特別企画
「MG 1/100 ゼータガンダム Ver.Ka」インプレッション
初代1/100フルアクションから37年。あくなきゼータへの挑戦に刻の涙を見る!
2022年9月30日 11:49
- 【MG 1/100 ゼータガンダム Ver.Ka】
- 開発・発売元:BANDAI SPIRITS
- 発売日:2023年2月
- 価格:7,150円(税込)
- ジャンル:プラモデル
2022年9月29日、全国を巡回してきた「GUNDAM NEXT FUTURE -BASE SERIES-」が総決算として東京・新宿にある「新宿住友ビル 三角広場」に到達。ガンダム映像作品やガンプラを筆頭に2025年(ガンダム45周年)に至る今後のガンダムシーンをお披露目する「GUNDAM NEXT FUTURE -ROAD TO 2025-」がスタートしました。
会場には今後発売になるガンプラやフィギュアの展示、この秋目玉の新テレビシリーズ「機動戦士ガンダム 水星の魔女」関連のブース、ガンプラをスキャンしてバトルさせることを目指す第2弾テストイベント「GUNPLA SCAN MOVIE」、そしてガンダム世界の住人になれる「ガンダムメタバースプロジェクト」の始動など盛りだくさんの内容になっています。
そんな中、本誌でレビューを多く担当させていただいている“ガンプラ”で注目の展示が行われていました。イベントの数日前に「MGシリーズ Ver.Ka 20周年記念」という情報がSNSで拡散されていたのですが、多くのガンプラファンはすぐさま反応!「20周年だからもう一度RX-78では?」「ここはGセルフでしょう!」「Zガンダム出てなかったよね?」などなど想像力豊かなファンたちは色めき立ちました。
そして9月29日当日になり、それが「機動戦士Zガンダム」の主役MS「MSZ-006 ゼータガンダム」であることが発表・展示されました。予想どおりだった、そうじゃなかったなどいろいろな感想が出そうですがなんにせよカトキハジメ氏プロデュースによる「マスターグレード Ver.Ka」シリーズで「ゼータガンダム」が出るとなればこれは期待せずにはいられないのではないでしょうか!今回現地でいくつか写真に収めてきましたので可能な限りディテールを確認していきましょう。
目指したのはアニメに登場するゼータガンダムのイメージを再現すること!
今回の「MG 1/100 ゼータガンダム Ver.Ka」が目指したのはTVアニメで見るゼータガンダムのイメージの具現化にあるということです。37年前(1985年)に登場した「1/100 フルアクション ゼータガンダム」は完全変形を実現していましたが当時の技術では完全変形を優先させるとMS形態、WR形態の両立は難しい……でもとても意欲的なゼータガンダムでした。
そして「究極のガンプラ」を目指して創設されたMG(マスターグレード)シリーズでカトキハジメ氏による「MG 1/100 ゼータガンダム(Ver.1.0)」が登場、変形での形態を両立させるために独自の解釈とディテールを盛り込みMGのすごさを感じさせてくれましたが、機構再現が優先されたためだいぶアレンジされたプロポーションともなりました。とはいえこのMGも大人気でしばらく入手不可だったことを思い出します。そしてVer.2.0の登場でアニメ版に近づけつつスタイリッシュなゼータガンダムが登場、代を重ねるごとに私たちが求める最高のガンプラになっていきました。
「MG 1/100 ガンダム Ver.Ka」が登場して20年。RX-78ガンダム、ダブルゼータガンダム、νガンダム、クロスボーンガンダムなどの主役ガンダム達が“Ver.Ka”シリーズで登場してきました。いまだゼータガンダムは登場していませんでしたが、20周年を迎えるにあたり記念すべきターゲットとして選ばれました。“Ver.Ka”のエッジの利いた設計を生かすにはうってつけのアイテムだと思います。変形機構を煮詰め、さらにアニメ版に近づけるための努力が垣間見えるゼータガンダムを見ていきましょう。
「MG 1/100 ゼータガンダム Ver.2.0」を作られた方なら気になっている部分、変形機構との兼ね合いでちょっとした残念ポイントだった“ソールの接地性能”ですが説明員いわく、ここも改良がくわえられており問題ない設計になっているとのこと!現物を見てみるとちゃんと角度がつけられ接地できていて完璧なゼータガンダムに一歩近づいた印象です。
胸部の青いパーツはこれまでになく下を向いていて、先端にある黄色のダクトも下向きです。そして跳弾パネル(?)も折れ曲がって下を向いています。筆者はこれがうれしい!跳ね上がってるのももちろんかっこいいんですが……ここは可動式なので好きな状態でディスプレイできます。腕部の肘関節は回転軸を横に向けた状態で若干前後へスイングする機構がついているとのこと。素立ちさせていわゆる“ガワラ立ち”や“カトキ立ち”させる際の表情付けに効果バツグンです。
ウェイブライダー形態も抜群のプロポーション、しかもぐらつかない!
