特別企画

サイボーグ少女によるモータースポーツ! イベント「MOTORED LABORATORY」深掘りインタビュー&レポート

【Motored Cyborg Runner Figure Exhibition MOTORED LABORATORY】

開催日:10月22日~10月28日

開催時間:
土日/11:00~19:00
平日/16:00~20:00
会場:アキバCOギャラリー(千代田区外神田3丁目16−12)

チケット:入場無料

 マックファクトリーと千値練、イラストレーター・AF_KURO氏による新アクションフィギュアシリーズ「少女発動機 MOTORED CYBORG RUNNER」の展示イベント「Motored Cyborg Runner Figure Exhibition MOTORED LABORATORY」が10月28日まで、アキバCOギャラリーで開催されている。

 本イベントはAF_KURO氏がデザインした身体を機械化した少女“少女発動機”による"モータースポーツ"をテーマにしている。中心となるアクションフィギュアに加え、AF_KURO氏のイラストが提示され世界観を実感できる構成となっている。弊誌では会場の写真や展示商品をレポートしているが、本稿ではメールインタビューや、会場でのフィギュアの試遊の感触などをレポートしていきたい。

【会場】
会場ではAF_KURO氏のイラストを配置、来場者にまず世界観を提示する
全身機械化された少女、サイボーグ少女“少女発動機”はイラストレーターのAF_KURO氏が提示する世界観を立体化するプロジェクト
ネジやエンジンといったメカニックディテール、脚部はフレームと一体化しているなどバイクなど実際のメカのイメージが盛り込まれているのがわかる

“少女発動機”のコンセプトとは? 企画者・イラストレーターインタビュー

 「Motored Cyborg Runner Figure Exhibition MOTORED LABORATORY」ではAF_KURO氏がデザインしたサイボーグ少女“少女発動機”がメインとなる。マックスファクトリーと千値練はこの少女を立体化、随所に合金パーツを盛り込んだリッチなアクションフィギュアとして商品化となった。

 商品としては“少女発動機”と呼ばれるサイボーグ少女の「プロトタイプ」と、配色によって印象が大きく異なる2タイプ「MANDARIN SURF」、「TECHNO AZUR」という3種が販売される。イベント会場はこの3種の他バリエーションを展示したり、イラストを展示することで世界観を掘り下げている。

 まずは“少女発動機”のコンセプトや企画の経緯、フィギュアの注力ポイントなどを企画を担当したマックスファクトリーの金子氏とイラストレーターのAF_KURO氏にインタビューしてみた。

【商品ラインナップ】
「MOTORED CYBORG RUNNER SSX_155T "PROTO SPEC"」、会場での先行抽選販売。価格は20,000円 (税込)
「MOTORED CYBORG RUNNER SSX_155 "MANDARIN SURF"」2023年6月発売。価格は23,800円 (税込)
「MOTORED CYBORG RUNNER SSX_155 "TECHNO AZUR"」2023年6月発売。価格は23,800円 (税込)

――まず最初に、「少女発動機 MOTORED CYBORG RUNNER」のコンセプトである"走るために特化したサイボーグ"というのはどういうものなのでしょうか?

AF_KURO氏: “少女発動機”のキャラクターデザインは、”バイク等の骨格構造を人体のシルエットに置き換える”というアイデアに端を発しています。そこから、バイク乗りや走り屋の「走る」という概念、そして「内燃機関を搭載した構造体」としての在り方をヒトの形に集約していくという思想のもと、今の方向性に至りました。

 デザインの際は ”内燃機関を搭載すること”、”擬人化にはしないこと”、”メカニズムとファッション表現によって文化性を与えること” という3つのルールを主に設定しております。そうすることで メカとしてのアプローチをしっかりと確立しつつも、いわゆる”メカ好き”以外の方々にも見て頂ける物になるよう意識してます。

 今回のフィギュア展開においても上記の概念は共通で、メカニズムを楽しめつつも、カラーリングやパッケージ等のディレクションにGraphersRockを起用し、新しい層のファンを獲得できることを目指しました。

会場に展示されたイメージイラスト。メカのこだわりが感じられる

――金子さんにお聞きします。AF_KURO氏と仕事をすることとなった経緯は?

