引いて見てみると、長い脚がまた美しいです
ヒザ? のカバーもご注目。無骨な全体像の中で、その薄さがギャップがあって、見ていて楽しい部分
コクピット後ろの、アンテナ基部。アンテナをつけたい人は、0.3mmのシンチュウ線を買ってきて付けるとのこと。その場合はピンバイス(細いドリル)も必要でしょう。穴を開けて差し込み接着するだけなので、挑戦してみては?
これがもっともお伝えしたかった写真です。「流れるような」とも違う、膨らみに膨らみが重なった力強い曲面がよいのです。
そして、スモークディスチャージャーのような小さなアクセサリがワンポイントになっていたり……
平らなところに顔を出す小さなディテール。
一見すると20世紀の重機にも見えるメカ部など、本当に見どころが多いのです。

これにて、「ドーヤネン No.001 シュトゥルムケーファー」のレポートを終わります。組立自体は簡単ですから(個人差はあるものの)、組むだけ組んで、眺めてみるのも面白いと思います。が、やはりこのキットは色は塗りたいところですね。

 それは、パーツが1色だからとか、そういう話ではなくて、色を塗ることがとても楽しいキットだろうからです。私は名前の通りプラモデル作りがうまいわけではないのですが、Ma.K.のシリーズは自分の好きな色で塗っても大丈夫というか、どういう風に塗ろうかな? どうやって汚してみようかな? と考えて、この力強い曲面やディテールをベースに楽しめるのが魅力です。

 つまり、塗装に関して言えば、ある程自分勝手にやれてしまうところが本当に楽しいわけです。と言いつつ、塗っていない写真ばかりでもどうなのかなと思って、過去僕が作ったグスタフという機体の写真も掲載します。ヘタでしょ? でも楽しかったんです。まずは、塗らなくてもいいけれど、塗ったら100倍楽しいよ! とお伝えしたい。

 なお、私事で恐縮ではありますが、製品の紹介とはいえ、まさか私がMa.K.の記事を書く僥倖に恵まれるとは思ってもいませんでした。実を言いますと、かつての『SF3D』連載は、中学生時代の私にとってはバイブルみたいな存在でして。あんまり自分語りをするのもアレですが、1984年初頭、日東科学から初めてのキット「A.F.S.Mk.I」が発売されたときには、嬉しさのあまりホビージャパンに「買いました!」と読者ハガキを送り、それを読者コーナーに掲載いただいたという思い出があったりして。

 ただ……嗚呼! あのとき私は、自分のことを「SF3D大好きっ子」と書いてしまったのです! 恥ずかしい! 80年代当時の言い回しとしてはまあ妥当といえば妥当なのですが、齢50を過ぎて文章執筆を生業としているいま、過去の自分に向かって「大好きっ子って書くんじゃない!」と思ったところで事実確認のためもう一度バックナンバーの当該部分を見たところ「SF3Dオリジナル最高だっこ」と書いていました……。もうダメだ。消え去りたい……。

 模型発のコンテンツであり、模型がほんとうに好きな人に向けたシリーズであるMa.K.を、シュトゥルムケーファーを入り口に、ぜひ楽しんでみてください。