説明員が話している中で印象的だったのが、変形とロック機構をかなり充実させたというところでした。特に頭部を収納すると胴体部の可動が同時にロックされる機構を持っているとのことで、これはなんと“特許出願中”とも! 過去の変形するゼータガンダムは頭部収納機構に剛性感がなくぐらつくことがありましたがそれを解消したというのがこのゼータガンダムの特徴ということになります。
背面にあるフライングアーマーの支持アームの構造を簡略化、ストレスのない変形を実現しているとのこと。確かにこれまでのゼータガンダムのプラモデルでは変形中に“その関節の向きは正しいのか?”と思うことがあったのも事実です。そこが解決したとのことで、アニメの変形をどこまで実現したのか実際組んでみるのが楽しみな部分でもあります。
アニメのゼータガンダムを再現。肩をはじめ各所の可動性能が段違い!
アクションポーズを見ていきましょう。説明員は特に肩の可動の実現に自信をもっていると話してくれました。ゼータガンダムの肩関節は通常のガンダムタイプのようなしっかりとした軸の上に構成されるものではなく、白いプレート状のパーツを軸にフラップのように可動するのみでしたが今回はそれごと上側へのスイングする機構を持つ……説明員は“肩甲骨”という表現をしていたのが特筆ポイント。なるほど、なんとなく機構が想像できるのではないでしょうか。
アニメでは複雑な可変機構の描写はどこへやら、人体と同じ動きをするゼータガンダムですが変形可能な立体物となれば機構を無視するわけにはいきませんがこれまでは技術的に無理があったためオミットされてきた部分でもあります。今回はそこへも踏み込み実現させたとのことですからここも組み立てるときに注目しおきたいところとなります。
原点への回帰。約40年の刻を超え、ゼータガンダムが蘇る!
ここまでのフォトレポートいかがだったでしょうか。開発陣肝いりのゼータガンダムはガンプラファンの心をつかんで離さない魅力があります。あのモビルスーツから見事にウェイブライダーに形が変わるのはロマンですね。それもアニメ版に近いスタイリングはゼータガンダムを追い続けるファンや開発陣にとっても一つの正解が出てきたんじゃないでしょうか。
カトキ氏がメッセージ内に「ゼータガンダムが古びないのは 変形に正解がないデザインだからだ」という一文がありました。その時々のゼータガンダムを様々なアプローチで実現させる試みはファン目線からも楽しみでしかありません。「ゼータの正解を探してみよう」というところからまださらに考察は続くと思います。
発売は2023年2月が予定されています。まだ約半年ほどの期間がありますがこうしてテストショットを見ているだけでも組みたい気持ちでうずうずしてきちゃいますね。筆者もレビューさせていただく予定ですので楽しみにお待ちいただければと思います。あ、そうそうアニメ準拠のゼータガンダムということで時代も方向性も違うんですけど、うっすら完成品トイ「可変戦士 機動戦士Zガンダム」を思い出しちゃいました。
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