金子氏: AF_KURO氏が元々WEB上で『少女発動機』を展開しておられまして、その世界観が素晴らしかったのでfigmaで商品化するのはどうでしょうか?と持ち掛けたのがきっかけです。近しいタイミングで千値練さんもAF_KURO氏に商品化提案していましたので、双方話しあって、完全新規のアクションフィギュアを2社合同で開発する事となりました。

――千値練とマックスファクトリーが協力することでどのような商品が生まれるのでしょうか?

金子氏: 造形力に定評のある弊社ですが、製造開発は他社さんにお願いしている事が多いです。今回は早いうちから千値練さんと密にやりとりする事で、よりコンセプトからブレない、安定した商品にする事ができました。

【商品ラインナップ】
"PROTO SPEC"は先行販売となる無彩色タイプ。顔を黒くしたのはAF_KURO氏のアイディア
金属パーツをどこで使用しているかがはっきりわかる
背部はタンクやウィングなどが確認できる

――AF_KURO氏を『少女発動機』見たときの金子さんの感想をお聞かせください。

金子氏: 日本離れした色彩センスとサイバーパンク感を持ちながら、ドメスティックなジャパニーズヤンキー魂も匂わせる、稀有なイラストシリーズと感じていました。アクションフィギュアになると絶対楽しいだろうなと思い、お声がけさせていただいた次第です。

――次にフィギュアのポイントを聞きたいです。プラモデルではない、完成品フィギュアとしての魅力はどこでしょうか?

金子氏: プラスチック素材だけでなく柔らかい部位にはPVC、安定感が欲しい下半身には合金を使う、等複合素材による質感の高さ、遊びやすさが魅力です。特に金属部分の多い下半身は単純に触ってて気持ち良いです。

――"走る"ためのコンセプトの面白さを活かした可動は?

金子氏: 足を大きく上げ、腿をより体に密着する事ができるよう、太ももに2軸の可動を設けており、これにより二足走行のアクションという他のアクションフィギュアでは味わえないアクションが楽しめます。

【走行イメージ】
体を低くして走行するイメージ

――サイボーグであるディテールの注目ポイントは?

AF_KURO氏: 腰回りのエンジンをはじめ、造形の所々に様々なバイクや車の構造・文脈を取り入れているため、よくよく観察して頂くと様々な発見があると思います。また、機械部分は3DCAD設計ということもあり造形の精度が非常に高く、工業製品としての雰囲気も感じ取れるようになっております。

――そのほか注目してもらいたいところはどこですか?

AF_KURO氏: パッケージデザインや本体カラー・グラフィックデザイン(PROTO SPECだとデカール再現)も、担当のデザイン集団であるGraphersRockと方向性を詰めながら徹底的にデザインしていただきました。このあたりも楽しんでいただけたらと思います。

――ユーザーへのメッセージを

AF_KURO氏: 可動を楽しむ・パッケージと共に部屋に飾る、そういったアクションフィギュアとしての基本的な面において、新鮮な物が出来たと感じております。

 また、今後のキャラクターや世界観の拡がり、そしてビジュアル面での打ち出し方など、独自のシリーズ展開にもご期待いただけますと幸いです。今後とも宜しくお願いします。

金子氏: かなり実験的かつ野心的なプロダクトになったと思います。
可能ならまずはプロトスペックをさわっていただき、その魅力を肌で感じていただけると幸いです。今後の展開にご期待くださいませ。

【TECHNO AZUR】
"TECHNO AZUR"はスポーティーなイメージ
【MANDARIN SURF】
"MANDARIN SURF"は軍用を思わせる落ち着いた彩色

可動とディテール、素材の質感を追求する“少女発動機”

 会場での注目は展示物に加え、“少女発動機”をしっかりと手で楽しめるところだろう。プロトタイプである「MOTORED CYBORG RUNNER SSX_155T "PROTO SPEC"」は試遊用のフィギュアが会場に用意されている。

 まず改めてフィギュアを見ていこう。“少女発動機”は生身に見える頭部以外は全身が機械パーツである。背中にはバックパックのように見える燃料タンクと、その後ろにあるのはダウンフォースを発生させるウイングだ。このウィングを活かすため、“少女発動機”はかなり前のめりで、地を這うような低い姿勢で走るのを前提にしているという。

試遊フィギュアでは可動を確認できる
腹部に収められていたエンジンを露出させる

 腰部分はお腹の中までエンジンが内蔵されている。人間の内臓部分がそのままエンジンになっているイメージで、通常の立ち姿では体に内蔵されているが走行時に前掲することで露出する。エンジンはそのまま排気装置が直結しており、尻尾のように見えるマフラーがついている。

 特に "PROTO SPEC"は無塗装のため金属パーツがはっきり確認できるのが特徴。足の付け根は回転軸が多く設定されており、さらに金属パーツで耐久性も優れており、グリオグリと動かせる。足を高く上げることもできる自由度を持っているので、迫力のあるポーズを取らせることが可能だ。

金属パーツの造型もシャープだ
股の付け根は幾つもの回転軸を設定

 実際に触り、動かすことでフィギュアの魅力が見えてくる。手に持ったときの金属パーツの重さ、シャープな造型と、しっかり動く関節。特に首と胴体の関節デザインが面白い。お腹から腰までは3つ以上のパーツに分かれ、デザインを保ったままかなりよく動く。首も基部と頭の接続部分にそれぞれ関節が仕込まれ、見上げるようなポーズからうつむいたポーズまで自由に取ることができる。

 長い手足も多くの関節が設定され、従来のフィギュア以上に幅広い可動域を持っていると感じた。また、面白いのが金属製のシャフトがついた台だ。アームには燃料タンクの注入口を開けて接続でき、ぐぐっと下げた位置でも固定できる。体を限界まで低くした“少女発動機”ならではの走行ポーズで固定可能だ。

ダンクとウィング
腹部はパーツが重なり、かなり動く
首回りも自由度が高い
ディスプレイ台も工夫がある
様々なポージングが楽しめそうだ

 よく動き、そしてカッコイイ、というのが筆者が "PROTO SPEC"を触った感触だ。彩色された正式商品である"MANDARIN SURF"と"TECHNO AZUR"はよりキャラクター性が強まるので、ポージングのモチベーションが変わってきそうで、こちらも楽しみだ。

 “少女発動機”は現在 "PROTO SPEC"が抽選販売、"MANDARIN SURF"と"TECHNO AZUR"は2023年6月発売予定だが、会場には特別カラーの「PSYCHEDELIC RUSH(サイケデリックラッシュ)」というコンセプトモデルも展示されていた。参考出展であるが、色が変わることでガラリとイメージが変わる。

【PSYCHEDELIC RUSHF】
かなり華やかな色合いの"PSYCHEDELIC RUSHF"

 ふんだんに色が加えられていてカラフルで、ストリートファッション的な趣も、サイバーパンク的なイメージもより強調されている。カラーリング設定はデザイン集団であるGraphersRockのものだ。カラーリングパターンも提示されており、こちらの商品化も興味深い。

 また、会場ではAF_KURO氏によるもう1人の“少女発動機”も提示されているのは見逃したくないところだ。「狐」の文字と共に描かれている銀色の長い髪を持つサイボーグ少女。他のモデルでの展開もあるのだろうか?

 “少女発動機”のイベント「Motored Cyborg Runner Figure Exhibition MOTORED LABORATORY」は28日まで。興味を持った人はぜひ会場を訪れて欲しい。

【これからの展開も?】
デザイン集団であるGraphersRockによるカラーバリエーションイメージ
「狐」の文字が使われたもう1人の“少女発動機”
【少女発動機 MOTORED CYBORG RUNNER SSX_155 始動】